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『Quincy / Great 3』 [ロッテンハッツ]

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こんばんは。
今週の出来事でもっともショックだったのはGreat 3のニュースでした。
待ちに待った8年ぶりの活動再開。
しかし素直に喜べればしあわせでしたが、高桑 圭さんの脱退の報告もセットでした。
これには参りました。
バンド名通り、三人の個性と才能のスパークがおこすマジックが魅力であり、誰一人欠けてもGreat 3ではないのです。
う〜ん、残念としか言いようがありません。
僕の20代の青春とも云える彼らの音楽。
う〜ん。

勿論、高桑さんの脱退は驚きましたが、唐突な気はしませんでした。
様々な外部のミュージシャンへのサポート、そして何よりCurly Giraffeとしての現在の活動は順調で評価も上々です。
コンスタントにアルバムをリリースし、ツアーをこなしてご自身も手応えを感じてると思われます。
これこそが己のライフワークだと悟った時点でGreat 3への興味を失ってしまったのかも知れません。どちらの活動も片手間に出来るようなものではないと判っているのでしょう。
三人とも40代を迎えて、残された時間と自分の音楽スタイルを鑑みて誠実に導き出した答えが、バンドの活動再開であり、ソロ活動への専念でした。
深く三人の音楽を愛する者として彼らの決断を尊重したいと思います。
片寄さんと白根さんの二人によるGreat 3、どんな音になるのでしょう。
きっとファンの期待に応えてくれることでしょう。

そんな訳で、Great 3のシングルを。
2001年のアルバム「May and December」からの先行シングル「Quincy」。
高桑さんのご病気のアクシデントもあり、前作「Without Onion」から3年ぶりのアルバムでした。
その間、片寄明人さんはソロ活動を行って、シングル「Veranda」とアルバム「Hey Mr.Girl」を一枚ずつ発表。
そのアルバムではシカゴでの海外レコーディングとなりました。
レコーディングのサポートをしたのはジョン マッケンタイア率いるトータスやShe and cakeの面々。
いわゆるシカゴ音響派。
その縁もあり、アルバム「May〜 」のミックスもジョン マッケンタイアが手掛けています。
録音自体は日本で行われており、シングルは録音のエンジニアを担当した高山 徹氏がミックスも担当しています。
1曲めは「Quincy」。
ダウナーでメロウなミディアムチューン。
玉突き」をさらにセンチメンタルに、サイケデリックに仕上げた感じ。
片寄さんの絶望感の漂うニヒルな言葉、儚げな歌声。
自身の弾くアコースティックギターのアルペジオも繊細でせつない響き。
特徴はサビのメランコリックな旋律を活かした三人のコーラス。

♪華奢な未来

と云う悲しいフレーズにまとわりつく不思議なハーモニー。
高桑さんのバスヴォイス、そして片寄さんと白根さんのファルセットがリズミカルに展開されます。
元ラブタンバリンズの宮川 弾氏による流麗なストリングスアレンジと共に。
シングルでの高山 徹ミックス、そしてアルバムでのジョン マッケンタイアのミックスの聴き比べも面白いです。前者はロック寄り、後者はまさにポストロック風。
高山 徹さんはフリッパーズ、コーネリアス、くるり、コレクターズなど素晴しい仕事を残している名エンジニアですね。どちらのミックスも良いですが、僕はシングルのミックスの方がダイナミックで好きです。



二曲目は「acan」。
こちらもサイケデリックなサウンドが印象的なミディアム作品。
リードヴォーカルを白根賢一さんが担当していてヴォコーダーを通した響きです。
淡々と静かな狂気を忍ばせたトーン。
シンセサイザーも効果的に鳴っていてムーディな世界を演出しています。
この曲でも高山ミックス、ジョン マッケンタイア ミックスでは微妙に音が異なります。
前者はよりダークでサイケに、後者はよりシンプルに鳴っています。

三曲目は「fin」。
アルバム未収録作でリードヴォーカルは高桑さんです。
三曲ともクレジットはGreat 3名義ですが、恐らくリードヴォーカルを担当した者が主に作曲をしているのだと思います。
キンクスのようなロックビートが聴こえたと思ったら、ダブやファンクやアフロな音へ矢継ぎ早に変化していきます。アッパーなサウンド。
「Mr.Spicoli」のような。
恐らくこれは高桑さんが殆ど一人で作っている感じがします。
リズムの一部は白根さんのドラムをサンプルに使っているようですが、宅録を得意とする高桑さんのソロに近い気がします。
つまり、後のCurly Giraffeの布石とも考えられますね。
そう考えてみて、改めてこの曲のタイトルを見ると何だか奇しくも意味深ですね。
う〜ん、考え過ぎかな。

Great 3は三人がそれぞれ優れたソングライターでもあり、
そのスリリングなミクスチャーにワクワクものでした。
彼らの残したアルバムはどれも意欲的で充実したサウンドで。
シカゴ音響派とのコラボレーションは決して時流に便乗した物ではなく、非常に必然的な縁の結びつきの結果だと思います。その充実した成果は大いに再評価される余地があります。
ファーストから4作目までのワイルドで開放的なロック寄りなサウンドから、先鋭的でシリアスなモノにシフトした、彼らのディスコグラフィの中でも転機となるアルバム「May and December」。
やや実験的な感じもするかも知れませんが、今聴くとジャストかも知れません。
「静」の魅力を湛えた、このアルバムも名作です。
この活動再開を機に多くの人がGreat 3の音楽に触れて欲しいと切に願います。

『Quincy』《TOCT-22143》〈作詞・作曲・編曲:Great 3/ストリングス編曲:宮川 弾〉(04’21’’)【2001】


May and December

May and December

  • アーティスト: GREAT3,GREAT3
  • 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2001/04/11
  • メディア: CD



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