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『熱き心に/小林 旭』 [歌謡曲/80年代]

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こんばんは。
大滝さんの楽曲提供作品をもう一枚。

『シベリア鉄道』に続いて、“北国”を舞台にした作品で『熱き心に』。

歌うは大滝さんのヒーロー、小林 旭さん。
1985年のシングルで大ヒット、ロングセラーを記録しました。

当時、CМソングとして流れていたし、オリコンウィークリーを毎週読んでいたのでこのシングルが長らくチャートの上位でランキングされていたのをよく憶えています。
この曲が大滝さんの作品だと知ったのは後なのですが。
アキラさんはうちの父も大好きで、よく過去のヒット曲をカセットやレコードで流していました。
やはり、アキラさんは団塊の世代の憧れだったのですね。

憧れのスターに楽曲を捧げるのですから、並大抵の作品で収まるはずがありません。
実にスケールの大きな楽曲が生まれました。

大滝さん曰く、アキラさんを想定して用意していた楽曲が二つあり、それを合体させたというのだからスケールが大きいのも当然。
煌めくようなイントロから勇壮な音像が畳み掛けるナイアガラ・サウンド。
流麗で壮大なアレンジを務めるのは大御所、前田憲男氏。
最近では、元春と雪村いづみさんの『トーキョーシック』のアレンジも担当されていますね。
なんとなく雄大な自然の景色がイメージされるような、雄々しいメロディ展開そしてサウンド。
ジョー・ミークがプロデュースしたTORNADESの『テルスター』を根幹として、『フィヨルドの少女』そして、この曲が出来上がったような感じがします。大滝さんのお得意の連作システム。
その後は市川実和子さんの『雨のマルセイユ』に・・・。

それはそれとして。
雄大なサウンドに負けないのがアキラさんのヴォーカル。
阿久 悠さんのシナリオ、そして大滝さんと前田氏が制作した舞台セットを背景に主演の名演、名唱が繰り広げられます。
無意識過剰(by小林信彦)なワンアンドオンリーな歌唱スタイル。

♪き~た~ ぐ~に~の~

と、いう事で。
大滝さんが作曲したメロディに合わせた阿久さんの歌詞はこのフレーズで始まります。
当然、イメージとしては『ギターを抱いた渡り鳥』(1959)の世界が広がります。
大滝さんの狙い通りだったかもしれませんね。
ギターを抱えて当てのない旅をする風来坊、滝 伸次。
シリーズ第一作は函館が舞台。
旅先の街で、そこの実力者に搾取される人々を助け、悪漢たち(宍戸 錠)を蹴散らし、再び街に平和を取り戻したところでその街を去る滝 伸次。
その街で知り合った美しい女性(浅丘ルリ子)を残して。
渡り鳥はまた別の街で弱きを助け、強きを挫いて、別の美女(でも浅丘ルリ子)を惚れさせて、街を旅立ちます。
その永久運動こそが『渡り鳥シリーズ』。
当時は他にもアキラさんには『流れ者シリーズ』、『暴れん坊シリーズ』、『銀座旋風児(マイトガイ)シリーズ』に主演していましたがヴァラエティに富むというよりは勧善懲悪の日活無国籍アクションというワンパターン気味な世界観に微妙な差異を取り入れて楽しむという感じですね。
それが許されるのもアキラさんの存在感、貫録なのだと思います。

『熱き心に』の歌詞はあの映画の世界感を振り返って、滝伸次が浅丘ルリ子さん扮するヒロインへずっと渡しそびれていたラブレターという感じもしますし、あの時の情熱(熱き心)を取り戻そう、というメッセージソングなのかな、と思いました。
あの映画に胸をときめかせていた同世代への応援歌、というか。

今でもこの曲はアキラさんのコンサートの要所要所で歌われる代表曲。
今聴いても全然古びていないし、聴くたびにまさに熱く、心を奮い立たせてくれます。

B面は『さらば冬のカモメ』。
作詞:東海林良、作曲:大野克夫、編曲:中林恵一
女性との別れを歌った歌謡バラード。
おなじみのアキラ節はこちらの方が堪能できます。
男性側からの一方的な別れの切り出しに、だだを捏ねる女性。
渡り鳥を気取って、港町を去ろうとする男の身勝手に振り回される女性。
男はいつまでたっても子供なのでしょうね、と知った風なことを書いてます。

小林 旭のコンサート、いつか観てみたいです。
それまで、いやこれからもずっと、お元気で。

大滝詠一特集、次回もお楽しみに。

『熱き心に』《7DX1404》〈作詞:阿久 悠/作曲・編曲:大瀧詠一/ストリングス編曲:前田憲男〉(04'45'')【1985】


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いとぞう

大滝さんにとっての憧れのスターへの楽曲提供はプレッシャーも大きかったでしょうね。それでこの仕上がりですから完璧!
小林旭さんにとってもかなり久々の大ヒット曲だったのではないでしょうか。たしか元春が「大滝さんの他アーティストへの提供で一番好き」と言っていたような記憶があります。同タイプの「フィヨルドの少女」も同じ頃のリリースですよね。
by いとぞう (2014-04-30 02:09) 

都市色

>いとぞうさん、こんにちは。
コメントありがとうございます!
大滝さんは歌手としよりも裏方の作曲家、プロデューサーの仕事を好まれていたのでこのような提供作品の大ヒットはさぞ嬉しかったでしょうね。
このような大滝作品をこれからも聴きたかったのですが。
元春もこの曲がお好きだったのですね。

by 都市色 (2014-05-03 08:37) 

都市色

> makimakiさん、niceありがとうございます!

by 都市色 (2014-05-03 08:37) 

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