SSブログ

『SWEET REVENGE / UGUISS 』 [邦楽ロック/80年代]

スキャン0496.jpg

押忍!
小柳トムです。
嘘です。

前回は松 たか子さんのシングルをご紹介しましたが、
お次は旦那さまの佐橋佳幸さん。
80年代に組んでいたバンド“UGUISS”のシングルです。
1983年の9月にエピックソニーからデヴューしました。
当時のエピックソニーは勢いがある新しいレコード会社した。

インターネット広しと言えど、UGUISSのシングルを記事にするのは拙ブログが最初ではないでしょうか。
多分。
バンド名《うぐいす》とは、メンバー全員がアメリカンロックの70年代を代表するバンド、イーグルスの大ファンということで、そこから肖ったそうです。
ユーモアがお好きな佐橋さんらしいバンド名。
メンバーは5人。
リードギターの佐橋さん。
キーボード奏者は柴田俊文さん、伊東 暁さん、
ドラムの松本 淳さん、
そして紅一点のヴォーカルの山根栄子さん。
十代の頃からバンド活動を始めていた佐橋さん。
この頃からすでにepoさんのレコーディングに参加している早熟なギターボーイでした。
楽曲のレパートリーのほとんどは勿論佐橋さんが書いています。

70年代のシンガーソングライター~ウェストコーストのロックをルーツとしたサウンドが身上のバンドです。
後に佐橋さんが90年代初頭に同じくアメリカンロックのルーツミュージックに根差したバンド、ロッテンハッツのメジャーでの二枚をプロデュースすることになるのは歴史の必然だったのでしょう。
ロッテンハッツもUGUISS同様に短命なバンドでした。
どちらも音楽志向が共通するものがありますね。コーラスも得意だし、演奏も達者だし。
それ以前にも佐橋さんは鈴木祥子さんの80年代のアルバムを手掛けたり、当時この手のサウンドを手掛けるのなら右に出る人はいない方です。ロッテンハッツはキューンソニー、祥子さんはエピックソニーでした。

という訳でデヴューシングルの『SWEET REVENGE』。
彼らの名刺代わりとなる一曲。
どっしりと重量感のあるミディアムテンポな8ビートに切り込んでくる佐橋さんのエレクトリックギターのフレーズ、フェンダーストラトキャスターでしょうか。
シャープな演奏にのってキレのあるしなやかな山根栄子さんのハイトーンなヴォーカルが刺さります。
サビの ♪ Can' t feel my heartache  のメロディが胸を心地よく抉ります。
荒ぶる情熱が込められた演奏と山根栄子さんの唄とバックのコーラスに勢いを感じます。

B面は『Burnin' City Light』。
休暇を過ごした海沿いの町から再び故郷の街へ帰って来たときの夕闇の光景と心情を歌にしています。爽やかでハートウォーミングなメロディ。キャロル・キングやジャクソン・ブラウンあたりの70年代のSSWものを思い出します。佐橋さんのギターソロもあの時代のサウンドを髣髴させます。

UGUISSは83年にメジャーからファーストアルバムをリリースして、翌年続くセカンドアルバムをレコーディングを完了したのですが、音楽の方向性の違いで残念ながら解散。
録音されたセカンドアルバムはお蔵入りになってしまいましたが、90年代に入って二枚のアルバムはめでたくCD化されました。
そして結成30年となる2013年に二枚のアルバムに加えて未発表音源を追加したCD二枚組として彼らのアンソロジーが発売されました。ソニーのサイトからインターネットの通販のみで入手できます。
どの位の方がこのバンドのことをご存じか判りませんが、もっと音楽好きの方に知ってもらいたいなと思います。

彼らが活動して83~84年は音楽シーンの流れの転換期だったと思います。
アナログレコーディングからデジタルレコーディングへ、音楽メディアもレコードからCDへ(まだまだ市場へは広まっていませんでしたが)、テクノやヒップホップ、MTVの台頭など、70年代の流行や文化がだんだん色褪せてきて、明るく派手なヴィジュアルで訴えかける作品やメディアが増えてきました。
肩まで髪を伸ばしたり、ベルボトムのジーンズを履いている男性はいなくなりました。
ロンドンブーツ(お笑いコンビに非ず)が笑いの対象になったり。
UGUISSのセカンドアルバムのレコーディングの時も当時の流行のサウンドを取り入れて欲しいというレコード会社側の要求もあったそうです。
アーティスト側の理想とレコード会社側の希望との軋轢や、メンバー間の確執などが解散の原因だったそうです。
UGUISSの音楽は決して派手さは無いですが、豊かなロックンロールのハーヴェストです。
ヴォーカリストの紅一点、山根栄子さんは残念ながら数年前に御病気でお亡くなりになってしまいました。お姉さんである山根麻衣さんと共に様々なミュージシャンのレコーディングやライヴで活躍されていました。
残された音源は色褪せることはありません。
UGUISSにも、シュガーベイブの音楽の様な青春の輝きが感じられます。
流行に関係なく好きな音楽へ打ち込むコトの美しさが音像に見事に昇華されています。
都会の擦れっ枯らし達の作る音楽は良いモノです。

最後に、
改めて思うのは佐橋さんの音楽センスの一貫性。
70年代のアメリカンロックにルーツに根差しながらも、長年日本のロックシーンに於いて、数えきれないくらい様々なアーティストのサウンド作りに柔軟に貢献し続けています。
特に僕が好きなミュージシャンの筆頭に挙げる、桑田佳祐、佐野元春、そして山下達郎諸氏へのサポートは計り知れないでしょう。
桑田さんのレコーディングへの参加はそれほど多い訳ではないですが、桑田さんのソロ活動の転機となるスーパーチンパンジーやアコースティックレヴォリューションライブなど節目節目にイイ仕事を残されてます。
元春にはホーボーキングバンドのギタリストとして90年代後半からゼロ年代中盤まで活躍してました。佐橋さんが十代の頃からの知り合いです。元春とのライヴ活動は減ってしまいましたが、今でも毎年ホーボーキングのメンバーが集まってセッションライヴをするときは佐橋さんも参加しています。バンドの絆を大切にする佐橋さん。
そして90年代中期から達郎さんのライヴツアーでのバンドの常連メンバーとして現在も大活躍。
日本のロックシーンのアーティストに頼られて、可愛がられる佐橋さんが見せる笑顔もイイですね。
彼らのライヴを観に行くとМCをする彼らのバックでにこやかに微笑んでいる佐橋さんがいます。
達郎さんのライヴでもところどころで茶目っ気たっぷりな動きをしたり。
その小柄な体格からは想像つかないほど、多彩で的確で瑞々しいギター演奏を繰り広げてくれます。
シンガーの歌心に呼応するプレイ。
UGUISSで活動を共にしていた柴田さんも達郎さんのツアーに十年前からずっと参加しています。
佐橋さんのプロデュースワークにも長年サポートをされています。

今回のシングルのジャケットを見返すと、
佐橋さんの少年の様な風貌は今と全然変わってないですよね。
人懐っこい無邪気な笑顔。
そして変わらない音楽への深い情熱。
松 たか子さんはそんなところにコロっと行っちゃったんでしょうねぇ。
元春は佐橋さんを“コロちゃん“と呼んでましたっけ。
関係ないか。


個人的には佐橋さんにまたいつかソロアルバムを出して欲しいなぁ、と願っています。
『Trust me』は名盤ですね。
優しい歌も聴かせて欲しいですし。
どうぞこれからもお元気で。

『SWEET REVENGE』《07・5H-175》〈作詞:山根栄子/作曲:佐橋佳幸/編曲:UGUISS〉(05’01’’)【1983】
佐橋佳幸の仕事(1983-2015) Time Passes On

佐橋佳幸の仕事(1983-2015) Time Passes On

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Gt Music
  • メディア: CD



TRUST ME - Deluxe Edition

TRUST ME - Deluxe Edition

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Warner Music Japan =music=
  • 発売日: 2008/08/06
  • メディア: CD



nice!(2)  コメント(2) 
共通テーマ:音楽

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。