『甘い暴走／石井まゆみ』

ガオー！

《お前を越前竹人形にしてやろうか！》でお馴染みの都市色です。
今夜も奥が深い70年代女性アイドルを愛でちゃおう。

ハイ、石井まゆみさんです。
石井さんに関しては全く知らなくて、数年前に手に入れた、ソニーのオーダーメイドファクトリー（OMF）を通じて手に入れた『アイドルミラクルバイブルシリーズ　73～76　Girls』というコンピレーションで初めて知りました。
OMFではソニーレコードが所有する音源からシングルを発表しただけで活動を終えてしまった女性アイドルの音源をコンピにまとめて『アイドルミラクルバイブルシリーズ』として、通販での注文だけでリリースし続けています。
ついついリリースの案内が出るとリクエストしてしまいますが、内容は玉石混合で、どっちかというと外れが多いのですが、この『73～76　Girls』は大当たりでした。
ホント、サイコーです。

その中に収録されていた石井まゆみさん。
出身は静岡県だそうです。
1974～75年にかけて、2枚のシングルを残しています。
今回ご紹介するのはデヴューシングル『甘い暴走』。
これには参りました。
もう、イントロから衝撃的です。
耳を何度も執拗に引っ掻くようなエレキギターのフレーズが四回叫びだすと、
ドラム、ベース、コンガが刻む8ビートに乗ってストリングスが疾走します。そのすぐ後をエレキギターも追いかけます。アクロバティックなストリングスとホーンの絡みもスパイシー。
風雲急を告げるイントロにハートを鷲掴み。
本編も実に劇的。
周囲の大人たちの無理解に反発しながら、ちょっとキケンな彼氏との恋路へ突っ走る少女のモーレツなホットロードが展開されます。
乙女の情熱と決意と焦燥を増幅させる演奏とメロディ。
タイトなビート、ブンブン唸るベースライン。
歌謡曲の皮を被ったロックです。
メロドラマティックな旋律はスピード感のある演奏と共にサビで大爆発を起こします。
石井まゆみさんのエモーショナルな歌声共に。



作詞家・千家和也氏の綴る乙女の暴走をサウンドに具現化して作曲編曲を手掛けているのが、穂口雄右氏。
キャンディーズを始めとして、70年代を中心として数々の名曲を残してこられた作家です。
筒美京平さんに比肩するメロディメイカーですが、京平先生がディスコよりならば、穂口氏はロック寄りな感じですね。京平先生はジャズ畑出身なのに対し、穂口氏はGS出身（アウトキャスト）。
という事はこの曲でギターを弾いているのは水谷公正氏でしょうか。
とにかく穂口氏の曲はキャッチ―。
サウンドとの一体感がありますね。
編曲家としても素晴らしい。
隠れた名曲です。。

B面は『あしたは日曜日』。
やさぐれ青春賛歌のA面に対し、一転してドリーミィ。
一面にお花畑が咲き乱れる様なB面。
日曜日の彼とのデートを前にテンションマックスな乙女の妄想タイムはサタデーナイト・フィーヴァー。
夢見心地の明朗な演奏、浮遊感のある女性コーラスにのって砂糖をふんだんに利かせた旋律が弾けます。
作詞は同じく千家和也氏。
作曲・編曲は林 哲司氏。
73年にソロアーティストとしてデヴューした林氏ですのでこの時は初期の作品ですね。
80年代以降に作曲家として大成する以前の初々しい一曲であります。
石井まゆみさんも可愛らしい曲調に乗って、巧みにぶりっ子しながらチャーミングに唄っています。
因みに彼女の次のシングルは両面とも林 哲司氏の作品。


『あしたは日曜日』で聴いているこっちも気分がだんだん少女漫画チックになって高揚して来てしまいますが、

残念。

あしたはまだ火曜日・・・・。

最後に、今回のシングルを安田謙一さんがディスクジョッキーを担当するラジオ番組『夜のピンチヒッター』（ラジオ関西）の今シーズンの最終回にリクエストしてオンエアしてくださいました。
安田さん、ありがとうございました！
来季も楽しみにしています。

『甘い暴走』《SOLB161》〈作詞：千家和也／作曲・編曲:穂口雄右〉（03'12''）【1974】

コメント 4

僕もこの方は全く知りませんでしたが、７０年代アイドル歌謡らしいカッコよさ溢れるサウンドですね。なるほど穂口雄右氏の作品ならそれも納得です。
アイドルの曲のタイトルに「暴走」という言葉が入っているのも、この時代らしいなと思います。「アイドルミラクルバイブルシリーズ」にも当たり外れがあるのですね。
by いとぞう (2014-10-01 18:07) 

＞makimakiさん、niceありがとうございます。
by 都市色 (2014-10-13 22:26) 

＞いとぞうさん、コメントありがとうございます。
コメントの返事が遅くなって申し訳ないです。
80年代に比べると70年代のアイドル歌謡はまだ大人の歌謡曲の磁場に引きずられていて、弾けたものが少ないですね。
その中でも穂口氏の作品はとてもポップで若い感性を持っておられたと思います。
by 都市色 (2014-10-13 22:29) 

知誕wikiで調べたところ、石井まゆみの誕生日がついに明らかになりました。1957年6月25日です！！　出身地は静岡。初めて聞いたのはほっとステイのラジオでラジオ関西で流しました。イントロを聞いたらやっぱ女性の声だ。この曲が終わったら石井まゆみの「甘い暴走」でした。40年前の名曲。この曲を外で聞きたかったらあるフリーソフトのURLを貼り付けてMP３で落とせる。近日ミュージックグリッド（本社・東京）でMEG-CDが発売する。
by ポールのミラクル大作戦 (2015-02-04 20:07)