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『忘れるさ 忘れるさ/エル・ソタノ』 [荒木一郎]

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おハローございます。
今回も荒木一郎の世界へ、もう少し深く。

前回のパルに先駆けること10年前の1969年、ビクター時代の荒木さんは男女混成のコーラスグループのデヴューシングルの両面に曲を書きました。
エル・ソタノという名前の6人組(女性2人と男性4人)。

和製ソフトロックのコンピレーションCDの名シリーズ、ソフトロック・ドライヴィンのビクター編『空と海とわたし』にB面曲の『北のアカシア』も収録されていて、
土龍団によるライナーノーツによると、赤坂の三丁目のクラブ《エル・ソタノ》で演奏しているところを同社のディレクターに見初められてレコードデヴューすることになったそうです。
『まわり舞台の上で』での荒木さんの壊述では、当時の荒木さんはその店によく出入りしており、彼らを知っていたそうです、その縁かは判りませんがビクターに所属していた荒木さんに楽曲の依頼が来ます。

まずはA面『忘れるさ 忘れるさ』。

♪ Dan Dan   Dan Do Dan .....

と、ドゥーワップ・グループ風な男性が唄う低音のベースラインからのイントロに、ニール・セダカの『Breaking up is hard to do(悲しき慕情)』が少し頭を過りますが、そこまでオールディーズタッチな若者向けのポップスという感じではなく、より大人向けな感じのポピュラー音楽。
しかしカレッジポップスに近い明るく爽やかなテイストは当時としては垢抜けています。
澄み渡るような混成のコーラスワーク。


B面は『北のアカシア』。
こちらはよりムード歌謡テイストのロマンチックな楽曲。
荒木さんのメロディアスな魅力が炸裂しています。
ラテン調の演奏の疾走感、そして途中で急にテンポを落としてバロック風なコーラスが挿入されたり、緩急自在なサウンドも素晴らしい。
ビクターオーケストラ大活躍。
ソフトロックドライヴィンに収録されるだけあって和製ソフトロック度が高めです。
同作には荒木さんが楽曲提供した有沢とも子さん(梶 芽衣子さんの妹)のシングル曲も収録されていました。

今回のシングルはどちらもアレンジは近藤 進さんと言う方が担当されていて、
洗練されたサウンドが耳を惹き付けます。
荒木さんの曲の魅力をさらに引き出してます。


『まわり舞台の上で』には詳細な荒木一郎さんの仕事のリストが掲載されていて、
出演した映画やドラマだけではなく、音楽面でのプロデュースワークや楽曲提供作品のリストも載っています。
この本を読んでエルソタノのコトを知りました。
それからシングル盤を探し始めて、なかなか見つからなかったのですが、
フォローしていたとある中古レコード屋さんがこのレコードの入荷をツイートしていて、すぐさまメッセージを送って在庫を確認してもらい、取り置きして貰ってそのレコード屋さんへ買いに行きました。値段も手頃だったので嬉しかったです。いい買い物をしました。
こういうときだけツイッターの有難味を感じます。

このシングルの二曲とも荒木さんが書いたと、申しましたが、名前を変えて《水木順子》名義でクレジットされています。
荒木さんはそれ以外でも《水木京子》とか《小野京子》《枯木 華》《ナポレオン》とか名乗ってました。
そういえば、変名をアレコレ使うところも、大滝さんに似ていますね。

因みに、エル・ソタノには後に編曲家として活躍する竜崎孝路氏が在籍していました。
五木ひろしの『よこはまたそがれ』、キャンディーズの『あなたに夢中』『危い土曜日』『ハートのエースが出てこない』、八代亜紀『舟唄』『雨の慕情』、美空ひばり『川の流れのように』などなどを手掛けています。

『忘れるさ 忘れるさ』《SV-900》〈作詞・作曲:荒木一郎/編曲:近藤 進〉(02’39’’)【1969】



ソフトロック・ドライヴィン ビクター編 ~空と海とわたし

ソフトロック・ドライヴィン ビクター編 ~空と海とわたし

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
  • 発売日: 2006/01/21
  • メディア: CD





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