『夢の夢/ジョン・レノン』 [BEATLES]
ども、
こんばんは。
夢のシングル盤へようこそ。
今宵はジョン・レノンの『# 9 DREAM』。
邦題は『夢の夢』です。
1974年のアルバム『Walls and Bridges(心の壁、愛の橋)』からのシングルカット。
この時期はオノヨーコとの別居時代にあり、LAでの生活は「失われた週末」と呼ばれています。
飲んだくれて、生活は荒んでいたようです。
二ルソン達とつるんで夜な夜な遊んだり。
と、自暴自棄な生活を省みたのか、
そんな当時の心境が反映され、内省的な楽曲がアルバム全体を覆いますが、
エルトン・ジョンとの『Whatever gets you thru the night(真夜中を突っ走れ) 』の次に明るい感じの曲が『夢の夢』です。
アルバム中でもっとも平穏なムードが漂っています。
あとは倦怠的というか、マイルドでメロウな曲もあるし、ファンキーな曲もありますが、
心ここに非ずなせつないジョンの歌です。
タイトルにある、
《9》と言う数字はジョンのファンならご存知かと思いますが、彼にとってのラッキーナンバーです。誕生日が10月9日ということもあり、ビートルズ時代にも彼の作った曲にはこの数字が付いたものがありました。
この曲を初めて聴いたのは中学の終わり頃、彼のベスト盤でした。
確か桑田さんのラジオでも聴いたことがありました。
ミディアムテンポののんびりしたビートにややサイケなストリングスの調べ。
まるで夢の中を彷徨っているような気分になります。
浮遊感のあるサウンドですね。
ジョンの歌唱もやさしく子守唄を聴かせる感じで耳に迫って来ます。
やはり彼の歌声の独特の不思議さが感じられます。
そして、あのサビの謎めいたフレーズ。
Ah ! bowakawa pousse pousse
なにか意味があるのかと調べてみましたが、誰にも答えられませんでした。
夢うつつにうわごとを言っているのでしょう、多分。
夢から覚めて、あの時何と言ってたんだ?と相手に聴いてみても記憶にないのでしょう。
しっかり、ジョン。
歌詞の中身もまるで夢を見たときの内容って感じで、抽象的な表現に留まったモノです。
霊魂《spirit》が踊っていたそうです。
なるほど、夢のお話です。
まったく不思議な曲ですね。
演奏時間は4分44秒、いやはや何とも。
このシングルのチャートの順位は全米で“9位”だったそうです。ラッキー!
B面は『What you got』。
《失われた週末》期間のジョンの焦燥や混乱が伺えるような楽曲。
ジム・ケルトナーの叩く重量感溢れる16ビートにワクワクします。
ブラスの切れ味鋭いフレーズといい実にファンキーなサウンド。
タイトでなリズムの上を狂気に近いシャウト気味な声で捲し立てるジョンの歌。
これまたファンキーかつクレイジー。
いつの間にかジョンの亡くなった時の年齢をすっかり越えて生きています。
この時のジョンは34歳か。
まだ若い。
このアルバムはとても大好きで今でも良く聴きます。
実に身につまされる感じで心に沁みてきます。
それでは良い夢を。
『夢の夢』《EAR-10700》〈Witten by John Lennon〉(04’44’’)【1974】