『青空のように／鈴木祥子』 [鈴木祥子]
こんにちは。
「天然色」の次はコレ！
このシングルはもっと早く御紹介したかったのですが。
大好きな鈴木祥子さんによるナイアガラへのリスペクトシングル！
両者のファンとして、祥子さんがまさか大滝さんの歌を唄われるとは、こういう熱いコラボレーションが生まれるとは思いませんでした。
勿論、女性シンガーによる「ロンバケ」カヴァー集に「さらばシベリア鉄道」で参加されてましたが、それを凌ぐ単独作として仕上げた心意気に度肝を抜かれたのです。
「ナイアガラ的こころ」に満ちた素晴しい内容です。
もうジャケットだけ見ても気合いが入っていて、思わず頬が緩んでしまいます。
ナイアガラーならご存知、大滝さんの「青空のように」のオリジナル シングルのアートワークを見事に換骨奪胎。
名デザイナー、岡田 崇氏の面目躍如。
ある晴れた公園の芝生にて、幼き日の祥子さんのお澄ましスナップ。
ハイ、チーズ！
あどけなく、愛くるしい表情。
それに反比例してちょっぴりセクシィな足元！
おぼこい笑顔と、おませさんなお御足が渾然としたキュートさ。
もう降参です。私負けましたわ。
祥子さんの今回のシングルはアナログ盤とCDの二種類がリリースされましたが、内容が少し異なります。まずは先行発売された前者をご紹介。
双方ともに収録されているのが、記事のタイトルである『青空のように』。
1977年にリリースされたアルバム『ナイアガラ カレンダー’78』の収録曲のカヴァー。
6月の歌です。
先述のようにアルバムに先駆けてシングルカットされています。
大滝さんによる、積年のスペクターサウンドへの研究成果が遺憾なく発揮された名曲。
大滝さんのコトなのでアルバム版とシングルではバージョンが当然異なります。
祥子さんは何と、一人多重録音でナイアガラサウンドへ迫っています（サックス演奏を除く）。
しかもアナログ レコーディング。
エンジニアは中村宗一郎氏。
シックスティーズのガールグループサウンドを思わせるようなポップな仕上がり。
祥子さんのウーリツァーの弾き語りの歌から始まって、マニュアルプレイによる温かみのあるウララカな演奏が繰り広げられます。
お囃子のようなガールコーラス、スレイベルやカスタネットのパーカッション、エコーの効いたドラミング、そして山本拓夫氏によるサックスのブロウ。
オリジナルのナイアガラサウンドへの敬意はそれだけじゃありません。
なんど、曲中にさらに「ニコニコ笑って」がワンフレーズもアダプトされています。
「GO! GO! NIAGARA」（1976）収録の、「青空のように」の姉妹品とも言える陽気な内容のこの曲もトッピングしてしまうアイディアの冴え、並々ならぬナイアガラサウンドへの深い理解と愛情を感じない訳には参りません。参りました。
そんでもって、この楽曲に女性コーラスとしてフィーチュアされているのが〝SINDEE & FORESTONES〟なる女性コーラスグループ。
お聴き頂ければ瞭然なのですが、演奏だけじゃなくこちらも祥子さんの一人多重コーラスによる覆面グループなのです。
因みにアナログ盤はステレオバージョン。
そしてそのSINDEE & FORESTONESをフィーチュアした楽曲がB面の『LUCKY LIPS』。
これはシングルCDと同時発売されたミニアルバム「SINDEE FORESTONES SINGS LEIBER & STOLLER」からの一曲です。
今どき、リーバー＆ストーラー作品をカヴァーしようとするなんて日本じゃ考えられないですね。
達郎さんと大滝さん意外では。英国のリイシューレーベル、ACEもビックリ。
祥子さんの熱心なファンの方なら、この企画から1994年にリリースされた彼女のバカラック作品集「SHOKO SUZUKI SINGS BACHARACH & DAVID」を連想されるでしょう。その続編かもしれませんね。
一人多重コーラスのSINDEE & FORESTONESのアイディア、これは大滝さんの「GO ! GO ! NIAGARA」でフィーチュアされている一人多重コーラスグループ〝JACK TONES〟からでしょう。
宿霧十軒 (Bass)、我田引水 (Baritone)、ちぇるしぃ (1st Tenor)、金田一幸助 (2nd Tenor)から構成されるJACK TONESに対し、SINDEE & FORESTONESは、SINDEE HEART BEARFOREST（Lead Vocal）、文月想子（2nd Alto）、えりーぜ（Sprano）、曖昧模子（1st Alto）がメンバーで、それぞれのキャラクター設定も為されている細やかさ。
ナイアガラへのこだわりはそれだけじゃなくて、アルバムの1曲目の「Sindee & Forestones' Theme」は何と「Niagara CM Special Theme」にソックリ。
ミニアルバムの内容はオールディーズファンやガールグループファンなら絶対おススメ。
ガレージサウンド的なソリッド感があり、これはロックンロールです。
さて、「LUCKY LIPS」。
ルース ブラウンやクリフ リチャードらのヒットで有名な一曲。春向きなウキウキしてしまうガールグループ的なキュートさが魅力。ここでも山本拓夫氏のサックスソロがカッコいいです。
先日3／21にNHK-FMでは大瀧詠一特集がオンエアされていました。
その番組に祥子さんもゲスト出演されて、ナイアガラサウンド、大滝さんへの思いを熱く語られていました。
続いては、CD版の「青空のように」もご紹介。
1曲目はステレオバージョンの同曲。
２曲目は「ROCK'N' ROLL お年玉」のライヴでのカヴァーバージョン。
1曲目同様「カレンダー’78」収録曲でタイトル通り一月の歌。
2009年のライヴ音源でバッキングを務めているのが、ジャック達、かわいしのぶ、武川雅寛、そして山本拓夫諸氏、という豪華でユニークな顔ぶれ。
ロックンロールへの一筋縄ではいかない愛情に充ちた大瀧作品を演奏するには不足はない猛者達の演奏。
原曲に負けず、陽気でお祭り騒ぎな楽しい演奏を繰り広げています。
先述の大瀧特番でも祥子さんはこの曲の様なノヴェルティソングを多くリクエストされていました。
大瀧さんの無邪気なまでの音楽への探究心が露見するロケンロール、それがナイアガラのノヴェルティソング。その衣鉢を受け継ぐ歌と演奏に感動。
「レコードコレクターズ」の今月号はロンバケ特集ですが、そちらにも彼女は寄稿文が掲載されていて読み応えがあります。
３曲目は「青空のように」のモノラルバージョン、そして4曲目は同曲のカラオケ。
そしてCD版のライナーノーツは歌詞が手書きで、こちらも大瀧さんのファーストアルバムを彷彿させる仕上がり。祥子さんの少し下手ウマな似顔絵も描かれてますが、「青空のように」のオリジナルの歌詞カードに描かれている大瀧さんの似顔絵のパロディですね。ツッコミ所満載の、きめ細かいマニアックさ！素晴しい。
今回のシングルを通じて、祥子さんのロック観のブレの無さ、ロックへの深い愛情を感じさせます。
〝BEARFOREST RECORDS〟というレーベルを立ち上げて以来、孤高でユニークな作品をリリースし続ける祥子さんのこれからの活動がますます楽しみです！
〝ロック界の林 芙美子〟、鈴木祥子の「ポップス放浪記」の未来は明るい！！
『青空のように』《BEEP-004》〈作詞・作曲：大瀧詠一／編曲：鈴木祥子〉（03'52''）【2010】
- アーティスト:
- 出版社/メーカー: BEARFOREST RECORDS
- 発売日: 2011/01/26
- メディア: CD
Sindee&Forestones Sings Leiber&Stoller
- アーティスト:
- 出版社/メーカー: BEARFOREST RECORDS
- 発売日: 2011/01/26
- メディア: CD
ナイアガラ・カレンダー 30th Anniversary Edition
- アーティスト: 大瀧詠一,東くめ,多羅尾伴内
- 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックレコーズ
- 発売日: 2008/03/19
- メディア: CD
【LPサイズジャケット絵柄カレンダー付き】NIAGARA CD BOOK I
- アーティスト:
- 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックレコーズ
- 発売日: 2011/03/21
- メディア: CD
「青空のように」は後のロンバケの原点となるような楽曲ですよね。
この曲を選んでシングルリリースするあたり、さすが鈴木祥子さんですね。
ナイアガラーなら思わずニヤリとするような拘り満載といった感じ。このジャケ写なんて言うことなしです。
アナログ盤を買い損ねたのが悔やまれます・・
by いとぞう (2011-03-31 19:52)
＞いとぞうさん、こんにちは。
コメントありがとうございます！
素晴しいシングル。
ブログを続けていて楽しくなるシングルです。
by 都市色 (2011-04-02 06:32)
こんばんは、鈴木祥子検索で来ました
祥子ｻﾝのクリスマスアルバムが
３日前に発売されましたが、
早くもネット通販分は無くなり、
多少の店頭在庫のみみたいです
びっくりびっくり！
http://bearforestrecords.com/blog/
来年の祥子ｻﾝ25周年
楽しみデスネ～
by あ (2012-12-11 00:30)
＞あ さん、こんばんは。
はじめまして。
コメントありがとうございます。
クリスマスアルバム、買いましたよ。
祥子さんのこだわりの音がしますね。
この冬、聴きこみそうです。
25周年ですかぁ、来年は地方でもライヴをして欲しいです！
by 都市色 (2012-12-14 01:58)