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『全国縦断 追っかけのブルース/クレイジーキャッツ』 [歌謡曲/60年代]

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こんばんは。
寒いね。
今年もあとひと月になってしまいました。
時間の流れは速いですね。

さて、今回は先日お亡くなりになられたクレイジーキャッツのピアニストそして俳優の桜井センリさんを偲んで。
全国縦断追っかけのブルース 』です。

僕もクレイジーキャッツは大好きでした。
音楽も映画も。
大学時代は大井町武蔵野館や浅草東宝とかで特集を何度も観に行ったり。
今回のシングルは1970年にリリースされ、バンドとしては比較的後期の作品ですが、個人的にも、クレイジーキャッツで大好きなシングルの一枚。

この物語は、過ぎ去った愛を求めて、南から北へと果てしない旅に出た七人の男の旅の遍歴の記録である

という谷啓さんによるナレーションがイントロに流れます。
この文章だとなんだか壮大な愛の物語が展開されそうなのですが、
実際は、行きつけのお店のお気に入りだったホステス“さゆり”の行方を求めて、全国をあてどもなく放浪するしがない男たちの話でして・・・。
バーのホステスとお客の関係の仲がこじれて、女に本気で惚れてしまう男のやるせなさ。
行き場のない想いを歌い上げるクレイジーの面々。
哀愁に咽ぶムード歌謡風の曲調にもどこか虚しさが漂います。
楽曲の作曲、編曲を担当するのは故・宮川 泰さん。
宮川さんらしいユーモアとペーソスが堪能できます。

さゆりはお店を辞めて、何処へ行ってしまったのか。
水商売から足を洗ったのか、もっと稼ぎの良いお店へ移ったのか、それとも好きな男と旅へ出たのか・・・。
男たち7人がワゴン車なんかに乗り込んでワイワイやりながら全国のバーやキャバレーを探し回るのを想像すると少し面白いですね。
好きなアイドルやアーティストのライヴツアーやプロモーションイベントにて、全国各地に参加する熱狂的なファンの気持ちに近いのかもしれません。
アイドルを一方的に好きになって入れ込んでしまう気持ちですよね。
つまり、曲名にある〈追っかけ〉。

この曲では植木等さん、谷啓さんに並んで桜井センリさんもリードヴォーカルを担当されています。
一番、三番、五番を植木さんが、二番をセンリさん、そして四番を谷さんが歌います。
他の二人に比べてリードボーカルを担当することは少ないセンリさんですが、よく通る、潤いのあるノドを披露されています。

最後の、『ああ、生きるって、耐えることなのね・・・ 』 の一言がリアルに身に沁みます。

それぞれの台詞のバックで自動車のエンジン音や汽車や船の汽笛が聞こえたり、SEが効果的に使われたりして楽しいです。

各地を転々としてさゆりを探しますが、見つかりません。

そして四番の谷さんは勿論、転調して高いキーで歌います。
あ、イニャーよ 』のトボケた台詞が笑わせます。


クレイジーキャッツの面々のムーディなコーラスも味わい深い。

そしてエンディング、
植木さんが万感の思いをこめて悲痛に叫び続ける『さゆりぃ~!!! 』に対して、
ハナ肇さんが訛り声で『うるせぇな!いま何時だと思ってんだ、コノっ! 』と言い返す、お約束のオチ。
わかっていても面白いです。これまでのメロドラマ風な雰囲気をぶち壊す一言。
コミックソングはやはりこういうオチがないと。
名人芸です。
名曲『ハイ それまでョ 』のヴァリエーションの一曲。
そういえば、この曲は『新春放談 』でときどき流れてましたが大瀧さんもお好きだったのでしょうね。

B面は『おとこ節 』。
植木さんのソロです。
作詞:川端康範、作曲:猪俣公章、編曲:森岡賢一郎による、朗々と懐かしい曲調の演歌です。
植木さん、本当に歌が上手いですよね。

センリさんというと、さまざまな映画で脇役として活躍もされていましたが、比較的近年の作品で印象に残っているのは『たそがれ清兵衛 』(2002)での演技でした。少ない出番ですが圧倒する存在感と凄みを感じさせました。
謹んでご冥福をお祈りします。

七人のクレイジーキャッツのメンバーのうち、犬塚 弘さんは現在も俳優として活躍されています。
どうぞ、いつまでもお元気で。

クレイジーキャッツと言っても、判る人ってだんだん少なくなっているのでしょうね。
僕の世代がギリギリではないでしょうか。
大瀧さんが手がけた『実年行進曲 』や市川準さんが監督した『会社物語 』がリアルタイムでした。
でも僕よりお若い星野 源さんがファンを公言されていたり、CSでクレイジーの映画をたくさんオンエアしていたり、
世代を超えても楽しまれているのかもしれません。
素敵なことですね。

全国縦断 追っかけのブルース 』《TP-2295》〈作詞:毛利 久/作曲・編曲:宮川 泰〉(04’49’’)【1970】


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コメント 4

いとぞう

クレイジーキャッツの皆さんも次々とこの世を去ってしまって寂しいですね・・僕はそんなに詳しい訳ではないけど「昭和」を象徴するグループだけに好きですね~。
アイドルレスラーを追っかけて全国行脚してる身からすると、この曲の気持ちはよく判ります。センリさんの歌声もなかなかですね。いかにも大瀧さん好みの曲って感じ。


by いとぞう (2012-12-03 18:26) 

ノリ

植木さんの唄の巧さが際立ってますね。
追っかけの気持ちを切々と歌い上げて頂いて(笑)
ピアノの名手センリさんのソロ歌唱はこの曲だけかな?
ワタクシ映画はそれほど多く見てないけど、二十年以上前に見た「シャボン玉ホリデー」復刻版が強く印象に残ってます。
センスの良い音楽コント、継承者はいないのかなぁ。
by ノリ (2012-12-04 00:25) 

都市色

>いとぞうさん、こんばんは。
コメントありがとうございます。
そうですよね、いとぞうさんも全国各地へ何度も遠征されてますよね。
でも、この曲のようなうらぶれた感じではなく、熱いですよね。

当たり前のように存在してきた昭和のスターたちが、気づけばだんだん少なくなってきましたね。
寂しいです。
大瀧さんの書いた『実年行進曲』もいいですよねぇ。
また取り上げたいと思います。
by 都市色 (2012-12-04 21:03) 

都市色

>ノリさん、
こんばんは、コメントありがとうございます。
ノリさんも遠征を良くされますよね。
僕も経験がありますけれど、地方住まいは大変ですよね。
鈴木花音ちゃんがドリフ好きなら、クレイジーが好きなアイドルも出てくるのでしょうか。ちょっと苦しいでしょうか。

僕も子供の頃に見たシャボン玉ホリデーの特番、観た記憶があります。
面白かったですよねぇ。
歌手も上手い人が多かったし。
CSとかでオンエアしてほしいですね。
by 都市色 (2012-12-04 21:09) 

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