『ニッポン笑顔百景/桃黒亭一門』 [ももクロちゃん]
こんばんは。
本日ご紹介いたしますのは桃黒亭一門の皆さんのシングル。
アニメ『じょしらく』のエンディングテーマで『ニッポン笑顔百景』です。
桃黒亭でこ八、ぺこりの助、ぷに丸、ちび太、なめんな、のかしまし五人娘から成る一門。
それぞれ林家木久扇師匠の命名だとか。
本人たちは否定されていますが、ももいろクローバーZとの関連性は大いにありそうです。
ジャケットを見れば明らか。
大喜利風景での五人のキャラクターが、獲得した座布団の枚数にも表れている気がします。
「じょしらく」とは女子落語の略で、落語版「けいおん!」なのだと思います、たぶん、きっと。
楽曲の方はと申しますと、
吉田兄弟による津軽三味線の出囃子に導かれ、ガヤと拍手のSEも聞こえてくると、
アッパーな四つ打ちのリズムで“寿限無”をけたたましく唱えるでこ八、ぷに丸、なめんな。
イントロから寄席の雰囲気が立ち上がります。
一番の歌詞はなぞかけ、二番は「ねずみの嫁入り」のネタをうまく取り込んでいます。
二番はどこかで聴いた噺だと思ったのですが、志ん生さんの噺で聞いたことのあるネタでした。
ちび太とぷに丸の掛け合いがなかなか面白いです。
僕もそんなに語れるほど落語は詳しくは無いですが、好きです。
図書館で落語のCDを借りたり、カセットに録ったりして聴いたり。
落語もたまに聴きに行ったり。
サビは♪笑おう 笑おう さぁ 笑いましょ こんな時代こそ 笑いましょ
と、「笑う門には福来る」というこの曲のテーマを歌い上げます。
これまで様々な困難を笑顔で乗り越えてきた日本人を鼓舞します。
作詞作曲そしてアレンジを担当しますのはご存知、前山田健一氏。
祭囃子をダンスビートとうまくミックスした作品、そして日本人へのエールというメッセージという点で、
ベキマスの「負けるなわっしょい!」を僕は思い出しました。
常々、ヒャダインさんはつんく♂氏をリスペクトする発言をされていますが、この曲にはつんくイズムを感じますね。
この曲も3分54秒。
二曲目は同曲の二番に木久扇師匠の小噺を代替したバージョン。
三曲目は『もリフだョ!全員集合』。
この曲は“もリフ”というグループの五人娘が歌います。
タイトルを聞いてのとおり、ドリフターズのパロディソング。
この楽曲も前山田氏が手がけていますが、ここでは〈作詞・作曲・編曲〉より〈構成〉という表現が似つかわしいでしょう。
1980年生まれの前山田氏は勿論、20世紀末前後に生まれたもリフのお嬢さん方も〈全員集合世代〉からかなり離れていますが、なかなか聴き応えのある内容だと思います。
「ドリフの全員集合のテーマ〈北海盆唄〉」を前後に挟み、「ドリフのズンドコ節」(れにちゃん、ももか)「誰かさんと誰かさん」(しおりん、かなこぉ)を替え歌メドレーで繋ぎ、果ては、あーりんソロ曲「だって あーりんなんだもーん☆」のセクシーな台詞を抜粋してカトちゃんの「ちょっとだけよ♡」なムードにアダプトしてしまう適材適所なアイディア。さすがです。
最後はかなこぉに窘められて、「あ、リーダー(いかりや)に 怒られたっ!」とはしゃぐあーりん。
ここでの巧みな編集センスには小西康陽さんからの影響を強く感じますね。
21世紀の現代に「全員集合」が放送されていたら、ももクロも出演していたかもしれません。
たぶん、きっと。
上記の二曲に共通するのは日本の大衆演芸。
そして「ちょうすけ」繋がり。
寿限無は「長助」。
そしてドリフは「長介」、ビバノン。
四曲目は「ベター is the Best」。
ももいろクローバーのメンバーだった早見あかりさんが出演するドラマ「ウレロ☆未完成少女」の劇中に登場する架空のアイドルグループ“未確認少女隊UFI”が歌っているそうです。
メンバーは、ももりん、さーや、たまちゃん、キャサリン、ゴリナ
この曲も前山田氏による作品。
桃黒亭一門やもリフに比べると、まともな曲に感じられます。
一番アイドルっぽい曲です、ってそういう設定の曲でもあるわけなので。
夏といえば、海水浴、スイカ割り、恋、花火、肝試し、ベタだけど楽しい!
ベタが一番!という内容。
でも勿論、ももクロちゃんらしく弾けた内容。
ポップなサマーソング。
何故かゴリナ(れにちゃん)だけテンションが低いのはそういうキャラだからなのでしょう。
シングル丸ごと前山田氏が手がけるのは初めてなのではないでしょうか。
こういう遊び心がおありで企画モノが得意なのでしょうね。
ももクロちゃんの個性を知り尽くしている座付き作家でもあるのでバラエティ番組のように安心して楽しめました。
『ニッポン笑顔百景』《KICM-3252》〈作詞・作曲・編曲:前山田健一〉(03'54'')【2012】
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それにしても、ももクロちゃんは笑点とかプロレスとかドリフとか、昭和世代に刺さる仕掛け満載で楽しいです。作ってるほうも歌ってるほうも確実にその世代じゃないのに。元ネタを知らなくても、彼女たちには「やらされてる感」が全く無く、常に全力なのが素晴らしい!
今の日本を元気にするエンターテイナー、ももクロちゃんの快進撃はまだまだ続くでしょう!あ、今回はあくまでも「ももクロちゃん」ではないんでしたね(笑)
by いとぞう (2012-09-19 23:39)
>いとぞうさん、こんにちは。
コメントありがとうございます!
そうですね、「やらされてる感」がないのは好感持てよますね。
企画モノも上手くハマっているし、スタッフも遊び心があります。
「バカ殿」のゲスト出演も近いでしょう。
ライヴも行きたいなー。
by 都市色 (2012-09-21 10:48)
どうも。
都市色さんの文中に2度出てくる「たぶん、きっと」は薬師丸さん『探偵物語』を意識している…は考えすぎか。
この歌、序盤は寿限無を言ってるだけなので、「いいのか?」って感じがしちゃいます(笑)。
by 坂井哲也 (2012-09-21 22:40)
>坂井さん、こんにちは。
コメント&niceありがとうございます!
“たぶん、きっと”はズバリ探偵物語からの引用でしょう!
その通り!
深い意味はないですが。
ホントは“好きよ、でもね”も入れようかと思ってましたが、文章の意味が判んなくなるので辞めました。
さすがですね。
曲も大好きです。
やっぱり落語といえば寿限無を唱えたほうが判りやすいからでしょうね。
by 都市色 (2012-09-22 10:18)