『Mr.Diengly Sad / The Critters』 [米国ロック/60年代]
こんばんは。
めっきり寒くなりましたね。
ミスドのローストコーヒーをお替りしちゃう季節になりました。
今夜ご紹介するのはクリッターズ。
シックスティーズのヴォーカル&インストゥルメンタルグループ。
彼らのことはソフトロックファンならご存知でしょう。
ラヴィン・スプーンフルのカヴァー『Younger Girl』で有名ですね。
そして今回取り上げるこの曲でも。
1966年のシングルでちょっとヒットしました。
フォーシーズンズのシングルに続いてクリッターズを取り上げようと思ったのは、
今回のシングル曲を書いたドン・シコー二はフォーシーズンズのメンバーでもあったからです。
クリッターズを解散後、74年からメンバーに抜擢されます。
70年代中期以降、ディスコサウンドを取り入れて、『Who loves you』、『December,1963(OH,WHAT A NITE)』で再びフォーシーズンズの快進撃が始まります。
その時期のメンバーです。
上記の曲の後者ではリードヴォーカルも取ってます。
このクリッターズもなんとニュージャージー出身でした。
実に地元意識の強い、ジャージーボーイズであります。
ベースのゆったりとしたリズムと素朴な音色に耳を傾ければ、夢見心地でセンチメンタルなムードに溶けていきます。
春、または秋のうららかな午後、窓辺からの優しい陽だまりに微睡んでいるときのような、琥珀色のひととき。
ヴィブラフォンの音色もイイですね。
安らぎを醸し出すピースフルな、でもどこか悲しい様な、不思議なメロディ、そしてサウンド。
シンプルな演奏ですが過不足無く楽曲を支えています。
優しいドン・シコーニのヴォーカル、そしてグループのハーモニー、淡々と。
心の深淵に静かにしんしんと沁みていく旋律の美しさ。
♪ そよ風が美しい髪を乱すけど おかまいなしに君は微笑んでいる
もし雨が君の気分を落ち込ませようとしても 明日は明日の風が吹くと言うだろう
青い瞳 ブロンドの髪の君
命は短い けれど余計な心配する必要はないことを知っている
君は不思議なくらいに晴れ晴れとしている
僕は消え入りそうなほど悲しい奴さ
何度聴いても感動します。
心のクスミが晴れて、澄み渡っていくようです。
大学時代にこの曲と出会って、日がな一日聴いていても飽きませんでした。
物思いに沈みがちな秋の夜にピッタリな一曲。
ドン・シコーニへのインタビューに寄れば、曲のタイトルは『Mr.Dyingly Sad』が正しいのだそうです。
レコード会社がスペルを間違えてそのままになってしまったのだそうで。
B面は『It just won't be that way 』
クリッターズはソフトロック調、フォークロック調な楽曲だけではなく、こうした激しいビートナンバーも素晴らしいのです。
初期のキンクスに通ずるかっこよさ。
同じくメンバーのジム・ライアンのペンによる楽曲。
ミステリアスなイントロ。
ブルージーでやさぐれたメロディ。
コンパクトでガレージな演奏、多彩なコーラスワークもバッチリ。
特異なコーラスがキマるサビのエンディングも特に素晴らしい!
短命に終わってしまったグループですが、そのサウンドの輝きは永遠なのれす。
そういえば、前回の記事でひとつ、訂正を。
『I've got you under my skin』のアレンジャーはチャーリー・カレロと書きましたが、
アーティ・シュロックでした。
謹んで訂正させていただきます。
この方もニュージャージー出身でした。
つくづくフォーシーズンズはニュージャージー野郎たちの結束の固いグループなのれす。
イーストウッド監督はそういう彼らの侠気に打たれて映画にしたのかもしれません。
『Mr.Diengly Sad』《K-769》〈Witten by Don Ciccone Arranged by Artie Ripp〉(02'39'')【1966】
Awake In A Dream: The Project 3 Recordings
- アーティスト:
- 出版社/メーカー: Now Sounds
- 発売日: 2011/09/27
- メディア: CD
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