『あなたに負けたの／サリーソウルシチュー』：03'54''：So-net blog

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『あなたに負けたの／サリーソウルシチュー』　[ネオGS] [編集]

こんばんは。
最近手に入れたイカす7インチを紹介しましょう。
ネオGSの雄、ファントムギフトのメンバーであるサリー久保田さんがオーガナイズするユニット、“サリーソウルシチュー（SALLY SOUL STEW）”の「あなたに負けたの」。
サリー氏のファントムギフト解散以降の活動の総決算とも云えるサリーソウルシチューのアルバム「宇宙でランデヴー」から３年ぶりの新作。
その間、「GSワンダーランド」、「流線の彼方」そして「キャタピラー」の劇判を担当されて、ノリにノっている氏がホームグラウンドの“SSS”でもすっ飛ばしています。
日本のロックファン必聴。

A面の「あなたに負けたの」は近年再評価著しい、R&B歌謡の隠れた名曲のカヴァー。
ハーフ系のセクシー美人女優／歌手、小山ルミさんのサードシングル（1970）です。
ホットワックスによる「歌謡曲番外地」系のコンピレーションン「悪なあなた」に収録されて知りましたが、今聴いても実に素晴しいです。
キュートでモンドなあばずれ歌謡の決定版。歌謡曲とリズム＆ブルースとのハードで濃厚な絡み合いに、リスナー昇天。サイケな気怠さとファンキーなグルーヴが圧倒する演奏も堪りません。小山ルミさんの小悪魔なヴォーカルも魅力的な容姿に負けていません。思わずお小遣いを上げてしまいそうです。
なかにし礼氏の歌詞も軽くていいですし、森岡賢一郎氏の作曲、アレンジもロックです。
そんな原曲をサリー氏は出自の“ネオGS”の魅力タップリに、まさに“サリーソウルシチュー”として調理しています。
彼をサポートするのがネオGS出身のゆかいな仲間たち。
ヴォーカルにペイズリーブルーの真城めぐみさん、ギターはハワイズの中森泰弘さん、そしてドラムはワウワウヒッピーズの白根賢一さん。さらに鍵盤は中山努さん、コーラスはレモンさん。
現在も日本の音楽シーンで活躍中のネオGSの顔役たち。
勿論、真城さんと中森さんはヒックヴィル、白根賢一さんはグレイト3、マンマンサー、ラスヴェガスで活躍中ですね。まぁ、三人とも元ロッテンハッツでもあります。

イントロの中森さんの金切り声の様なワウギター。
中山氏のサイケなハモンドのフレーズ、レモンさんのアゲアゲな“HEY HEY”コーラス。
白根さんのタイトでワイルドなドラミングとサリー氏の唸るベースの低音。
真城さんのヴォーカル、色気では小山ルミさんに叶いませんがハスキーでパンチの効いた歌声は十二分チャーミングです！
小粋で軽快なガレージサウンドが轟きます。

B面は「ゴールデンカップ」。
伝説のグループサウンズのバンド名を冠したたサリー氏によるオリジナル曲。
イントロのギロの音に乗って、さらにさらにアッパーで高速なガレージロックが暴走します。
まさにゴールデンカップス的な演奏。
ネオGS時代から気心の知れた連中とのクレイジーなセッション大会に体温が二度上がります。
特にリーダーのサリー氏のベースの響きがハンパじゃありません。
マシンガンのように乱射される低音がステレオからBUN BUN 迫って来ます。
賢ちゃんのドライヴするドラミング、中森さんのエレキの泣きっぷり、真城さんの歌唱の抜群なリズム感も見事。卓越した演奏力にシビれます。
これをクラブで流したら大盛り上がりでしょうね。
和モノＤJの方は二枚ご購入を。

このシングルのジャケットのイラスト担当されているのが、ガレージロックファンにはお馴染みのジミー益子氏。彼も20HITSというネオGSバンドのメンバーでした。太陽の塔にサリーソウルシチューの面々が乗っている絵柄、いかにも万博前後のレコードジャケットのセンスが良いですね。ジミー氏はシングルのライナーも担当されています。

最近、日本のロック史にまつわる映像や書籍が多くリリースされていますが、そういう流れでこのシングルを聴くのも一興。ネオGSというムーヴメントは早くから“はっぴいえんど至上主義”な日本のロック史観から逸脱してクールな視点を持って活動していたことがわかります。
ネオGSよ、永遠なれ！
このブログでも近いうちにネオGS特集をしたいと思います。

『あなたに負けたの』《CREP-5703》〈作詞：なかにし礼／作曲：森岡賢一郎／編曲；SALLY SOUL STEW〉（03’35’’）【2010】