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『SUBSTITUTE(恋のピンチヒッター) / THE WHO』 [英国ロック/60年代]

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わんばんこ。

ラジオが楽しい今日この頃の都市色です。
ラジコのタイムフリー、エリアフリー機能により、ラジオがますます好きになりました。
聴ける番組が増えてウレシイです。
通勤時間にイロイロと聴けるのがいいですね。
ラジオの恋人、ラジコ。
なんて。

そして昨日、また好きなラジオ番組が始まりまして。
というか、またやって来ました。
春になると、プロ野球シーズンになると、渡り鳥じゃないですが、あの男がマイクに戻って来ます。
還って来た男の名前は安田謙一、またの名を“ロック漫筆家”。

彼のラジオシーズンが今年も無事に開幕しました。
軽妙な音楽とおしゃべりの魅惑のラジオ番組『夜のピンチヒッター』(通称“夜ピン”、not 洋ピン)。
以下はオンエアの冒頭に述べられる口上です。


  ナイター中継が無い金曜の夜。
  ロンリーウィークエンダーの破れたハートをパッと狙い撃つ、ロックンロール無礼講。
  DJがわざと変な曲をかけまくる、怒涛のラジオ番組
  その名も、“夜のピンチヒッター”

生まれも育ちも神戸の安田さんの地元のラジオ局、ラジオ関西にて、
プロ野球シーズンの四月から九月いっぱいまでの約半年、放送局がジャイアンツのナイター中継の為に用意した時間帯にナイターの試合が予定されていない場合にオンエアされるという、ちょっと、変則的な番組。
番組タイトルどおり、まさにジャイアンツナイターの穴埋め、いや、代打の切り札、夜のピンチヒッターな訳です。
放送開始は2011年4月。
放送時間は100分のときもあるし、2時間半のときもあったりと放送日によって異なります。
放送される曜日は決まっていますが、毎週ではなく。
ピンポイントな感じで。
以降、2015年以外は毎年のように定期的かつ不定期なオンエアが繰り広げられています。
2014年までは毎週火曜、2016年と今年は毎週金曜日です。
モチロン、生麦 生声 生放送。
半年の期間内に10回前後の放送回数で、
昨年のシーズンで通算50回を数えました。
毎年、3月頃になると、4月から『夜ピン』が今年も放送されるか否かでそわそわしちゃいます。
まるで受験の合否の結果が気になる学生さんの気分で。
昨年からはさらに放送時間が増えました。

因みに安田さんはタイガースファンです。
草野球チームの監督兼選手でもあります。
《漫筆家》安田さんのお書きになるレヴューやコラムも面白いのですが、
DJとして、おしゃべりもとっても楽しいのです。
そして独特の選曲センスも聴きどころ。
ロックンロールを主体としながら、R&B、歌謡曲、辺境音楽、ラテン、ヒップホップ、テクノ、珍盤奇盤、などなど、古今東西のあらゆる音楽に対してフレキシブルにフラットに対処する安田さん。
長身の右腕からストライクゾーン広めに繰り出される七色の変化球の如き選曲にきりきり舞い!
コーナーを突いた絶妙の配球とコントロール。
あれ、ピンチヒッターでしたね。
どんな球も打ち返します。
この番組はとにかく安田さんのユニークな選曲が楽しめます。
そしてたまーに、僕、都市色がリクエストした曲も聴けます。それは余計か。
これまでさまざまなラジオ番組にリクエストしてきた僕ですが、
リクエストに応えて頂いた確率が高いのがこの番組なのです。
様々なリスナーからのどんなリクエストにも打てば響く安田選手。
もう有難くて、ラジオ関西には足を向けて寝られません。

そして、
この番組から伝わってくる、安田さんの音楽への優しい眼差し、おおらかさを感じずにはいられません。ジャンルを超えて、国境や時代をも超えて、広く寛容に個々の音を楽しんでいる安田さん。
引いては地元愛もひしひしと感じられます。
郷土へのユニークな想いはロングセラーを記録する第三著作集『神戸、書いてどうなるのか』にディープに軽やかに綴られています(それに関する拙ブログの記事はこちら)。


またまた前置きが長くなりました。
そんな“夜のピンチヒッター”のテーマソングがTHE WHOの『SUBSTITUTE』《邦題:恋のピンチヒッター》なのです。
ピンチヒッターとくれば、《恋の~》。
まさにこのラジオ番組の為に用意されたようなポップなロック&ロールのスタンダード。

そして、このラジオ番組のテーマソングとして使用されている『恋のピンチヒッター』がTHE WHOの日本でのデヴュー50周年を記念して、1966年に発売された日本盤シングルが、昨年の夏にユニヴァーサルからCDでリイシューされました。日本でのTHE WHOのデヴューシングルが『恋の~』なのでした。
勿論ジャケットは60年代当時に国内で発売されたシングル盤のデザインで復刻しております(サイズもアナログと同様)ので、
残念ながらこの番組のテーマソング云々についての記載はありません。

アレ?
おいおい、ジャケットの曲名“恋のピンチヒッター”の上に何か小さな文字で何か書かれていないかい?(わざとらしく)

あ、ほんとだ。
ふむふむ。(独り芝居)

ジャケットをご覧ください。
小さくですが、曲の題名の上に小さく表記されているではありませんか。

と、いうか私の手によりイラレを駆って勝手にねつ造しました。
ですので市販の商品には記載されておりません。あしからず。

だからどうした、ですが。
気は心。

曲紹介に戻って、
恋のピンチヒッター。
1966年の3月リリース。
ピート・タウンゼントによるキャッチ―なメロディ。
フレッシュでコンパクトでパンチの効いた演奏。
初めてこの曲を聴いたのは『LIVE AT LEEDS』のバージョンでした。
白熱する四人の演奏に引き込まれました。
そういえば、皇室の佳子さまの留学先がリーズ大学だそうで。
ライヴの開催されたあの大学と同一でしょうか。
判りませんが、
実にリーズナブル(意味不明)。

それはそれとして、

ジャッ ジャッ ジャー ジャッジャッジャッジャーン。

というアコギのカッティングから。
ジョン・エントウィッスルとキース・ムーンの荒々しいビートが響きます。
歌詞もユニークで、
英国人のシニカルでひねりの効いた視点に満ちています。
己を誰かの代用品と、切って捨てるかっこよさ。
悲しい身の上をユーモアで切り抜けるセンス。
最近観た、ケン・ローチ監督の『わたしはダニエル・ブレイク』に通じる反骨精神。
二番の歌詞は思った以上にシリアスですがロジャーの歌とバンドの力強いと相まって悲しみを吹き飛ばす力に漲っています。
これぞロックンロール。



番組ではテーマソングのみならず、曲のイントロがCМ前後に聴こえるジングルとしても使用されています。
《夜ピン》と言えば、《恋ピン》です。

B面は『WALZ FOR A PIG
これはインスト曲なんですが、WHOの演奏ではないのです。
曲もWHOのオリジナルではなくて。
じゃぁ、誰(WHO)なんだ、という訳なんですが、
グレアム・ボンド・オーガニゼーションの演奏だそうで。
これにまつわる詳細は書くと長いので、省きます。
要は悪名高き担当プロデューサーのシェル・タルミ―との契約や移籍問題が原因で、
WHOはレコーディングが出来なくなり、その穴埋めでこのバンドの曲がB面に配されました。
詳しくはCDに付属されている犬伏 功氏による渾身のライナーをご覧ください(当時の解説は朝妻一郎氏によるもの)。
タイトル通りに三拍子のマイナー調の楽曲。
曲はドラマーのジンジャー・ベイカーによるもの。
当時はWHOがてっきり演奏されているものだと思われていて、1968年にリリースされた日本での編集盤『エキサイティング・ザ・フー』には収められていますが、それ以外のディスコグラフィには掲載されてません。
この編集盤は数年前に日本でCD化されて僕も買いました。
そのCDには収録されています。
グレアム・ボンド・オーガニゼーションとはバンド名どおり、キーボード奏者のグレアム・ボンドさんが結成した四人組のモッドなバンドです。
皮肉も『SUBSTITUTE』のB面のsubstitute(代役)を任されてしまったという、数奇なナンバー。

そして今回のCDシングルのリリースの丁度1年前には『SUBSTITUTE』のオリジナル英国盤を含む、リアクション・レーベル時代の5枚のアナログ7インチシングルをまとめたSINGLE BOX、『 The Reaction Singles 1966』が発売されました。これも以前買いました。
このボックスには2種類の『SUBSTITUTE』が入っています。B面が異なります。
先にご紹介した『WALTZ FOR~』がB面の盤と『CIRCLES』がB面の盤の2種類。
リリースされた順番では『CIRCLES』の方が先です。
こっちの曲はタウンゼントのオリジナルで歌も演奏もスピード感があってカッコいいです。
かつては『INSTANT PARTY』と表記されていたのですが、『CIRCLES』の誤りだそうで。
さらにマニアックなことを書くと、この『CIRCLES』がB面の盤にも2種類あって、計3種類あるのです。

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ちょっと何言ってるか分かんない。

ファン以外にはもうどうでもいいはなしですね。
重量盤なので音質もCDよりパワーがあります。
ということで、ジャケットは国内の再発CD、盤は海外からのシングルボックスのアナログを合わせれば、完璧です。

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THE WHOはまだライヴを生で見たことが無いので、
是非、再来日を期待したいです。
ロジャー・ダルトリーは尼崎で観ましたが、良かったよなあ。

まあ、なにはともあれ、昨晩の放送も楽しかったです。
そうそう、
ちょうど、一昨日のレイトで『LA LA LAND』を遅ればせながら観た次第で、
ラジオではそれにまつわる怒涛の選曲が楽しめました。
まだお聴きになってない方、タイムフリー機能でどうぞ。
『LA LA LAND』、敢えて予備知識を排除して観ましたが、もう素晴らしかったです。
これ、ジャック・ドゥミ&ミシェル・ルグランのミュージカルへの愛に溢れていましたよね。
主演の二人も素敵でしたし。
音楽も良かった。
早い話が、

シングル盤(アナログ)を出そう。

以上。

あ、
『夜ピン』、次回は来週の金曜、5月5日の夕方5時55分から。
約3時間半の生放送。
おそらく僕は田舎から聴いてるでしょう。
エリアフリー万歳。

『SUBSTITUTE』《UICY-77827(DP 1494)》〈Written by PETE TOWNSHENT〉(03’47’’)【20016】



The Who Hits 50

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  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Polyd
  • 発売日: 2014/10/31
  • メディア: CD



Live at Leeds 25th Anniversary Edit

Live at Leeds 25th Anniversary Edit

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Imports
  • 発売日: 2006/12/26
  • メディア: CD



恋のピンチ・ヒッター<日本デビュー50周年記念第2弾>(紙ジャケット仕様)

恋のピンチ・ヒッター<日本デビュー50周年記念第2弾>(紙ジャケット仕様)

  • アーティスト: ジンジャー・ベイカー,グラハム・ボンド・オーガニゼイション
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック
  • 発売日: 2016/08/24
  • メディア: CD



The Reaction Singles [7 inch Analog]

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  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Geffen Records
  • 発売日: 2015/08/14
  • メディア: LP Record



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『ヘヴン/池田 聡』 [ピチカートファイヴ]

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どうもどうも。
「傷付いたのがレコードではなく、まだCDだったから良かった」発言でお騒がせの『03’54’’』です。
云い過ぎました。

気を取り直しまして。
前回に続いて、1992年のシングルをご紹介。
短冊CDなり。

池田 聡さんのシングル『ヘヴン』。
この年の秋に発表されたニューアルバム『至上の愛 -a Love supreme-』は小西康陽さんによるプロデュースでした。
このアルバム全体を覆う雰囲気がなんと、『ベリッシマ!』な世界。
あのアルバムの・ようなムードが蘇ります。
つまり、
二匹目のドジョウならぬ、二体目の仏像なのです。
池田 聡さんという類稀なる歌唱力、クールで熱い歌声にはうってつけな男性的な世界なのです。
そのアルバムのオープニングを飾る曲が、今回ご紹介します『ヘヴン』。

ピチカートのソニー時代について最近記事を書いているので今回のシングルを紹介するなら、
《今でしょ!》(絶賛流行語中!)

作詞が小西さん、そして作曲には田島貴男さんが。
まさに、シン・ベリッシマ!

田島さんはすでにこの時期はオリジナル・ラブでバリバリに活動中。
絶好調な彼ならではのスケールの大きくドラマティックな展開。
負けじと小西さんもケレン味のある言葉とアシッド・ジャズ調のアレンジで応えます。
そして、
名タッグによるカッコいい楽曲を軽やかに歌いこなす池田の聡さん。
男たちのノワールな色香にむせ返ります。
ブルーノート調のアルバムのアートワークにもそれが感じられます。
勿論、コンテムポラリー・プロダクションの仕事。

カップリングは『堕ちる』。
作詞作曲は池田さん、アレンジは小西さん。

♪ 夜はふたりを いつも悲しくする

という歌詞での歌い出しにも『ベリッシマ!』への目配せを感じさせます。
都会の真夜中、恋に溺れた一組の男女を乗せた車が秘密のハイウェイをひた走る。
スリリングなハウスサウンドに痺れます。

今回ご紹介した2曲以外にも、玉置浩二さん、かまやつひろしさんらが作曲に参加しており、充実したレパートリーが並びます。
玉置さんは2曲に作曲しており、『ヘヴン』の前にリリースされたシングル『79』はそのうちのひとつ。こちらも小西さんがアレンジをしていて、清々しいミディアムバラードです。
かまやつさんが作曲して、小西さんが作詞した『11月』という曲は後に、小西さんがプロデュースした夏木マリさんのアルバムでも再度取り上げられました。
フランシス・レイ風な実に哀愁に満ちた名曲中の名曲。
野宮さんがコーラスに参加しています。
そして小西さんが作詞作曲した『Blues』。
この一曲に『ベリッシマ!』なムードが凝縮されているといって過言ではないでしょう。

どの曲にも惚れ惚れとする歌いっぷりで魅せる池田さん。
彼のディスコグラフィの中では異色のアルバムとされますが、
今聴いても十分カッコいいです。
違いの判る男のアルバム。
同時期にはピチカートもアルバム『スウィート・ピチカートファイヴ』をリリースしていて、
サウンドに共通するものがあります。
こちらにも池田さんは一曲コーラスで参加しています。


現在も池田 聡さんはコンスタントに作品を出したり、軽いフットワークでライヴをガンガンに行っています。
昨年で、祝デヴュー30周年。
その豊穣なノドでこれからも魅了し続けて欲しいと思います。


『ヘヴン』《TEDN-224》〈作詞:小西康陽/作曲:田島貴男/編曲:小西康陽〉(05’39’’)【1992】



至上の愛 (a Love Supreme)

至上の愛 (a Love Supreme)

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: テイチクエンタテインメント
  • 発売日: 1992/10/21
  • メディア: CD



池田聡 ベスト

池田聡 ベスト

  • アーティスト: 池田聡,松本一起,及川眠子,康珍化,小西康陽,秋元康,湯川れい子,松井五郎,川村真澄,森雪之丞,伊勢正三
  • 出版社/メーカー: テイチクエンタテインメント
  • 発売日: 2005/08/24
  • メディア: CD


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『HAPPY BIRTHDAY ep /渡辺満理奈』 [邦楽女性アイドル/90年代]

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あ、夜分にどうも。
『突撃!隣のシングル盤』のコーナーです(レコードプレーヤーのアームの大きなオブジェを持ちながら)。

今回取り上げるシングルは、
前回、前々回同様、GREAT TRACKSからのリリース、第三弾。

渡辺満理奈さんの15枚目のシングル。
1992年にCD(12センチ)として出たモノが何と25年後にアナログ7吋になっちゃいました。
これは退化なのか進化なのか。
《退化の改新》とお茶を濁しておきましょう。
たしか当時アナログの12インチでは出ていたような。

今回のリリースもDJ小西康陽さんの肝入りでしょう。


先日ニューシングルを久しぶりに発表した小沢健二さんの過去のアイドル仕事。
フリッパーズギターを解散して間もない頃の空白を彩るプロデュースワーク。
90年代中期以降の狂騒を振り返ると、ソロデヴュー前の無風状態の頃にこうした作品が残されたのは有意義だったと思います。

A面は『バースデイ・ボーイ』。
当時としては珍しいブレイクビーツ・ポップ。
最高です。

オザケンのセンスの非凡さに降参。
海外の青春小説を翻訳したような軽いタッチの瑞々しくポップな筆致の歌詞。
フリッパーズ以降、彼のところには作詞の依頼が沢山舞い込んだようです。

この時代のアイドルソングは従来のノスタルジックな清純さ喚起させるさせるザ・アイドル歌謡な楽曲、またはユーロビートの効いたダンス系のモノが殆どで、このシングルの様なヒップホップ系な海外の音楽のトレンドを取り入れたモノは珍しかったと思います。
エピック時代のこれまでのラグジュアリーな作風とも一線を画したセンス。
なのでとても新鮮に聞こえました。
ヒップホップと言ってもラップしている訳ではなく、リズムが強調された、ループを多用したサウンド。

レコーディングにはオザケンを始め、ソウルセットの川辺ヒロシさんやオリジナル・ラブの木原龍太郎さんらが参加しています。
これまでは満理奈さんより上の世代のスタッフや作家陣(80年代のエピックソニー系、シティポップス系)が主体となって楽曲制作をしていましたが、上記の三人は彼女と同世代であり、奇しくも90年代の渋谷系を担っていく連中でありました。
ここでも彼女の目利きが効いていると云わざるを得ません。
その後に、はっぴいえんどのカバーを経て、先祖返りともいえる福生のご隠居さまのご加護を得るのは、ソロデヴュー以来常に洗練された、育ちの良い、洋楽的で都会なポップスを歌ってきた彼女にはあまりに当然と云えるし、出来過ぎとも云える結末ですね。


出来れば、クチロロの三浦康嗣さんによるリミックスバージョンがあったら聴いてみたかったです。

B面は『夜と日時計』。
これも小沢健二さんのオリジナルソング、アコースティック・ギターの弾き語りをバックに唄われるバラード。
ネオアコのフィルターを通過しての清涼感のある歌詞とメロディ。
寝静まった真夜中、草原の澄んだ空気を感じずにはいられません。

後に、オザケンもシングル『暗闇から手を伸ばせ』のカップリングでセルフカバーします。

『ヘッド博士』と『犬は吠えるがキャラバンは進む』のミッシングリンク。


オリジナルのCDにはカラオケやブレイクビーツ集も収録されていましたが、今回のシングルではカットされています。


因みに、
24日の今日はオリジナル・ラブの田島貴男氏の誕生日。
バースデイ・ボーイさん、おめでとうございます。


蛇足ですが、その前日はこのブロ・・・。
まぁ、
やめておきましょう。
レコード針に付着した埃くらいに些末なこと。
埃なんて一息で吹き飛ばしちゃいましょう。

ふーっ

今回の様な、アナログレコードが生産中止になった時代に生まれたシングルへ再び脚光を当てる企画、MEG-CDよりは気が利いているので今後も続けて欲しいですね。
小西さんが最近編んだコンピレーション『A』に即したリリースのようですが。
この選曲は一見するとレコード会社がお手軽に作ったコンピレーションCDと変わらないような、ベタな曲目であまり食指は動きません。
個人的には井上睦都実さんなら『ボーイフレンド』もいいけど、小西さんご自身が作った『抱きしめたい』のアルバムバージョンを7吋で欲しいです、是非。


『BIRTHDAY BOY』《MHKL 3》〈作詞・作曲・編曲:小沢健二〉(05’01’’)【2017】



GOLDEN☆BEST 渡辺満里奈

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  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックダイレクト
  • 発売日: 2010/04/28
  • メディア: CD



バースデイ・ボーイ(7 inch Analog)(完全生産限定盤) [Analog]

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  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックダイレクト
  • 発売日: 2017/03/22
  • メディア: LP Record



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  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックダイレクト
  • 発売日: 2017/02/22
  • メディア: CD



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『これは恋ではない/ピチカート V』 [ピチカートファイヴ]

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おっと、ピチカートマニアの皆さん、
オハヨウゴザイマス コンニチハ。

今夜もピチカート V(敢えてこの表記で)。
前回ご紹介した『七時のニュース/皆笑った』と同時発売の7吋でありますところの、
2ndアルバム『ベリッシマ!』からのシングルカットの『惑星/これは恋ではない』。

1stアルバム『カップルズ』がソフトロック~ウェストコーストジャズ~イージーリスニングな白人的の陽性な響きなら、2nd『ベリッシマ!』は一転して、リズム&ブルース~ニューソウル~フィラデルフィア・ソウル~シカゴ・ソウルという、黒人的な陰りと憂いのある響きを湛えています。
これは偏にヴォーカリストの交代が大きいのです。
ウィスパーヴォイスの佐々木麻美子さんから、当時売出し中のバンドでパンクでサイケでニューウェイヴ系なバンドレッドカーテンの中心人物である気鋭、田島貴男さんへ。
1988年、一般的にまだ知名度が高いとは言えなかった当時22歳の田島さんに目を付けた小西さんの慧眼。
彼の若き天才ぶりが最初にメジャーフィールドで遺憾なく発揮されたのが『ベリッシマ!』でした。
例えるなら同年の6月、クロマティ選手の負傷により、急遽一軍に昇格しての対ヤクルト戦の第一打席でホームランを放った台湾の呂 明賜選手の如き活躍。
わっかるかなぁ、わっかんないだろうなぁ。

ヴォーカリストの交代だけでここまでサウンドが変わってしまうのは、ピチカートが元々はアマチュア時代に小西さんと高浪さんらが集まって活動していた作曲同好会が前身であったからで。
極めて裏方の、作家主義的なミュージシャンであり、筒美京平、宮川 泰、村井邦彦諸氏の系譜に当たる人たちなのでした。プロデューサー的資質の座付き作家の佇まい。
テクノポップ、ソフトロック、そして、
非常にエモーショナルな音楽である黒人音楽を次なる題材に選んだばかりにデヴュー間もないピチカートの変節漢ぶりを当時のミュージックマガジンで《仏作って魂入れず》とこき下ろされたのは災難でした。後の90年代以降に発揮されるピチカートのヴァ―サタイルで、ヒップホップのミュージシャンのような編集センスはまだこの時代は軽視されていたのでしょう。
少し時代が早すぎたのかも。
僕はこのアルバムを聴いてから、黒人音楽にのめり込みました。
こういう音楽ファンもいるのです。
小西さんがこの頃に音楽雑誌へ寄稿したコラムやレヴューやお勧めした数多くのアルバムやレコードにどれだけ影響を受けたことか。
90年代のフリーソウルやサバービアは言ってみれば小西さんの受け売りだった訳で。
小西さんの音楽への底知れぬ情熱、報われぬ怨念がピチカートファイヴなのだと思います。
外見(アートワーク)は非情にスマートでファッショナブルなピチカートだからこそ、その恨みは見えにくいですが、その偏愛に満ちた歪な問題作こそが『ベリッシマ!』なのだす。
だからこそ余計にこのアルバムが愛おしいのだす。

70年代終わり頃に大滝さんや達郎さんが雑誌やラジオで盛んに行われてた音楽の啓蒙活動を90年代に小西さんが引き継いでいたのですね。

と、前書きが長くなっちまいました。

まず取り上げたいのはB面の『これは恋ではない』、彼らのすべての楽曲で恐らく一番好きな楽曲。
別格の一曲。
アルバムではB面の4曲目。
哀しいハイライト。

作詞作曲は小西さん。
ピチカートファイブの音楽、というか小西さんの音楽の根源的なものがこの曲にあるように思えます。
この曲を聴くと落ち着きます。
と、同時に胸騒ぎがします。
初めて聴いたときもきっとそんな感じだったと思います。

日常生活に潜む諦観、厭世観、虚無感、絶望感がシリアスなR&Bサウンドに静かに沁みこんでいきます。
この曲から沸き立つ《もの悲しい》という感情。
《悲しい》のではなく、《もの悲しい》のです。
何となく悲しい、哀しいのです。
この曲の歌詞も、恋人との別れが綴られていますが、
その理由には触れられていません。
ひたすら悲しいです。

小西さんの非凡なソングライティングにドキドキします。
歌詞が素晴らしい。
僕が『ベリッシマ!』を知るきっかけになったのは確かワッツインというソニーから出ていた音楽雑誌で1989年か90年頃だったと思います。
邦楽の名盤みたいな紹介で音楽評論家の平山雄一氏がこのアルバムを取り上げられてました。特に歌詞に注目されてました。そのページに掲載されていたこのジャケットにも惹かれました。
批判的なスタンスを取る人もいれば、平山氏のように評価をする方もいる、賛否両論だったそうですね。
話が逸れました。


これは恋ではなくて ただの痛み、という歌いだしから素晴らしい。
都会の夜の喧騒へ静かに広がっていく、乾いたペシミズム。

歌詞に出てくる『いとしのエリー』はご存じサザンオールスターズのヒット曲。
女性コーラスが、同曲のワンフレーズをさりげなく引用して歌うところもイイ。
因みに、この曲を書いた桑田さんの出身は青山学院大学、そして活動していた軽音サークルの『ベターデイズ』には小西さんも在籍していました(時期は少し異なりますが)。高浪さんは小西さんの一年後輩。同じくベターデイズに当時在籍していた故・宮田繁男さんと斉藤 誠さんはこの時期(ソニー時代)のピチカートのレコーディングの殆どに参加しています。そしてそして桑田さんが嘉門雄三名義で出したライブアルバムでもこの2人はバックで演奏しています。斉藤さんは今でもサザンのライブでギターを弾いています。
余談でした。

話が逸れました。
なんだかんだと長い時間連れ添ってきた女性への改めての愛の告白の歌である『いとしのエリー』が破綻を来している恋人同士の間を流れていく悲しみ。

そして、
シリアスな恋の世界を歌うヴォーカリスト、
田島さんによる、情感を抑える、という表現での熱唱。

アレンジも素晴らしい。
シンセベースの重苦しくもクールなグルーヴ。
中山 努氏によるハモンドオルガンのうねりとリズム。
タイトでシリアスで秩序のあるアンサンブル。
終盤へ向けて、転調が繰り返され、徐々に熱を帯びていくサウンド。
それまで淡々と唄われていた田島さんの Woo Baby Baby ~ のフレーズが、遂にスモーキー・ロビンソンの如へと憑依していく寸前に楽曲はさりげなくフェイドアウト。

そして8年前、
ライムスターの宇多丸さんのプロデュースによる、 Full Of HarmonyのMIHIROさんの歌唱での『これは恋ではない』のカバーはそれはそれは“”良いモノでした。



これぞ世代を超えたRESPECT。

続いてA面は『惑星』。
小西さんの作詞、田島貴男さんの作曲で、名作アルバムの冒頭を飾る一曲。
マーヴィン・ゲイの『What's happening brother』を髣髴とさせる神々しきサウンド&オーケストレーションから引き込まれます。
まさに宇宙のファンタジー。
この曲も切なく、儚く、もの悲しい、うら悲しい。
とにかく田島さんのメロディ、歌唱の非凡さに舌を巻きます。
いやはや。
スケールの大きなサムシングを感じさせます。
女性コーラスの伊集加代子さんのお馴染みの美声、もどこまでも高く広がります。
『月面軟着陸』での弦楽四重奏によるバージョンも素晴らしいですよね。

この時代のスタジオレコーディングの音響の豊かさも感じます。

『これは恋ではない』は『月面~』ではヒップホップ調にリアレンジされて、当時ユニコーンの『服部』で世間を賑わせていた奥田民生さんが客演をしてラップを披露していました。
この縁で『PTA~光のネットワーク』のアレンジを後に小西さんが手掛けることになります。

この時代の音楽がやっぱり楽しかったなぁ。
ユニコーンもピチカートもフリッパーズも、元春も達郎さんもサザンも、アレコレ連鎖的に思い出しちゃいます。
多感な頃に出会った作品は一生モノです。

改めまして、『ベリッシマ!』。
昨年、新装リイシューされたCDにはノーナ・リーブスの西寺郷太さんがライナーノーツを手掛けられていました(『カップルズ』ではカジヒデキさんが)。西寺さんと同い年にあたります。だから90年代、ともに大学時代にこのアルバムを愛聴してらしたんだなぁと共感しました。
でもこのアルバムを聴き返した数だけは西寺さんに負けていないと思います。

さて、
『カップルズ』は小西さん、高浪さん、鴨宮さんの3人による楽曲で主に成立していました。
『ベリッシマ!』では小西さん、高浪さん、そして田島さんによる3人の楽曲で成立していました。
二枚とも、3人の優れた作曲能力を持つソングライターのパワーが拮抗しています。甲乙つけがたいほどに。
そんな関係性で思い出すのが、YMO、だったり、はっぴいえんど、だったり、ナイアガラ・トライアングルのアルバムだったりします。
一つのグループに才能のあるソングライターが3人いれば、やはり存続するのは難しいモノです。
でもそれ故に火花がスパークしたときの威力は凄いです。
そして1995年にリマスターされたときと、同様に今回のリイシュー盤の帯にもこのようなフレーズが書かれています。
《仏作って、魂(ソウル)を探す》
言い得て妙ですね。
仏は仏なんですから、魂を感じるか否かはその人次第。
ちなみに1988年に出たときのオリジナルの帯は『汗知らずスーパースウィートソウル』だった筈。

さてさて、冗長な文章も終わりにしましょう。
本当はこの素敵なシングルのジャケットをブログにアップ出来ただけで満足なのでした。

前回と今回で紹介した二枚のA、B面で鴨宮、高浪、小西、そして田島さんのそれぞれの楽曲が公平にフィーチュアされたコトになります。

イイ曲ばかりですね。
勿論、アルバムの他の曲も負けじと名曲ばかりで、個人的には高浪さんの『カップルズ』(ベリッシマ!収録)もシングルカットして欲しかったです。
『ベリッシマ!』以降の、『女王陛下のピチカートファイヴ』(1989)も『月面軟着陸』(1990)も大好きなので、アナログで出して欲しいなぁ。
きっと二枚組になるだろうけど。買います。ゼッタイ。
『バナナの皮』や『恋のテレビジョンエイジ』を7吋でシングルカットして欲しいなぁ、とか。
ラバーズ・ロック』を12インチで出して欲しいなぁ、とか。
ピチカートマニアの欲望は尽きません。

夜も眠れません。

とにかく、わが青春のピチカートのソニー時代に万歳。

では、

♪ お  や  す  み  な さ い


『これは恋ではない』《MHKL 2》〈作詞/作曲:小西康陽〉(04'45'')【2017】


ベリッシマ

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『皆笑った/ピチカート V』 [ピチカートファイヴ]

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さぁ、今宵も始まりました。

寄る辺ない独身中年男(シングルマン)と、
スマートで素敵で可愛らしい7吋(シングル盤)との深夜の出会い系ブログ『03’54’’』。

今回はどんなマッチングが期待できるでしょうか。

と、いかがわしい謳い文句で始めてみましたよ。
改めまして、ピチカートマニアのみなさん、こんばんは。

春も中盤戦。
四月にピッタリな曲がアナログシングルになりました。。
ピチカートV(ファイヴ)の1stアルバム『カップルズ』から30年目のシングルカット!
『七時のニュース』(A面)と『皆笑った』(B面)です。

まず、この季節になると、取り上げたいのは後者の『皆笑った』です。
アルバムではA面の3曲目。
小西康陽さんの作詞、そして高浪慶太郎さんの作曲によるシャッフルビートのナンバー。
《もう若くない》ボーイ・ミーツ・ガールの恋のうた。
ニール・サイモンの様な都会的ユーモアを湛えた、小西さんの歌詞と、
高浪さんの小気味良く洗練されたメロディ。
おふたりのコンビでのベストソングのひとつ。
初代ヴォーカリストの佐々木麻美子さんと高浪さんのデュエットで展開されます。
佐々木さんのどこか物憂げで素朴なウィスパーヴォイス、イイですねぇ。
軽快なリズムと、流麗なオーケストレーションによるアレンジも朗らか。

♪ 今年の四月はまだ寒くて 春が来てない

というフレーズはこの時節のまだ肌寒い陽気を感じると反射的に鼻歌で出てしまいます。
そんな愛唱歌です。


その後、ソニーでの4枚目のアルバム『月面軟着陸』(1990)では3代目ヴォーカリストとなる野宮真貴さんと高浪さんのデュエットで、
野宮さんの『30 〜Greatest Self Covers & More!!!〜』(2012)では高橋幸宏さんと唄われています。
若いお方が歌うより、大人の男女が口づさむのが相応しい曲なのだと思います。

続いては、A面の『七時のニュース』。
アルバムではB面の一曲目。
ややこしくてすみません。
たしかサイモンとガーファンクルにも同名の曲がありましたね。
作詞は小西さん、作曲は鴨宮 諒さん。
この曲に関してはこちらの記事でお楽しみください。

今からちょうど30年前、1987年の4月1日、エイプリル・フールにリリースされたピチカートの記念すべきファーストアルバム。
デジタルなサウンドが隆盛のあの頃に、イージーリスニング、ジャズ、筒美京平やいずみたくなどの1970年前後の万博歌謡、ロジャー・二コルズ、バート・バカラックなどのティンパンアレー系ポップス、ソフトロック、ヘンリー・マンシーニやニール・ヘフティなどの50~60年代の華麗な映画音楽などなど、さまざまな魅惑の軽音楽からのエッセンスを巧みに抽出したポップミュージック。早すぎた渋谷系。
奇を衒った音楽センス。
一ダースの大人のラブソング集が『カップルズ(COUPLES)』なのでした。
その響きはエヴァ―グリーンな輝きを今も放っています。

そういえば、先日、クリス松村さんのラジオを聴いていたら『そして今でも』が流れてきて嬉しくなってしまいました。不意打ちでラジオから好きな曲が聴こえてくることの幸福感。


話は変わりまして、

昨年の夏、ソニーミュージックがアナログレコード専門レーベルを立ち上げました。
GREAT TRACKS》。
ピチカートの二枚のアルバム『カップルズ』も『ベリッシマ』もLPでこのレーベルから目出度く復刻されました。小西さんの監修でバーニー・グランドマンによるカッティングでアメリカでプレスされました。
今回取り上げるシングルもこのレーベルから、同じく小西さんが監修しています。

近年のアナログ盤の再評価を受けて、今年の2月には80年代末以来、国内には東洋化成にしか無かったカッティングマシンもソニー独自で導入したそうです。

久しぶりにレコード製作へ本腰を入れようとしていますが、
かつて、フランスのフィリップ社と共同で、レコードに代わるデジタル音楽メディアCD(コンナコトシタラ・ディスラレル、いや違った)を開発した会社がソニーでした。
レコードやレコードプレイヤーの生産を終了にして、CDおよび、CDプレイヤーの販売に躍起になった会社がまたレコード販売に舵を切る。
CDが売れなくなって、そしてダウンロードはおろか、MDすら売れなくなって、代替する筈だったカセットテープにまで人気を奪われる始末。
こんな未来を予想出来たでしょうか。
皮肉なものですね。

♪ すこし 嘲笑った



『皆笑った』《MHKL 1》〈作詞:小西康陽/作曲:高浪慶太郎〉(03’23’’)【2017】


カップルズ

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ベリッシマ

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ピチカートマニア!

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  • 出版社/メーカー: テイチクエンタテインメント
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『REACH OUT/SUNSHINE』 [米国ロック/70年代]

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こんばんは。
3分54秒クッキングの時間です。
春っぽいシングルを鳥揚げよう。
何だか窓の外は荒れ模様のお天気ですが、そんなときこそこんな一枚。

SUNSHINEというグループの『REACH OUT』というシングル。
邦題は『春風のうわさ』。
70年代の後半にアメリカでデヴューしたブルックリン出身の3人組。
NYの出ですが、バンド名どおりにサウンドは西海岸の明るく爽やかなサウンド。


イントロのアコースティックギターのアルペジオに新緑の芽吹きの様な瞬き。
ギロの響きもよいアクセント。
メンバーの息の合ったハーモニーもキラキラと。
マイルドなメロディは陽だまりのよう。
韻を踏んだ歌詞にも良いバイブレーションを感じます。
3分に渡り、安らぎのグッドタイム・ミュージックが心へゆっくりと沁みこんで行きます。




B面は『THE WOMAN'S A NATURAL』、
邦題は『彼女のまごころ』。
こちらはメロウなミディアム・バラード。
A面に負けない位グッとくるメロディが広がります。
厳かな鍵盤とストリングスの響き。
ここでもメンバーのコーラスワークが効果的に展開されて、
琴線を刺激します。涙腺も緩みそう。



シングルのジャケットに書かれている解説に寄れば、メンバーは、
ウォルター・ジル・デ・ルビオ、ラルフ・ベルシコ、そしてジョー・タボルミーナという名前の男性の3人組。
イタロ・アメリカンらしいです。
と言えば、ラスカルズやフランキー・ヴァリ、ローラ・ニーロにも通じるグッドフィーリングがこのバンドから感じられます。

この曲が生まれた70年代後半はディスコやAORが主流でしたが、こうした70年代初頭に聴かれたアコースティックなCS&NあたりのSSW系なサウンドはやや分が悪かったかもしれませんが、今聴いても新鮮な響きを湛えています。
プロデュースはAram Schefrin。


少し前に長門芳郎さんが出演しているラジオ番組『ようこそ 夢街名曲堂へ』にて、2017年に再発したい音楽として、上記の2曲を収録したサンシャインの同名のファーストアルバムを挙げていました。
まさに長門さん好みのサウンド。
メンバーにも過去に会った事もあるそうです。
是非、リイシューが実現すると良いのですが。
このラジオ番組の長いですよね。
静岡にいた頃はよく聴いていましたが、ラジコでエリアフリーやタイムフリー機能が使えるようになってまた聴くようになりました。
毎週毎週、すてきなメロディとトークが聴こえてくるラジオ。
これからも末永く放送して頂きたい。

ちなみにこのグループはアメリカの“ROULETTE”という有名なレーベルから作品をリリースしていますが、ここのレーベルのレコードのレーベル面がまさにルーレットを模したデザインで、プレイヤーに乗せて再生するとまるでカジノでのルーレット盤みたいにクルクル廻ります。
勿論このルーレットでのゲーム(音楽)にはハズレなしですよ。
さぁ、張った張った!

という訳で《魔法をしんじるかい?》なシングルでした。

『REACH OUT』《YK-99-RO》〈Written by Walter Gil de Rubio〉(03’12’’)【1978】



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『EYES OF THE CHILD / DEBBIE GIBSON』 [米国ロック/90年代]

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おはろーございます、『恋すれど廃盤』コーナーです。

金曜日にコンサートへ行ってきました。
先月のCKB以来。
山下達郎さんのコンサートツアー『Performance 2017』の大阪フェスティバルホール公演。

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ほぼ毎年のように精力的に開催される達郎さんの今回の全国ツアーは先月から始まって、金曜日のフェスティバルホールはツアーの7日目で、同場所は今年初めてです。
幸運にもチケットを取ることが出来て、しかも3列目、ホールの中心からやや右側というかなり良い場所からライヴを楽しむことが出来ました。
勿論、ネタバレをするつもりは毛沢東ございません。

初めて達郎さんのコンサートへ行ったのは1992年の3月、奇しくもフェスティバルホールでした。
わざわざ静岡から大阪まで行きました。追加公演で。
それ以来、全国ツアーがある度に参加してきました。
ひょっとすると一昨日行った公演はその中でもベストではないかという位に感激しました。
まぁ、毎回そう思える程達郎さんのライヴは楽しくて、素晴らしいのですが。
まさにライブアルバムのタイトルにあるように『JOY』。
今回の曲目も良かったし、達郎さんの衰えぬノド、そして音楽へのパッション。
そしてバンドの面々の演奏の充実ぶり。
さらに舞台セット装置も照明も。
さらにさらに大阪フェスティバルホールという会場が持つ音響や環境の素晴らしさ。
達郎さんが“日本一のホール”と明言するほどの。
音楽の殿堂。

そのどれもが最高でした。

最近、休みの日に彼方此方へ出かけたりするはあまりなくて、外からの刺激が少なかったのですが、達郎さんのライヴを観られればいいんじゃないか、と思います。それで十分だと。
全ての演奏が終わり、達郎さんがステージの端から端へ移動して会場に集まった聴衆に想いを込めて別れの挨拶をしているときの優しい表情。
毎回終わり方はほぼ同じなのですが幸福に包まれます。
コンサートを観終わった時の、あのなんとも言えない温かな安らぐ気持ち。
音楽の魔法なのでしょうか。
あの至福の気分を味わいたくて毎回ツアーへのチケットを必死に手に入れるのだと思います。
達郎さんもそして先月観たクレイジーケンバンドも何か共通する感動を覚えました。
それは達郎さんも横山 剣さんも音楽活動を始めて長いキャリアを重ねつつも、常に音楽へ真摯に無邪気に向かい合い、商業音楽という卑近なモノの中に崇高な世界を魅せてくれる職人なのだと思います。
そして海のように深いサーヴィス精神を持った音芸人。
イイネ。

因みに今回は初めてスマホのアプリをチケットとして利用しました。
e +のスマチケ。
上手く使えるか会場まで心配でしたが問題なかったです。
発券の手数料がかからないのも経済的であります。

という訳で、当然達郎さん関連のシングルをご紹介しようと思うのですが、
ネタバレはしたくないので、達郎さんのオリジナルソングではないシングルを。
プロデュースとアレンジで関わった作品を。

80年代終わりから90年代に主に活躍したアメリカの女性シンガーソングライター、デビー・ギブソンの1993年のCDシングル『EYES OF THE CHILD』。
デビーさんが所属していたアトランティックも、達郎さんが当時所属していたMMGもワーナーミュージック・グループの系列のレコード会社で、1990年に彼女が達郎さんの楽曲を『WITHOUT YOU』というタイトルで発表しました。その曲は翌年に達郎さんが『さよなら夏の日』としてリリースします。
さらに彼女のお母さんがひとりア・カペラシリーズの『ON THE STREET CORNER』をお気に入りだったこと。
それら経緯となりリリースされた今回取り上げるシングルは達郎さんの多重コーラスをバックにデビーさんが歌います。
曲は彼女のオリジナルソング。
タイトルに『EYES OF THE CHILD』とあるように、子供の瞳、あの頃の無垢な感性への郷愁。
過ぎ去りし日々、を愛おしく振り返るノスタルジックなバラードの曲調にドゥーワップのサウンドは実にお誂え向きであります。
達郎さんの自家薬籠中である一人多重コーラスの透き通るような響きとデビーさんの澄んだ美声とのハーモニーも実にマッチしています。彼女のメロディも甘美で。
TATSURO YAMASHITAの音楽センス、洋楽となんら遜色御座いません。



曲のテーマは『僕の中の少年』に通じるものがあるかもしれません。
この曲は今回のツアーで唄われたのでしょうか。
どうなんでしょう。

カップリングは『LOVE OR MONEY』。
こちらは達郎さんは関わっていません。
CDシングルにはこの曲へのクレジットが未掲載ですが、恐らく彼女の作詞作曲なのでしょう。
ファンキーなアップテンポなポップナンバー。
僕と同世代の才色兼備なガールシンガーでした。
近年はそれほど活発な活動は耳にしないのですが、是非これからも素敵な曲を聴かせてほしいと思います。

出来れば、シングルに『EYES OF THE CHILD』のカラオケも収録して欲しかったです。

達郎さんの今期のツアーは8月までですので、
それ以降にネタバレな楽曲のシングルをゼッタイ取り上げようと思います。
お楽しみに!
それまでにもう一回ライヴを観に行く予定です。
お楽しみに!(自分に)


『EYES OF THE CHILD』《AMDY-5106》〈Written by Deborah Gibson / Arranged by Tatsuro Yamashita 〉(02’21’’)【1993】


グレイテスト・ヒッツ<ヨウガクベスト1300 SHM-CD>

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  • 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
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『桜 super love/サニーデイ・サービス』 [邦楽ロック10年代]

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こんばんは。

季節は、春。
桜満開。
ゆっくりと木々に咲いた花々を愛でている時間は残念ながらなくて、
通勤途中に電車の車窓から景色を見ているだけですが。

2017年の〈さくらソング〉をご紹介。
サニーデイ・サービスのニューシングル。
昨年リリースされた傑作アルバム『Dance to you』からのシングルカット『桜 super love』です。

前回のインディーズのジャケットに続いて、
こちらもピンクなイラストが目を惹きますね。
ご存じ、岡崎京子先生のイラストをあしらったジャケ。

レコーディング途中でドラマーの丸山晴茂さんの体調不良により、録音の方向性や進行に変更を余儀なくされ、ベース以外は曽我部さんが演奏を殆ど担当。ドラムも代役を立てずに、彼自身が叩いたり、リズムアレンジを施して仕上げたという難産なアルバムだと云います。
が、ピンチはチャンスといいますか、嵐のあとの日本晴れといいますか、
もうひとつ例えるなら、ちあばきお先生の名作『キャプテン』にて、丸井主将時代、地区予選の決勝で墨谷二中と青葉学園との死闘の末の18回裏のイガラシのサヨナラホームランの様な激闘のあとが伺える、だからこそ美しいアルバムなのだと思います。
活動再開以降のアルバムも優れた内容ですが、90年代の『東京』『MUGEN』に匹敵する内容で。
昨年のベストアルバムでした。


そして今回のシングル。
アルバムの終盤のハイライトとなる名曲。
歌詞がとってもせつなくて美しい。

きみがいないことは きみがいることだなぁ

という一行に感動します。
喪失感と対峙した含蓄の深いことばですが、作為が感じられません。
この《きみ》とは恐らくドラムの丸山さんに捧げられていると思われます。

ソロ以降の曽我部さんはメロディより歌詞に重きを置いていたと思いますが、
その歌詞の素晴らしさがこの曲に極められていると思いました。
そしてサニーデイ時代のメロディの良さもここにきて熟成されて。
彼の優しい歌声とミディアムテンポ、でもリズムはダンサブルな16ビート。
キラキラしたシンセの音は陽だまりのよう。
勿論その春のんびりとした気分の背景には言い知れない悲しみも横たわっていて。
厳しい冬を経ての短い春爛漫。
サウンドで春の穏やかで儚い表情をスケッチしています。



まるで岡崎京子さんの漫画の世界に通じる様なドラマ仕立てのMVで素敵ですね、切なくなりますね。

B面は同曲のラブリーサマーちゃんによるリミックス。
昨年、メジャーデヴューを果たした、女性によるソロの宅録ユニットのラブリーサマーちゃんによるサウンドは、サニーデイのバージョンよりもバンドサウンドっぽい仕上がり。
誰もいない春休みの学校の校舎で放課後の空気感が味わえるような、爽やかなリミックス。
ユーミンの『最後の春休み』みたいな。
ラブリーサマーちゃんの桜の花びらのような、はらはらと切ない歌声もフィーチュア。
リミックスにありがちな過剰な演出を加えずに、楽曲の良さを生かした“ly summer chan remix”なり。

春っていいなぁ、思わずにはいられないシングル。

今回ご紹介したのは限定の7インチですが、同時発売でCDも発売されています。
そちらには更に、新曲やRCサクセションのカバー、そしてアルバムリリース後に開催された昨年のツアーの模様を捉えたライヴ音源などが収録された、55分に及ぶデラックスな内容。
特にライヴ音源は“サニーデイの激情”って感じのパワフルな演奏が襲ってきます。
聴きどころ満開なり。

ライブには参加していなかったドラマーの丸山さんの体調は徐々に回復に向かっているようでなによりです。
サニーデイは今年の夏に久々に野音でライブをするとのこと、行けるかな。

桜は散ってもこれからも活動が楽しみです。

蛇足ですが、
文中に『キャプテン』のコトに触れましたが、そういえば、コージィ城倉先生による、ちばあきお先生の名作『キャプテン』と『プレイボール』の続編『プレイボール2』が連載開始されましたね。
第一回を読みました。絵のタッチに違和感がありました。それは勿論仕方がないですが、さすが長年ちば漫画を研究されているだけあって、ストーリーの細部にまで『プレイボール』の世界観が再現されていると思います。物語の続きが楽しみになりました。
コージィ城倉先生は原作だけに回って、ちばあきお先生のアシスタントを経験されていた高橋 広先生が作画を担当すればより『プレイボール』な世界観が出たのにな、と思います。高橋先生は今は漫画を描かれていないようですが。
是非是非、ちば先生の世界観を絶対損ねることなく楽しませて欲しいです。
大変なコトでしょうけど。
がんばらなくっちゃ。
因みにキャプテンのシングルはこちら


『桜 super love』《ROSE 207》〈作詞・作曲・編曲:曽我部恵一〉(04’28’’)【20017】


桜 super love(7inch) [Analog]

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  • 出版社/メーカー: ROSE RECORDS
  • 発売日: 2017/03/15
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桜 super love

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  • 出版社/メーカー: ROSE RECORDS
  • 発売日: 2017/03/15
  • メディア: CD



DANCE TO YOU

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  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ROSE RECORDS
  • 発売日: 2016/08/03
  • メディア: CD




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『インディーズのテーマ/インディーズ』 [邦楽女性アイドル/90年代]

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こんばんは。
24時間ぶりのご無沙汰でした。
前日に続いて、
黒沢健一さんのアイドル仕事でもう一枚。
このシングルがレヴューで取り上げられるのはネット広しと言えど、このブログが最初だと思います、きっと。
興奮してきたなぁ(by サンドウィッチマン)。

1998年頃にテレビ東京の深夜番組中の企画として、アイドルグループを結成するという流れの中で、制作された楽曲だったかと思います。
《地下アイドル》という言葉が恐らくまだ無かったころのお話。

アイドルグループの名前は、ずばり『インディーズ』。
メンバーは、千葉れみさん、深谷まりえさん、三瓶あさみさんの3人。
身も蓋もないグループのネーミングに深夜番組の企画の泡沫さが透けて見えそうな。
さらに、
彼女たちの記念すべきデヴューシングル、タイトルは『インディーズのテーマ』。
ここでもズッコケてしまいそうに手抜き。

いや、しかし。
その分、楽曲の製作には力が入っております。
作詞はサエキけんぞう氏、作曲が黒沢健一さん、そして編曲は清水信之氏。
なかなか豪華です。
ミディアムテンポのオールディーズ風なメロディライン。
三連~シャッフルっぽいビートに乗ってほんわかと可愛らしい旋律の蕾がひらきます。
難を言えば、やや派手さに欠けますが。
この曲もポップなサビが導入部になっています。
健一さんは60年初頭のガールグループを勿論意識していたのだと思います。
デヴィッド・ゲイツの曲みたいに?
ちなみに拙ブログでは彼が手掛けた珠玉のガールポップを過去に紹介してます。

それはさておき、
サエキけんぞうさんの歌詞もドリーミィこの上ない。
アイドルポップスの作詞も上手いですよね。
ありがちな応援ソングじゃなく、何にも語っていないのが素敵です。
歌唱力の拙さを武器にのどかな世界が広がります。

演奏も恐らく、清水信之氏による一人多重録音で、打ち込みではない生楽器でのサウンド。
シンセもアナログな質感。
デモ音源と聴き間違えちゃいそうですが、デジタルなサウンド主流の今こそ、このチープさがイイのです。ここでも鐘の音が鳴っています。

2曲目はカラオケ音源ですので、演奏の妙味を楽しめること請け合いです。

さらに3曲目以降はボーナストラック?で3人のお嬢さん方それぞのれのボイスサンプルが収録されています。
CDの宣伝文句やあいさつなどの日常会話や四文字熟語収録。
それ以上でもそれ以下でもありませんが、
使い道が判りません。

発売はこれまで聞いたこともない様な、どマイナーなレーベル《DOLLED-UP》から堂々リリース。架空の存在かも。
無論、90年代なので、8センチのCDシングル。


埋もれてしまうにはちょっと惜しい、3ミニッツの可愛らしいガールポップスでした。

勿論、このグループの作品最初で最後。
これっきり これっきり もう これっきり ですよ~。

以上。

『インディーズのテーマ』《DUIP-6001》〈作詞:サエキけんぞう/作曲:黒沢健一/編曲:清水信之〉(03’23’’)【1999】


インディーズのテーマ

インディーズのテーマ

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: インディペンデントレーベル
  • 発売日: 1999/03/25
  • メディア: CD



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『運命 '95/Melody』 [邦楽女性アイドル/90年代]

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ども、はぐれブロガー軽佻派です。

今夜も黒沢健一さんについて。
彼のメロディメイカーとしての魅力にズームイン!

95年、当時活動していた女性3人組アイドルMelodyのシングルに健一さんが書き下ろしました。
メンバーは田中有紀美さん、望月まゆさん、若杉 南 さん。

この時期だとL⇔Rが『Knockin’ on your door』をヒットさせていた頃でしょうか。
バンドの活動以前にも健一さんは女性アイドルに曲を少しづつ提供していました。
南野陽子さんとか。
一番有名なのは森高千里さんの『気分爽快』ですね。

♪ のもお~
 
ってやつです。
バンドで成り立つ前にソングライターとして活動して、女性アイドルへ楽曲を提供していたという経歴。
アメリカへ目を向けますと、思い出すのはデヴィッド・ゲイツですね。
アサイラムにて四人組のバンド、ブレッドとしてデヴューする以前の60年代前半~中期にはやっぱりガールシンガーやガールグループへ沢山の曲を書いてました。それらもとってもいい曲ばかりでした。
それはそれとして。

また前置きが長くなりました。


運命 '95』について。
イントロにて、これでもかこれでもかと鬼のように連発されるオーケストラルヒットの嵐。
バブリーな感、無きにしも非ずですが、仕方がありません。
だって運命なんスから。
ディアゴスティーニに、
いや、
ディスティニーに、
ビビッとこなくちゃ。
ベートーベンの ♪ ジャジャジャジャーン!!
に対抗するにはこれくらいやらなきゃ、とアレンジャーの新川 博氏が考えたかどうかは知りませんが、インパクトがあり、かつ下世話なイントロ。
当時はエイヴェックス系のダンスビートも隆盛でしたし。

イントロ以降は、
健一さんのジェットコースターのようなめくるめくメロディ展開にグッときます。
サビ、Aメロ、Bメロ、そしてCメロと、メロディメイカーとしての面目躍如。
そしてゴーバンズの森若香織女史の歌詞も、ドラマティックな旋律とアレンジに負けまいとする気合に満ちています。
恋に勝気な年頃の娘気質に溢れた、女性上位な歌詞で迫ります。

この曲はL⇔Rも同年に発表されたアルバム『Let me roll it !』で取り上げています(『Knockin’ on your door』も収録)。
僕が知ったのは、
シングルレヴューの先輩である、nakamura 8cmさんの失われたメディア-8cmCDシングルの世界-でのレヴューで、ずっと後になってでした。
僕がL⇔Rを熱心に聴いてたのは前作のアルバム『Lack of Reason』まででしたっけ。
ブレイクするとちょっと気持ちが離れてしまうのは悪い癖です。
メロディは『運命~』ですが曲の構成、アレンジ、そして歌詞は変更されています。
出来の方は、僕としてはMelodyの方が気に入っています。
先に長く聴きこんでいた所為もあるのかも。




ワンカット、ワンシーンで撮影されたPV、ヒッチコックもビックリ。
低予算で行き当たりばったりに撮られているのかと思いきや、
案外、計算尽くされていて、
ダンスを魅せる場所や小道具として電話をかける場所とか、タイミングとか予め決められていたのだと判ります。
建物の地下に入ってあちこち移動して、巡り巡って、曲の最後には最初にいた建物の入り口にちゃんとタイミングよく辿り着いている。
時間までにちゃんと元の集合場所に戻る、という決まりを守っての自由行動な訳ですね。
なるほど。
それにしてもこのロケ地、なんかRPGのダンジョンみたいですね。
何処にあるんだろう。
彼女たちの熱心なファンが聖地として訪れたり、、、、はしてないか。
キレイなお嬢さんたちのダンスとはしゃっぎっぷりも堪能できる魅力的な映像ですな。
キャメラマンさんもお疲れ様です。

この曲は多分当時スーパージョッキーかなんかで知ったんですね。
90年代は総じてアイドルグループの冬の時代でしたから、情報源はスーパージョッキーに負うところは大きかったです。
その数年後、NHKの『天才てれびくん』で出演してる女の子たちがこの曲をカバーしていて、『運命 '99』というタイトルでした。
『~ '99』にした方がなにか、運命!って感じが強まりますね。
なんでイイ大人が小学校低学年向けの番組を観てるんだ、っていう話でもありますが。
この番組は真心ブラザーズの『空にまい上がれ』、ホフディランの『極楽はどこだ』とか僕の好みに合った曲を何故か取り上げていて、何気なく観てしまいました。


カップリングは『フラレタ気分』。
『ふられた気持ち』では無く。
作詞は天野 滋、作曲は羽田一郎、そして編曲は鈴木雅也諸氏によるもの。
こちらもノリが良くてキャッチ―なメロディで親しみやすい曲です。
♪ Yai Yai Yai Yai ~が耳に残ります。


Melodyは、90年代と言う不遇な時代の活動でしたが、近年のアイドルブームの中で再評価も徐々に高まり、ベスト盤が21世紀になって編まれたり、ラグジュアリー歌謡の枠の中でも評価されたりと少しづつですが認知されて来ているようです。
最近の地下アイドルによってこの曲をカバーした動画がアップされたりと、名曲は歌い継がれているのですね。

『運命 '95』《PCDA-00758》〈作詞:森若香織/作曲:黒沢健一/編曲:新川 博〉(04’06’’)【1995】


Myこれ!クション Melody BEST

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  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
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