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『僕のおもちゃ箱/加藤和彦』 [邦楽ロック/70年代]

加藤和彦.jpg

こんばんは。
逝ける人を偲んで。
ブログをお休みしている間に唖然とするような悲しい知らせが。
トノバンこと加藤和彦氏の訃報。
ブログをすぐに再開して氏のシングルを紹介しようと思いましたが、何と云うか心の準備ができないまま11月になってしまいました。
ビートルズが『サージェントペパーズ〜』をリリースした時期に我が国でもいち早くユニークな新しい世代の音楽を響かせ始めた先駆者。
独特のユーモアと天才的なメロディのセンスを武器に半世紀近くも日本のポップシーンをカラフルに彩り続けて来られました。
トノバン氏はその長身な歩幅の様に音楽シーンをさりげなく、そして大きく一歩も二歩も先んじていてました。
ハイカラでスマートな物腰の柔らかい佇まい、はにかんだ笑顔の裏に隠された天才の鋭い感性。
音楽の力を深く信じていた加藤さんにとって近年の音楽産業および音楽界の斜陽は心を痛める出来事だったのかも知れません。

今宵紹介するシングルはフォークルとミカバンドの間に生まれたソロ作品です。
この時期のサイケデリックでアシッドテイストを湛えた、孤高の二枚のソロアルバム。
トノバン氏の音楽観の広さを感じさせる一枚目の『ぼくのそばにおいでよ』。
氏のデヴューアルバムからのファーストシングル『僕のおもちゃ箱』。
アルバムのラストを飾るドリーミィな作品。
イントロのフルートとストリングスの調べがノスタルジックな異次元へと誘うようです。
朗々とした美しいメロディ、星の瞬きみたいです。
しっとりとした優雅なアレンジも素晴しい。
そして素朴で朗らかなトノバン氏の歌声。
アコースティックギターを弾きながら優しく語りかける感じで。
氏の品の良さが歌の魅力でもあります。
北山修氏のシンプルな言葉との相性も素晴らしい。

♪僕のオモチャ箱
 涙をいっぱいつめてあげよう
 キラキラとキラキラと
 涙がひかる
 僕のおもちゃ箱

哀愁タップリな歌は秋深まる夜にピッタリです。

ファーストアルバムは二枚組で発表される予定でしたが、メイカーが難色を示して御本人に無許可で曲を減らしてシングルのB面曲を足して一枚もののアルバムとしてリリースしてしまいました。
そのメイカーとはやっぱりRCサクセションのアルバムを発売禁止にしたメイカーなのですが。
アルバムには加藤氏による解説が載ってますが、レコード会社への不信と怒りが丁寧な物腰で綴られています。

B面は『明日晴れるか』。
アルバム未収録曲です。
作詞が阿久 悠さんです。
ファズギターのフレーズの音色がサイケデリックなスローテンポのロックチューン。
ハモンドオルガンの響きもクレイジー。
音も良いですね。
この曲は1969年ですからまさにリアルタイムのレイトシックスティーズのムードが濃厚です。
今と違って海外からの情報にタイムラグがあった時代に、加藤氏は海外から輸入盤でレコードをハンティングして常に新しい音を研究されたのでしょうね。
サウンドメイカーとしても加藤さんは早かったのだと思います。
作曲家としての側面が強いのですが、音への拘りも深かったと思います。
はっぴいえんどよりも些か評価が低いのが残念ですね。
次回もトノバン氏の作品を取りあげる予定です。

『僕のおもちゃ箱』《EP-1143》〈作詞:北山 修/作曲:加藤和彦/編曲:有田あきら〉(03'21'')
【1969】

ぼくのそばにおいでよ(紙ジャケット仕様)

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  • アーティスト: 加藤和彦
  • 出版社/メーカー: EMI MUSIC JAPAN(TO)(M)
  • 発売日: 2008/10/22
  • メディア: CD




加藤和彦の世界

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  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Pヴァインレコード
  • 発売日: 1999/02/25
  • メディア: CD



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コメント 2

いとぞう

僕も加藤和彦さんは好きでしたが、このソロ作品については知りませんでした。また、恥ずかしながら今回の報道ではじめて知ったエピソードも多く、その先駆的な活動の数々には頭が下がる思いです。
柔和で人懐っこい笑顔が印象的でしたけど、その心の中には強い信念があった方なんでしょうね。
音楽に絶望してしまったんでしょうか?ポップスの魔法が信じられなくなったのだとしたら辛いです。名曲の数々を後世に残したい気持ちでいっぱいです。
by いとぞう (2009-11-07 20:08) 

都市色

>いとぞうさん、こんばんは。
僕ら凡人が考え及ばないような才能をお持ちの方でしたので、その死は孤独な悲しいものに感じますね。
今年は死者の当たり年ですね。
by 都市色 (2009-11-08 18:51) 

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