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『東京カラー/婦人倶楽部』 [邦楽ロック10年代]

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こんばんは。
2016年ももう終わり。
早いですね~。

さっきお雑煮を食べたと思ったら、もうあと数日で大晦日。

今年もイロイロ聴いたり、観たり。
楽しませて頂きました。

でも総じて時間が足りませんでした。

観たい映画や舞台やライヴが多すぎて。
行きたい日に限って仕事だったり。
家でじっくり音楽を聴く時間も少なかったような。


年々時間が早く感じられるのは何なんでしょう。

今年の年間ベストが発表される時期ですが、
おおっぴらに発表できるほど今年出た新譜は買えませんでした。


数少ない今年買った新譜のアルバムの中で特に愛聴した作品に、
夏に発表された“婦人倶楽部”のファーストアルバム『フジンカラー 』があります。

婦人倶楽部とは、佐渡島に居住する主婦4人組とのこと。
一般人らしいので顔見せNGで、割烹着と手拭いの姉さん被りがトレードマーク。
なんだか主婦の秘密のバイト、って感じでワクワクしますねって冗談です。
それはそれとして。
彼女たちの音楽のキーパーソンとなるのが、プロデュースを担当するムッシュ・レモン氏。
実は“カメラ=万年筆”というユニットのメンバーの佐藤 望氏の仮の名前。
このユニットのファーストアルバムは以前よく聴いてました。

クラシカルでカラフルなポップミュージック。
90年代に隆盛した渋谷系を髣髴させるような軽音楽、それが婦人倶楽部。

今回ご紹介するのは彼女たちの2枚目のCDシングル。
東京カラー』。

お洒落なメロディと80年代の化粧品のCМになりそうな甘美でモダンなサウンド。
そしてミスティで香しい女性ヴォーカル。
4人のメンバーはそれぞれA、B、C、Dと名乗られていまして、知的で魅力的なヴォーカルを披露しているのは、
婦人Bさん。
謎の女Bって感じでミステリアス。
この方の歌声、とっても好きです。
野宮真貴さん、佐藤奈々子さんらにも通じる感じで。

東京へ佐渡島からフェリーで出かける主婦の女性ひとり。
若い頃に遊んだ思い出のある街、東京。
懐かしい街に久しぶりに訪れて、ウキウキしながらも、
相変わらず賑やかで慌ただしいムードは、少し年を取った身には違和感が。
若い頃とのギャップを感じつつの東京散歩。

そんな、なかなか趣のある歌詞、さすがムッシュレモン氏。
婦人Bの歌声と見事に調和しています。




2曲目は『Tech Okesa』。
佐渡と言えば、『佐渡おけさ』という民謡が思い浮かびます。
僕も大して詳しくは無いですが、
婦人倶楽部による《おけさ》はテクノ仕様。
浮遊感のあるデジタルサウンド。
風流なポップミュージック。
細野さんの『オムニ・サイトシーイング』(1989)を思い出しました。

3曲目は『FUJIN CLUB(Minami Kitazono Remix)』。
婦人倶楽部の1stマキシシングルCD『FUJIN CLUB』のタイトルソングを気鋭のミュージシャン、北園みなみ氏がリミックス。僕はCD『FUJIN CLUB』を持っておらず、
オリジナルバージョンよりリミックスバージョンを先に聴いたのでした。
この曲もオシャレでポップなメロディと婦人Bによる気品のある歌が素敵です。
有閑夫人のエレガントな生活がつづられています。
アルバム『フジンカラ―』にオリジナルバージョンも収録されたので聴き比べてみると、原曲よりテンポが速くなり、ダンサブルな仕上がりでした。北園みなみ氏の手腕も炸裂。
そして後から聴いたオリジナルの『FUJIN CLUB』、これがまた大変結構な出来で、洗練の極みで緻密に構築されたムッシュレモン氏のアレンジにクラクラします。

4曲目は『東京カラー』のインストバージョン。
ゲーム音楽っぽい仕上がりで、
1曲目とはアレンジが異なります。
アレンジはフリッパーズやコレクターズのエンジニアを手掛けられていた美島豊明氏が担当。

マキシシングルですが、サウンドの引き出しの多い聴き応えのある4曲。
アルバム『フジンカラ―』もヴァラエティに富んだ内容でユーモアも効いていて、ムッシュレモン氏の華麗なる音楽センスに大いに感激しました。
ピチカートを思い出させます。

婦人倶楽部というのは、現在までシングル3枚と、フルアルバム1枚を発表してますが、
単なる企画モノなのかそれとも、恒久的に続くのかまだ判りません。
僕としては珍しくとっても気に入っているので是非とも来年も活動して頂きたいです。
婦人Bの歌声ももっと聴きたいですし。

そして写真やアートワークはこれまた気鋭の川島小鳥さんが手掛けています。
ほんわか。

という訳で、佐渡島の新しい名物、チャーミングな音楽大使、と言う感じの婦人倶楽部でした。



『東京カラー』《FUJIN-02》〈作詞・作曲・編曲:ムッシュ・レモン〉(04’39’’)【2014】


フジンカラー

フジンカラー

  • アーティスト: 婦人倶楽部,M.Lemon
  • 出版社/メーカー: Grand Pacific Work
  • 発売日: 2016/07/13
  • メディア: CD



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『NIGHTINGALES/PREFAB SPROUT』 [PREFAB SPROUT]

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どうも。
今日はクリスマス・イヴ。
といっても。
特に用事もなく平穏に遅くまで仕事へ従事して残業代を稼ぐ所存であります。

前回は純然たるクリスマス・ソングをお送りしましたが、
今宵はクリスマス・ソングっぽいシングルをご用意しました。

プリファブ・スプラウトの『NIGHTINGALES』の12インチシングルです。
僕の大好きなバンドです。
1988年に発表された彼らの3rdアルバム『From Langley Parks To Memphis』からのシングルカット。
このアルバムもホント、良いんですよねぇ。

アルバムではA面の5曲目(最後)、前半のハイライトとなるバラード曲。
彼らの楽曲でも特に大好きな曲。
とにかくメロディの美しさ。
刹那さ。
ボキャブラリーの乏しい僕では到底表現出来ない魅力に溢れた旋律が奏でられています。
メロディの詩人、パディ・マクアルーンの歌詞も素晴らしい。
タイトルの“ナイチンゲール”とは“小夜啼き鳥(さよなきどり)”。
大変鳴き声の美しい鳥。

何か悲しい運命に抗う事が出来ずに、静かに流されていくふたり。
小さく無力な歌うだけの小鳥のように。

大雑把にそんなイメージが難解な歌詞から伝わって来ます。

12インチバージョンという事で、
当然エクステンディッドなので、長尺です。
オリジナル版にはない装飾が施されています。
Michael H. Brauerによるリミックス。
原曲の良さを損ねることなく、より劇的に演出しています。

イントロでスレイベルがシャンシャン・・・と鳴り出すのが実にクリスマス的。
聖夜の雰囲気がします。
そしてビーチボーイズのペットサウンズっぽいアレンジもパーカッションの音に少し感じられます。
ブライアン・ウィルソンによる痛切なまでに美しい名アルバムに匹敵するくらい、『NIGHTINGALES』は素晴らしいのです(きっぱり)。
ドラマティックで儚く、もの悲しいメロディが厳かに展開されていきます。
パディのリードヴォーカルに天空から優しく寄り添うようなウェンディ・スミスのマジカルなヴォイス。

ゲストにスティーヴィー・ワンダーが参加して得意のハーモニカを披露しています。
ゴージャスなアレンジに埋没せず、美しい調べを響かせています。
ストリングスアレンジはロビン・スミス。



悲しみを浄化する叙情的音響。
歌という物語の世界をより長く楽しむコトの出来る12インチバージョンも乙です。

彼は敬虔なクリスチャンですが正式なクリスマスソングはまだないようです。
歌詞の中にchristmas nightという言葉が入っている『Earth: The Story So Far』がありますが、
この曲はもっと普遍的なラヴソングですので。超名曲ですね!!

さて、ひっくり返してB面。
こちらはデモ音源集。
パディの秘蔵音源コーナー!
3曲収録されています。

まずは『Life of Surprise』。
アルバム『From Langley Parks To Memphis』は3rdアルバムと申しましたが、
実はその前のセカンド『Steve McQeen』のリリース後にセルフプロデュースで一枚のアルバムを完成させていましたが、レコード会社の判断でお蔵入りとなりました。
アルバムのタイトルは『Protest Songs』で、その中の曲です。
『From Langley~』の方が先にリリースされてしまったのです。
この12インチの時点ではまだ公式に発表されていませんでした。
リリースは翌年の1989年でした。
アルバムの内容は別に社会へ異議申し立てをする内容ではなく、これまでのバンドらしい良い内容なのに。
アップテンポのミステリアスな感じの曲で、デモ音源は24トラックでレコーディングされたそうなので完成形に近い出来です。
作り込まれています。

お次は『KING OF ROCK'N'ROLL』。
『From Langley Parks To Memphis』のオープニングを飾るポップな曲。
これまでのプリファブス・プラウトに無かった遊び心があり、明るめのサウンド。
デモ音源は16トラックで録音されて、こちらも完成版に近い出来。
パディ・マクアルーンの完璧主義が感じられます。

最後は『Bearpark』。
これはアルバム未収録音源です。
デモ音源しか存在していようで、未だに完成版が作られていないようです。
ジャケットのパディのコメントでは初めてドラムマシーンを使って、4トラックのテープレコーダーで録音されたそうです。という事は最初期の録音なのでしょうか。苦労してのホームレコーディングらしいです。
なるほど、それまでの2曲に比べると簡素なサウンドですが、
パディ・マクアルーンの透明感のあるメロディラインが美しい不思議な印象を与える作品。

彼にはこの曲のように正式にレコーディングされていない、未発表のデモ音源が多数あるようです。
それらはシングルのカップリングにときどき収められています。
ダイヤモンドの原石のような魅力的な曲ばかりなのですが、
そうしたシングルも残念ながらすぐに廃盤になってしまい、熱心なファン以外にはちゃんと聴かれず仕舞いなのです。
パディ・マクアルーンと言う人は商売っ気の無い方で、ファンがそうしたデモ音源ですら聴きたいと思っているのに、アルバムの再発盤のボーナストラックにも入れようとしません。
CDボックスのようなアンソロジーを編んで、デモ音源を入れようともしません。
そもそも未だに箱モノは出してません。何故?
再発をする度にレア音源を手を変え、品を替えと小出しにして、マニアだけをターゲットに商売するような色気も持ち合わせていないのです。
今回の『NIGHTINGALES』の12インチバージョンですら未CD化ですから。
このアナログでしか聴けないのです。
そうした企画モノをバンバン出して製作費を稼げばもっとスムーズにレコーディングが出来そうな気もします。
余計なお世話でしょうけど。

う~ん、ファンとしてはとにかくパディに健康で長生きして頂いて、地道にレコーディングされた作品を一作でも多く発表して貰う事だけが生きがいです。
来年はニューアルバム、聴けるかな。

パディさん、どうぞ、良いお年を。

そして等しく人々に平穏と繁栄を。



『NIGHTINGALES』《SKX 39》〈Written by Paddy McAloon〉(07’28`’)【1988】


From Langley Park to Memphis

From Langley Park to Memphis

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Sony/Bmg Int'l
  • 発売日: 1997/05/19
  • メディア: CD



Kings of Rock N Roll: Best of

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  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Music Club Deluxe
  • 発売日: 2007/11/26
  • メディア: CD



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『みんなの願いがかなう日まで/佐野元春&ザ・コヨーテバンド』 [佐野元春]

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ハイ、こんちは。


今回も1986特集をしようかと思ってましたが、
仕事でバタバタしてまして、連続更新できず。

まぁ、もう年の瀬ですし、あの特集だと春から夏向けのシングルを取り上げるつもりでしたので、
季節ハズレな気がして、一旦お開きです。
来年また仕切り直しです。

そんな訳で、今回は季節感満載、クリスマスです。

久しぶりに元春の作品。
配信限定シングル、『みんなの願いがかなう日まで』。
彼のクリスマスソングと言うと、『聖なる夜に口笛吹いて』ですが、
2013年にリリースされたこの曲もクリスマスソングです。

近年行動を共にしているザ・コヨーテバンドとの演奏。

ウクレレの朗らかなストロークが聴こえてくるイントロ。
この楽器のなんて優しい音。
ポップス黄金のハートフルなリズム、シャッフルビートが胸の鼓動と共鳴。
フルートの素朴な音色も聴こえます。

『聖なる夜~』同様、この曲も様々な場所で様々な境遇にいる人々への温かい想いが歌の中に詰まっています。
慈悲の心。
煌びやかな装飾は無いですが、ホットなコヨーテバンドのバッキング。
NRBQの『CHRISTMAS WISH』に通じる楽しい演奏。

 ♪今ここにはいない大事な人に
 メリークリスマス

作品を出すごとに元春とバンドのメンバーとの深まる絆を感じます。
この曲もとっても素敵です。

日々、日本の国内外の情勢について、伝わってくるニュースからは明るいニュースより不安や悲しい知らせが圧倒的に多いと思います。

海外の紛争、災害。
そして昨日の新潟での大火災。
もう、何というか、言葉になりません。
どうして、こうなってしまったのかと。

失意の中、厳しい寒さの中で年を越さなければならないのかと思うと。

時間が撒き戻ってくれたら、と思います。

今年は熊本でも大きな地震がありました。
他の地域でも大小の地震が記録されています。

世知辛いですね。
これからどうなってしまうのでしょう。




貧困や差別が無く、安心に暮らしていけたらと、願わずにはいられません。

Let's stay Together

みんなの願いがかなう日まで。

冷たい夜にさよなら

どうか。

『みんなの願いがかなう日まで』〈作詞・作曲・編曲:佐野元春〉(04’28’’)【2013】







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『涙のあとに接吻を/山崎美貴』 [邦楽女性アイドル/80年代]

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こんばんは。
一年を振り返ることの多い12月。
2016年は、レコードという音楽メディアの再評価が高まった年です。
それ以前から常にレコードを当たり前のように摂取している人間からは“何をいまさら”というか。
そしてさらカセットテープまで話題になったりする始末。
カセット人気については少々眉唾ものですが、演歌界ではカセットはまだ現役だった訳で。
とにかくCD、レコード、そしてカセットが流通している日本。
つまりその状況は程度の違いこそあれ、今から30年前の1986年と似ていると云えましょう。
あの当時、オリコン誌にはレコード、カセット、CDのそれぞれのチャートが掲載されていました。

状況が似てるとは、ちょっと強引ですか。
あの頃はダウンロード、ネット配信自体が存在していなかったですし、それは決定的な違いですから。
まぁ、今は混沌としていますね。

それはそれとして、今夜も1986年シングルの旅。

今回は山崎美貴さんの2ndシングル『涙のあとに接吻(くちづけ)を』。
3月21日発売。
ソロデヴューシングル『借りたままのサリンジャー』は以前に取り上げてます。

当時21歳、十代のアイドルにはない、落ち着いた、少し大人なしっとりとしたイメージ。
その印象を大切にしながら、今回も秋元 康、後藤次利コンビの楽曲。

竹内まりやさんの曲の様な―まりやさんの女子大生でもともとはアイドルのような存在でした—歌謡ポップス。
憂いを帯びた、繊細で程好くたそがれたメロディラインが胸を優しく締め付けます。。
清廉とした山崎さんの歌声とも合っています。
河合その子さんの歌にも通じる感じがします。
こちらも秋元&後藤コンビですから。
河合その子さんはもう少し欧風趣味が強いですね。



土曜深夜のフジテレビの解放区、オールナイトフジからの馬鹿馬鹿しくも愚かしくも幸福な80年代の無邪気さが伝わって来ます。

この曲も3分54秒(くらい)です!

B面は『夕陽を選んで』。
こちらも秋元ー後藤コンビ。
同じく、木戸やすひろさんがコーラスアレンジ。
男性人称の歌詞で唄われています。

同じクラブに在籍して、恋仲になった2人、でも周りには知られていない。
そんな2人がよく通った海が見える小さなレストランにクラブの仲間たちと訪れた。
夕暮れ時には海岸沿いを仲良く歩いた思い出が。
でも仲間たちといる今ははもう2人は恋人同士ではなくて、レストランでの思い出だけが懐かしくせつない。

そんな秋元氏の歌詞も後藤氏のメロディもとても美しい。

おかわりシスターズ時代から優しくて穏やかなメロディの楽曲が多いです。

その後、ファーストアルバム『マインド・トラック』をリリースして以来、歌手活動はされていません、

でしたが、ソロ以前に活動していた“おかわりシスターズ”の元メンバーと“おかえりシスターズ”を結成して2013年にカムバック・サーモン。
現在も定期的に都内を中心にライヴを開いています。
おかわりシスターズやソロの作品は曲調が激しかったり、若さに頼ったモノはないのでお年を召して歌っても違和感がないのが良いと思います。
昔のファンには堪らないですね。
80年代の女性アイドルが近年歌手活動を再開させるという風潮が目立ちますね。
素直に喜ばしいことでしょう。

80年代と言う、何だか判らないけれどキラめいた時代の欠片を仮初めにもみんな求めているのかもしれません。
でももう手が届かないのです。
そんな時代はもう来ないのです。

『涙のあとに接吻を』《7K-215》〈作詞:秋元 康/作曲・編曲:後藤次利〉(3’54’’)【1986】


MIND TRACK (MEG-CD)

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  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: 株式会社フォーライフ ミュージックエンタテイメント
  • メディア: CD



涙のあとに接吻(くちづけ)を (MEG-CD)

涙のあとに接吻(くちづけ)を (MEG-CD)

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: 株式会社フォーライフ ミュージックエンタテイメント
  • メディア: CD



借りたままのサリンジャー (MEG-CD)

借りたままのサリンジャー (MEG-CD)

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: 株式会社フォーライフ ミュージックエンタテイメント
  • メディア: CD



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『玄界灘/段田 男』 [歌謡曲/80年代]

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こんばんは。
未だかつてないペースで更新しているのは、
一言で云えば、

自棄です。

やけのやんぱちです。

でもこれでイイの。

さぁ、張り切って今夜も参りましょう。



来た!来た!来たー!

1986年、歌謡界の新星。

段田 男”!!DanDa Dan!!

この方を語らずに1986年の邦楽シーンは語れません!



あ、ちょっと云い過ぎだったかも。
すみません。


予め断って置きますが、これは芸名です。(知ってるよ)
本名ではないです。(そりゃそうだ)

日本コロムビアから3月21日デヴュー。
曲名は『玄界灘』。
九州は北西部、日本海の西端の海域で世界有数の漁場としても知られています。
因に段田さんは愛知県出身です。

学校を卒業し、明日上京する息子へ漁師の父が漁船に乗って玄界灘へ連れ出します。
潮の匂いのする激しい荒波の中で逞しく働く父の雄姿を目に刻んで、息子は将来という己の大海原へ漕ぎ出します。

ジャケットを観ると、まだあどけなさが残る角刈りのフレッシュボーイな段田さん。
この当時は20歳頃だそう。
歌の主人公に近い心境に思いを馳せながら、歌謡界へ第一歩を踏み出しました。
歌の師である市川昭介氏の作曲。

歌詞の内容から思い出されるのは『おやじの海』。
あの曲を1986年にリブートしたような。
勿論別の曲です。
より陽気に派手に奏でられています。
そして段田さんの歌唱!
新人とは思えないノドの迫力。
ジャケットのおすましな面影は無く、パンチの効いたしゃがれ声。
やや高音の響き。
北島三郎さんを髣髴させるような大器を感じさせます。
つまり本格です。
晴れがましい歌を盛り立てます。

歌の始まりと、終わりに大胆に鳴り響くビブラスラップが印象的です。
作詞は吉田 旺、編曲は佐伯 亮。
吉田氏による歌詞も実にイイです。


B面は『姉貴』。
A面と同じ作家陣による歌。
マイナー調のうら悲しい演歌で、行方知れずになったお姉さんの消息を心配する弟の想いが切々と歌われています。
悲しみと不安を滲ませた段田さんの歌の説得力。
聴き応えあります。

トコロで、このユニークな芸名を持つ男性演歌歌手を知ったのは1986年当時毎週定期購読していた『オリコンウィークリー』からでした。チャート誌です。
この時代の歌に思い入れが深いのはオリコン誌の所為でもあります。
さて、86年にデヴューした新人歌手が多くこの雑誌で紹介されていて、当然段田さんも取り上げられていました。
その芸名のインパクトは当時の中学生にはストライク。
印象に残りました。
メディアでの話題にもなりました。

大きな期待で迎えられましたが、
段田さんはその後、セカンドシングルをリリースして芸能界から消えてしまいました。

密かにこのユニークな名前の歌手がどうして引退してしまったんだろうかと思ってました。

♪ Dan Dan 気になる~ なんつって。

そして、
数年前のネットの記事で判りました。
取り敢えずお元気そうで安心しました。

やはり芸名のインパクトが強過ぎたのでしょうか。
あの当時ではちょっと早すぎたのかもしれません。
本格的な実力派歌手なのに色物と誤解されかねない名前でしたから。
人生思うように行きませんね、ホント。

今なら丁度いい加減ではないでしょうか。
人生にifは無いのでしょうが、今もまだ歌謡界でご活躍だったら、サブちゃんの後継として人気歌手だったかもしれません。

今は地元で歌の教室を開かれているようで、“段田 男”という芸名も昔の芸能事務所から使用許可が降りて、現在も昔の名前で出ているそうです。
本名なのに、契約が切れた昔の芸名の使用を禁じて、前途有望な若い女優さんの活動の邪魔をする事務所もいますね。


最後に、数年前に開催された地元のイベントにて『玄界灘』を熱唱する段田 男さんの映像が入ってきていますので早速ご覧ください。


あれから、30年近く時間が過ぎても歌唱力は変わらないし、歌うときの表情は若々しいですね。カッコいいです。
歌を唄うのが本当にお好きなんだと、じ~んと来ちゃいました。
イイ曲だなぁ。
自分の好きなことをどんなカタチであれ、続けることが大切なんだと知らされます。

『玄界灘』《AH-719》〈作詞:吉田 旺/作曲:市川昭介/編曲:佐伯 亮〉(04’29’’)【1986】


段田男 VS 横井則子~絆~

段田男 VS 横井則子~絆~

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: モデル屋本舗
  • 発売日: 2011/09/09
  • メディア: CD



男華

男華

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: コロムビアミュージックエンタテインメント
  • 発売日: 2009/12/21
  • メディア: CD



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『1ダースの言い訳/稲垣潤一』 [邦楽ロック/80年代]

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こんばんは。
毎日遅くまで残業続きでレイトの映画もライヴも観られず、世界のニュースは残酷な事ばかり。
その憂さをブログで解消しています。

まぁ、それはそうと、今夜も1986年へタイムスリップ。
思い出のレコードに針を下ろします。

記憶は45回転。

さぁ、今夜はガッキーだぜ。
そう、稲垣潤一さんにズームイン!

前回のチェッカーズと同じ、2月21日リリースの10枚目のシングル。
1ダースの言い訳』と『April』の両A面扱い。
強力なダブルサイダーなり。

まずは『1ダースの言い訳』。
サンヨーのCDコンポのCМソング。

軽やかでノリの良いリズムが滑り込んできます。
低音を響かせたシンセベースのグル―ヴィなうねり。
60年代のモータウン風な陽性のサウンド。
稲垣さんの唄はスティーヴィー・ワンダーに似ているかも。
というか、ジョン・ヴァレンティかな。
甘さと蒼さが残る少年の様な稲垣さんの唄声にピッタリな曲調。
作詞は秋元 康さん。
タイトルもユニークだし、
海外のポップスで歌われる歌詞の世界を理解した作詞の技も。
稲垣さんとは同世代で聴いていた音楽も近いのかも。
作曲は林 哲司さん。
シティポップスの巨匠。
やはり60年代のアメリカンポップスやAORに精通したメロディライン。
萩田光雄氏によるアレンジも秀逸。

眼に新鮮な新緑や温かい陽光に囲まれたような心地の良いラブソング。
爽快なそよ風のように耳元を吹き抜けます。



ドラマティックなドラマー。
高井麻巳子さんもこの曲がお好きと本で読んだことがあります。

続いては『April』。
こちらはサンヨーのラジカセのCМソングでしたね。



うわー、爽やかな楽しいCFですね。
音楽とグンバツにハマっています。
女の子もチャーミングですね。
恋ダンスに負けてないぜ!(と言っておいて恋ダンスについてあんまり知らない。)

コチラも作詞は秋元氏。
四月ということで、新しい季節に旅立ちの歌。
そして、
作曲は木戸やすひろさん。
フォーシーズンズっぽいですが、さらに魅力を倍加させたメロディセンス。
木戸さんの作品に外れなしです。
実にラグジュアリー。
胸を掻き毟られます。
勿論、稲垣さんのヴォーカルとの相性もイイ。
アレンジは大村雅朗氏。
手拍子が入るとなんとなくウキウキしてしまいます。

13歳の時、その曲だけを素直に聴いて楽しんでいたときは気が付かなかったけれど、
その後、大人になってから様々な時代の海外のポピュラー音楽を聴いて学習した耳でまたあの頃の曲を聴き返すと、あぁ、この曲はあの音楽から影響を受けたのかな、とかイロイロ推理したり、深読みしたり、するのがまた楽しいんですね。大抵的外れなんですが。
それがオタクの特権なのでしょうか。

そして秋元氏の歌詞に戻って、

A面の『1ダース』

B面の歌詞

2人が暮らした子の街
3度目の夏が来る前に君は出ていく
April 4月になって僕も

と、1、2、3、4 と数字が続いて出てきます。
だからどうした。
でもあっぱれ、秋元先生。

2月にリリースされたシングルで一足早い春を感じさせてくれます。
どちらの曲とも60年代風のポップミュージックを80年代の手法でリヴァイヴァルさせることに成功しています。
ペパーミントの様な、そして、エヴァ―グリーンな輝きに満ちたサウンドを聴いてるとさっきまでの憂鬱な気分も晴れてきます。

そんな訳で、86年特集、まだまだ続きます。

じゃ、また。


『1ダースの言い訳』《07FA-1057》〈作詞:秋元 康/作曲:林 哲司/編曲:萩田光雄〉(03’33’’)【1986】


30周年記念ベスト~テーマ・ソングス~

30周年記念ベスト~テーマ・ソングス~

  • アーティスト: 渡辺なつみ,佐藤準,CHOKKAKU,塩入俊哉
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック
  • 発売日: 2014/06/11
  • メディア: CD



REALISTIC

REALISTIC

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: UNIVERSAL J(P)(M)
  • 発売日: 2009/03/11
  • メディア: CD



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『OH!! POPSTAR/チェッカーズ』 [歌謡曲/80年代]

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どうも、
1986年のシングルばかり毎日取り上げていると、
今の世の中がホントに1986年みたいに感じられる、訳ないか。

これまでの86年のシングルのジャケットをご覧になってお気づきの方もいらっしゃるでしょう。
ジャケットにバーコードが印刷されています。
1986年に入ってリリースされたシングルには殆どと言っていいくらいジャケットにバーコードが導入されました。
このジャケットの景観を損ねる悪しき風習の始まりでした。

それはそれとして。
今夜はチェッカルズのみなさんです。


2月21日発売の『OH!! POPSTAR』です。
彼らの10枚目のシングル。
これもリアルタイムで買いました。
初めて自分で買ったチェッカーズのシングル盤でした。

ロックスターとしてブレイクを夢見る青年とそのガールフレンドとの甘くほろ苦い青春物語。
ブレイクと引き換えにガールフレンドとの距離が離れてしまう内容。

バンドとしても、デヴューして三年近く経過、人気もひと段落して安定期。
アイドルとアーティストの狭間で揺れていた頃だと思われます。
ビートルズで言えば、ヘルプ!やラバーソウルあたりでしょうか。


楽曲は作詞は売野雅勇、作曲&編曲は芹澤廣明の不動のコンビ。
青春のもどかしさを湛えたセンチメンタルでキャッチ―なメロディが気に入って買ったのだと思います。
60年代のバンドサウンドに準じたアレンジ。
すこしGSっぽいです。
と、思ったら芹澤氏は元々は60年代にグループサウンズを組んでいたそうです。

チェッカーズを始めとして、80年代芹澤氏の耳触りのよく、爽やかなメロディは沢山のヒット曲を生みました。

改めて藤井郁弥さんの歌声を聴くと、華があるヴォーカルだなぁと思います。
歌唱力もあるし、響きも美しいし、それだけじゃなく愛嬌があります。
解散後も第一戦で唄い続けています。




これを観ると藤井弟さんはサックスじゃなくてギターを弾いてますね。

売野&芹澤コンビとしての最終作である次作の『SONG FOR U.S.A 』にも繋がるコンセプトを感じる作品。
この後、A面もチェッカーズのメンバーによる楽曲で発表されていきます。
1986年はチェッカーズの転換期と言える時期だったのです。

B面は『お前が嫌いだ』。
こちらはチェッカーズのオリジナル。
作詞はフミヤさん、作曲は武内リーダー。
芹澤氏の様なプロの作家からの気兼ねなく、
バンドのメンバーだけでのびのびと作ってるのが何となくわかります。
演奏も荒々しいしパンクでストレートなロックンロール。

そういえば、昔のGSのバンドもA面は職業作家による提供作品、B面はメンバーによるオリジナル楽曲という構成でしたね。

その後もバンドの活動を主体としながら、決してアーティストぶらずにとんねるずの番組でコントをやっていました。僕は特に矢島工務店のコントが好きでした。
アイドルとバンドの二足草鞋を全うした稀有なバンドなのでした。

それだけに解散後は一部のメンバーとの不仲が露呈して淋しい気がしました。
彼らの様なバンドが再結成してテレビに出て歌ってくれたらいいなと思いました。

♪ 青春が渡れない河あるねと ラジオで歌ってる・・・・・

なのですね。

『OH!! POPSTAR』《7A0558》〈作詞:売野雅勇/作曲・編曲:芹澤廣明〉(03’48’’)【1986】



THE CHECKERS 30TH ANNIVERSARY BEST~7×30 SINGLES~

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  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • 発売日: 2013/06/19
  • メディア: CD



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『ポツンと一人きり/ビートたけし』 [歌謡曲/80年代]

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ハイ、てな訳ではじまりました、03’54’’。
今夜もとっとと更新しちゃいましょう。

今回はビートたけしさんのシングル『ポツンと一人きり』。
チャゲアスのシングルと同じ、2月5日発売でした。

たけしさんの80年代は歌手としても精力的でした。
名曲が多いです。
この時期だと少し前に松方弘樹さんとのデュエット『I'll be back again ・・・いつかは』のスマッシュヒットがありました。
歌いまくるビートたけしって感じで。

『ポツンと一人きり』はちょっぴりセンチなR&B歌謡。
たけしさんの楽曲は割と派手でポップな曲調が多いのですが、
これは比較的に地味な感じですね。
哀愁が漂います。
それがまた魅力だってーの。

《孤独》を歌った歌詞がイイですね。
人間の愚かさ、間抜けさを自嘲するような。

そして魅惑の歌声。
技巧的なモノではない、ソウルな響きがありますね。




作詞は島 エリナさん。
アニメソングのテーマ曲を多く手掛けられた方だそうです。
作曲の田中真美さんは70年代末期から80年代初頭にシンガーソングライターとして活動された方と同一人物だと思います。
『涙のロンリーボーイ』が有名で後に稲垣潤一さんがデュエットアルバムで土屋アンナさんとカバーしました。


B面は『見る前に躍べ』。
このタイトルはたけしさんが好きな言葉でもあります。

♪ オレの いつもの 裸の その歌を聴け

と、アップテンポのサウンドにドスを効かせてがなるように歌う殿の熱いメッセージソング。

作詞は先生、作曲は茂村泰彦さん、この方もシンガーソングライターとして現在も活動されています。
アレンジは二曲とも奥 慶一氏。


最後に、このシングルのジャケット。
この写真について、元たけし軍団のメンバーである、キドカラー大道さんがnoteでコメントを寄せていました。



このジャケット写真、たけしさんの実際の部屋を写したもの。 四谷四丁目の「パレ・エテルネル」という当時は周辺で一番の高級マンションだった。 この部屋でいつもネタを書き「たけしの挑戦状」の企画を練り、例の「お化け騒動」もあったし、1985年からの『バラエティ黄金期』の殆どをここで過ごし、最後は講談社殴り込みに行った。 曲に関して触れると、この曲は仮歌の時点では女性が歌うメロウ(懐かしい表現だね)で、さわやかな調子だったが、たけしさん本人の申し出でアレンジを変えた。 今聴いても名曲だと思う。

とのコトです。

なるほど、生活感のある部屋の写真はやっぱりたけしさんのお部屋だったのですね。

以上、
書きゃいいってもんじゃないよ』のコーナーでした。

『ポツンと一人きり』《SV-9102》〈作詞:島 エリナ/作曲:田中真美/編曲:奥 慶一〉(03’42’’)【1986】


ゴールデン☆ベスト ビートたけし~ビクター・シングルス&アルバム・セレクション

ゴールデン☆ベスト ビートたけし~ビクター・シングルス&アルバム・セレクション

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
  • 発売日: 2009/09/16
  • メディア: CD



浅草キッド

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  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
  • 発売日: 1994/06/25
  • メディア: CD



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『モーニングムーン/チャゲ&飛鳥』 [邦楽ロック/80年代]

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こんばんは。

ブログの時間の~時間です。

エンジンがかかって参りました、1986年特集第3弾。
行け行けドンドン、Walk right in で参りましょう。

今回はチャゲ&飛鳥で『モーニング・ムーン』です。
2月5日発売。
これまで紹介した2枚同様、所属レコード会社はポニー・キャニオンなり。

まだこの時代は表記はCHAGE & ASKAではありませんでした。
正式にローマ字表記で統一されるのは1988年からだそうです。

最近、ASKA氏について問題が起こりましたがまぁ、ここでは関係ありません。

この曲を聴くとまた当時の寒い2月を思い出します。
1985年後半位からオールナイトニッポンを聴くようになりました。
個人的な深夜放送ブーム到来。
1986年2月、僕は12歳でした。
よくオールナイトニッポンの放送中や、CМでこの曲が流れていたんですね。
ポニーキャニオンもニッポン放送もフジサンケイグループだから頻繁にオンエアされてたのですね。

この時期のオールナイトニッポンは
月曜は中島みゆき、火曜はとんねるず、水曜は小峯 隆生だったか小泉今日子、木曜日はビートたけし、金曜日はサンプラザ中野、土曜日はユーミンという布陣だったかと。
特にとんねるずとビートたけしのオールナイトはお気に入りでありました。
サンプラザ中野さんも良く聴いたなぁ。
この頃は深夜1時に放送が始まりますので、ときどき寝過ごしてしまう事も。
そのときはショックでした。テープに録音できてればいいのですが。

それはそれとして、
AMのアナログの粗い電波から聴こえてきた『モーニングムーン』にとにかく、インパクトを受けました。

ラジオを聴き終わって午前3時。
夜明け前、部屋の窓のブラインド越しに静かに浮かんでいる夜空の月が見えます。
2月の凍てつく清かな空気の中でひっそりと輝く月。
美しい静寂の中、ラジオから斬り込んでくるような激しいサウンド。

チャゲアスというと、なんとなく歌謡フォークっていうイメージがあったので、
派手なサウンドに少し驚きました。
煌びやかなシンセサイザーが鳴り響きます。
イントロの狂騒的なサウンドが嫌が応にも気分を駆り立てます。
そして、本編。
ドラマティックこの上ないメロディ展開が実に幻想的で。
さらにサビの盛り上がり。
まだ暗い夜明け前の空をどこまでも自在に飛んでいくような解放感。
想像のさらに上を行くようなメロディが快感を与えてくれます。
飛鳥氏の粘着質のある歌声も実に不思議で。

やはり飛鳥 涼氏の音楽センスは只者ではないですね。

夜明け前の何だか異次元の様な世界感。
今聴くと、間奏のデジタルなサウンドがいかにも80年代的な軽さと勢いで過剰に感じますが。
ミステリアスこの上ない。
ジャケットに映るお二人もSF的。

アレンジは『冬のオペラグラス』も手掛けた佐藤 準氏。





B面は『Gently』。
A面は飛鳥氏でしたが、B面はチャゲ氏。
情熱的な『モーニングムーン』とは対照的に静謐さを湛えた、ロマンティックなバラード。
これがウットリしちゃうくらいに都会的でメロウなのです。
チャゲアスに対して詳しくない小生でありまして、こんなにチャゲさんが繊細なラヴソングを作られるとはこのシングルを買うまで思っても見ませんでした。御見逸れ致しました。
歌声も甘くて。
『ふたりの愛ランド』だけの人じゃなかったのですね。(みんな知ってるよ!)
当時はラジオから録音した『モーニングムーン』だけを繰り返し聴いてました。
貧しい中一だったからね、御免。
その後大人になってシングルを買って(また御免、中古で)聴いてびっくりしました。
B面も良くて、
感動がマルチマックス。
チャゲなめんなよ。おい!
現・栗コーダーカルテットで活躍中の栗原正巳氏による音数の少なく緻密な箱庭のようなアレンジも楽曲の良さを引き出しています。球体の物体を低空から地面に落とした時にバウンドするときの音がサウンド・エフェクトとして効果的に使われています。
コチラも実に素敵な曲です、ハイ。

う~ん、やっぱりチャゲと飛鳥でチャゲ&飛鳥なんですね。
二つの才能がスパークしているんですね。

もう再結成する事も能わずなのでしょうか。

『モーニングムーン』《7A0552》〈作詞・作曲:飛鳥 涼/編曲:佐藤 準〉(04’06’’)【1986】



VERY BEST ROLL OVER 20TH

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  • アーティスト: 飛鳥涼,田北憲次,CHAGE,西平彰,澤近泰輔,近藤敬三,瀬尾一三,平野孝幸,佐藤準,重実徹
  • 出版社/メーカー: ヤマハミュージックコミュニケーションズ
  • 発売日: 2001/04/18
  • メディア: CD



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『バナナの涙/うしろゆびさされ組』 [邦楽女性アイドル/80年代]

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どうも~、芳村真理でーす。
あ、似てました?
髪型が。

それはレコード棚の〈よ〉の仕切りに置いといて、
前回に続いて1986年のシングルをずずずいーっと、ご紹介しましょう。

今夜も昭和へワープだ。

新田ヨロシク恵利さんに頭突いては、うしろゆびさされ組
これまたおニャン子クラブ関連ですね。
特にうしろゆびさされ組は好きでした、面白かったですね。
ヒネった感じが。
秋元 康さんの遊び心が上手く出ていたと思います。
高井麻巳子さんと岩井由紀子さんの浮遊感のあるコンビとの相性も良く。

バナナの涙』は彼女たちのセカンドシングル。
1月21日発売。
この冬も寒かった。
アニメ『ハイスクール奇面組』のテーマソングでもありました。

作詞は秋元氏。
《バナナの涙》なんて、うら若き青少年の生理を暗喩するようなネーミングでうら若き乙女に歌わせますが、
セクシャルなムードを消臭してのほほんとしちゃうのがうしろゆびな二人の魅力でしょうか。
歌詞を読めば、早熟な若者を南国の果実に例えているだけと判るのですが。僕の妄想で早とちりですね。
へんなの!
想いを寄せる少年と少女の間の不安定な心理状態をけなげに描いています。

バナナという訳で、産地で有名なキューバ、という訳で曲調やリズムは『バナナ・ボート』を下敷きにしているのでしょうか。
トロピカ~ルで可愛らしいサウンド、作曲とアレンジは後藤次利氏。

技あり!です。

思い返せば河合その子さんの仕事を始めとしてこの時期から秋元&後藤コンビの作品が増えていきます。
Bメロでのお二人のハーモニーも聴きどころであります。




改めて聴いてみるとコミカルで朗らかな曲調と高井さん岩井さんの甘美な歌声が見事に調和していて、イイ曲だなぁと感激しちゃいました。


少し前に某音楽番組で星屑スキャットの方々がこの曲をカヴァーしていて、たまたま見たのですが、
アレンジがしっとりと大人びたサウンドで、歌も素晴らしくて感激しました。
象さんもびっくり。
あの御三方も僕とほぼ同世代で多感な頃にテレビの前で、レコードの前で熱心にこの曲を聴いていたのかなと思うと何だか他人の気がしません。

B面は『あぶないサ・カ・ナ』。
アニメ『奇面組』の挿入歌となった、ノリの良いポップ&ロールなサウンド。
コミカルな歌詞もうしろゆびらしい。
おニャン子のメンバーもコーラスやガヤで参加してます。
作詞は沢ちひろ、作曲は芹澤廣明氏。
どんなタイプの曲も高井さん&岩井さんは朗らかにマイペースに朗らかに歌ってしまいます。
内心はどうだったのでしょうか。

『・・・・・』

思い返すと、アイドルグループの中で、また別のユニットが結成されるという《グループ内ユニット》のさきがけが“うしろゆびささされ組”だったのではないでしょうか。
そもそもおニャン子のような大所帯の、しかもどんどんメンバーが増殖して行ったり脱退を繰り返すグループの存在はあの当時まで無かったと思います。
想定外のケースの連続で実に実験的な活動だった訳です。
それに味を占めてその後、秋元氏はさまざまな団体グループを展開していくのです。
その嚆矢であり、成功例がうしろゆびさされ組という訳で。
それはモーニング娘。に始まるハロプロしかり、秋元氏が運営するAKB系、そして現在の数多くの女性アイドルグループにまで波及しています。

うしろゆびの活動期間は実は1年半足らずだったのですが、
その功績と残した傷跡の深さは大きかったのでした。

 かしこ

『バナナの涙』《7A0550》〈作詞:秋元 康/作曲・編曲:後藤次利〉(03’46’’)【1986】


ザ・プレミアムベスト うしろゆびさされ組

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  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • 発売日: 2012/11/21
  • メディア: CD



Myこれ!チョイス 15 ふ・わ・ふ・ら+シングルコレクション

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  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: PONYCANYON INC.(PC)(M)
  • 発売日: 2008/07/16
  • メディア: CD



うしろゆびさされ組 うたの大百科 その1 うしろゆびさされ組

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  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • 発売日: 2004/05/19
  • メディア: CD



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