『にじますの街角/インスタント シトロン』 [渋谷系]
こんばんは。
久しぶりのインスタント シトロン。
日本一のグッドタイムミュージック ユニット!
1996年の春にリリースされたシングル『にじますの街角』。
ミディアムテンポの朗らかなソフトロックで、この季節にピッタリ。
このジャケットを見てピンと来た方、鋭いですね。
そうです、バリー マン&シンシア ウェイルです。
最近このブログで取り上げているCD『GLITTER & GOLD』のジャケットそっくりなんです。
どちらも素敵なデザインだと思います。
そっくり、と云うか明らかに狙っていますね、片岡さんと長瀬さんは。
センスのある引用だと思います。
この曲の歌詞に『♪バリーとシンシアみたいなものさ〜』というフレーズもある通り、偉大なソングライターチームへの憧憬が感じられる曲と云えます。
バリー マン作品のどの曲を元ネタにしているとか分かりませんが。
キャロル キングや、エリー グリーンウィッチの様なフックやフレーズのキャッチーさは無いですが、聴いたあとにジワジワと響いてくるのがバリーマンの作品の魅力だと思います。
この曲もそんな感じがします。
長瀬五郎さんの老成した味わい深いまろやかなメロディと片岡知子さんのロマンティックで優しい言葉。
♪ポケットに 両手入れて
口笛を吹いて 歩いてゆく
靴音のリズム 僕のメロディー
一人っきりのオーケストラだね
WITH MY LOVE
僕らの素敵な にじますの街角で
いつもの仲間が 話をしているよ
僕らの素敵な にじますの街角は
風に 吹かれているよ
時を こえて
ひとつに 溶けて
聞こえて来る
このふたりの見事なコンビネーションはまさにバリーとシンシアなのであります。
オーソドックスな音作りは当時の渋谷系の音楽とは一線を画すものがありました。
効けば聴く程味わいが増す、「にじますの街角」。
さて、この曲のタイトルはどんな意味なのでしょうか?
ご存知の方がいらっしゃったら教えて下さいね。
流麗なストリングスのイントロ。
ドラム、ベース、ギター、ピアノの4リズムのコンボ演奏がゆったりと心地好いグルーヴを生んでいます。チェンバロの隠し味もグー。
ウィスパーな片岡さんのキュートな歌もサウンドに埋没されるコトなく存在感を放っています。
この後、彼らは活動をインディーズへ余儀無くされてしまうのですが、個人的にはインディーズでの宅録風のサウンドよりも東芝時代のスタジオレコーディングの作品にこそ彼らの本領が発揮されていると思います。東芝時代の彼らの高い音楽センスのプロダクションを聴く度にそう思います。
カップリングは『SO FINE』。
こちらも聴いてビックリ。
なんとネヴィル ブラザーズではないですか!
名盤「FIYO ON THE BAYOU」の中のとある一曲をアレンジの元ネタにしてますが、こう云うのはパクリとは云いません。センスです。メロディは全く違います。
ゴキゲンなホーンのイントロを聴いただけではオリジナルと間違える程。
心地好いニューオリンズのビート。
アレンジの構成力も巧みです。
彼らの幅広い音楽センスには遊び心がいっぱいで、あざとさとか若気の至りとは無縁なのです。
本当に音楽が好きなんだなぁと云う感じが伝わってくるんです。
愛くるしいハッピーなメロディ。
お天気の休日にドライヴをしているシチュエーションの歌詞にピッタリ。
そしてこのシングルのレコーディングのメンツも面白くて、ギターが元シュガーベイブの村松邦男氏、そしてベースが元ジューシィフルーツの沖山優司氏。
この日本のポップス史に残る特別ゲストお二人を楽器の演奏だけではなくコーラスにまで参加して貰っているところがシトロンらしいです。
シトロンの二人に村松氏&沖山氏を交えて、楽曲のコーダでコーラスをしているのですが、
♪DOO-WA SHU-WA
DOO-WA SHU
WALI -WALI
というユーモラスなフレーズのハーモニーがジューシィフルーツの「ジェニーはご機嫌ななめ」やシュガーベイブの「SUGAR」のコーラス部分を彷彿させてポップスファンには堪らないプレゼントとなっています。これもシトロンの二人の狙いなのでしょう。
さすがです。
技ありの一本です。
勿論、元ネタなんぞ知らなくてもシトロンの音楽は魅力満点です。
このシングルの二曲はアルバム未収録作品でしたが、現在は長門さんのドリームズヴィルからの再発されたミニアルバム『CHEERFUL MONSTER』のボーナストラックに追加されています。
インスタント シトロンのシングルを取り上げているのは音楽ブログ広しと云えど、この「03’54’’」ぐらいではないでしょうか。
最近彼らの活動が絶えて久しいのが淋しいです。
片岡さんはNHKの教育テレビの子供向けの番組で音楽を担当されたり、CMソングを作ったりしてますね。
こんなファンがいることをお忘れなく!!
『にじますの街角』《TODT-3709》〈作詞:片岡知子、長瀬五郎/作曲:長瀬五郎/編曲:インスタントシトロン/弦楽編曲:長谷川智樹、片岡知子〉(4’28’’)【1996】
都市色さん、こんばんは。
なかなか渋い指摘ですね。このシトロン、ぜひ聞いてみたいと
思いました。よく気がつきましたね!
バリーマン&シンシアウェイルは
私も昔から聞いてます。
彼らの曲は名曲ぞろいですが、私が
特に好きな曲は「Somewhre Out There」「Just Once」
モンキーズの「灰色の影」あたりかな。
by ハリーラニアン (2009-05-25 19:32)
>ハリーラニアンさん、こんばんは。
コメントありがとうございます!
「JUST ONCE」僕も大好きです。
シトロンも良いですよ。
by 都市色 (2009-05-27 00:42)
いやーインスタントシトロンには反応しちゃいますよ。
この曲、名曲!
おっしゃる通り、シトロンの音楽は元ネタがどーとか
どうでもよくなるぐらいキュートで魅力的ですよね。
新作出して欲しいなー
by popholic (2009-05-27 21:42)
>popholicさん、こんばんは。
コメントありがとうございます!
前回のシトロンの記事でもコメントを下さいましたね。
ホント名曲ですよね。
他にも彼らのシングルを紹介したいと思います。
また活動再開して欲しいものです。
by 都市色 (2009-05-28 23:09)
はじめまして、Mann-iaと申します。
Barry MannとCynthia Weilでググっていたら、
こちらのブログにめぐりあえました。
ブログの名称は3'45"ではないんですね:)
> このジャケットを見てピンと来た方
BarryとCynthiaの写真は、
1965年の夏、West Hamptonで撮られたうちの1枚ですね。
あれらの写真をとりまとめて写真集を出したらと、
先日もCynthiaに提案したんですが…
そういえば、
Barryのアルバム"Lay It All Out"のジャケットを彷彿とさせる、
森進一のシングルCD「さらば青春の影よ」なんてのもありましたっけ。
> バリー マン作品のどの曲を元ネタにしているとか分かりません
思い当たる節があるような、ないような…
心に留めておきます。
by Mann-ia (2013-06-08 23:49)
>Mann-iaさま、こんばんは。
はじめまして。
コメントありがとうございます!
バリー・マン、シンシア・ワイルのお二人とご懇意な方とお見受けします。
つたない文章でお恥ずかしいです。
60年代の頃の写真とかとても見てみたいと思います。
また何か思い出されたらコメントよろしくお願いします。
by 都市色 (2013-06-10 23:54)