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『それはぼくぢゃないよ/曽我部恵一』 [邦楽ロック10年代]

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オハヨウゴザイマス。

大滝さんを偲んで、続いてはこのシングルを。
曽我部恵一さんの素晴らしいカヴァーで『それはぼくぢゃないよ』。

彼の最近アルバム『まぶしい』の先行シングルとして2月にリリースされました。

曽我部さんというと、サニーデイ・サービスは90年代中期にデヴューしたバンドで、
渋谷系にリンクした、若い世代による日本のロックの黎明期の再評価の流れの中で登場したバンドでもあります。
小沢健二さんが自身のデヴューライヴ当日の開演前に金延幸子さんの『み空』を流したり、クラブで鈴木 茂さんの『バンドワゴン』の曲が流れたり、かせきさいだぁの楽曲がはっぴいえんどのサンプリングで構築されていたり、レアグルーヴとしての和モノが語られ始めた時代でした。

サニーデイのファーストアルバム『若者たち』(1995) は永島慎二風なイラストが使われていたり、歌詞カードが手書きだったり、実に70年代初頭のフォーク・ロック臭が漂っていました。
『大瀧詠一』を下敷きに、稚拙な演奏、スカスカな音質ながら、若者の滾るようなあの時代の音楽への憧憬がアルバムに込められていました。
続く翌年の春先に発表された『東京』を聴いてぶっ飛びました。
サウンドも楽曲も前作と一線を画する出来で、化けました。
地方から上京した垢抜けない少女が、短い期間でグッと美人に変貌したような。
ただの真似に終わらない高い完成度。
今でも名盤の誉れ高い一枚。
当時から曽我部さんは大滝さんを始め、はっぴいえんどからの影響を公言していました。
ライヴでもカヴァーを多くしていたそうです。
バンド活動、そしてソロ以降でも音源としてカヴァーを残しています。
『びんぼう』はサニーデイ時代とソロ時代の2回カヴァーしていて、どちらもライヴ音源として、そして『サイダー'73』をソロ時代のカヴァーアルバム『Sings』で。他にもあったような。
という訳で、今回のカヴァーもご自身のライヴでなんども取り上げてきた一曲。

シンプルなアコースティックギター一本での弾き語りです。
これまで何度も歌ってきた曲だけあって無駄のない、無理のない、丁寧な歌と演奏。
ゆったりとした時が流れます。
何も足さない、何も引かない。
奇を衒わず、素朴で奥行きのある響きに静かに耳を傾けるだけ。
曽我部さんの〈声とギター〉だけで大滝さんへの深い敬愛の念が伝わってきます。
楽曲の魅力を最大限に引き出す素晴らしいカヴァーです。

レコードのジャケットもイイですね。
アートディレクターは小田島 等氏。
ジャケ写真の機関車は東北で走っていたSLだそうです。
太平洋を臨む、みちのくの海岸沿いを走る一本の機関車。
のどかで実に趣のある優しいモノクロ写真。
前回にご紹介した『恋の汽車ポッポ』のオマージュと云えるでしょう。

さて、B面はと云いますと、曲は収録されてないのですが、ツルツルの盤面にエッチング加工で曽我部さんによるメッセージが刻まれています。

“大滝さん ありがとう! K.S 2014.1.15”

そして盤面をぐるっと、ハート、コーヒー、ギター、太陽、傘、リンゴ、そして月のイラストが描かれています。

それにしても曽我部さんのレコードはとても音がイイです。
音が太く厚いです。
ご自身が運営するローズレコードで沢山アナログ盤をリリースされているだけあって、音に対する研究やこだわりが感じられます。
アルバム『まぶしい』も自由でパンクでロックな曽我部さんが感じられました。

それではこの辺で、次回の大瀧詠一特集をお楽しみに。
素敵な日曜日を。


『それはぼくぢゃないよ』《ROSE166》〈作詞:松本 隆/作曲:大瀧詠一/編曲:曽我部恵一〉(03'22'')【2014】


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コメント 2

いとぞう

曽我部さんは、はっぴいえんどフォロワーの代表のようなミュージシャンですよね。彼にとって大滝さんの存在は一言では表せないでしょうね。曲からもジャケット写真からも深い愛を感じます。「びんぼう」のカヴァーのほうも秀逸でした。曽我部さんは生で観た訳ではありませんが、とても素晴らしいライヴをする方だと思います。
by いとぞう (2014-04-20 21:01) 

都市色

>いとぞうさん、こんばんは。
コメントありがとうございます!
曽我部さんは世代が同じなので、当時から深く共感していました。
考えてみると、大滝さんの曲はカヴァーが多いですよね。
これからも世代を超えて歌い継がれていくでしょうね。

by 都市色 (2014-04-23 23:21) 

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