『夏はどこへ行った/鈴木祥子』 [鈴木祥子]
こんばんは。
今夜は鈴木祥子さんのデヴューシングル、『夏はどこへ行った』です。
1988年のデヴューから今年の9月で20年。
この曲を初めて聴いた印象は、「デビュー曲にしては地味だな」と云うコトです。
アコギの弾き語りを基調とした静かなバラード。
メロディもシンプルな感じ。
タイトルからして寂しいですね。
バブル華やかなりし1988年の秋にひっそりと世に放たれたシングルというメイージ。。
ビートルズのデヴュー曲が「LOVE ME DO」というのと通じるようなあまり派手な感じではないのです。
でもそれが祥子さんらしいともいえますね。
この寄る辺ない感じが実に味わい深いですね。
旅を続けていた二人が様々な想い出をふり返りながら次の駅で別れる、そんな物語だと思います。
二人の旅の終りへ向けて列車は走り続けます。
ロードムーヴィーのような世界観ですね。
旅の疲労感や儚い心象風景が祥子さんのセンチメンタルな歌声とともに聴く度にジワジワと胸に迫って来るのです。
作詞を依頼された作詞家の川村真澄さんはこの曲調になにか思う処があったのでしょうか。
「夏は〜」は列車が舞台の「移動」、「旅」が歌詞テーマになっていますね。
その後、祥子さんが作詞も自身で手掛けるようになっても作品のタイトルに「JOURNEY」とか「旅」とかが関わっていたり、自分の居場所を求めて彷徨うコトがモチーフになっているので、この「夏はどこへ行った」という曲がデヴュー曲であることは祥子さんにとっては必然だったのかもしれません。
アレンジャーの佐橋佳幸さんのギターワークも素晴らしい。
B面は『波の化石(ファシル)』。
夏の終りと恋の終りを幻想的に描いた作品。
しっとりとしたアコースティックな響きが美しい。
アレンジは佐橋佳幸氏と、先日の「椿姫の夏」も手掛けている西平 彰氏の共同作業です。
アコースティックと美しいハーモニーが丁寧に響く、今聴いても新鮮なサウンドです。
70年代の米国西海岸のシンガーソングライターの名作をお手本にした手堅いアレンジ。
「夏はどこへ行った」「波の化石」を含むファーストアルバム「VIRIDIAN」全般も20年経っても些かの古さも感じさせないサウンド。
この時代はまだアナログレコーディングが行われており、このアルバムでもその良さが伝わってきます。
川村真澄さんの歌詞は文学的で難解なのですが大人になるとだんだん理解出来る奥深い世界ですね。その味わい深さが祥子さんの初期の作品を更に引き立てています。
エピック後期〜ワーナー、そしてインディーズでの、酸いも甘いも知り尽くした孤高の女性像も、若い頃の試行錯誤があってこそなのですね。
9月には都内で記念ライヴを久々に広いホールで開催するようですね。五年前のデヴュー15周年記念のライヴは横浜の赤レンガで観ました。
間もなくリリース予定の新作も楽しみです。
『夏はどこへ行った』《10・8H-3056》〈作詞:川村真澄/作曲:鈴木祥子/編曲:佐橋佳幸、西平彰〉(4'12'')【1988】
SHO-CO-SONGS Collection1(DVD付)
- アーティスト:
- 出版社/メーカー: Sony Music Direct
- 発売日: 2008/06/11
- メディア: CD
都市色さんはじめまして。
私は「Long Long~」の祥子さんをジャケ買いし、「SNAPSHOTS」で完全にはまってしまいました。「あたらしい愛の詩」も大好きです。
You Tubeのこの映像も、当時録画したビデオで擦り切れるほどみました。
by jiri (2008-08-31 22:25)
>jiriさん、こんばんは。
コメント&niceありがとうございます!
祥子さん、良い曲が多いですよね。
いつまでも心に残るメロディを書く才能がありますね。
斉藤和義さんについては詳しくありませんが、祥子さんに通じるセンスがあると思います。
by 都市色 (2008-08-31 23:54)
>うっちさん、niceありがとうございます。
by 都市色 (2008-09-04 16:59)