『チャイナタウン 愛のテーマ/ジェリー・ゴールドスミス』 [サントラ]
こんばんは、
さぁ、今夜もやって参りました、
『午前二時の映画音楽祭』の時間です。
今回はロマン・ポランスキー監督の1974年のアメリカ映画『チャイナタウン』です。
アメリカンニューシネマ期の超絶フィルムノワール&ハードボイルド。
主演はジャック・ニコルソン、共演はフェイ・ダナウェイ。
この作品を昨年の『新・午前十時の映画祭』にて久しぶりに観ました。
大学時代にビデオレンタルで観て以来でした。
大きなシネコンのスクリーンにて修復された映像で観る『チャイナタウン』は新たな感動を呼び覚ましてくれました。
徹底してハードでシリアスなムードが陽光の西海岸の元に立ち込め、酔いしれました。
そして、忘れちゃならない名匠ジェリー・ゴールドスミスによる甘美なスクリーンテーマ。
元々は異なる作曲家が映画音楽を担当していましたが、その出来栄えに満足できず、直前になってゴールドスミス氏に依頼、その後僅か十日で完成。
映画史に残る名曲が生まれました。
美しく、遣る瀬無いメロディ。
華麗で重厚なオーケストレーションに浮かび上がるトランペットソロ。
ユアン・レイシーというトランぺッターによる演奏。
深みのある音色。
痛みと苦味に溢れた救いの無い物語に只一つの癒やし又は許しを与えるようなメロディ。
終盤からの、怒涛の悲しい展開へ、観る者を突き放すようなバッドエンディング。
チャイナタウンでの壮絶なラストシーンからゆっくりと静かにカメラが引いていくシーン、そしてエンドロール。
という訳で映画『チャイナタウン』のオリジナル・サウンドトラックからのシングル。
A面は映画の主題歌『愛のテーマ』。
何度聴いてもウットリとします。
物語の世界へ引き込まれるように。
そして、
今夜、『チャイナタウン』のテーマを選んだのは、
アメリカで大統領選挙の投票があったからです。
そしてその結果にショックを受けたからです。
あの結果を知って、さまざまな方の感想や考えをネット等で読んだりしました。
そして何と言うか、アメリカという大国の深い闇を垣間見たような。
自由と言いながらも様々な価値観の激しい変化に対応しきれなくなった白人社会、男性社会、権力社会の居直り。
その後味の悪さがまるであの映画での悪役を代表とする巨大な利権に縋り付こうとする独善的な人々に通じる様な。
旧態然とした世界。
この考えは少し大袈裟な感じもしますが。
勿論この嫌悪感は『チャイナタウン』からの感動や価値とは無関係です。
B面は同じく映画から『ジェイクとイヴリン』。
テーマソングの変奏です。
ジャック・ニコルソンとフェイ・ダナウェイのラブシーンで流れます。
ストリングスとピアノを絡めてロマンティックに表現されています。
そして、
傷ついたもの同士の束の間の情事のあと、部屋に鳴り響く一本の電話。
その電話から物語は猛スピードを挙げて悲しい終盤へと堕ちていきます。
嗚呼。
今日は大きなニュースで胸がいっぱいになりそうでしたが、仕事帰り、野暮用を済ませた後で立ち寄ったあるカフェで素敵な親切に出会ったので救われました。
ありがとうございます。
この映画のテーマソングのように。
ではまた。
世界の人々が少しでも穏やかに、平和に暮らせますように。
『チャイナタウン 愛のテーマ』《JET-2296》〈作曲・編曲:ジェリー・ゴールドスミス〉(02’07’’)【1974】