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『世界の果てまで/山下達郎』 [山下達郎]

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こんにちは。
少し間が空いちゃいましたが、本日取り上げるのは山下達郎さんの『世界の果てまで』。
一昨日出ましたベスト盤『OPUS』、勿論発売日に買いました。
達郎さんにとっては三つ目の公式ベスト盤。
しかも過去の所属レコード会社を跨いでのオールタイム・ベストアルバム。
最新のデジタルリマスターで37年の輝かしい芸暦を俯瞰する三枚組仕様。

勿論、今回ご紹介する作品も収録されています。

丁度、秋の季節に相応しい一曲。
澄んだ秋風がのどかに薫るような爽やかなミディアムチューン。
ラテンのリズムを仄かに塗せたテンポも緩やかに。
片想いのやるせなき慕情を、繊細で清らかなメロディに託して歌う達郎さんの声の優しい響き。
秋から冬へ向かう都会の季節感を滲ませた歌詞も素敵ですし、遠くから物語を見つめる達郎さんの温かい視点を作品に強く感じます。
曲の間奏で鳴らされるオートハープという楽器の瑞々しい響きも聴き所です。
達郎さんは本当にアレンジが素晴らしいですね。
同じ雨のシチュエーションでもこの作品と正反対な愛の激情を歌った『スプリンクラー』でのエレキ大正琴の使い方もユニークで適材適所でしたし。さすがサウンドのオーソリティ。
地味ではありますが、とても大好きな曲です。
センチメンタルな内容ですが、しんみりしないのが達郎さんの音楽。
明朗な爽やかな余韻が素晴らしい。

もともとは二枚目のベストアルバム「Treasures」(1995)のリリースに合わせて発表された新曲で、当時のテレビドラマの主題歌にもなりました。
「Treasures」はムーンレーベル時代を俯瞰するシングルコレクション兼ベストアルバムです。
ムーン時代は達郎さんの作風が〈シンガーソングライター〉志向にシフトした時代と言われます。
達郎さんが自身で作詞をして、演奏もほとんど独りで担当しています。
この「世界の果てまで」もそうです。
ドラマの主題歌として作られているので作家的なニュアンスもありますが、独特なタツローワールドです。
すべてを一人で手がけているので達郎さんの独特の世界、プライベートなイリュージョンが感じられますね。
開放的で都会的なRCA / Air時代に比べて。
それは達郎さんの〈少年性〉と表現できるかもしれません。
多感な少年時代の空想や妄想、孤独感。
それも“ガラパゴス”。
この曲も少年時代の女性への淡い恋慕、片想いが内向的にイメージされています。
そういう世界にとても共感してしまいます。
恋や生きる意味についてこんがらがっていた彷徨える青春時代に思いを馳せて心に染みます。
僕が初めてリアルタイムで買った達郎さんのアルバムが『僕の中の少年』というのも大きいかもしれません。

「Tresures」の収録曲は「OPUS」のDisc2、Disc3に跨いで重複していますね。
勿論、選曲に異論はありません。だってベストは決定版なんですから。
ころころ変わっちゃいけません。

ちなみに「Tresures」も確か、発売日に買いました。
1995年11月13日ですね。
その日は池袋周辺でチラシのポスティングのバイトをしていまして、その日給で「Treasures」を買ったのを思い出します。
のんきな大学三年生でした。
この曲やベスト盤を聴くとあの頃を思い出しますね。

続いて、シングルのカップリングは『二人の夏』。
これはライヴテイクで、1994年の五月、中野サンプラザで行われた「Sings Sugar Babe」での演奏。
浜田省吾さんが組んでいたバンド、愛奴の代表曲のカヴァー。
アコースティックなアンサンブルで繊細なバラードを演奏してます。
愛奴のオリジナル版を意識して。
達郎さんのシュガーベイブと浜田さんの愛奴は同時期にデヴューしたそうです。
「二人の夏」はビーチボーイズ風なバラードであり、間奏のギターソロは「Summer means new love」のフレーズを引用しています。
音楽性も共通しており、シュガーベイブ時代のレパートリーを歌うコンサートでの演奏には達郎さんから浜田省吾さんへのシンパシーを感じずに入られません。
浜田さんも現役で活動しています。
今年の夏にビーチボーイズが来日公演をしましたが、これを機会に浜田省吾さんが語るビーチボーイズのインタビューも聞いてみたかったです。もしかしたら既に語っているのかしらん。

このライヴバージョンはその後、達郎さんの最新アルバム「Ray of Hope」の初回盤のボーナスディスク「Joy 1.5」に再録されました。

さる8月の下旬、達郎さんのシアターライヴ「Performance 1984-2012」を観てきました。
大阪のブルク7にて。
映画館の最新の音響設備で聴こえる音の迫力と達郎さんの圧倒的な歌と演奏に感動しました。
二回も観にいきました。
様々な時代の演奏が映像に残されていまして、ミュージシャンも時期によって異なりますが、音の気合、ガッツは一貫しています。26年間分の映像でずっと演奏で参加しているのはベースの伊藤広規さんとコーラスの佐々木久美さんでした。
好評につき、十月にも再映されるようですね。
素晴らしい。
また是非観にいきたいです。

『世界の果てまで』《AMDM-6145》〈作詞・作曲・編曲:山下達郎〉(05'04'')【1995】


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コメント 5

いとぞう

ちょうど今の季節にピッタリなナンバーですね。達郎さんらしい綺麗なメロディです。あ、ベスト盤買わなきゃ。「TREASURES」は当時、すぐ近所のCDショップで買ったっけ。そのお店も今はもうありません・・CD不況が嘆かわしいこの頃ですが、きっと今回のベスト盤、大ヒットするでしょうね。
シアターライヴは好評につき、地方都市でも上映するそうですね。観たいな。
「二人の夏」は達郎さんの曲といっても言いすぎではないほど。浜省のアルバム「Club Surf」もビーチボーイズへのリスペクト溢れた作品で大好きです。

by いとぞう (2012-09-28 13:54) 

ねこま

「Sings Sugar Babe」での演奏もシアターライブの映像にありましたね。サンプラザの2階席から見ていたそれを憶い出していました。
2回観たにも拘らず、再上映にまた行っちゃうかもしれません。(笑)
by ねこま (2012-09-30 00:01) 

都市色

>いとぞうさん、こんにちは。
コメントありがとうございます!
CDというメディアもなくなるなんて、あんまり実感がないですね。

シアターライブはお時間がありましたら是非にご覧ください。
浜省のアルバムはそれほど持ってないですが、「club surf」聴いてみますね。
by 都市色 (2012-10-01 10:19) 

都市色

>ねこまさん、こんにちは。
コメントありがとうございます!
「Sings sugar babe」もいいコンサートでしたよね!
あの映画の中では大阪フェスティヴァルホールの最後の公演もありましたが、あの場所にいたときの雰囲気が蘇ってきました。

再上映、行きたいです。今度は少し遠いですが。
ニューアルバム、シアターライヴ、ベスト盤、残すは「JOY2」のみ!
by 都市色 (2012-10-01 10:25) 

都市色

>ろひさん、niceありがとうございます!
by 都市色 (2012-10-01 10:39) 

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