『グッデイグッバイ／キリンジ』：03'54''：So-net blog

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『グッデイグッバイ／キリンジ』　[キリンジ] [編集]

こんばんは。
風薫る季節に聴きたくなってしまうこの曲。
キリンジの作品の中でもとりわけお気に入りです。

♪らららららら
　らららららら
　唄う号外さ

2000年、メジャーデヴュー三年目の彼らは意欲的に一年間に沢山のシングルを切りました。
その中の一枚。
『エイリアンズ』もこの年のシングルでした。

『グッデイグッバイ』、春向けの爽快なタイトルチューン。
この曲は彼らには珍しく、作曲を共同で仕上げています。
作詞は堀込弟氏。
弟氏による、ある晴れた日の街並の軽妙な描写が実に印象的です。
穿った視点が活写する街の風景に舌を巻きます。
個性溢れるキャラクター達が街を賑やかに演出していきます。
都会にはホントに色んな種類の人がいますけど、そのヴァラエティに富んだ人々がミュージカルみたいに街でステップを踏んでいる感じです。
まさにデイドリーム。
歌詞の世界を想像しながら聴くととても面白いです。
こんな曲を書けるのはキリンジだけです！！！

軽快な電子ピアノの連弾から始まり、ドラムが怒鳴り込んできて、ハモンドとホーンが高鳴るイントロ、カッコいいです。
そして唄い出しが、

♪レイディ　張り手打って逃げた　大通りを
　デイドリーム　もてあまして坊やは　風船を放つ

ですからね。
切れ味鋭いユーモアが炸裂しています。
ポーカーフェイスな弟氏のクールな歌唱は魅力的な楽曲の余熱を冷却しています。
大サビで切り込んで来る兄氏の軽妙なフレーズも効果的なアクセント。
間奏のハモンドオルガンソロにもウキウキ。
エンディングの転調も効果的。
もう何度聴いても胸がワクワクします。
名曲！
アレンジャー冨田恵一氏の繰り広げる開放的な多重録音も見事です。

カップリングは『むすんでひらいて』。
弟氏による作品。
この作品も聴き応え抜群の隠れた名曲と言えます。
童謡のようなタイトルとは裏腹にアンダーグラウンドなムードが漂います。
そういえば童謡って実は深い意味があって怖いんですよね。
スティーリィダンの『リキの電話番号』を彷彿させるイントロ。
ミディアムテンポのおどろおどろしいサウンド。
ゆったりと闇の中へ沈み込むようなブラックなAメロ、
不穏なファルセットが印象的なBメロ、
そして一転、奈落の底へ転がり落ちるようなサビの展開が溜まりません。
徐々にサウンドが厚みを増していき、
静かに発狂していくようなカタルシスを感じるサイケデリックなエンディングに飲み込まれます。
キャー！！
非凡な弟氏のソングライティング。
虚ろな感じの唄い方も良いですね。
作曲した本人にとっても自信作だったと伺えて昨年末にリリースされた二枚組アンソロジーにも収録されています。
弟氏の歌詞は、計算し尽くされたしなやかさを持つ兄氏の歌詞と比べて、無骨でピュアな感じがします。女性的な兄氏に対し、男性的な弟氏、そんなイメージを持っています。どちらも大変魅力的であります。

2000年のアルバム『3』は名うての堀込兄弟の卓越したソングライティングが矢継ぎ早に、生き急ぐように繰り出される傑作です。

『グッデイグッバイ』《WPC6-10080》〈作詞：堀込泰行／作曲：キリンジ／編曲：冨田恵一〉（5’23’’）【2000】