『JOY TO THE WORLD 喜びの世界/SALLY SOUL STEW』 [ピチカートファイヴ]
こんばんは。
連休はいかがでしたか?
僕は連働でした。
それにしても嫌なニュースですね。
人を人と思わない巨悪の仕業。
若者たちを働かせ、悪い奴ほどよく眠る。
おっと、このへんにして置きましょう。
世界が少しでもよくなりますように。
今回も高浪慶太郎さん関連。
高浪さんと親交の深いサリー久保田さんのソロユニット・《サリーソウルシチュー》の7インチ。
以前『あなたに負けたの』を取り上げています。
昨年の7月にリリースされた、久々のシングル『JOY TO THE WORLD 喜びの世界』。
A面のタイトルソングを高浪さんが作曲しています。
久保田さんが高浪さんに、筒美京平先生が作るようなソウル歌謡を作って欲しい、という依頼に見事応えた快作。
70年代、マチャアキや尾崎紀世彦さんなどの歌手に提供していた頃のソウル歌謡のニュアンスを理解してのソングライティング。さすがです。
〈~風の曲で〉というお題に打てば響くのが作曲家。
シングルのジャケットを観ると、広い荒野が映っています。
なつかCМのマンダムの『男の世界』を模したジャケット。
あのCМソングにも通じる爽やかでスケールの大きなソウル歌謡。
その曲を歌うのは男性では無くて、
真城めぐみさん。
サリーソウルシチューの過去の作品でもヴォーカルとして参加しています。
親しみ易さと、パンチの効いた歌声の魅力が楽曲にマッチしています。
演奏はドラムが白根賢一氏、ギターが中森泰弘氏、そして鍵盤は中山 努氏とお馴染みのメンツによる
アンサンブル。
勿論ベースは久保田さん。
中森さんのファズギターの鳴りがいかにも70年代。
往年の歌謡曲にあった生演奏の活気とグルーヴを感じさせます。
B面も負けていません。
タイトルは『ブラックコーヒー』。
こちらは高浪さんの曲ではなく、70年代初頭の東宝映画『脱出』のテーマソングのカヴァー。
オリジナル歌手はピートマック・ジュニア。
初期のルパンのテーマソングで有名な方ですね。
この方はGSのマミーズというバンドのヴォーカリストだったそうです。
カヴァーの選曲は人気和モノDJのDJフクタケ氏からのリクエストによるもの。
僕は不勉強にして全く知らなかったのですが、サリーソウルシチューのカヴァーで聴いて一発で気に入ってしまいました。
今回のカヴァーでヴォーカルを取るのはレモンさん。
ワックワックリズムバンドの女性ヴォーカリストでもあります。
真城さんに負けないパンチの効いた歌声の持ち主。
真城さんよりもソリッドな響きのヴォーカルが持ち味。
演奏のメンツは『喜びの世界』と同じです。
イントロの白根さんのダイナミックなドラミングから、一転疾走感のあるリズムで突き進みます。
70年代初頭のニューロックとGSのエッセンスがブレンドされたサウンドにクラクラ。
ノワールでシリアスなムードを焚き付けるエイトビート。
ブンブン唸る久保田氏のベース。
中森氏の鋭いギターカッティング。
さらに中山氏のハモンドオルガンのクールな熱演。
演奏陣の荒々しくやさぐれたグルーヴ最高潮。
『ブラックコーヒー』と題されるだけあってダークネスでほろ苦く、センチメンタルを排したカッコよさ。
歌詞は、闇の世界に生きる若者たちの心意気を歌っています。
70年代の都会の片隅で孤独や自由を愛し、さすらう彼らの哀愁がコーヒーカップになみなみと注がれている感じです。
曲を書いている方は三枝 伸という方。
この方も相当面白いです。
フィンガー5の作曲や編曲で活躍されました。
それ以前は60年代末期に三枝 伸とデイ&ナイツというグループを組んだりされていました。
当時は他にも様々なグループに楽曲を提供していました。
とても興味のある方です。
そして先ほど話題に挙げました映画『脱出』。
実はこの映画は物語の内容がひっかかってお蔵入りになった作品なのでした。
出演にはピートマック・ジュニアをはじめ、フラワーメグ、荒木一郎の名前があります。
しかーし。
今年歌手デヴュー50周年の荒木一郎さんを祝して、東京渋谷のシネマヴェーラにて、『荒木一郎映画特集』が今週末から開催されます。
その特集の上映作のラインナップに『白い指の戯れ』『893愚連隊』『日本春歌考』などに混じって、ナント『脱出』も入っていました!!
姉さん、金田一さん、事件です。
嗚呼観たい。
観たい。
観られるのか?
上映スケジュールの都合がつく昔の邦画ファンの方は宜しければご覧になって下さい。
尚、今回のシングルには“偉大なるベースプレイヤー 江藤 勲に捧ぐ”というコピーが添えられています。
ジャッキー吉川とブルー・コメッツのベースプレイヤーとして、そして60年代から70年代の歌謡界での様々なレコーディングに参加して数多くのヒット曲を演奏された方です。
昨年の四月に71歳でお亡くなりになりました。
サリー久保田さんにとっても偉大なベース奏者の先達として、尊敬の念を抱かれていたのだと思います。
という訳で歌謡ポップスへの愛に溢れたアナログシングル盤です。
同内容のCDも同封されています。
それでは、
喜びの世界が広がりますように。
『JOY TO THE WORLD 喜びの世界』《MWRR9730》〈作詞:サリー久保田/作曲:高浪慶太郎/編曲:中山 努〉(03’33’’)【2015】
JOY TO THE WORD~喜びの世界 C/W ブラック・コーヒー (7inchアナログ+CD)
- アーティスト:
- 出版社/メーカー: まわりそうなRECORDS
- 発売日: 2015/07/01
- メディア: CD
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