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『わかってくれるともだちはひとりだっていい/秋山奈々』 [邦楽女性アイドル/00年代]



こんばんは。
またまた少し話題が遅れてしまっているのですが、
アイドルソング好きの方々の間で話題になった本があります。
『アイドル・ソング・クロニクル』(ミュージックマガジン増刊)です。

2002年から2012年までの国内でリリースされた女性アイドル、女性アイドルグループの作品を年代別/シングル中心にレヴュー。
メジャーどころからインディのマイナーでローカルな地下アイドルまで、有名曲/無名曲を問わず300曲以上を網羅する労作です。
選曲者、およびレヴュアーは吉田 豪、南波一海、原田和典諸氏。
個人的にこのブログでもアイドルソングをアレコレ取り上げていて、自分でも知っている方だと思っていましたが、全然そんなことは無くて。この本で取り上げられた楽曲で所有しているものは2~3割でした。
この本で知ったアイドルや楽曲の方が多くて大変勉強になりました。
アイドルポップスへの深い愛情も感じられる素晴らしい本です。

インディのアイドルは知らないものが多かったです。
やっぱり地方民はハンデがありますね。
といっても今は地方にて独自のスタンスで活動しているローカルアイドルも多くいます。
そして、地方だからって侮れないクオリティの音楽性を持つアイドルも多くて。
大阪にも。
アイドル戦国時代、というキャッチフレーズはただ下克上やアイドル同士の争いを意味しているのではなく、その土地土地の個性豊かなアイドルが群雄割拠しているさまを表現しているのだと思います。
ねぇ、かにょん?
アイドル戦国時代、またはアイドル天国時代。
80年代末~90年代中期までの冬の時代を見てきたファンには、イイ時代だと思わずにはイラストレーター。。
そしてこの本を読むにつけて、改めてハロー!プロジェクトの楽曲の良さを認識。
つんく氏の仕事量の凄さ。質の高さ。
その影響力、恐れ入りました。

前置きが長くなっちゃいましたが、「アイドル・ソング・クロニクル」で紹介されたシングルを紹介してみたいと思います。
これは僕がリアルタイムで聴いていたお気に入りの一枚でもあります。
秋山奈々さんの『わかってくれるともだちはひとりだっていい』。
秋山さんというと、最近ブログで結婚、妊娠、そして改名を発表されていましたね。
実にビックルです。
このシングルは2006年のリリース。
女優やグラビアアイドルとして活動していた頃に歌手としてもシングルやアルバムをリリースしていました。
これが彼女の歌手としてのデヴューシングル。
作曲が何と、樋口康雄さん。
PICOですよ!!
このブログで石川セリさんの楽曲を取り上げたことがありますが、あれもPICO。
90年、小西康陽さんをはじめ、クラブで和モノDJたちからの熱い再評価がたちあがり、名曲『I love you』を含む彼のデヴューアルバム『abc』(オリジナルリリースは1972年)が初CD化されたのが2000年でした。
シュガーベイブに比肩するポップでドリーミィなサウンドにノックアウトされました。
現在では主にドラマ等の劇判やCMソングを多く手がけられている樋口さんが久々に歌手に書き下ろしたのが秋山奈々さんでした。
奈々さんのシングルを買おうとしたのも「あのPICOが新曲をアイドルに書き下ろしてる!」と知ったからです。
作詞は樋口さんとも多くコラボレーションをしているシンガーソングライター、上田知華さん。
そんなゴールデンコンビによるデヴュー曲。
ゼロ年代中期、この頃はグラビアアイドルもシングルをリリースしていましたが、その殆どは懐メロのアニソンのカヴァーばかりで、安易な企画モノの唾棄すべきモノが多かったのです。
しかし、その中でも奈々さんの作品は志の高さを感じました。
この次のシングルは高浪慶太郎さんの曲が使われましたし。

そんな訳で『わかってくれるともだちは~』。
心が洗われるような清らかなピアノ演奏は樋口さんによるものです。
樋口さんはコーラスも担当してます。
そして流れるイントロに乗って奈々さんの落ち着いた歌声が響きます。
訥々と語るように歌っています。
曲のタイトルから想像されるように、友情について歌われた歌詞は奈々さんの個人体験を元に上田知華さんが書いたそうです。
いじめや友人関係に悩む同世代への等身大のメッセージ。
デヴュー曲だし、歌唱力は未熟ですが、歌詞に込められた想いは十分に伝わってきます。
十代の彼女でなければここまで意味は伝わらなかったでしょう。
70年代のポップスのような清廉なメロディが素朴な歌詞の世界を優しく包み込んでいます。
穏やかなAメロ、Bメロから疾走するサビの展開が爽やかですね。
垂れ込めた雨雲の合間から陽光が差し込んだような、まぶしい天然のメロディ。
軽快なソフトロック。
「アイドル・ソング・クロニクル」のレヴュアー吉田 豪さんも認める名曲です。

http://www.dailymotion.com/video/xmmy5v_yyyy-yyyyyyyyyyyyyyyyyyyy_music#.UKjGi4dyHDs

僕も正直友達は多くなくて、というか少ないのです。
でもその少ない友達に支えてもらっています。
どうもありがとうございます。

カップリングは『夜明け前』。
先述のPICOのアルバム『abc』の収録曲のカヴァー。
こちらはメロディアスでスケールの大きなミディアム・バラード。
作詞はなかにし礼さんです。
礼さんらしい叙情的でピュアなラヴソング。
原曲を生かした寺田鉄生氏のアレンジをバックに奈々さんは丁寧に歌い上げます。

二曲とも、ナチュラルでキュートな奈々さんのパーソナリティにあった歌ですね。
もっと多くの人々に、若者に聴いて貰いたい曲です。
樋口さんには、また新しい世代のシンガーやアイドルのために素敵な曲を沢山書いて欲しいと思います。
樋口さんのポップでピュアなメロディは今の時代には稀有ですから。

そんな訳で愛読中の『アイドル・ソング・クロニクル』ですが、
大阪の十三の映画館で先月、この本の発売記念イベントが開催されたのでいそいそとお邪魔してきました。
この本に参加している吉田 豪、南波一海両氏ら、そして本に取り上げられた女性アイドルグループを中心に6組とのトークショー&ライヴ。約六時間に渡って繰り広げられました。
大変濃厚なトーク、そして個性豊かなアイドルたちのパフォーマンスに十分楽しませてもらいました。
久しぶりに地下アイドルのライヴの醍醐味を味わいました。

盛者必衰のアイドル界、芸能界ではありますが、アイドルソングを愛する人々は常に存在し続けているんだと思いました。

『わかってくれるともだちはひとりだっていい』《VICL-36088》〈作詞:上田知華/作曲:樋口康雄/編曲:寺田鉄生〉(04’53’’)【2006】

わかってくれるともだちはひとりだっていい

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  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
  • 発売日: 2006/07/26
  • メディア: CD




ABC~ピコ・ファースト

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  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: キティMME
  • 発売日: 2000/10/25
  • メディア: CD



ミュージックマガジン増刊 アイドル・ソング・クロニクル2002~2012

ミュージックマガジン増刊 アイドル・ソング・クロニクル2002~2012

  • 作者: 吉田 豪
  • 出版社/メーカー: ミュージックマガジン
  • 発売日: 2012/08/31
  • メディア: 雑誌



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コメント 2

いとぞう

この曲、大好きです!
僕もそんなに友達は多いほうじゃないです。広く浅く付き合うことが出来ないので。なので本当に信用した人にしか本音は話しません。それだけにこの歌詞にはとても共感出来ます。ピアノの音色も綺麗ですね。リアルタイムで聴いていれば良かったなあ・・ジャケ写も可愛くて素敵です。
秋山さんの結婚のニュースには驚きました。現在の写真も拝見しましたが、ずいぶん大人っぽくなりましたね。色々なことがあったんだろうなあ・・と。

そして「アイドルソングクロニクル」には、恐れ入りました!って感じです。
by いとぞう (2012-11-22 18:07) 

都市色

>いとぞうさん、こんばんは。
コメントありがとうございます!
このブログでも仲良くしてくださってありがとうございます。
大切なともだちです。

この曲、イイですよね!
今の十代の人々にももっと広まって欲しいと思わずにはいられません。
アイドルもいずれは恋をして結婚して子供も生まれたり、儚いですね。

by 都市色 (2012-11-24 23:14) 

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