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『女になって出直せよ/野口五郎』 [歌謡曲/70年代]

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こんばんは。
ラグジュアリー歌謡、まだまだ紹介して参りましょう!
〝帰ってきた、俺のラグジュアリー歌謡〟特集。
俺の、というコトでガイドブックでは紹介されていないシングルが続きます。
今回は70年代。
ディスクガイドでは70年代の作品も割合は低いですが紹介されていました。

ハイ、
ゴロンボ警部こと、野口五郎さんです。
1979年にリリースされた31枚目のシングル『女になって出直せよ 』。
リムジンから降りる裸足のバンカラ風な警部。
車内の薄暗いシートには愛用のフェンダーギターが横たわっています。

作詞は阿久 悠、作曲は筒美京平のゴールデンコンビ。
この曲では70年代後半、筒美京平先生が傾倒していたクロスオーバー~フュージョン~AOR系のサウンドが炸裂しています。
とにかく凄いです。

ドラムが刻む16ビートのイントロ。
カウントの“ワン、トゥー”を合図に、ハープとハモンドオルガンが芳しいコードを弾きはじめます。
そしてよろめくような転調。
同時にベースとギターもリズムを刻み始めます。
ファンキーなリズム、ストリングスはゴージャスに、ブラスは軽快にフレーズを響かせます。
ロサンゼルスのミュージシャンを起用して、船山基紀氏の華麗なスコアは益々先鋭された美しさで轟きます。
厚みのあるオーケストレーションとタイトなリズムセクションをバックにゴロンボ警部はマイルドにセクシィなノドを披露します。ガンガンとコブシを回します。
京平先生の洗練されたメロディの心地よさに、めまいがするほど。
作詞を担当する阿久 悠氏の言葉も気障で男の浪漫を追及しています。
別に性転換を促す内容ではありません。
さすが阿久先生ですね、タイトルを聞いたときに引っかかります。

このサウンドのクオリティ。
はっきり云ってこれは歌謡曲というカテゴリーを軽く超えています。
いや、此処まで洗練された楽曲をも呑みこんでしまう歌謡曲の懐の深さ。



この音源はライヴからで、オリジナルバージョンと細部では異なっていますが、ライヴの臨場感を味わえてカッコいいです。
こちらからは夜ヒットでの歌唱が見られます。こっちのほうがオリジナルバージョンに準じた演奏。
掛け値なしに素晴らしいパフォーマンスです。
警部のギターソロも聴き所。
実にラグジュアリー。

フォー・シーズンズのアレンジャーとして活躍したチャーリー・カレロが指揮する、フランキー・ヴァリの『神に誓って』に匹敵するサウンドと云えますが、『スマイル 』(作詞:山上路夫/作曲:筒美京平/編曲:大村雅朗、1981年)の方が曲調は似ていますね。

それから、これはトリビアですが、高橋ひろさんの『イチゴのくちびる 』という曲のイントロは『女になって~ 』にソックリです。ひろさんは野口五郎さんがお好きで、『女になって~ 』も筒美作品のオールタイムベストの一曲に挙げています。
この曲も入っているアルバム『Great Big Kiss 』収録の『青林檎 』はシンガー・野口五郎へのオマージュソングだと思われます。


B面は『シスコ・ドリーム 』。
同じく、阿久、筒美、船山トリオでの作品。
この曲もフュージョン的なファンキーでジャジーなサウンド。
クルセイダーズの『SOUL SHADOW 』っぽいかな。
アーバンでマイナー調のメロディで、抑揚を利かせた警部の歌声も聴きどころ。
こちらもロサンゼルス録音。

この時代の警部のシングルには好きなものが多いので近いうちにまた取り上げたいです。
タイムリーなことに、
70年代後半、ニューヨークやロサンゼルスなど、海外でレコーディングされた4枚のアルバムが何とタワーレコード限定でリイシューされました。
オークションやアマゾンでは高値が付いていたのこれは嬉しいです。
アルバム未収録だった今回のシングルは『LAST JOKE GORO IN LOS ANGELS '79 』のボーナストラックとして収録されています。
ボーナストラックを付けて出直してくれました。
LAST JOKE~ 』のジャケットは『女になって~ 』の別バージョンの写真が使われていました。
和モノファン垂涎。
偉いぞタワレコ。

女になって出直せよ 』《DR6335》〈作詞:阿久 悠/作曲:筒美京平/編曲:船山基紀〉(04'29'')【1979】


筒美京平ウルトラ・ベスト・トラックス 野口五郎

筒美京平ウルトラ・ベスト・トラックス 野口五郎

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ニュートーラス
  • 発売日: 1998/02/18
  • メディア: CD


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コメント 2

ノリ

前作「真夏の夜の夢」でイメチェンした警部、ワタクシもこの前後が一番好きです。
フュージョン系はワタクシ好み。
新御三家で最も筒美作品を多く唄ってるのは警部だと思うけど、御三家の中でもセンスの良さではこの時期の警部が抜きん出てる気がしますね。
なるほど、ラグジュアリー歌謡が徐々に分かってきたぞ…。
by ノリ (2013-04-06 00:59) 

都市色

>ノリさん、こんばんは。
コメントありがとうございます!
警部はヒデキやひろみよりも踊れないけど、彼らにはない確固たる音楽センスがありますね。
警部はヒデキとは今でも交流があるようですね。
そういえば、つんく♂氏は警部に少し前に曲を提供しましたね。
聴いていないけれど、どんな風だろう。
気になります。
by 都市色 (2013-04-06 23:10) 

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