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『12月の雨の日/はっぴいえんど』 [ナイアガラ]

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こんばんは。

大瀧詠一さんの命日に、はっぴいえんどを。

あれから一年。
その不在の大きさを痛感する日々でした。
代替不能の才能。

今月の上旬にリリースされた、初のオールタイムのベスト盤も聴きました。
どんな内容になるか少し不安だったけれど、杞憂でした。
このアンソロジーを編纂したのが、坂口 修氏。
元シティボーイズのマネージャーであり、超のつくレコードマニアであり、大のバート・バカラックのコレクター。
現在は音楽プロデューサーとして活動をされている方。
大滝さんのお嬢さんのお婿さんでもあるそうです。
安田謙一さんのライナー執筆起用も坂口さんの肝煎りだったようです。
ベスト盤と謳いながらも本邦初公開の音源も交じっているのが大滝さんらしい。


12月の旅人になってしまった福生の仙人への敬意と感謝を込めて、この一枚を。

先述のベスト盤にも収録されている、はっぴいえんどの『12月の雨の日』。
1971年の4月1日にリリースされました。
これは細野さんと松本さんが以前に組んでいたエイプリルフールをもじっているのでしょうか。
因みに僕が持っているシングル盤はリプロです。
ジャケットは敢えて裏面をアップしてみました。
こっちの方がカッコいいですよね。

それはそれとして、『ゆでめん』と称されるファーストアルバムとは別バージョン。
リリースもURCからではなく、キングレコードから。
録音にははじめて吉野金次さんが起用されます。
のちに大滝、細野ご両人のそれぞれのソロアルバムでも手腕を発揮される名エンジニアとのコラボレーション。
『ゆでめん』版の『12月の雨の日』はファーストアルバムのレコーディングの初日に録音されました。
二つのバージョンを比べるとやはり完成度ではシングルバージョンが勝っています。
オリジナルバージョンは表現が固いですね。
バンドとして初めてのレコーディングだし無理もないと思います。
そして、約8カ月後に再録されたシングルバージョンは楽曲への洗練度と抒情性が飛躍的に向上しています。
色気が出ています。
大滝さんのヴォーカル、研ぎ澄まされた美声が霧が晴れたように聴こえてきます。
ご自身の多重のハーモニーも相まって。
演奏も良く練られていて、細野&松本両氏の弾力のあるグルーヴが躍動します。
アコースティックギターの音も重ねられ音に潤いと厚みが感じられます。
鈴木茂さんのイントロのフレーズもさらに自由に駆け巡ります。
思えばジョージ・ハリスンの『オール・シングス・マスト・パス』の翌年にこのシングルが発売されたんですね。

ある雨の日の12月の東京の街並みと人波のスケッチ。
師走の慌ただしい都会の風景をドロップアウトした青年が静観しているのでしょう。
微熱少年・松本 隆さんのまなざし。
ファーストアルバムバージョンのうつむき加減の内省的な素朴さも僕は好きです。
シングルバージョンは大滝さんのメロディメイカーとヴォーカリストとしての非凡さが引き出されていると思います。

B面は『はいからはくち』。
日本のロックンロールのスタンダード。
『12月~』の抒情性と一転しての諧謔性に満ちた痛快なロックンロール。
この曲も大滝さんが書いてます。
すでに大滝さんのメロディタイプとノヴェルティタイプの二面性が両面に配置されています。
このシングルバージョンも後にリリースされる『風街ろまん』と異なるアレンジメントが施されています。
敬愛するフィルス・ペクターが手掛けたクリスタルズの『ダ・ドゥー・ロン・ロン』のリズムを下敷きに、日本文化のエッセンスからサイケデリックを抽出した歌詞の面白さ。
はっぴいえんど解散後四人とも形式的な“ロックバンド”を組まなくなったのも判る気がします。
今聴いても胸騒ぎがします。

まだまだ、はっぴいえんど。
今月号のレコードコレクターズ誌がこのバンドの特集をするように、三度ボックスがリリースされました。

1993年にキングレコードから出たボックス。

2004年にエイベックスから出たボックス。

に続いて、2014年の今月、キャニオンからボックスが!
エイベックス版で打ち止めと思いきや。

過去の二種は買いました。
最初のはお金に困って売ってしまいました。
内容も少し物議をかもしました。

3つ目は僕の元にはまだ届いていないけど、今日か明日中には届くと思います。
どんな音が聴こえるでしょうか。
楽しみです。

そして。

今夜NHKでラジオとテレビで特番がオンエアされますね。
とっても楽しみです。
テレビの方は元メンバーも出演されますが、もし大滝さんが健在だったとしてもこの番組は三人しか出演しなかったのでしょうね。

それにしても今年の12月は寒かった。
雨の日はさらに冷たかったです。
例年暖冬と云われていましたが、今年は子供の頃に感じたような懐かしく厳しい寒さがあります。

『12月の雨の日』《BS-1366》〈作詞:松本 隆/作曲:大瀧詠一/編曲:はっぴいえんど〉(03’19’’)【1971】


はっぴいえんどマスターピース

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  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • 発売日: 2014/12/26
  • メディア: CD



はっぴいえんど

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  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • 発売日: 2009/02/18
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  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: キングレコード
  • 発売日: 2012/10/03
  • メディア: CD



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いとぞう

「12月の雨の日」の大滝さんのボーカル、素晴らしいですね。とにかく綺麗な曲だと思います。あの日から今日でちょうど1年なんですね・・涙が止まらなかったあの瞬間を昨日のことのように思い出します。
ちょうど今、NHKラジオのはっぴいえんど特集聞きながら書いてます。やはり大滝さんは語りつくせないほどの魅力がありますね。BSのほうも楽しみです。
by いとぞう (2014-12-30 20:24) 

都市色

>makimakiさん、nice!ありがとうございます。
良いお年を。
by 都市色 (2014-12-31 02:47) 

都市色

>いとぞうさん、コメントありがとうございます。
元春のライヴで訃報を聴いたんですよね。
ショックは大きかったでしょう。
特番は良かったですよね。
今は明るく、残された大滝さんの音楽をずっと楽しんでいきましょう。
by 都市色 (2014-12-31 02:49) 

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