SSブログ

『男はつらいよ/渥美 清』 [歌謡曲/70年代]

sc0007be73.jpg

こんにちは。
新年早々に劇場で観た映画が「男はつらいよ」でした。
シリーズ第十五作「寅次郎相合い傘」(1975)。
尼崎は塚口、サンサン劇場の新春特別興行。
お正月映画と云えば寅さん。
シリーズ中の人気作の「相合い傘」。
歴代のマドンナの中でも登場回数の多かったのが、浅丘ルリ子さん扮する“リリー”。
リリー三部作の第二作。
意地っ張りで寂しがりやな似た者同士なリリーと寅さんの恋の行方。
そして二人と旅を共にする船越英二さん扮する中年男。
とらやの面々によるメロン騒動、リリーの歌手巡業に心を痛める寅さんによるお馴染みの“アリア”、そしてリリーと寅さんの相合い傘シーン。良いですねぇ。
大きなスクリーンで観るのは格別でありました。

そんな訳で「寅さん」のレコード。

「おい、都市色。相変わらずバカか?」
そんな声が聞こえてきそうなジャケット。
A面は説明不用な映画のテーマソングを収録したシングル。
「男はつらいよ」。
歌は勿論、渥美 清さん。
う〜ん、改めて良いですねぇ。こればっか。
イントロがまず、印象的ですよね。
パ〜っと華やいだお目出度いフレーズ。
派手に始まりますが、やがて悲しき旋律を帯びていきます。
アコーディオンが良い隠し味です。

♪私 生まれも育ちも葛飾柴又です
 帝釈天でうぶ湯を使い
 性は車 名は寅次郎
 人呼んで フーテンの寅と発します

から始まる冒頭での仁義を切る名調子。
劇場版よりもテンポが遅く語られています。
これが主人公「車 寅次郎」の自己紹介ともなり、プログラムピクチャーの最長シリーズの導入部も兼ねます。

♪俺がいたんじゃ お嫁にゃ行けぬ
 わかっちゃるんだ 妹よ

歌詞の内容は妹のさくらの結婚に言及しており、これはシリーズ第一作にリンクしています。
この曲を聴くコトにより何作目から映画を観始めても楽しめる訳です。
作品によっては

♪どうせおいらはヤクザな兄貴 わかっちゃいるんだ妹よ
いつかお前が喜ぶよう 偉い兄貴になりたくて

と言う歌詞で歌われるときもありますね。
妹を気遣いつつも、渡世人のしがない己の身を嘆く寅さんの言葉を、温かく哀愁を込めて包み込むメロディの素晴しさ。
何度聴いてもしみじみとします。
渥美 清さんの、いや車 寅次郎が実際の物語では直接告白出来ない本音が歌に語られています。
星野哲郎さんの素晴しい歌詞。



悲し過ぎない、どこか澄み渡る青空や晴れやかな夕焼けのようなポジティヴな響きを持つメロディとアレンジも魅力ですね。山本直純さんの「直純」その名の通りです。
寅さんの物語の設定年齢は30代後半だと思われ、今の僕に近いので改めてこの年齢になって観直すと独り身の風来坊の寅さんの寄る辺なさが一際、身にしみて来るのです。

ところで、
昨年、この曲のアンサーソングが生まれました。
「つらいのは男だけじゃないわよ」と、女性のやるせなさを非凡な表現力で歌い続ける21世紀を代表する歌姫との呼び声の高い二階堂和美さんによるその名も「女はつらいよ」。



名盤の誉れ高き最新アルバム「にじみ」に収録されています。


B面は「チンガラホケキョーの唄」。
こちらも劇中で何度か歌われています。
浅草の境内で遊ぶ我が子を迎えて手を繋いでかえる夕暮れを歌います。
口笛の響きがなんとも優しい、子守唄。
息子に語りかけるような愛情のこもった渥美さんの歌唱。
幼き日の甘い郷愁に咽びそうなこの曲もとても素敵です。



作詞は関沢新一さん、作曲が不詳、そして編曲は小杉仁三さん。
昔から歌い継がれているわらべ歌のようなものなのでしょうか。
「チンガラホケキョー」とは、ネットで調べましたが、ちんがら(もず)と、ほけきょ(うぐいす)の歌だということらしいです。

因みに僕が所有している盤は、渥美さんがお亡くなりになった1996年に復刻されたシングル盤です。
AB面の二曲に、同内容のカラオケも入った4曲入りのCDも付いていました。

「相合い傘」を観た後、レンタルDVDで「寅次郎夢枕」(1972)も観ました。
う〜ん、面白くてやがて悲しき名作。
マドンナ役の八千草 薫さんも最高です!!
そして思うのは「遥かなり昭和」。
昭和の風景が消えてなくなるほど、このシリーズの希少性は高まります。
もはや日本の文化遺産といって過言ではないでしょう。
また映画館で寅さんが観たいです。


『男はつらいよ』《CW-1026》〈作詞:星野哲郎/作曲・編曲:山本直純〉(03’18’’)【1970】





第10作 男はつらいよ 寅次郎夢枕 HDリマスター版 [DVD]

第10作 男はつらいよ 寅次郎夢枕 HDリマスター版 [DVD]

  • 出版社/メーカー: 松竹
  • メディア: DVD



にじみ

にじみ

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Pヴァイン・レコード
  • 発売日: 2011/07/06
  • メディア: CD



nice!(0)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 0

コメント 2

いとぞう

お正月は「男はつらいよ」いいですね。日本人で寅さんが嫌いな人はいないでしょう。そういえば一昨年だったか、柴又の寅さん記念館に行ったっけ。
色んな女性に惚れては、決して叶うことのない恋・・何だか自分を見てるようで共感しまくり。
まさかのアンサーソングが生まれていたとは驚き。
by いとぞう (2012-01-29 20:56) 

都市色

>いとぞうさん、こんにちは。
コメントありがとうございます。
寅さん記念館、行ったコトが無いので一度訪れてみたいです。
この映画は在りし日の日本の風景を刻んだ素敵なフィルムですね。
by 都市色 (2012-02-01 11:25) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。