『哀しみ turn it up/スチャダラパー』 [ヒップホップ]
アサーーーーーーー!!(突然、谷岡ヤスジ的に)
そして、
オイーッス!!
スチャダラパーでいってみよう!
昨年夏ごろにリリースされたシングルCD『哀しみ turn it up』です。
こちらはオフィシャルサイトからの通販やライヴ会場のみの取り扱いですので、ファン以外の方にはお馴染みではないと思います。
あんまり話題にならなかったので遅くなっちゃいましたが、是非取り上げましょう。
シングルとしては木村カエラさんとの共演した『Hey! Hey! Alright』以来、約三年ぶり。
タイトルソング『哀しみ turn it up』。
“3.11”以降のトーキョーの街の空気感を如実に楽曲へラッピング。
今ひとつ冴えない日常、“非リア充”で鬱屈した気分を滲ませた歌詞。
特筆すべきはスチャダラアニ氏が大体的にフィーチュアされてること。
メンバー曰く、『テン時代のアニソロ』と呼ばれるだけあって、歌のパートでアニ氏のミリョク爆発!
滑舌があまりよくないと思われがちですが、見事に熱唱。
見え隠れする生活の哀しみをぶっ飛ばしたいところです。
ラップパートのみBOSE氏が担当。
サウンドは80年代のヒップホップ的にチープなシンセサイザーのプログラミングが印象的でオーケストラヒットやボコーダー音声満載なのですが、
コレ、風見慎吾さんのヒット曲『涙の take a chance』を下敷きにしたような作風です。
電気グルーヴとのコラボ『聖☆おじさん』がゴーストバスターズのテーマソングなのと同じ構造と云えます。
アルファとのコラボ『惚れたぜHarajuku』が80年代男性アイドル歌謡を偽装したのとも通じてますね。
ブルージーなメロディとあいまってどこか懐かしい感じがします。
が、しかし風見慎吾さんのあの歌が売れていた頃の右肩上がりな日本経済とその約20年後の現在の“緩やかに右下がりのサラリー(歌詞より)”の対比が世知辛いです。
あ、ブレイクダンス、流行りましたね。
学校の休み時間に、運動の得意そうな友達が一生懸命に教室の床を懸命に転がってました。
う~ん、人生は続く。
作曲にはヒックスヴィルの木暮晋也さんが名を連ねています。
ギターも演奏。
アルバム『CON10PO』収録の『ジャカジャ~ン』以来の共作でしょうか。
カップリングはこれまた新曲の『BOO-WEE-DANCE』。
“接しやすいリズム”“乗りやすいテンポ”“甘いシンセサウンド”“程よくメロウ”(いずれも歌詞からの引用)で構成されたシンコ氏によるクールなバックトラックに乗って、BOSE&アニ両氏のスムースでソリッドでシニカルなライミングが流れます。
“ずっとシラフで 理路整然と
革命とか促すリリシスト
Get up Stand up!行き届く洗脳
やってる方は きっとテヘペロ
ゲトーも山の手も もはやねぇぞ
全土覆う 汚れた雲
ユーモア挟む余地
安全に暮らせる土地
昨日より確実に歳を取り
前から知ってたはずの袋小路”
“授業でダンスを習う時代
でも夜中のダンスはダメみたい
これが未来?次に期待?
マジかよ やるなら今しかない”
“ボーちゃんはねぇ~・・・・・”“アニくんはねぇ~・・・・”とややクセのある言い回しというか口調でのライミングも面白いです。
自身のレーベルから音源をリリースしたり、自主制作で雑誌を作ったり、マイペースでDIY精神に則って活動する彼らはとても逞しくカッコいいですね。
日本のヒップホップ界の中でももはや超ベテランというか最年長クラスと云ってもいいですが、どこまでも唯一無二な存在感。同世代として嬉しいです。
最近出たライヴ盤もサイトから注文したので届くのが楽しみです。
さっきサイトを見たらこのシングル、売れ切れのようです。残念・・・。
再プレスされると良いのですが。
『哀しみ turn it up』《SP0025》〈Words:M.KOSHIMA,Y.MATSUMOTO,S.MATSUMOTO/Music:M.KOSHIMA,Y.MATSUMOTO,S.MATSUMOTO,S.KOGURE:〉(04'52'')【2012】
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