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『いまはおやすみ/戸田恵子』  [アニメソング]

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こんにちは。
大河原系ロボットアニメソング特集第二回目。
これは避けて通れません。
機動戦士ガンダム 』。
以前は劇場版の方を取り上げましたが、テレビ版を。

1979年、保育園の年長さんだった当時にガンダムを何度か観ているのですが、あまり内容まで覚えていません。
テーマソングは覚えてるのですが。
多分観ていても、一話完結の話ではない為に理解できなかったのだと思います。記憶にありません。
ガキでした。
やはり再放送で面白さを認識して劇場版を観に行きました。
子供の頃はストーリィよりも単純にモビルスーツの魅力に引かれるものです。
視覚的な判りやすさ。
大河原デザインの独創的なフォルム。
主役機のガンダムは勿論、敵メカであるジオン軍のモビルスーツもこれまでにない斬新なデザインが面白かったです。
展覧会でのインタビューで大河原氏は「主役のガンダムは玩具メーカーや代理店や監督からの要望や制約があったが、ジオンのモビルスーツは商品化されるとは思っていなかったので、監督からの“モノアイ”という指定以外は自由にデザインが出来た。 」という旨のコメントをされていました。
ザクは大河原氏にとっても自信作だったそうです。
ボトムズやダグラムなどの”リアルロボット”系への一里塚。
プラモデル、俗に言う“ガンプラ”が爆発的に売れました。
あの当時、品薄でなかなか欲しいプラモデルが買えませんでした。
何度か週末のおもちゃ屋での抽選会に参加しました。
Gアーマーが手に入らず。
有井のアニメージでお茶を濁した日もありました。
あの頃を思えば、現在のガンプラの飽食時代は信じられません。
しかもハイクオリティ。
凄いですよね。
贅沢な世の中です。

ショーも無い話はともかく。
視覚的な判りやすさというと、安彦良和さんの描く登場人物の造形も素晴らしかったのです。
女性はきれいで可愛らしくて。
男性も個性豊かで。
安彦さんの絵を見ているだけでグッと気持がアガり、引き込まれました。

音楽は『ザンボット3 』、『ダイターン3』に続いて渡辺岳夫氏が担当しています。
ナベタケ氏はこれまでもアニソンでさまざまな名作を残されてきましたが、ロボットものを本格的に手掛けたのが『ザンボット3 』でした。
そして富野作品三作目である『ガンダム 』は視聴者のターゲットをこれまでの二作よりも高い年齢に指定しているので、ナベタケ氏の作風も子供向けアニメ風というより実写ドラマっぽい重厚な仕上がりに近づいています。
“一年戦争”を描いた大河ドラマ。
奇しくもガンダムと同年に氏が音楽を手がけ、TVドラマとしても大ヒットとなった『白い巨塔 』のサウンドとの類似が指摘されていました。
同じ作者が作っているので作風が似るのは別に問題はありません。
それだけ『ガンダム 』が扱っているテーマが大人が観ても観賞に耐えうる人間ドラマになっていると言うことでしょうか。

富野氏の世界観、メッセージ。
大河原氏のメカデザイン。
そして安彦氏のキャラクターデザイン、作画。
中村光毅氏の美術。
さらに、忘れちゃならない、渡辺岳夫氏の音楽。
それらの一つが欠けても“ガンダム”の成功はなかったと思います。

と云うわけで、本日ご紹介するガンダムのアニメソングはあの有名なオープニングテーマではなくて、挿入歌です。
戸田恵子さんの歌で、『いまはおやすみ 』。

この曲はファースト・ガンダムの大ファンでなければ知らない曲かもしれません。
実際この曲が劇中で使用されたのは、物語の終盤の数シーン(36話『恐怖! 機動ビグ・ザム 』と41話『光る宇宙 』)でした。
地味ですが、とても素晴らしい曲です。
リリカルなナベタケ節がバクハツ。

広大で深遠な無重力空間の闇の中を儚く漂う流麗な旋律。
それは鎮魂歌。
松山祐士氏による耽美的なオーケストレーション。
琴線を揺さぶるストリングスの調べ、そして浮遊感のあるフルートの響き。
ゆめうつつに揺れるミディアムテンポのグルーヴ。

戸田恵子さんの歌声も言うに及ばず美しいですね。
シルクの如き優しいフィーリング。
しとやかでしなやかに歌い舞います。
美しい声、そして流麗なサウンドに乗って
あした 二人は 血みどろで 風に舞う 
という歌詞が綴られるのがいかにも井萩(富野)ワールド。
耳馴染みの良い音を敢えて汚します。
キレイごとで済まされない人間の深い業を二次元に刻み付けて。
退廃的ではありますが決して単純なネガティヴな感じでもなく。



シングルバージョンには間奏で戸田さんによるセリフが入ります。
彼女が演じた劇中の登場人物、マチルダ・アジャン中尉の立場からアムロをはじめとして、ホワイトベースのクルーたちの心の中へ語りかけているような内容です。

CDシングルでも再発されまして、そちらには〈セリフなし〉バージョンやカラオケバージョンも収録されています。

コスモスに君と』に比肩する名曲、名唱。


B面は『永遠にアムロ 』。
エンディングテーマとして有名なミディアムバラードですが、オリジナルの池田 鴻さんによるバージョンではなく、こちらも戸田さんが歌うバージョンが収録されています。
この曲もいいですね。
静かに諭すような優しさがあります。

ファーストガンダムというと、今年の夏に発売予定の、テレビ版のBlue-rayボックスの予約を受付していますね。欲しいなぁ。DVDはスルーしましたが、特典も充実してるし、買いたいなぁ。
それから、安彦良和氏の描いた“ガンダム The ORIGIN”のアニメ化も噂になっていますね。

なんだかんだで結局、ファーストガンダムと言うふりだしに戻るのです。

『いまはおやすみ』《K06S-3012》〈作詞:井萩 麟/作曲:渡辺岳夫/編曲:松山祐士〉(04’39’’)【1980】


いまはおやすみ

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  • アーティスト: 戸田恵子,井荻麟,松山祐士
  • 出版社/メーカー: キングレコード
  • 発売日: 2006/10/25
  • メディア: CD



TV版 機動戦士ガンダム 総音楽集

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  • アーティスト: TVサントラ,池田鴻,戸田恵子,堀光一路,フィーリングフリーミュージッククリエイション,ost
  • 出版社/メーカー: キングレコード
  • 発売日: 2003/09/26
  • メディア: CD



機動戦士ガンダム 劇場版総音楽集

機動戦士ガンダム 劇場版総音楽集

  • アーティスト: サントラ,やしきたかじん,井上大輔
  • 出版社/メーカー: キングレコード
  • 発売日: 2003/08/27
  • メディア: CD



機動戦士ガンダム Blu-ray メモリアルボックス

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  • 出版社/メーカー: バンダイビジュアル
  • メディア: Blu-ray


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コメント 6

いとぞう

この曲、すごく久しぶりに聴いた気がします。正直言って当時はあまり印象になかったです。子供でしたからねえ・・エンディングの「永遠にアムロ」のほうが思い入れがあるかな。戸田恵子さんバージョンがあることは知らなかったです。
ガンダムはストーリーの重厚さは勿論、大河原さんのメカデザインと、安彦さんのソフトなタッチの登場人物も魅力でしたね。アニメのキャラクターに初めて恋したのはフラウ・ボゥだったし。
夜、寝る暇を惜しんでガンプラを作っていた頃が懐かしいです。
by いとぞう (2013-05-26 22:18) 

坂井哲也

大河原さん特集とはいいですねー。何がチョイスされるか楽しみです。

「耳馴染みの良い音を敢えて汚す」ってのは全くその通りだと思います。
by 坂井哲也 (2013-05-27 12:55) 

都市色

>いとぞうさん、こんばんは。
コメントありがとうございます!
あの時代は本当にガンダムブームでしたよね。
安彦デザインの女性キャラはしなやかで良いですよね。
フラウは確かに可愛いですね。
手に届きそうな身近なアイドルって感じで。
by 都市色 (2013-05-27 23:07) 

都市色

>坂井さん、こんばんは。
コメント&niceありがとうございます!
聴くものに違和感を与えるのが上手いですよね、富野さんは。

坂井さんのサイトでリンクされている「TOMINOSUKI」での井荻麟作詞論、少し読ませてもらいましたが、凄い内容ですね。


by 都市色 (2013-05-27 23:19) 

Bcky246

久しぶりです。BACKYと申します。

「今はおやすみ」名曲ですね。この曲も含め、ファーストガンダム(TV)の音楽は素晴らしかった。

この曲を聴くと、数々の名シーンが頭の中を駆け巡ります。

随分、私も大人になっちゃいましたが、なんか、これくらい素直に感動できるアニメが見たいです。
by Bcky246 (2013-05-28 00:17) 

都市色

>Backy246さん、こんばんは。
コメントありがとうございます。
お久しぶりです。
最近のアニメも面白いものもあるのでしょうが、情報量が多くてチェックしきれません。
丁度多感な時期にガンダムに出会ったので余計に思い入れが深くなりますよね。

by 都市色 (2013-05-29 23:15) 

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