『NIGHTINGALES/PREFAB SPROUT』 [PREFAB SPROUT]
どうも。
今日はクリスマス・イヴ。
といっても。
特に用事もなく平穏に遅くまで仕事へ従事して残業代を稼ぐ所存であります。
前回は純然たるクリスマス・ソングをお送りしましたが、
今宵はクリスマス・ソングっぽいシングルをご用意しました。
プリファブ・スプラウトの『NIGHTINGALES』の12インチシングルです。
僕の大好きなバンドです。
1988年に発表された彼らの3rdアルバム『From Langley Parks To Memphis』からのシングルカット。
このアルバムもホント、良いんですよねぇ。
アルバムではA面の5曲目(最後)、前半のハイライトとなるバラード曲。
彼らの楽曲でも特に大好きな曲。
とにかくメロディの美しさ。
刹那さ。
ボキャブラリーの乏しい僕では到底表現出来ない魅力に溢れた旋律が奏でられています。
メロディの詩人、パディ・マクアルーンの歌詞も素晴らしい。
タイトルの“ナイチンゲール”とは“小夜啼き鳥(さよなきどり)”。
大変鳴き声の美しい鳥。
何か悲しい運命に抗う事が出来ずに、静かに流されていくふたり。
小さく無力な歌うだけの小鳥のように。
大雑把にそんなイメージが難解な歌詞から伝わって来ます。
12インチバージョンという事で、
当然エクステンディッドなので、長尺です。
オリジナル版にはない装飾が施されています。
Michael H. Brauerによるリミックス。
原曲の良さを損ねることなく、より劇的に演出しています。
イントロでスレイベルがシャンシャン・・・と鳴り出すのが実にクリスマス的。
聖夜の雰囲気がします。
そしてビーチボーイズのペットサウンズっぽいアレンジもパーカッションの音に少し感じられます。
ブライアン・ウィルソンによる痛切なまでに美しい名アルバムに匹敵するくらい、『NIGHTINGALES』は素晴らしいのです(きっぱり)。
ドラマティックで儚く、もの悲しいメロディが厳かに展開されていきます。
パディのリードヴォーカルに天空から優しく寄り添うようなウェンディ・スミスのマジカルなヴォイス。
ゲストにスティーヴィー・ワンダーが参加して得意のハーモニカを披露しています。
ゴージャスなアレンジに埋没せず、美しい調べを響かせています。
ストリングスアレンジはロビン・スミス。
悲しみを浄化する叙情的音響。
歌という物語の世界をより長く楽しむコトの出来る12インチバージョンも乙です。
彼は敬虔なクリスチャンですが正式なクリスマスソングはまだないようです。
歌詞の中にchristmas nightという言葉が入っている『Earth: The Story So Far』がありますが、
この曲はもっと普遍的なラヴソングですので。超名曲ですね!!
さて、ひっくり返してB面。
こちらはデモ音源集。
パディの秘蔵音源コーナー!
3曲収録されています。
まずは『Life of Surprise』。
アルバム『From Langley Parks To Memphis』は3rdアルバムと申しましたが、
実はその前のセカンド『Steve McQeen』のリリース後にセルフプロデュースで一枚のアルバムを完成させていましたが、レコード会社の判断でお蔵入りとなりました。
アルバムのタイトルは『Protest Songs』で、その中の曲です。
『From Langley~』の方が先にリリースされてしまったのです。
この12インチの時点ではまだ公式に発表されていませんでした。
リリースは翌年の1989年でした。
アルバムの内容は別に社会へ異議申し立てをする内容ではなく、これまでのバンドらしい良い内容なのに。
アップテンポのミステリアスな感じの曲で、デモ音源は24トラックでレコーディングされたそうなので完成形に近い出来です。
作り込まれています。
お次は『KING OF ROCK'N'ROLL』。
『From Langley Parks To Memphis』のオープニングを飾るポップな曲。
これまでのプリファブス・プラウトに無かった遊び心があり、明るめのサウンド。
デモ音源は16トラックで録音されて、こちらも完成版に近い出来。
パディ・マクアルーンの完璧主義が感じられます。
最後は『Bearpark』。
これはアルバム未収録音源です。
デモ音源しか存在していようで、未だに完成版が作られていないようです。
ジャケットのパディのコメントでは初めてドラムマシーンを使って、4トラックのテープレコーダーで録音されたそうです。という事は最初期の録音なのでしょうか。苦労してのホームレコーディングらしいです。
なるほど、それまでの2曲に比べると簡素なサウンドですが、
パディ・マクアルーンの透明感のあるメロディラインが美しい不思議な印象を与える作品。
彼にはこの曲のように正式にレコーディングされていない、未発表のデモ音源が多数あるようです。
それらはシングルのカップリングにときどき収められています。
ダイヤモンドの原石のような魅力的な曲ばかりなのですが、
そうしたシングルも残念ながらすぐに廃盤になってしまい、熱心なファン以外にはちゃんと聴かれず仕舞いなのです。
パディ・マクアルーンと言う人は商売っ気の無い方で、ファンがそうしたデモ音源ですら聴きたいと思っているのに、アルバムの再発盤のボーナストラックにも入れようとしません。
CDボックスのようなアンソロジーを編んで、デモ音源を入れようともしません。
そもそも未だに箱モノは出してません。何故?
再発をする度にレア音源を手を変え、品を替えと小出しにして、マニアだけをターゲットに商売するような色気も持ち合わせていないのです。
今回の『NIGHTINGALES』の12インチバージョンですら未CD化ですから。
このアナログでしか聴けないのです。
そうした企画モノをバンバン出して製作費を稼げばもっとスムーズにレコーディングが出来そうな気もします。
余計なお世話でしょうけど。
う~ん、ファンとしてはとにかくパディに健康で長生きして頂いて、地道にレコーディングされた作品を一作でも多く発表して貰う事だけが生きがいです。
来年はニューアルバム、聴けるかな。
パディさん、どうぞ、良いお年を。
そして等しく人々に平穏と繁栄を。
『NIGHTINGALES』《SKX 39》〈Written by Paddy McAloon〉(07’28`’)【1988】
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