『家をつくるなら/加藤和彦』 [邦楽ロック/70年代]
こんばんは。
前回に続いて、加藤和彦氏のソロシングルを取りあげましょう。
2ndアルバム『スーパーガス』【1971】から、『家をつくるなら』。
この曲は近年でも住宅販売会社のCMソングとして使用されたのでご存知の方も多いと思います。
豊饒な味わいのペダルスティールの響きが明るい、カントリータッチの作品。
北山 修氏と並んでトノバン氏と名コンビとなる松山 猛氏の作詞。
意中の女性と将来幸せな家庭を築くため、理想の住処を思い描いているような内容ですね。
加藤氏の爽やかに飄々と将来を語るような唄の表情が良いですね。
バックの男性コーラスも効果的です。
語尾の「〜であります」という口調がいかにもトノバン氏らしいですよね。
この曲の女性バージョンが小坂明子さんの「あなた」【1973】なのでしょう。
B面は『不思議な日』。
同じく2ndアルバム収録曲。
一転してシリアスな曲調。
耽美的なフォークソングの名曲。
松山氏の浪漫溢れる世界の描写の素晴しさ。
うつろいゆく四季折々の風景の魅力を端的に描いてます。
そしてトノバン氏のシンプルながら、深く憂いを帯びた旋律が美しく際立っています。
メランコリックなアコギの弾き語りに繊細なヴィヴラートが漂います。
俳句の様に何一つ無駄の無い、研ぎ澄まされた名曲。
♪そよぐ風には さわやかな音
花達は咲き 野原を染めた
ふしぎな 春の日
白い雲なみ 踊りながらも
天使や鳥に すがたを変える
ふしぎな 夏の日
果実は割れた 風の詩人は
星から星へ すがたを変える
ふしぎな 秋の日
眠りはいつも あたたかいもの
雪はおどけて 街をかくした
ふしぎな 冬の日
上記の二曲を収録したアルバム『スーパーガス』は、1stアルバムよりもさらにユニークな内容のアルバムです。個々の楽曲も優れ、トータル的なクオリティも高いです。
アコースティックなサウンドを基調としながらもユーモラスでシニカルでサイケなサウンドも魅力的です。1971年にすでに日本でスティールドラムをサウンドに用いているのは早いですよね。
アルバム後半のアシッドフォークといってもいいような先鋭的な作品群は今聴いても新しいです。
その後半のハイライト、『児雷也冒険譚』は1stアルバムにて、レコード会社から切り捨てられた作品の一つですが、インド音楽風のアシッドフォークでゾクゾクします。7分半の長尺で不穏なハーモニウムの演奏をバックにアコギでトノバン氏が児雷也の活躍を淡々と弾き語ります。
氏が生存中には実現しませんでしたが、是非いつの日か1stアルバムの完全盤をリリースして欲しいです。アルバム全体として加藤氏のギタープレイヤーとしての素晴しさも特筆すべきことです。
関係ないですが、90年代半ばにNHK教育でアコースティックギター講座の番組がありまして、その講師が加藤和彦さんと石川鷹彦氏でした。僕はテキストを買って番組を良く観てました。
僕のギターの腕は大したコトはありませんが、とても為になる番組でした。
話は戻ってこのシングルがリリースされた前後は「あの素晴しい愛をもう一度」、そしてベッツィ&クリスの「白い色は恋人の色」のヒットもありましたね。懐メロじゃなく現代のスタンダードです。
余談ですが、
数ヶ月前に小西康陽氏が著したディスクガイドには『加藤和彦作品集』が選ばれているのですが、小西さん曰く「このヒトの本領はベッツィ&クリスの『白い色は恋人の色』『花のように』といった抒情派フォークにありまして、断じてカミさんのミカさんとやっていたグラムロックやらデカダンなヨーロッパ趣味のニューウェイヴではないのであります。」とのこと。
同感であります。
『家をつくるなら』《DTP-2815》〈作詞:松山 猛/作曲・編曲:加藤和彦〉(02’21’’)【1971】
こんばんは。
聴き覚えのあるこの歌は加藤さんの曲でしたか。オリジナルを初めて聴きました。
ずっとCMソングだと思っていました。ハウスーカーのCMにはぴったりですね。
氏の才能の一端が感じられます。私は2、3年前の曲「ありがとうお母さん」
(作詞:北山修)が印象に残っています。これはNHK「おかあさんといっしょ」の中の
歌なのですが、スペクターサウンド(!)なのです。
by taka (2009-11-09 21:46)
>takaさん、こんばんは。
コメントありがとうございます!
「ありがとうお母さん」という曲は知りませんでした。
you tubeでチェックして聴いてみました。
なるほど、スペクターサウンドしてますね。
隠れた名曲ですね。
教えて下さってありがとうございます!
by 都市色 (2009-11-11 01:34)
うまNAVIさん、NICEありがとうございます!
by 都市色 (2009-11-21 01:47)