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『Pinball Wizard / The Who』 [英国ロック/60年代]

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オハヨウゴザイマス。
少し更新が空いちゃいました。

さて、先日の連休中にロジャー ダルトリーの来日公演を観ました。
尼崎アルカイックホールにて。
ロジャーはご存知、The Whoのヴォーカリスト。
“ ROGER DALTLEY PERFORMS THE WHO'S TOMMY AND MORE ”と題したツアータイトルで、
ロックオペラ「Tommy」の完全再現、そしてヒットパレードを存分に楽しみました。
映画、そして舞台でも上演されたこの作品をアルバムまるごと実演。
存命のThe Whoのもう一人のメンバー、ピート タウンゼントは持病の耳の具合が悪くて今回のツアーには参加しませんでしたが、それを差し引いても楽しめました。
御年68才という年齢を感じさせない、溌剌としたパワフルなロジャー率いるバンドのパフォーマンス。
とても素晴しかったです。
漆黒の細身のシャツとパンツに身を包み、
お馴染みの、マイクのコードを掴み、マイクをビュンビュン振り回し、それを高く放り投げてバンドの演奏のタイミングに合わせてキャッチするパフォーマンス、
そしてタンバリンの二刀流。
勿論、圧倒的な歌唱力。俳優としても活躍されているだけあり、表現豊か。
曲順通りにTOMMYのナンバーを披露するのですが、テンポ良く大した休みを取らずに約75分歌い続けるのは凄いです。
ダンディでタフでチョイ悪でユーモラスでスマートな英国紳士でした。
そして彼を支えるバックのプレイヤーたちも皆、素晴しい演奏でした。
フーのオリジナル演奏に忠実に敬意を払いながら。
二名のギタリストのうちの一人は、ピート タウンゼントの実弟、サイモン タウンゼントでした。
個人でミュージシャンとしても活躍している彼は風貌もピートに似ていましたが、
ギタリストとしても一級でした。
見事な“SUBSTITUTE”です。
僕は過去二度のフーの来日公演を見逃していますのでロジャーとピートが揃っての演奏は体感した事がありません。熱心なファンから観て今回のロジャーの単独公演はどう感じたのか判りませんが、僕は十二分に楽しめました。アルカイックホールに集まった関西のどてらいフーのファンも1曲目から総立ちで終始熱狂と歓声に包まれていたので、きっとコアなファンの方々もロジャーの公演に大満足だったと思います。尼崎はブライトンの様に燃えていました。
ありがとう、ロジャー!

そんな訳で、前置が長くなりましたがフーのシングル。
勿論「TOMMY」からのヒットナンバー、「Pinball Wizard(ピンボールの魔術師)」。
オリジナル盤。
まず、タイトルが良いですよね。ワクワクします。
ピート タウンゼントはタイトルの付け方が個性的でセンスが良いです。そして邦題はもっと良いです。
やっぱりピンボールが良いですね。
我が心です。
1973年です。
「ダイスを転がせ」といい、ロックとギャンブルとの相性が良いのでしょうか。
たわいのない束の間の気晴らし、チープスリル。
パチンコはアレですが。
そして云うまでもなくサウンドもフーのワンアンドオンリー。
イントロから引き込まれます。
ピートのアコースティックギターによるドラマティックな展開。
高速カッティングの瞬き。
朝日が差し込むような。
そして電光石火の如き、ジョン エントウィッスルのベースが響きます。
エレキギターのように先鋭的で歪んだ音。
続いて、ロジャーがけたたましく歌い出します。

♪俺が若かったとき
 銀玉で遊んだものさ
 ソーホーからブライトンまですっかり荒らしたものだ
 でもあいつみたいなのは初めてだ
 耳も聴こえず、言葉も喋れず、目も見えないチビが
 まともにピンボールをやってやがる

ジャジャ、ジャ、ジャ、ジャ、ジャーン!!!!
とキース ムーンの荒くれドラムも入って、演奏が本格的に始まります。
エネルギッシュで美しいハーモニーが響くポップなサビの展開も高まります。
エンディングは意外とあっさりフェイドアウトですが、
去り際のピートのギターによるアルペジオの響きの余韻が魅力です。
ジャスト3分で終る不思議な魔力をもったポップソング。
まさに、
A Wizard , A True Star.



歌詞の通り、聴覚、言語、視覚に障害を持つ少年トミーが何故かピンボールには特別な能力を発揮します。幼年期に父親から受けたトラウマで三重苦の障害を患うようになった彼の〈再生と喪失〉による成長物語。ちなみに僕も今年で39。
ケン ラッセル監督による映画版「Tommy」ではこの曲はエルトン ジョンによって歌われます。
劇中ではピンボールの魔術師となり、ロジャー扮するトミーとピンボールで勝負します。
彼のカヴァーバージョンもグラムロックでカッコいいです。

B面は「Dogs Part Two」。
こちらはTommyとは関係がなく、アルバム未収録のインストですがこれがまたかっこいい。
おそらくレコーディングの合間に勢いで始まったセッションから派生したようなインスタントな楽曲だと思われますが、良いです。
The Whoによるサーフィンホットロッドって感じで、演奏の背後で犬の鳴き声が響きます。
のっけからキースのドラミングがドタバタとなだれ込み、ジョンのベースがブンブン唸り、二人のガチのタイマン状態でピートのギターがかすれる程。



クレジットには〈Moon/Towser/Jason〉と表記されています。
Moonは判りますが、残り二名はピートとジョンの間違いでしょう。
1968年に「Dogs」というシングルをリリースしてますが、この曲との関連は余り無いようです。

それにしてもオリジナル盤のシングルはとても音が良いです。
良いというか迫力があります。
音圧が凄まじく、ガッツだぜ。

僕がフーのアルバムを初めて買ったのは「Live at Leeds」でした。
ボーナストラックが沢山着いたリマスター盤で。大学時代でした。
余りの演奏の凄まじさの後で聴いた「Tommy」には最初はピンと来ませんでした。
ライヴ盤と異なり、スタジオ録音盤は演奏が大人しく感じましたし、オペラというにはバンド演奏だけで派手なオーケストレーションは皆無だし。ジョンのホルン演奏以外は。
でも聴き続けるうちにハマりました。
ピート タウンゼントのソングライティングの個性。
正直、ストーリィは少し難解で判らないところもあるのですが、
判らなくてもサウンドの面白さ、音楽として立派に成立してるので問題ありません。
ほとんど四人だけのコンボで演奏している事も逆に潔く感じました。
ライヴとは違いますが、演奏もやっぱり凄いです。
アコースティックギターが効果的に使われていますね。
四人の個性的なアンサンブルに発見があったり、今でも大好きなアルバム。

いつかちゃんと舞台版の「Tommy」も体験出来たらな、と思います。
それまでこのアルバムを聴き続けようと思います。
The Whoのライブも観たいです。

『Pinball Wizard』《604027》〈Written by Pete Townshend〉(02’59’’)【1969】


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