『Walking in the Rain /The Ronettes』 [GIRL POP]
こんばんは。
今年はなんだか梅雨入りが遅い気がしていましたが、すっかり今は真っ只中。
という訳で、梅雨の時期になると、拙ブログで取り上げる“雨のうた”。
梅雨には梅雨らしく、雨に歌えば。
珠玉のレインソングの登場です。
この曲を紹介しないなんてウソですね。
ロネッツの『Walking in the rain 』
邦題は『恋の雨音 』。
オリジナル・シングル盤の2ndプレス。
名曲揃いの彼女たちの作品の中でも王道の一作。
勿論、プロデューサー、フィル・スペクターの代表作。
名コンポーザーチーム、バリー・マンとシンシア・ウェイルの傑作。
このシングルはスぺクターの代名詞、ウォール・オブ・サウンドの威力がひと際顕著に感じられます。
都会に降り注ぐ、雨の世界を表現するのにふさわしい音の壁。
イントロの雷の轟音のSEに導かれ、三分未満のドラマが幕を開けます。
高層ビルディングの喧騒、自動車の轟音や交通渋滞、地下鉄の雑踏、などなど、
街が生きている証のような騒音を再現するような音の壁を背景に、けなげに咲いたティーンエイジャーの慕情。
少女の無垢な願いを圧倒的な歌唱で訴えるロニー・ベネット。
ゲリラ豪雨のごとき情熱。
歌入れはなんと一回でオーケーが出たそうです。
重厚で瑞々しいバリー・マンの旋律。
激しくも優しい雨のように。
感動的なミディアムバラード劇場。
ジャック・ニッチェの壮麗なオーケストレーション。
荒ぶるような音の塊、その歪みまでが生々しい少女の募る思いをヴィヴィッドにさらけ出します。
過剰なラリー・レヴィンのミキシング。
B面は『How Does It Feel ? 』。
フィレスの当時のシングルには珍しく、B面も同名グループのオリジナルソングが収録されています。
ラジオ局でA面曲だけをオンエアさせたいが為に、B面はスタジオでのセッションをまとめたラフな楽曲が多かったのですが。
『Walking ~ 』に負けない素晴らしい曲です。
アンダース&ポンシアが書いていますのでこちらも悪かろうはずがありません。
『Do I love you ?』に比肩する出来!
ズンズンズンと分厚いベースラインが奏でるフレーズにワクワクします!
なんだかSFっぽい感じがします。
マーチのような軽やかなドラミングの弾けっぷり。
イントロから素晴らしい。
心躍るパーカッション。
胸の高まりを抑えられないポケットシンフォニー。
ロニーの歌うスウィートなメロディ。
この曲はヤン富田さんがプロデュースしたドゥーピーズのカヴァーも忘れられません。
解像度の高いクリアな音像で再構築されたスペイシーなスペクターサウンド。
最高でした。
このシングルは1964年の秋にリリースされ、ヒットチャートの最高位23位を記録しました。
大ヒットした前年の『Be My Baby 』には及びませんでしたが、彼女たちのリリースしたシングルの中では二番目に良い記録です。
60年代初頭に流行ったガールグループ・ブームも陰りを見せ始めた頃です。
勿論その背景にはビートルズをはじめとするブリティッシュ・インヴェンジョンがあります。
機を見るに敏なスペクターはガールグループ攻勢へ徐々に見切りをつけ、次なるプロジェクトに着手します。
ライチャス・ブラザーズの登場です。
60年代初頭、勃発したガールシンガー、ガールグループブーム。
現在の我が国のアイドルグループ・ブームに負けない熱狂だったと伝えられています。
今なお、あの時代のガールグループ系のコンピレーションがaceなどのレーベルからバンバンリリースされますが、
必ず一二曲は未発表音源が発掘されたりします。
もう半世紀も前なのに!
若者をターゲットにして、レコード会社の飽くなき利潤追求の為に大量生産大量消費で、作り棄ての勢いで製作された一時の慰みモノであるはずのヒット曲が未だに普遍的な輝きを放ち続けて・・・。
フィル・スペクターの情念が音に宿っています。
ロックンロール。
『Walking in The Rain』《Philles 123》〈Witten by P.Spector,B.Mann,C.Weil / Arranged by Jack “Spects” Nitzsche〉(02'35'')【1964】
フィル・スペクター・プレゼンツ~フィレス・アルバム・コレクション
- アーティスト:
- 出版社/メーカー: SMJ
- 発売日: 2011/12/21
- メディア: CD
ウォール・オブ・サウンド:ザ・ヴェリー・ベスト・オブ・フィル・スペクター 1961-1966
- アーティスト:
- 出版社/メーカー: SMJ
- 発売日: 2011/11/02
- メディア: CD
イイですね、ロネッツ。雨と湿気の多い、こんなジメジメとした季節こそ、音の壁の真骨頂を感じられると思うのです。
洋楽も邦楽も、スペクターサウンドは無条件で大好き!
by いとぞう (2013-06-29 18:48)
>いとぞうさん、こんばんは。
コメントありがとうございます!
スペクターサウンドをしようという意気込みだけで評価したくなってしまうこともありますね。
by 都市色 (2013-06-29 23:59)
>よーじっくさん、niceありがとうございました!
by 都市色 (2013-09-10 01:15)