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『TEMPTATION /吉田美奈子』 [邦楽ロック/00年代]

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こんばんは。
達郎さんの次は吉田美奈子さん。
九月の半ばに、美奈子さんのライヴも観てきました!!
元春のスポークンワーズを観た名古屋のボトムラインにて。
彼女のライヴを観るのは初めてで、長年の念願が叶いました。
これまで、なかなかタイミングが合わなくて観られませんでした。
いやぁ素晴しかったです。

都内では定期的にライヴを開催されてますが、地方でのライヴは機会が限られてしまいます。
名古屋へは四年ぶりと云うコトです。
しかも吉田美奈子&THE BANDという、バンドスタイルでのライヴ。
岡沢 章、土方隆行、倉田信雄、河合大介、そして島村英二という、錚々たる顔ぶれのミュージシャンを従えて。長年ステージを共にして来た腕利きミュージシャン達の息の合ったプレイ。
言葉を交わさずとも、笑顔のアイコンタクトで意思が伝わる、メンバー同士の深い繋がり。
そして美奈子さん!衰えを知らぬ天賦の歌声。美しく逞しく、しなやかに無邪気にステージで踊り歌い、オーディエンス総てを圧倒し魅了しました。
R&B、ジャズ、ゴスペル、ロックというジャンルを超え、もはや美奈子節としか表現出来ない唯一無二のスタイル。シビれました。
曲間のMCは一転してのんびりと朗らかにユルいテンポのお喋りが楽しい。
実にチャーミングな女性でした。
近年〝ディーヴァ〟ともてはやされるR&B系女性シンガーが増えましたが、美奈子さんに比肩し得る者はいません。

という訳で、先日のライヴで演奏された楽曲からシングルを紹介しましょう。
ライヴは比較的90年代以降のアルバムから選曲されていました。つまりリアルタイムで僕が聴いていた作品が多く楽しめました。
2002年にリリースされたアルバム『STABLE』から、シングル『TEMPTATION』を。
美奈子さんお得意の重量級のファンクナンバー。
多重コーラスによる「♪TEMTATION!!!」という歌いだしのイントロと共に、
迫力のあるタイトな打ち込みの16ビート。
そして岡沢氏の重いベースと土方氏の切っ先の鋭いエレキギターが荒ぶります。
華麗に軽やかにストリングスが舞い、
カーッと血の気が一気に登るようなパワーが漲ります。
美奈子さんの歌詞、歌う世界は《街》を描いたものが多いです。
様々なムードの街並に息づく人々を。
この曲では荒廃した都市のジャンキーたちの生態を深く観察しています。
人間観察の鋭い美奈子さんの表現にはアイロニーが込められていますが、その根底には大らかな母性を感じます。
サビの畳みかける展開のカッコ良さ。
メロディとリズムと歌詞のスリリングな一体感を味わえます。

♪DJが回すDISCの様な傘が
 BUIL街を行き交う頃
 雨の強いBEATが打つ
 悴む翼を震わせて
 孤独な部屋に逃げ帰れ

歌の迫力のある世界観に引き込まれます。
ライヴでも生演奏のグルーヴがハンパじゃありませんでした。
なおシングルとアルバムではヴァージョンが異なります。
アルバムの方はもう少し抑え気味のシンプルなアレンジ。
ストリングスがホーンに差し替えられています。
シングルバージョンはここでしか聴けません。

カップリングは『FOOTSTEP』。
スケールの大きなゴスペル調のバラード。
こちらも美奈子さんの真骨頂。
かけがえのない、雄大な自然への慈しみ。
美奈子さんの静謐さを湛えたメロディの美しさ。
言葉の奥ゆかしさ、日本語の雅びさ。

♪未来を思うとき いつも切なくなるのは 何故だろう
 嘆きは 足跡と置いて行けるのかな

さらに特筆すべきはこの作品では珍しく美奈子さんが編曲を担当してい無い点。
代わりにアレンジを担当してるのは西脇辰弥氏。
キーボードを中心としながらもマルチプレイヤーとしても評価の高い西脇氏の表現豊かなデジタルサウンドに酔いしれます。
まるで野外にて、自然界の営みに耳を澄ませてるような。
打ち込みに夜サウンドは多彩で、星の瞬き、虫の鳴き声、大地のうなり、などがヴィヴィッドに響きます。そして西脇氏自ら演奏するアコースティックなハーモニカの繊細な響きも美しい。

こちらの生演奏も素晴しいです。


上記の二曲を含むアルバム「STABLE」は70年代、80年代、90年代の彼女の過去の名作に負けない素晴しい内容です。大好きなアルバムで最近また聴き直してます。
コンスタントに充実した作品を残し続ける美奈子さんの音楽はもっともっと評価されるべきです。
この時期のエイベックスイオでの美奈子さんの作品はシングルもアルバムもコピーコントロールCDでした。それが少々残念ですが。のちに「STABLE」と次作の「REVELATION」を含む五枚のアルバムがSASD仕様の箱モノで限定リリースされました。
あの騒動は何だったのでしょうか。
そう云えば、このブログでCCCDを扱うのは初めてでした。

さて、近年は新作のリリースが絶えておりますが、ライヴでは多くの新曲を聴くことが出来ました。どれも充実した出来でした。
きっと近いうちにニューアルバムを聴けるかもしれません。
じっくり待ちたいと思います。

ライヴを観て感じたことは美奈子さんと達郎さんって似てるなぁということ。
音楽への妥協のない姿勢、愛情。MCの雰囲気などなど。
この二人の共作もまたいつか聴いてみたいなぁ。

『TEMPTATION』《IOCD-20036》〈作詞・作曲・編曲:吉田美奈子/ストリングス編曲:村田陽一〉(05’09’’)【2002】


Stable (CCCD)

Stable (CCCD)

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: avex io
  • 発売日: 2002/10/09
  • メディア: CD



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