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『Pocket Music /山下達郎』 [山下達郎]

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こんばんは。
コイズミさんの次は達郎さん。
同じ誕生日繋がりで。
この季節に相応しいシングルを。
達郎さんのこの曲、『Pocket Music 』。

タツローマニアな方にはこのシングルは公式にリリースされてないことはご存知だと思います。
これはいわゆるプロモ盤。
以前取り上げた、『僕の中の少年』と同じで、
サンソンでのプレゼントで当たった三枚のプロモ盤の一枚です。
ジャケットの裏にサインが入っています。

達郎さんのアルバムで初めてリアルタイムで聴いたのは『Pocket Music 』(1986)でした。
リアルタイムで初めて買ったアルバムは『僕の中の少年 』ですが。
この2枚は達郎さんのアルバムで特に大好きです。

Pocket ~ 』は僕の13歳の誕生日と同じ日に発売されて、
オリコン誌のウィークリーチャートにて、LP、CD、そしてカセットの三つのメディアで見事初登場一位を記録しました。
当時オリコンを毎週購読していたので良く覚えています。
リリースされてすぐ買った訳ではなくて、音楽が好きな友人が同じクラスにいました。YMOとかスネークマンショーとか、田舎の中学生が聴かない大人っぽい音楽を聴いていて、彼がこのアルバムをカセットに録ってくれました。
ひょうきん族のオープニングテーマの『土曜日の恋人 』で始まり、ホンダ・インテグラのCMソング『風の回廊 』で終わるアルバム。
聴いた当初は『土曜日~ 』、『風の~ 』、そして『The War Song 』 以外はあまりピンと来なかったです。
つまりアップテンポのノリの良い曲だけに反応していました。ガキでしたから。

その後、アルバム『僕の中の少年 』(1988)をおこづかいで買って、本格的に達郎さんのファンになって少しずつアルバムを集め始めて、CDで聴き込み始めます。
聴けば聴くほどに味わいの増すアルバムでした。
ジャケットを含め、アートワーク全体にパステルカラーが基調とされているように、アルバムもトータルで穏やかで爽やかなムードがどこまでも広がっています。
うららかな春の陽気の下、郊外の公園で日向ぼっこをしているような。
地味に感じたミディアムテンポの楽曲も、聴くたびにメロディの優しさに気付かされました。
聴いていると心が安らいでいきます。
でも所謂“癒し”というありきたりな表現では物足りない何かがあります。
アルバムの中には『The War Song 』 というメッセージ色の強い曲ありますが、不思議とこの曲が他の楽曲と比べて浮いてしまうコトはありません。
単なるプロテストソングに終わらない高い完成度を持ったサウンドだし、歌詞も陳腐にならない表現が施されています。飽くまで楽曲至上主義に則った音楽。
しかし、達郎さんにとっては忌まわしいデジタルレコーディングとの戦いの始まりとなったアルバムでした。
“アナログで録れたなら、最高傑作になっていた”とは本人の弁でしたが。

さて、『Pocket Music 』。
アルバムのタイトルソングであり、音楽そのものを主題にした内容で、『Music Book 』(アルバム『For You 』収録)に通じるテーマ。まさにアルバムの中核をなす楽曲。
音楽と言うものは人間の生活、そして人間の営みの中にささやかながら関わりを持っていて、人々の記憶と結びつくことの出来る不思議な存在。
でも、思い出にもなれなかった音楽も沢山あって。
空気のようにありふれて、忘れられていく音楽たちへの哀愁。
繊細なアコースティックギターのカッティングのイントロから耳を澄まさずにはいられない響き。
伊藤広規さんのベースと上原ユカリさんのドラムのユニークなリズムもこの曲の特徴であります。
ドラムはバスドラムとハイハットだけの珍しいコンビネーション。
変則的かつ単調なリズムながら独特のグルーヴを醸し出しているのが面白いです。
静けさすら感じられるアンサンブル。
ユニークなリズムに乗ってノスタルジックな世界観を湛えたメロディが漂います。
達郎さんの行間を読ませる歌詞と余韻を大切にした歌声が爽やかに響き渡ります。
青い空の中、静かに流れていくような雲の如きJon Faddis氏のフリューゲル・ホーンのブロウ。
詩的で私的なタツローワールド全開の名曲。

コーダからようやくスネアドラムがリズムに参加してエンディングに向かってグルーヴが深まります。

♪ I can hear the music , Sentimental music
I can hear the music , In this pocket music...

このフレーズはロネッツ、ビーチボーイズでお馴染みの『I can hear the music 』からインスパイアされたそうです。

B面は『Lady Blue 』。
Futari 』を髣髴させるフィラデルフィア・ソウル流バラード。
しっとりと、センチメンタルでドラマティックなメロディ展開が堪りません。
鍵盤全般は故・佐藤 博さんが担当しています。
間奏のハーモニカのような音もシンセで弾かれています。名演。
バックの外人のコーラスはNYにてフィリーソウルの本場シグマ・サウンド・スタジオで録音されたそうです。
Alan o'day氏による英語詞の曲。
月夜を舞台にした幻想的なラヴソング。

1986年にリリースされたオリジナル・ミックスに不満だった達郎さんは後の1991年の秋に、このアルバムをリミックスして、ボーナストラックも足して再リリースします。
デジタルレコーディングとデジタルリマスター技術の向上によりさらに音の世界観に奥行きが出ました。
そんな訳で、大滝さんの『ナイアガラ・カレンダー 』よろしく、このアルバムには2種類のミックスが存在するのですが、将来的に『Pocket Music 』をリマスターするときにはこの2種類のミックスを両方とも収録したいとコメントしていました。
前回のリマスターから20年以上経っているのでさらに良い音で聴いてみたいです。
そうやって同じ音源を何度も買い直すのが音楽オタクの習性であります。
よって、アイドルの同じCDを枚も買うコトには抵抗が少ないのかもしれません。

今年も達郎さんの待望のツアーが夏から始まるようですが、この曲もライヴで是非聴いてみたいです。

Pocket Music 』《MOSE-115》〈作詞・作曲・編曲:山下達郎〉(05’19’’)【1986】


POCKET MUSIC

POCKET MUSIC

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ダブリューイーエー・ジャパン
  • 発売日: 1999/06/02
  • メディア: CD


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