『サテンドレスのセブンティーン/かまやつひろし』 [邦楽ロック/70年代]
お早うございます。
前回に続いて、
もう1枚、ムッシュのシングルを。
1977年にリリースされた『サテンドレスのセブンティーン 』。
ストーンズっぽい70年代のブルージィなロックンロール。
ルーズだけど引き締まったリズム、シャープなギターのストローク。
やさぐれたムッシュの歌声。
大人の色気が染みた、宵覚めのマイナーメロディ。
♪ 白いサテンのドレスに
真っ赤なワインこぼしてしまって
泣きべそかくからさ
まだまだ君はセブンティーンなんていわれる
胸のふくらみだけじゃ 隠せはしないぜ
白い白いその手が手持ちぶたさに見えるさ
生意気に大人ぶっている女の子をたしなめる男。
繻子のドレスの〈白〉をシーツに例えたなら、
汚してしまったワインの〈赤〉は?
作詞の島 武実さんの際どい隠喩。
間奏のダイナミックでスリリングなストリングスも都会的。
楽曲のアレンジを担当しているのは林 哲司氏。
全体的にブリティッシュなサウンドで、トニー・ヴィスコンティ風に派手な弦の響き。
アダルトでアーバンな不良のロックンロール。
カッペには書けないロック。
70年代の洋楽のロックのかっこよさがスムーズに邦楽へカスタマイズされています。
B面は『サマー・ラブ・アゲイン 』。
この曲も作詞:島武実、作曲:かまやつひろし、編曲:林哲司。
一転して明るいロマンティックなラブソングです。
ニール・セダカの『雨に微笑を 』にインスパイアされたようなスウィートなメロディライン。
軽やかな鼻歌のかまやつ節。
いい気分です。
さらりと、なんとなく、飄々と、軽やかに、イイ曲を書いてしまう都会人、ムッシュ。
朗らかでセンチメンタルな演奏。
アープ・シンセサイザーのそよ風。
流れるような林氏のアレンジも良いです。
ロックと歌謡曲でまだ水と油のように異なる世界だった頃、
歌謡曲とロックの世界を自由に行き来していた、しなやかな身のこなし。
あの時代こういうセンスを持っていたのは荒木一郎さんやかまやつさんでしょうね。
二人ともこの時期トリオレコードに在籍していたと思います。
この2曲はシングルオンリーなのですが、
のちにトリオ時代の作品の『ムッシュ・ファースト・ライヴ 』がCDで再発されたときにボーナストラックに収録されました。
本編のライヴでも歌われています。
ちなみにこの曲を僕が知ったのはピチカートファイヴのラジオ番組『レディメイドFM 』に信藤三雄さんがゲスト出演したときにこの曲をフェイヴァリットに挙げていたのがきっかけでした。
そのときはこの曲はオンエアされませんでしたが。
『サテンドレスのセブンティーン 』《3B-116》〈作詞:島 武実/作曲:かまやつひろし/編曲:林 哲司〉(03’59’’)【1977】
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