『借りたままのサリンジャー／山崎美貴』 [邦楽女性アイドル／80年代]
こんばんは。
サリンジャーがお亡くなりになりましたね。
僕が彼の小説を読み始めた80年代にはすでに隠遁生活を送っていた伝説の存在でしたから、
21世紀が始まってもう10年が過ぎた今、訃報を聞いても勿論それほどの衝撃は無いのですが…。
十代の通過儀礼の「ライ麦畑でつかまえて」。
僕は佐野元春の影響で読み始めました。
その当時のそれまで読んだ本とは違った世界。
その文体の面白さ。
野崎 孝氏の些か時代かかった言葉使いを抜きにしても（奴さん、奴さん）、饒舌に友人に語りかけるようなホールデン コールフィールド君の無邪気な語りには共感を覚えました。
僕が好きな音楽や映画に通じるPOPさに充ちていました。
僕の好きな音楽や映画、そして小説がサリンジャーから有形無形に影響を受けている物が多いので当たり前なのですが。
次に読み出した「ナインス トーリーズ」は少々難解に感じましたが、随分時を経て、数年前に久しぶりに読み出したら、グッときました。登場人物たちのさりげない動作のこまやかな描写に彼らの心の移ろいを見事に掬い取ってます。ナイーヴかつ温かい視点で人の心の影を見つめています。読解力をもって臨むサリンジャーの文章のスゴさ。チキショウメ、最高の短編集。
それはそれとして。
このブログの本題のシングルを。
山崎美貴さんで『借りたままのサリンジャー』です。
彼女はオールナイターズ出身でおかわりシスターズと云うユニットを組んでいて、今回のシングルでソロデビューしました。オールナイターズというと「オールナイトフジ」ですが、僕はこの番組を一度も観たことはありません。当時は小学生だったので当たり前か。静岡ではオンエアしてなかったのかも。
「夕やけニャンニャン」はオンエアしてました。
この曲を知ったのはラジオから。
おニャン子が出ていたラジオ「TOKYO ベストヒット」だったと思います。
伊藤政則さんがDJでした。でもあまりハードロックにハマりませんでした。
山崎さんがゲストで出演されてこのシングルを流したのだと思います。
聴いたときから良いなぁと思ってました。
当時は買わなかったのですが、大学時代に中古盤屋で懐かしくて手に入れたのでした。
山崎さんがこの歌を唄われていた年頃にこのシングルを改めて聴き直しました。
この曲はおニャン子〜オールナイターズ関連と云うコトで、秋元 康＆後藤次利コンビが手掛けています。爽やかで甘くせつない歌謡ポップス。
ケレン味溢れる楽曲だけではなく、こういうしっとりと落ち着いた曲も得意なのですね。
学生時代に思いを寄せていた相手と偶然の再会したときの胸騒ぎともどかしい気持ちを綴った歌詞。
サリンジャーの小説を小道具に使うのが秋元氏らしい。
後藤氏による春の陽気を思わせるサウンドに彩りを添える木戸泰弘氏のコーラスワークも魅力的です。
山崎さんの清楚な歌声、吹田明日香さんをちょっと思い出させます。
B面は『11月の雨』。
こちらもノスタルジックで淡く爽やかなナンバー。
同じく秋元＆後藤コンビですが、こちらはコーラスアレンジが比山 清氏が担当してます。
岸 正之さんサウンドを彷彿させますね。
山崎さんは現在も舞台を中心に女優として活躍中です。
彼女もどんな気持ちでサリンジャーの訃報を聞いたのでしょうか。
村上春樹訳の「キャチャー イン ザ ライ」も柴田元幸訳の「ナイン ストーリーズ」も今度読んでみようかな。
崇高で優しい小説家よ、どうぞ安らかに。
『借りたままのサリンジャー』《7K-203》〈作詞：秋元 康／作曲・編曲：後藤次利／コーラスアレンジ：木戸泰弘〉（04’19’’）【1985】
「ライ麦畑でつかまえて」から影響を受けて「ガラスのジェネシーション」が誕生したのは元春ファンの間で有名ですよね。僕は読んだ事が無いので色々語れないのが辛いところ・・そういえば爆笑問題の太田さんは「学生時代、サリンジャーの小説読みながら佐野元春聴くのが好きだった」と言ってたっけ。
山崎美貴さんはかすかに覚えてるかなあ・・今あらためて聴くといい曲ですよね。この時代は名曲がたくさんありましたね。秋元氏はこういう甘酸っぱい思い出・・みたいな詞を表現するのが上手ですよね、やっぱり。
オールナイトフジの頃、僕は中学生でしたが、よく観てました。「まだまだ続くオールナイトフジ」とテロップが出て、延々と続く番組に興味しんしんでした。この頃の年頃って深夜番組とか深夜ラジオとか、夜更かしが楽しくて仕方なかったんです。
by いとぞう (2010-02-09 21:29)
＞いとぞうさん、こんにちは。
コメントありがとうございます。
MRSでサリンジャーの訃報について元春がコメントしてましたね。
「ロックンロール ナイト」も良かったですね。
元春の影響でケルアックの「路上」も読みました。
by 都市色 (2010-02-11 12:29)