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『さらばシベリア鉄道/太田裕美』 [歌謡曲/80年代]

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はい、こんばんは。
大滝詠一さんを偲んで、特集を続けています。

前回の記事の冒頭に記した大滝さんについての紹介文が、意味不明だというお言葉を全然頂きませんでした。
ですが、さらに大滝さんについて判って頂けるように他の本からの文章を引用して紹介しましょう。


日本フォーク・ロック界の〈小野田庄助〉

'83年『一年一嘘運動』実行委員会となり、発売しないLPの予約をとる。
その後Each Boysのリーダーとして《ビーチ・タイム》のヒットを飛ばし、
女子大生グループEach Girlsの《ピーチ・タイム》をプロデュース。
急きょ、プロ雀士に転向し《リーチ・タイム》というマージャン入門書を書き、朝田“昨夜”徹夜氏より絶賛される。
又、狂頭大学の助平をしながら書いた《ティーチ・タイム》が突然マスコミの注目を浴び、
〈イーチ現象〉なる新語も生まれ、頭狂大学の浅田ユージロー氏と共に、
ニュー・カルチャーのプリンス・タツノと呼ばれた。
'84年『十年百嘘運動』の征夷大将軍となり、現在に至る。〈1984年当時〉

以上です。
これで君もナイアガラ-。


さて、今夜は太田裕美さんのシングルを。
さらばシベリア鉄道』です。
大滝さんによるシングル盤は以前にご紹介済です。
太田裕美バージョンは1980年の11月リリースですので、『ロンバケ』が発売される約4か月前の作品。

同アルバムのレコーディング中、『シベリア鉄道』のメロディに合わせて作られた松本 隆さんによる歌詞を読み、
その歌詞の内容が『木綿のハンカチーフ』に通じる“手紙”を介しての男女の気持ちのやりとりであった事もあり、
太田裕美さんの次のシングルにとのアイディアが大滝さんによって持ち込まれます。
当時はレコーディングスタジオで大滝さんと太田裕美さんは度々顔を合わせていたそうです。
担当のレコーディングディレクターも同じだったそうです。

先日にテレビの特番で太田裕美さんの最近のコンサートの模様を放送していましたが、当時のことを裕美さんは語っておられました。

『シベリア鉄道』はナイアガラ・サウンドの流れの中では、’70年代の『多羅尾伴内樂團Vol.1』で試みられた北欧ギターインスト経由の哀愁サウンドの発展形と云いましょうか。
ジョー・ミークが手掛けたジョン・レイトンの『霧の中のジョニー』からの影響を滲ませつつ、当代の人気女性歌手に歌わせて、大衆歌謡音楽へ馴染ませる手腕。
非常に日本人好みのもの悲しいメロディに仕上がっています。
風雲急を告げるようなイントロから始まる、テンポの激しい劇的な曲調。
アレンジは『木綿の~』同様、萩田光雄氏。
聴きどころは大滝バージョンとの歌唱表現の違いでしょう。
意図的に歌詞の譜割りも違っています。
大滝さんのバージョンが悲観的な結末をニュアンスに込めたというのに対し、裕美バージョンは希望をニュアンスに込めたとのコト。
裕美さんの氷の結晶のように繊細で清廉な歌声がマイナー調の旋律にマッチしています。
もう一度あの人に再会したい、淡い希望を抱きながら寄る辺ない北の国へ向けて列車はひたすら走ります。

『シベリア鉄道』は何度も言いますが、僕が初めて買った『ロンバケ』のCDには収録されていませんでした。
つまり『FUN x 4』でアルバムが終わるのです。
1991年の3月にCD選書版で再発された『ロンバケ』でちゃんと『シベリア鉄道』を聴きました。
当時はアルバムの最後で突然に歌謡曲っぽい感じに転換するのに違和感を感じていました。
9曲目の『FUN x 4』と明らかにムードが変わりますね。
それがこのアルバムのユニークなところかもしれませんが。
曲の良さが判り始めたのは大人になってからです。

そして、
大滝さんの訃報に際し、松本 隆さんはこの楽曲のフレーズ“十二月の旅人”を引用してtwitterを通じてメッセージを残されたことは記憶に新しいですね。

それから、裕美さんの先述のライヴでも勿論この曲は歌われました。
元かぐや姫の伊勢正三さん、元ガロの大野真澄さんとのにユニット“なごみーず”での歌と演奏でした。


B面は『HAPPY BIRTHDAY TO ME』。
センチメンタルでスウィートなミディアムバラード。
作詞:山川啓介、作曲:浜田金吾、編曲:飛澤宏元による楽曲。
過去の思い出思を引きずりつつ、少し淋しい誕生日を迎える心境を歌にしています。
ハーモニカの響きが切なく、僕のことを歌ってるのかと思いました。ほっとけ。

次回はさらにディープに特集します。
お楽しみに。

『さらばシベリア鉄道』《07SH 901》〈作詞:松本 隆/作曲:大瀧詠一/編曲:萩田光雄〉(04'11'')【1980】


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コメント 2

いとぞう

大滝さんの訃報に関しての松本隆さんのメッセージを読んでから、この曲を聴く時の受け止め方が変わってきました。
僕が80年代後半に買った「ロンバケ」のCDには「さらばリベリア鉄道」は入っていました。収録されてないのもあったんですね。
当時は松田聖子さんのアルバムなどでもそうでしたが、夏をイメージさせるアルバムに何故かラストの曲は冬の曲、というパターンが多かったような気がします。
太田裕美さんバージョンを聴いたのは、大滝さんのほうを聴いた後でした。
by いとぞう (2014-04-28 16:26) 

都市色

>いとぞうさん、こんばんは。
コメントありがとうございます。
僕も太田裕美さんのバージョンは『大滝詠一作品集』で初めて聴きました。
『FUN X 4』のあの声も裕美さんでした。
大滝さんの曲には季節感がありますよね。

by 都市色 (2014-04-29 23:17) 

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