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『恋は桃色/細野晴臣』 [邦楽ロック/70年代]

恋は桃色.jpg

こんばんは。
近所を歩いていると公園や通り沿いに見事に咲き誇る桜の風景に見とれてしまいます。
満開の桜の美しさ。
散り際の美しさ。
鮮やかな青空に映える艶やかな桃色。
日本古来からの不思議な郷愁に吹き荒れます。
この風景は毎年何度観ても心を打たれます。

ポカポカ陽気の散歩道に何気なく口づさんでいるのはこんな歌。
細野晴臣さんの『恋は桃色』。
名作『HOSONO HOUSE』からのシングルカット。
細野さん、それから大滝詠一さんのそれぞれのデヴューアルバムは晴れた日に近所を散歩しているとアルバムの最初から最後まで順番に鼻歌で唄いたくなります。
この二枚は最高の歌ものアルバムだと思います。
古典ですね。基本ですね。
歌唱も演奏も楽曲も時空を超えて蒼いのです。

それはそれとしてシングルのお話。
1970年代初頭に生活をしていた埼玉県狭山市の空気感。
のどかな春の風景が目に浮かぶようです。

♪ここがどこなのか どうでもいいことさ
 どうやって来たのか わすれられるかな

深い言葉ですね。
長い人生、これからどこへたどり着くのか判らないし、これまでの道のりを振り返られる程の大した人生でもないし。忘れてしまいたいことの方が多い気がします。
メロディは朗らかなのですが、歌詞にはどこか諦観や惑いが見え隠れしていて、そこが好きです。
人生にキッパリと悲観している訳でもないし、希望を常に持ち続けられる訳でもないし、
ありのままに静かに受け入れていこうとする気持が、細野さんの独特の淡々とした歌声と供に深まっていきます。
細野さんの歌には無常観や奥ゆかしさが宿っていますね。
桜の花のように儚い、うつろいゆく人生。
細野さんの音楽遍歴も一カ所に留まるコトなく変わり続けていきますよね。

♪お前の中で雨が降れば 僕は傘を閉じて濡れていけるかな

このフレーズも好きですね。
「濡れていこう」ではなくて、「濡れていけるかな」。
素敵な愛の言葉だと思います。
キャラメルママのバッキングも滋味でつつましく味わい深いですね。
聴いていると張りつめていた心の糸が優しくほどけていきます。
優しい歌唱と演奏。
ジェームズ テイラーの『SWEET BABY JAMES』に比肩し得るサウンド。



夢のような共演。
「ソリトンSIDE-B」は映像の宝庫。
矢野顕子さんはこの時期の細野さんの楽曲をこよなく愛する方ですね。
アッコちゃんは『無風状態』『終りの季節』などもカヴァーされていますね。
サニーデイサービスも『恋は桃色』をカヴァーしてます。

B面は『福は内鬼は外 』。
慌ただしくユーモラスな歌詞と細野さんのヴォーカルの茶目っ気が印象的なノヴェルティソング。
キャラメルママの演奏も賑やかで楽しいです。

40年近くに及ぶ細野さんの音楽旅行。
ソロ活動の足がかりとなる第一歩はルーツとも言えるカントリー風味でした。
近年のバンド活動も先祖帰りと言えるかもしれませんね。

『恋は桃色』《OF-17》〈作詞・作曲・編曲:細野晴臣〉(2’47’’)【1973】

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コメント 2

ニコ

細野さんの歌詞は
少しナイーブで
ふわふわしてて本当に大好きです。

確かに桜の季節、
散歩しながら口ずさんでしまいますよね。
大滝さんなら「う~ららか~♪」の曲なども歌っちゃいますw
by ニコ (2009-04-12 23:47) 

都市色

>ニコさん、こんばんは。
コメントありがとうございます!

>少しナイーヴでふわふわしてて
はっぴいえんど解散後の複雑な心境が影響してるのかもしれませんね。
by 都市色 (2009-04-13 20:28) 

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