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『もぐらたたきのような人/町 あかり』 [歌謡曲/10年代]

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こんばんは。
もうすぐ一年が終わりますね。
今年も色んなミュージシャンの音楽を聴きました。
でも新しいモノはそれほど聴きませんでした。
数少ないニューカマーの音楽を紹介しましょう。

町 あかりさんです。
個人的な今年の新人賞って感じで。

今年ビクターエンターテイメントから6月にメジャーデヴューしました。
数年前からインディーズで活動されてて、
そのユニークな活動が巷で噂になってました。
僕も昨年頃からyou tubeで見て気になってました。
そしてここでも安田謙一さんがメジャーデヴュー用の宣伝用フライヤーに文章を寄せられてて。

今回取り上げるのはメジャーでのファーストシングル『もぐらたたきのような人』。
インディーズ時代からの代表曲をシングルカット。
メジャーからのファースト『ア、町 あかり』にも収録されてます。
このアルバムは今年良く聴いた1枚です。
ひさしぶりにCDでのシングルを取り上げますね。
6曲入り。

一曲目は勿論『もぐらたたきのような人』。
町さんならではの非凡なタイトルにまずは惹き付けられます。
いまどき《もぐらたたき》という言葉を使うのが実に珍しいですね。
目の付け所がシャープです。
“もぐらたたき”は“ワニワニパニック”にも言い換えることが出来ます。
でもメロディには合いません。

歌詞を読むと、ラブソングのように解釈もできるし、
もぐら叩きのように、神出鬼没で気にあるアイツ。
そんな掴み処の無い奴に首ったけ。
と、いうように。
でも単に鬱陶しい奴とも受け取られます。

アップテンポのシンセサイザーのリズムに乗ってキャッチ―なメロディがグイグイと展開します。
町さんお得意の一度聴いたら耳から容易に離れられない旋律。
実に粘着質のある頑固なメロディです。
シンプルなメロディのリフレインが耳へ執拗にインプットされ続けて病み付きになります。
すぐに鼻歌出来そうなくらいに。
親しみやすいメロディも魅力的なんですが、
それだけじゃなくて町さんの歌唱方法にも魅力が感じられます。
スッと耳なじみの良い声色。
明瞭で、洗いざらしのシャツのような聴き心地。
ひとつひとつのメロディはシンプルなのですが、同じフレーズでも微妙に抑揚を変えて表現しているのが味わい深いです。
♪もぐらたたき
のフレーズをとっても歌い方が少しづつ違ってます。
表情豊かな歌いっぷりが面白くって何度聴いても飽きないのです。
単に歌が巧いだけじゃないです。
実に奥が深い。
そして欠かせないのが
町さんの必須アイテムのピコピコハンマー。
増田屋「KOハンマー」の中サイズを愛用されてるとのコトですが、
叩くときのSEが絶妙にサウンドのアクセントとなってます。
一聴すると平板に聴こえるデジタルの打ち込みのサウンドですが、不思議と飽きません。
過不足無くフィットします。
書き割り背景も味わい深いのです。



町 あかりという歌手の名刺代わりの一曲。

二曲目は『あのコは高画質』。
町 あかりさんというと、往年の歌謡曲を髣髴させるソングライティングが得意と言うイメージですが、
まさにこの曲は歌謡曲ど真ん中。
どこかで聴いたことがあるような70年代の歌謡曲テイストが濃厚であります。
あまりにど真ん中過ぎて参ってしまいます。
グッとハートを鷲掴みするようなギターのフレーズ。
サウンドはあの時代の歌謡曲ですが、歌詞は現代にアップデートされています。
フォトジェニックなあのコを形容する表現が、今どきです。
そこが町さんのセンス。
ノリの良いエイトビートに乗って、歌いっぷりも見事。

町さんはご自身の音楽を“昭和歌謡”にカテゴライズされることを忌み嫌っているそうです。
昭和歌謡と言うネーミングは比較的最近作られた造語であり、ひとつのトレンドを表すものであり、そういう流行に乗って町さんが音楽を作っていると考えられるのが耐えられないのでしょう。
十把一絡げで安易な表現で括られるのは心外なのだと思います。

3曲目は『どっちでもいいヨ』。
カントリーテイストの微笑ましいラブソング。
ウキウキするような弾むメロディにこっちも頬が緩みます。

4曲目は『うっとりしちゃう』。
4ビートのロマンティックな歌謡ポップス。
20代のお嬢さんが作ったとは思えない包容力のあるたそがれメロディ。

4者4様の魅惑のポップスを堪能できます。

5曲目は『もぐらたたきのような人』のカラオケ。

そして6曲は何故か『もぐ吉ものがたり』なる町さんによるオリジナルの童話を朗読のコーナー。
朗読する声も良いですね。
これはまだ1話で続きがあるようです。
町さんは文鳥を飼っていて、その可愛がりようが尋常じゃありません、
掴み処の無い町 あかりワールド。

町さんの音楽のセンスは完成されていて、
僕が大好きなクレイジーケンバンドの横山 剣さん、小島麻由美さんに通じる完成度です。
このお二人も歌謡テイストの曲を作るのが上手いですね。
町さんは勿論70~80年代の歌謡曲が大好きです。
ジュリーや筒美京平先生も勿論お好きで。
そしてサザンオールスターズが大好きという点でも他人とは思えません。
桑田さんもその手の曲を作らせたら天才ですし。
町さんはサザンと同じビクターエンターテイメントの所属でしたね。

そして、町さんの音楽を聴いて思い出したのは“高橋ひろ”さんです。
僕のブログではお馴染みの。
メロディ作りの巧さ、そして作詞の面でのユニークな言葉使い。
町さんに通じるところがあります。
どうでしょうか。

最後に、

秋ごろに京都の立誠シネマにて町さんと安田さんのトークショーを観に行きました。
町さんと安田さんがお好きな歌謡曲についてお話されており、それは僕が大好物のお話でもありました。
旧小学校の校舎の一室が劇場に使われているので、
何だか放課後の部室で軽音楽部の仲間のお話を聞いている気分でした。
そのあとは町さんのミニリサイタル。
はじめて町さんのパフォーマンスを観ましたが、
場慣れした仕切りの巧いライヴ展開を楽しみました。
ライブでは町さんと安田さんのデュエットも聴くことが出来ました。
『カナダからの手紙』です。
と、書いたところで、スチャダラパーの『彼方からの手紙』はこの曲のもじりなのかと、今頃気付きました。
もう20年以上も経ってるのに。
あちゃぁ。
お二人のデュエットはとてもお似合いなのでした。

それは置いといて。
町さんを観ていますと、
学生時代の修学旅行でお世話になったバスガイドさんをなんとなく思い出します。
愛想が良くて機転が効いて、親しみ易い感じがします。

これからの町 あかりさんの快進撃を楽しみにしています。

それでは皆さん、良いお年を。
ありがとうございました。


『もぐらたたきのような人』《VICL-37106》〈作詞・作曲:町 あかり/編曲:坂東巴真〉(02’59’’)【2015】



もぐらたたきのような人

もぐらたたきのような人

  • アーティスト: 町あかり,町あかり,坂東邑真,川井伊那
  • 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
  • 発売日: 2015/09/23
  • メディア: CD



ア、町あかり

ア、町あかり

  • アーティスト: 町あかり,坂東邑真
  • 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
  • 発売日: 2015/06/24
  • メディア: CD



町あかり全曲集 その1

町あかり全曲集 その1

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: タウンレコード
  • 発売日: 2013/10/30
  • メディア: CD


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