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『ENDLESS GAME /山下達郎』 [山下達郎]

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こんばんは。
山下達郎さんのニューアルバム「RAY OF HOPE」が遂に発売されましたね。
という訳で彼のシングルを取りあげたいと思います。

1990年の4月にリリースされたシングル「エンドレスゲーム」。
TBSの金曜ドラマ「誘惑」のテーマソングで、
不倫モノのストーリィ内容に沿ったメロドラマ風なバラード。
道ならぬ愛への秘めやかな情熱をシリアスに表現したサウンド。
このシングルを当時聴いていた高校二年生の僕には女性人称の大人びた歌詞やマイナーメロの暗めな曲調に正直ピンと来るはずはありませんでした。
高校生でタツローを聴く友人も周りには皆無でしたが。
その約二年後、1992年の3月、今はなき大阪フェスティヴァルホールにて、初めて観た達郎さんのライヴで演奏されたこの曲のライヴヴァージョンには感動した覚えがあります。
ライヴでの生演奏の素晴しさと、コーダで達郎さんの「ダバダ…」多重コーラスがフィーチュアされていてホール内に響き渡りました。その迫力も良かったです。
今ではとても好きな作品です。
ドラマのタイアップ曲と云うコトで、達郎さんの作家主義な側面が如実に現れています。

続いて、カップリング曲ですが。
実はこちらの方を今回のブログでは強調したいのです。
その曲とは「THEME FROM BIG WAVE(ビッグウェイヴのテーマ)」のライヴバージョン。
さて、リリースされたばかりの達郎さんの新作「RAY OF HOPE」の初回盤CDには『JOY 1.5』と云うタイトルのCDが特典としてつけられてます。
達郎さんの長年のツアーでの名演名唱を記録した2枚組ライヴアンソロジー「JOY」(1989)。
僕ももう何度聴いたか分からない程大好きなライヴアルバムですが、
90年代の達郎さんのシングルのカップリング曲には「JOY」のアウトテイクや90年代以降の達郎さんのライヴ音源が多く当てられました。
「JOY」のアウトテイクと云ってもクオリティの問題と云うよりは収録時間の都合で泣く泣く収録を見送った素晴しい演奏ばかり。
残念ながら90年代のシングルは今では廃盤なので、それら(計7曲)を一枚のCDにまとめたものが今回の新作の特典として付属されました。デジタルリマスターされてグッと音質が向上しています。
将来的にリリースが予定されている「JOY 2」への期待と補完を兼ねて「JOY 1.5」と冠せられました。

前置が長くなりましたが、「JOY1.5」の収録曲でもある「ビッグウェイヴのテーマ」のライヴバージョン。
これが実に凄いのです。
タツローライヴの神髄が詰まってます。
まずはイントロ。
伊藤広規さんのワンコードによるベースのフレーズがブンブン唸り、青山 純さんがシンバルでリズムを刻みます。
重量級の8ビートに合わせて達郎さんがサビのワンフレーズを語ります。
そして荒々しい声色でカウントを叫んで本編が始まります。カッコいい出だしです。
達郎さんのライブは基本的にオリジナルのアレンジを再現していますが、原曲でのエンディング、フェイドアウト以降をライヴでどのように展開させるかが、彼のライヴの醍醐味でもあります。

ライヴ版「ビッグウェイヴのテーマ」では中盤から終盤にかけて、コーラス隊の息の合ったハーモニーをバックにお得意の“達郎節”をこれでもか、これでもか、と披露します。これが実にパワフルでロックンロールです。
スタジオ録音での達郎さんの明朗でクリアな歌声とちがって、ライヴでの達郎さんのヴォーカルは少しザラ付いて粘着質で荒いです。これは悪口ではなくて誉めています。ライヴの魅力です。使用するマイクの所為かも知れませんが。
そして伊藤広規さんのベースのグルーヴ。スラップしまくってます。
なんと、「JOY1.5」のバージョンにはシングルではカットされていたイントロのベースを弾き始める音が聞こえます。
原曲は3分半の演奏なのにライヴは何と6分以上です。
ファンキー。オリジナルの「ビッグウェイヴ〜」も出来は良いですけど、僕は断然このライヴバージョンがお気に入りです。もう何百回も繰り返し聴きました。
タツローバンドの怒濤の演奏。達郎さんが敬愛するジェームズ ブラウン&JB’Sの世界ですね。

とにかく、達郎さんのライヴは凄い、素晴しい。
彼の音楽や音楽観は多くの示唆を含んでいますが、
特にライヴを体験することには根源的な音楽のありようが感じられます。
山下達郎と同時代に生きているコトの幸福。

ニューアルバムについて殆ど語っていませんが、収録曲の中の五枚のシングルについては既に紹介していますので、その必要はないでしょう。
というか、言葉にできません。
「タイアップ曲が多い」「既発曲が多い」「新曲が少ない」という揶揄は(否定はしませんが)、リリース時に気になるだけでそんなことは一年も経てば誰も問題にしなくなるでしょう。瑣末です。
その頃にはタイアップ先の番組名さえすっかり忘れて、音楽だけが永遠に残るのです。

う〜ん、次のツアーが待ち遠しい。

『ENDLESS GAME』《AMDM-6009》〈作詞/作曲/編曲:山下達郎〉(04’10’’)【1990】


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  • 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2011/08/10
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コメント 4

ねこま

リスペクトの想いがたっぷりと詰まった文章♪

私は達郎さんのライブに行くといつも何故か「あぁ、帰ってきた」って
感じがします。ある種のHOMEなのかも。
ツアー、楽しみですね。
by ねこま (2011-08-12 23:00) 

都市色

>ねこまさん、こんにちは。
コメントありがとうございます!
タツローライヴの独特のムード、良いですよね。
早く体験したいです。
「JOY 2」も早く出して欲しいです。
by 都市色 (2011-08-17 18:10) 

うっち

ついついJOY1.5の方を聴く頻度が高くなってます。(笑)
シアターイベント、見事にハズレ!
by うっち (2011-09-01 08:38) 

都市色

>うっちさん、コメント&NICEありがとうございます!
特典盤である「1.5」だけでも十分商品価値がありますよね。
是非とも次のツアーが終わったときには「JOY2」をCD5枚組くらいで。
シアターイベントは行きたかったですよね。
映像なんて秘蔵中の秘蔵ですから。
こういう企画が今後定期的に増えることを期待したいですね。
by 都市色 (2011-09-03 20:36) 

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