『扉/Chocolat & Akito』 [ロッテンハッツ]
こんにちは。
柔らかな日差し、心地良くそよぐ風。
初秋に相応しい爽やかなシングルをご紹介しましょう。
ショコラ&アキトの『扉 ep』。
2007年にリリースされた2ndアルバム『tropical』以来の待望のニューアルバムからの先行シングル。
オフィシャルな作品としては本当に久しぶり。
そして、シングルとしてのリリースは初めてです。
一応、片寄さんのシングル「VERANDA」も二人のハーモニーがフィーチャーされてました。良い曲です。
彼らのライヴでは既におなじみのタイトルナンバー、『扉』。
80年代っぽいニューウェイヴ~ホワイト・ファンクなサウンドがミディアムテンポでスッキリと奏でられます。
Great 3の新曲『レイディ』と質感が似ていますね。
栗原 務さん(リトルクリーチャーズ)のドラム、石井マサユキさんのエレキギターのカッティング、
清水一登さん(ヒカシュー)が奏でるシンセベース。
タイトで切れ味の鋭いリズム。
近年、固定化してきたバンドのアンサンブルもカッコいい。
クールな演奏に乗って、夫婦の紡ぎだすメロディアスな旋律に胸が疼きます。
♪ 閉じた扉は
無理にこじ開けず 執着しないで
開かれた扉
きっとその奥に 何かある
シンプルながら含蓄のあるフレーズ、哲学的ですらある片寄さんのリリック。
肩の力を抜いて、無理をせず、しかし今を悔いなく生きようとする、ポジティヴでスマートな彼の意思を感じます。
まるでヒッチコック監督がトリッキーにピタゴラスイッチのオープニング映像を撮ったかのようなユーモラスで素敵なMV。アットホームでアイディアに溢れています。
ショコラさんと片寄さんのそれぞれの歌声も僕は好きですが、ふたつのヴォーカルがハーモナイズされたとき、絶妙な響きの美しさに空気が振るえ出し、ハッとしたり、グッときます。
その歌声そのものの快感があります。
今回のシングルには他にも3パターンの「扉」が収録されています。
まずは相対性理論の永井聖一さんのリミックスした「扉」。
エイトビートの軽快なギターポップに仕上がっています。
甘やかなフレーバーが漂ってきそうなロマンティックでポップなサウンドにハートを鷲掴みです。
原曲の良さを生かした出来でさすがです。
次はSAKEROCK、在日ファンクの浜野謙太さんによる「扉」のリミックス。
原曲のファンクネスを拡大解釈し、黒く塗りつぶし、サイケに解体した濃厚なごった煮サウンド。
大胆で野心的なリミックスであります。
最後の「扉」はジョン・マッケンタイア氏(トータス、シー・アンド・ケイク)によるミックスで制作、録音されたもの。
一曲目の「扉」のテイク以前に録られたバージョンだと思われます。
ドラムとミックスをジョン氏が担当し、清水氏のキーボード、片寄さんのギターで演奏されています。
片寄さんのソロアルバム「Hey Mr.Girl !」以来の付き合いのジョン氏によるミックスは一曲目のバージョンよりも硬質でクールなポストロック風味。
シングル最後の収録曲は「ジョヴァンニ」。
この曲もリミックスです。
担当しているのは宮内優里さんというミュージシャン。
このシングルをリリースしているRALLYE LABELのレーベルメイトでもあります。
この曲のオリジナルバージョンはおそらく来るニューアルバムに収録予定だと思いますが、オリジナルより先にリミックスの方が世に出たということになります。
ライヴでは何度か聴いたことがありますが、印象的なメランコリックなフレーズをふたりのスキャットだけで構成されているナンバー。
二人の歌声を楽器のように、アコースティック&エレクトロニカでエディットしたサウンド。
21世紀に現代的なサウンドで蘇るWENDY & BONNIEのようでもあります。
う~ん、五年越しのニューアルバム楽しみです。
リリースまでには色々と紆余曲折があったそうですが、転んでもタダでは起きないポジティヴなパワーがショコラ&アキトには感じられます。
前作よりも精神的に様々な経験が肥やしになって有機的に音楽へ還元されている気が今回のシングルにも感じますし、7月に大阪の心斎橋で観たライヴにも感じました。
ショコラさんと片寄さんの素敵な人柄も楽曲から感じますね。
スマートで人懐っこくて品性があって、素晴らしいです。
Great 3のアルバムもリリースが秋に決定されているし、ショコラ&アキトのニューアルバムともども楽しみです。
ファンにとっては盆と正月が一緒に来たような、めでたい収穫の秋になりそうです。
RALLYE LABELもレーベル買いをしたくなる素敵なレーベルです。
宮内さんのアルバム、そしてユメオチのギタリスト、梅林太郎さんのmilkのアルバムも素晴らしかったです。
『扉』《R-1280》〈作詞:片寄明人/作曲:Chocolat & Akito〉(03'12'')【2012】
2012-09-21 11:05
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