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『SOMEDAY/佐野元春 with THE HEARTLAND』 [佐野元春]

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こんばんは。
南波志帆さんのインストアの二日後、上京しました。
有楽町の東京国際フォーラムにて、佐野元春さんの30周年アニヴァーサリィツアーのファイナルを観に。

予定ならば、彼の誕生日(3/13)に行われるはずでしたが大震災の影響を受けて、三ヶ月後に開催されました。
この日が来ることが、とても長く感じられました。
ライヴ会場へ全国のファンの一人一人が複雑な気分を抱えながら集まったコトと思います。
記念イベントは無事に終了しました。
そのことがまず有り難いと思いました。
平穏に恙無く日々が過ぎることの大切さ。

そして、佐野元春の音楽への感謝。
この日のパフォーマンスの素晴しさ。
それは過去のベストパフォーマンスの記録を更新してしまうほどのクオリティでした。
ありきたりなファンのお世辞ではなく、彼のライヴを20年近く見続けてきました僕の正直な感想です。
50代を迎えての、体力やクリエイティヴィティの衰えを微塵も感じさせない集中力、歌唱力、表現力に驚きました。
昨年の12月に観たコヨーテバンドでのライヴハウスでのパフォーマンスはとても素晴しくて、もうこれ以上のライヴは望めないだろうと思っていました。
しかし先日のライヴはそれを上回る質と演奏時間でした。
ツアーファイナルを観ながら、「凄い、僕は佐野元春のことをまだまだ知らないな…」と思いました。
佐野元春はライヴに限ります、と断言しましょう。

という訳でこの作品を紹介しましょう。
「SOMEDAY」のシングル盤も6月でリリースから30周年なのですね。
約30年前、1981年の6/21発売。四枚目のシングル。
もはや日本のポップミュージックのスタンダードと云って過言ではないでしょう。
先日のライヴで元春が語っていましたが、実はこの曲はセカンドアルバムの「ハートビート」のレコーディング時にすでに作られていたそうですが、収録されませんで、満足の行く完成を見るまでに半年ほどかかったそうです。
それだけに思い入れも深いでしょう。
シングル自体はヒットした訳ではありませんが、時代を超えて歌い継がれる名曲に成長したことはご存知の通りです。ヒットするしないなんて表面的なことで、完璧なシングルだと思います。

そしてまた、彼はまたこのようにライヴでコメントしました。

「この曲は僕の手から離れて、みんなの曲になったんだと思う。
 ………いや、やっぱりこれは僕の曲だ!」

この言葉に、ライヴ会場は溢れんばかりの拍手と喝采が鳴り止みませんでした。
彼らしいユーモアも交えながら、でもこの曲を作ったソングライターとしての矜持を感じさせる深い言葉です。その言葉に異論はありません。

「SOMEDAY」は過去を振り返りつつ、未来をを肯定する内容です。
多感な頃の「情熱」を懐かしみながら、その想いを一時的な感傷と片付けるコトなく、大人になった現在にも引継いで行こうとする意思。
「いつか、きっと」人生の肯定、未来の肯定。

「イノセンスとグローイングアップ」。
ロックンロールの終わるコトのない命題を、瑞々しい日本語とエヴァーグリーンなサウンドで構築したマスターピース。

♪街の唄が聴こえてきて〜 という冒頭のフレーズから印象的です。
街の唄、すなわち「シティポップ」、ロックンロール。
都会的なポップスと十代の恋の思い出がリンクする。
それにしても素晴しい歌詞ですよね。
よどみなく流れるようなキラキラした言葉たち。
普遍的な言葉使い。
いつ聴いても新鮮なフレーズが沢山。
当時の元春の歌詞の中でも日本語が多く使われていることにも注目です。
歌詞の全てに非の打ち所がありません。
「まごころ」という、一見古びた言葉がポップに響くのが良いですね。
なんてステキな言葉だろう、「まごころ」。
そして村上 龍氏が小説に引用した

♪ステキなことはステキだと無邪気に笑える心がスキさ

このラインも素晴しいです。
この曲は若い頃に聴くよりも、大人になればなるほど味わいが増します。
20代より、30代、40代、50代、年輪を重ねて更に心に響くというのも魅力だと思います。

そしてロックンロールの黎明期に革新を起したフィル スペクターのウォール オブ サウンドで歌詞をコーティングしていることも良いですね。
三分間と云う刹那的なロックの中に、狂気とも云えるシンフォニックな音像をぶち込んだウォールオブサウンド。
ハートランドの演奏も素晴らしいです。
この演奏でドラムを叩いている古田たかしさんは現在でもホーボーキングバンドとして元春のサウンドに欠かせないプレイヤーです。
先日のライヴでも勿論「SOMEDAY」のドラムを叩きました。
イントロのドラミングは彼です。

僕はこの曲と出会ったのは15歳でした。
とても良い時期に出会えたと感謝しています。
歌詞、メロディ、そしてサウンドが三位一体となって今もリアルに響きます。
30年前に作った名曲を現在もなお同じアレンジで同じキーで、カッコ良く歌い続けている元春を誇らしく思います。懐メロ歌手ではなく、現役のバリバリのヤングフォーエヴァーなロックンローラーとして。

B面は「BYE BYE HANDY LOVE」。
前のめりする様なビッグバンドなサウンドがご機嫌なポップソング。
疲れを知らない無邪気なティーンエイジャーのジェットコースターのような生活をファンタジックにスケッチした歌詞も楽しいです。
後にベストアルバム「NO DAMAGE」にも収録されますが、少し編集されています。

因みのこのシングルは元春自身のサイン入りと云う貴重な一枚。
先述の12月のライヴ(M'AXA@三重県松阪市)の前に出待ちをしまして、シングルのジャケットにサインを頂きました。
家宝です。


最後に、そして最後に、
ツアーファイナルの開演前に、このブログにいつもコメントを下さる友人、いとぞうさんに一年ぶりにお会いしました。いとぞうさんとは佐野元春ファン、そして女性アイドルファン、藤子F不二雄ファンと云う同好の士です。
そして彼からなんと、このブログをイメージしたTシャツをプレゼントされました。
「03'54’’」というロゴに「YES,WE ARE SINGLES」というキャッチフレーズまで入ってます。
イイネ!

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こちらも家宝です。
ありがとう、いとぞうさん。
これからも宜しくお願いします。

『SOMEDAY』《07-5H-84》〈作詞/作曲/編曲:佐野元春/ストリングス編曲:大村雅朗〉(05’23’’)【1981】




SOMEDAY

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  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: エピックレコードジャパン
  • 発売日: 1992/08/29
  • メディア: CD



ソウルボーイへの伝言 The Very Best Of Motoharu Sano A Message to Soul Boy

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  • 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックダイレクト
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  • メディア: CD



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いとぞう

発売当時、リアルタイムで知らなかった僕がこの曲と出会ったのは’85年、16歳の時でした。その事で彼の音楽をずっと聴き続けることになったのだから、まさに運命の曲。
この曲で歌われてるテーマは人間誰しもがぶつかる壁や挫折というか、通る道というか、人生のテーマソングだと思う。この曲と出会わなかったら僕の人生は全く違ったものになったかも。それほど大事な曲です。

先日のライヴは本当に素晴らしかった!あの日以降、感動よ再び!とばかりにベスト盤などのCDを聴いてみても何かが違う。でもそれは嬉しいことだったのです。何より、あの日の元春はそれまでの全てを超えていたからです。その事がすごく嬉しかった。

都市色さんの目の前で元春が書いたサイン入りのシングル盤は一生の宝ですね!

こちらでもTシャツを紹介してくださり、ありがとうございます!
しかも一番大好きな「サムデイ」の回で!光栄です。
こちらこそ、これからもよろしく!
そして「'03 54''」ブログがこれからもずっと続きますように・・

by いとぞう (2011-06-30 18:14) 

都市色

>いとぞうさん、こんにちは。
コメント、そしてTシャツにも感謝です。
「サムデイ」を聴いて感動するのは、元春がいつまでもステキな大人として輝き続けているからでもありますね。
堂島孝平さんが大阪のライヴで「佐野さんは僕の期待を裏切ったことがありませんでした。」とコメントしていましたね。
そうですよね。
これからもよろしくです。

by 都市色 (2011-07-03 10:18) 

都市色

>ろひさん、NICEありがとうございます!
by 都市色 (2011-07-03 10:20) 

うっち

東京での最終日。
「みんなで歌おう!」って言った後、響き渡るあのイントロ。
通路を挟んだとなりの子供達も歌ってましたよ♪
ずっと受け継がれる曲ですね。
by うっち (2011-07-08 17:42) 

都市色

>うっちさん、こんにちは。
コメント&niceありがとうございます!
そうですよね、ライブに来られた親子の皆さん、特にお子さんも大人しく観賞してまして、手を叩いたり歌を唄ったり、世代を超えた元春の歌に嬉しくなりました。
by 都市色 (2011-07-11 08:14) 

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