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『いとしのマックス/荒木一郎』 [荒木一郎]


こんばんは。
キンクスの前回のヒットが生まれた1967年、日本ではこんな曲が大ヒットしていました。
荒木一郎さんの名曲『いとしのマックス マックス・ア・ゴーゴー』《SV-564》です。
本日は日本のシンガーソングライターの草分け、天才・荒木一郎の世界を覗いてみましょう。

荒木一郎氏といえばまずは何と言ってもこの曲です。
何と1967年のリリースから今年で40周年です。
御目出度う、マックス!!
今でも根強いカルトな人気を誇る荒木一郎氏ですが、非凡な才能に比べて世間の評価はイマイチと云わざるを得ません。
加山雄三(弾 厚作)氏と並んで日本のシンガーソングライター、自作自演の歌手の元祖です。
そして荒木さんは今ではありふれたマルチタレントの元祖でもあります。
現在ではマルチタレントなんて“下手の横好き”の言い換えとも云えますが荒木さんは本当に多彩な才能を多方面に発揮されました。
作曲家、俳優、タレントのマネージメント(プロデュース)、DJ、小説家、マジシャン、棋士などなど。
上記のどれかが特に秀でていると云うのではなく、どれもがズバ抜けて秀でているのです。
ヒット曲「空に星があるように」は数えきれない位多くのミュージシャンがカヴァーしました。
池玲子、杉本美樹、岸本加世子、桃井かおりなどの個性的な女優陣への楽曲提供やプロデュース。
俳優としては「893愚連隊」(1966)、「日本春歌考」(1967)、「白い指の戯れ」(1973)での名演が思い出されます。
小説では「ありんこアフターダーク」(1984)が良いですね。60年代の東京を舞台にした作品では最高峰の部類です。

荒木一郎氏の魅力はなんというか都会育ちのセンスの良さでしょうか。昭和の遊び人というかプレイボーイというか都会的なカッコ良さスマートさなのです。

俳優としては孤独でニヒルな切れ者を演じさせたら、日本で一番でしょう。
スーツの着こなし、タバコの吸い方、クールな仕草、カッコいい!!

音楽は豊かな音楽環境から生まれたと推察される様々なジャンルを超えた普遍的なメロディセンスが特徴でしょうか。とても分りやすい聴きやすいメロディ。でも味わい深い。
歌詞も素晴らしくて人生の酸いも甘いも知っている、人間への洞察の深さから由来する孤独、虚無、愛の表現が上手いです。
そして荒木氏の歌唱スタイル。ソフトでマイルドな歌い方が魅力です。

そして本日の一枚の『いとしのマックス』。
何処かで一度は聴いたことのある方も多いでしょう。
『♪真っ赤なドレスを君に〜』
GS風のサウンドですがそれだけでは済まされない、何かドス黒いブルーズを感じます。
この曲での荒木氏の陰りのあるヴォーカルスタイルから何か危険な匂いがするのです。
ヤバいのです。
『♪ドゥ〜ルル〜ルル、ドゥ〜ルル〜ルル、ドゥ〜ルル〜ルルル、GO!!』
漆黒の大人の世界へ吸い込まれそうなのです。
単なる懐メロでは済まない名曲。
今聴いても、アレンジ、演奏はカッコいいです。

今年制作されたオムニバス映画『歌謡曲だよ人生は』という作品で漫画家の蛭子能収さんが監督で『いとしのマックス』をモチーフに短編を撮りました。未見です。
もう一つ映画ネタでヌーベルバーグ風日活アクションの名作『紅の流れ星』(1967)の劇中で主人公の渡哲也さんがこの曲を口ずさんでいるシーンがありましたね。この映画、音楽も素敵でした。

B面は『美わしのシンデレラ』は打って変わって繊細な荒木氏の魅力に溢れたクラシカルなナンバー。カンツォーネ風のサウンド。この曲も素敵です。

これから荒木氏の音楽に触れたい方は沢山出ているベスト盤を選ぶのも良いですが、オリジナルアルバムから入るのも良いです。
お薦めは 『絵本』(1968)、『涙の風景〜荒木一郎の世界』(1971)、『蹉跌』(1974)、『君に捧げるほろ苦いブルース』(1975)『SCENE PHONIC』(1983)など、ほとばしる才能の渦に巻き込まれてください!!
特に『涙の風景〜』は日本で初めて24チャンネルでレコーディングされたアルバムで、アートロック、フォーク、ソフトロック、演歌、歌謡曲、ボードヴィル調などジャンルを飛び越えたハイブリッドな音楽センスが爆発している、日本のロックファン必聴の名盤です!

『いとしのマックス』《作詞・作曲:荒木一郎/編曲:寺岡真三》(02’37’’)【1967】


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MOMO

「紅の流れ星」は、多分、渡哲也唯一の軟派映画。

渡が照れくさそうにジェンカを踊ったシーンが印象的でした。それと、ケン・サンダースのみごとな踊り。舎弟役の杉良太郎の軽い演技も。

マックスはたしか荒木一郎の飼い犬でしたよね。
by MOMO (2007-11-23 01:09) 

都市色

こんにちは、MOMOさん。
コメント&niceありがとうございます!
昭和カルチャーに造指が深いMOMOさんのブログは勉強になります。

「紅の〜」は過去にビデオを一度しか観たことがないのでもう一度見たい作品です。東京から神戸へ飛ばされたチンピラの虚無感が良いですね。
杉良太郎さん若かったですねー。
by 都市色 (2007-11-24 09:06) 

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