『FRIENDS AGAIN/THE FLIPPER'S GUITAR』 [フリッパーズ]
ハイ、今夜の短冊シングルはフリッパーズ・ギター。
二人組&信藤三雄アートワーク繋がり。
タイポグラフィをうまく使ったカッコいいデザインですね。
低予算で良いセンス。
もう解散から20年以上経ってしまったのですね。
でも未だに僕にとって揺るぎない存在です。
17歳で出会った僕にとってのパンク体験。
♪ 耳をいつも澄まして、17歳の僕がいた ~なんて。
という訳で、『フレンズ・アゲイン』。
彼らにとってファーストシングルであり、小山田、小沢の双頭体制での第一弾。
“ネオアコ”なんて言葉を知らなかった頃に出会った曲。
彼らが敬愛する英国のバンド名をタイトルに、ノスタルジックで牧歌的な瑞々しいポップソング。
ピチカートファイヴの初代ヴォーカリスト、佐々木麻美子さんのウィスパーヴォイスをフィーチュアして。
その後、2ndの『CAMERA TALK』収録の『summer beauty 1990』でも再登場。
その他には、第三のメンバーといえる、ひらがくらよしえさんのドラム。
金子飛鳥女史のヴァイオリン、coba.さんのアコーディオン、福原まり女史の鍵盤。
端正なヨーロピアンテイストを塗して。
そして吉田 仁氏のプロデュース。
同所属レコード会社にて、バブル期に人気を博した二人組アイドル、Wink景気の恩恵を受けての贅を尽くした用意周到なプロダクション。
完成度の高い定型詩の如き収まりの良さ。
古き良き、海外青春文学の短編のごとく。
アナ―キック・ロマンチシズム・オブ・ユースな二人にしてはお行儀が良すぎる気もしますが名曲。
このPVも信藤さんが担当。
小山田さんの骨折を押しての果敢なランニング。
解散後にリリースされた、マイク・オールウェイ監修による編集盤『Color me pop』にはイントロが長いバージョンが入っていました。
それから、
小西さんがオーガナイズしたバンド、トーキョーズ・クーレスト・コンボがこの曲を早くも二年後にカヴァーしました。
ヴィブラフォンの音色が涼しい軽やかな演奏が魅力で、この曲を聴くと夏を思い出します。
カップリングは『Happy like a hannybee(ピクニックに早すぎる)』。
ファーストアルバム『海に行くつもりじゃなかった』からのシングルカット。
これを聴くと『笑っていいとも』を思い出すのが蛇足というか、汚点。
五人でのバンド演奏、センチでカラフルなサウンドで眩しいコトこの上ない。
照れ臭くなるほどに甘過ぎるメロディが一気に十代の頃へ連れ戻します。
今年に春に、出版された一冊の本。
牧村憲一氏による『ニッポン・ポップス・クロニクル 1969-1989』。
シュガーベイブ、竹内まりや、加藤和彦、細野晴臣、大貫妙子、そしてフリッパーズ・ギター等々、同氏が音楽制作にかかわったミュージシャンについて時系列に語りながら、日本のロック黎明期から80年代末までの日本のポップスの根幹を抉ります。洋楽のエッセンスを薄めることなく、見事に日本語のロックへ換骨奪胎したサウンドクリエイターたちとの共闘の記録。
いつでも都会の一握りの若者というか、ボンボンが日本のポップスを形成していきました。
このクロニクルの終盤にフリッパーズ・ギターのプロジェクトを語っています。
大変興味深い内容でした。
記念すべき、フリッパーズ・ギターのファースト。
非の打ちどころのない完璧なアルバム。
海外的に見ても、世界的にも通用するネオアコ名盤ではないかと思います。
英語の発音はアレとしても。
今ほど情報量が圧倒的に少なかった時代に、片田舎で孤独に聴き倒した音楽の印象は海よりも深し。
聖典のような一枚。
だから“パーフリ”ってミーハーに呼んでいた人たちを相当嫌悪してました。
嫌でしたねぇ。
フリッパーズを“パーフリ”なんて“よう云わんわ”、です。
恥ずかしい。
それくらい神聖な存在でした。
その後、牧村氏が同レコード会社からデヴューさせたスパイラル・ライフもL⇔Rも、悪いけれどフリッパーズほどの感動は得られませんでした。
比べるのはお門違いなのは重々承知していますが。
フリッパーズにロックを感じます。
ああ、今年も夏の盛りになると彼らの三枚のアルバムを聴いてグッとセンチになるのだろう。
“Big Bad Bingo”を聴いて胸をしめつけられてしまうのだろう。
『フレンズ・アゲイン』《PSDR-1001》〈written by Double Knock Out Corporation〉(03’31’’)【1990】
THE LOST PICTURES,ORIGINAL CLIPS&CM’S plus TESTAMENT TFG Television Service [DVD]
- 出版社/メーカー: ポリスター
- メディア: DVD
ニッポン・ポップス・クロニクル 1969-1989 (SPACE SHOWER BOOks)
- 作者: 牧村憲一
- 出版社/メーカー: スペースシャワーネットワーク
- 発売日: 2013/03/27
- メディア: 単行本
あー私「パーフリ」言ってました!ごめんなさい!(笑)
私にとっては完全に同い年のヒーローが現れた!とワクワクでした。
知り合い(オシャレ系女子)が1stアルバムのジャケを縮小して架空の7インチジャケを作ってたのを覚えています。なんか適当なドーナツ盤と紙袋つけてちゃんとビニールに入れてました。何これ見たことない、と焦ったあと、自作と知ってちょっと羨ましかった。そんな大学時代の思い出。
by nakamura8cm (2013-08-06 23:19)
>nakamuraさん、こんばんは。
じぇ、じぇ!
パーフリって言葉使ってたのですね!
今はあの頃ほど嫌悪感はありませんけど。
というか、“パーフリ”って言葉で語り合える仲間がいなかった当時のずぶんへの寂しさの裏返しだったのかな、と今では思います。
云い過ぎましたね。
こちらこそ失礼しました。
シャレオツ系女子の冴えたアイディア、かっけー!
by 都市色 (2013-08-08 01:25)