『SPEED OF LOVE / JAMES IHA』 [米国ロック10年代]
お早うございます。
もう一枚、アメリカンロックを。
去年聴いた新譜の洋楽アルバムのお気に入りにジェームズ・イハさんの2ndアルバムがありました。
スマッシング・パンプキンズ脱退後にリリースした1stソロアルバムから14年後、待ちに待った一枚。
ファーストの『Let it come down』は本当に大好きなアルバムでして、そこからリリースされたシングル『Be Strong Now』もこのブログでは取り上げています。
その新作からの後発シングル『Speed of Love』。
脱退以降は主にプロデューサーとして活動していたイハさん。
映画音楽を担当したり、様々なアーティストのプロデュースをしたり、バンドに参加したり、幅広い活動をしていました。
そのヴァラエティに富んだ音楽性が今回のアルバムにも反映されていますので、
1stがシンガーソングライター然とした内容に対し、2ndはマルチなサウンド・クリエイターとしての彼の魅力が押し出されています。
そんな違いこそあれ、清涼感溢れる繊細なポップセンスは変わらず、貫かれています。
このアルバムも愛聴しています。
まずはA面の『Speed of Love』。
神秘的なエレクトロニカ風なイントロ。
そしてアコギのストロークとアルペジオの優しい音色。
爽快なシンセサイザーの色彩とバンドサウンドの若々しさが見事にマッチした、これぞ“James Iha”印のポップ・ミュージック。
ロマンチシズム溢れる甘美なメロディ、胸の鼓動と共鳴する8ビート。
新春の突き抜ける青空のような瑞々しさが音楽に溢れ、
恋をしたときの胸のときめきが蘇ります。
彼の少しくぐもった、朴訥とした歌声のナチュラルさも楽曲の魅力のひとつとなっています。
イハさん同様に90年代から活動している米国の優れたSSW、ニール・カサール氏もコーラスで楽曲に彩りを添えます。
アルバムではこの曲(10曲目)と、その前の楽曲『Waves』(9曲目)がメドレーのように構成されていて、さらにドラマチックに展開されています。
B面はアルバム未収録(国内盤のボーナストラックにも含まれていません)で、ヘンリー・マンシーニの『Moon River』のカヴァーです。
これが実に素晴らしいです。
今まで聴いてきた様々なこの曲のカヴァーの中でも屈指の出来。
アコースティック・ギター一本の弾き語りにドリーミーなオーケストレーションが夜霧のように漂うのですが、その得も言われぬ儚くて幻想的なムードにまたしてもハートを射抜かれてしまいます。
イハさんの穏やかな歌声も間奏の口笛の響きも優しい。
空の月がとても近く感じられたりして。
アルバムの共同プロデューサーであるネーサン・ラーソン氏によるストリングス・アレンジも美しい。
改めていい曲だなぁ、と思わずにはいられない名カヴァーなのです。
ちなみにこの7インチは33回転。
この曲はダウンロードで入手できます。
このアルバムを出したら、もう次のアルバムがリリースされるのはいつだろう。
まぁ、そんな野暮なコトは考えずに、1st同様にこの素晴らしいアルバムをしばらくは味わい続けて行こうと思います。
『Speed of Love』《654436029915》〈Written by Niclas Frisk & James Iha〉(03'16'' )【2012】
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