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『玄界灘/段田 男』 [歌謡曲/80年代]

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こんばんは。
未だかつてないペースで更新しているのは、
一言で云えば、

自棄です。

やけのやんぱちです。

でもこれでイイの。

さぁ、張り切って今夜も参りましょう。



来た!来た!来たー!

1986年、歌謡界の新星。

段田 男”!!DanDa Dan!!

この方を語らずに1986年の邦楽シーンは語れません!



あ、ちょっと云い過ぎだったかも。
すみません。


予め断って置きますが、これは芸名です。(知ってるよ)
本名ではないです。(そりゃそうだ)

日本コロムビアから3月21日デヴュー。
曲名は『玄界灘』。
九州は北西部、日本海の西端の海域で世界有数の漁場としても知られています。
因に段田さんは愛知県出身です。

学校を卒業し、明日上京する息子へ漁師の父が漁船に乗って玄界灘へ連れ出します。
潮の匂いのする激しい荒波の中で逞しく働く父の雄姿を目に刻んで、息子は将来という己の大海原へ漕ぎ出します。

ジャケットを観ると、まだあどけなさが残る角刈りのフレッシュボーイな段田さん。
この当時は20歳頃だそう。
歌の主人公に近い心境に思いを馳せながら、歌謡界へ第一歩を踏み出しました。
歌の師である市川昭介氏の作曲。

歌詞の内容から思い出されるのは『おやじの海』。
あの曲を1986年にリブートしたような。
勿論別の曲です。
より陽気に派手に奏でられています。
そして段田さんの歌唱!
新人とは思えないノドの迫力。
ジャケットのおすましな面影は無く、パンチの効いたしゃがれ声。
やや高音の響き。
北島三郎さんを髣髴させるような大器を感じさせます。
つまり本格です。
晴れがましい歌を盛り立てます。

歌の始まりと、終わりに大胆に鳴り響くビブラスラップが印象的です。
作詞は吉田 旺、編曲は佐伯 亮。
吉田氏による歌詞も実にイイです。


B面は『姉貴』。
A面と同じ作家陣による歌。
マイナー調のうら悲しい演歌で、行方知れずになったお姉さんの消息を心配する弟の想いが切々と歌われています。
悲しみと不安を滲ませた段田さんの歌の説得力。
聴き応えあります。

トコロで、このユニークな芸名を持つ男性演歌歌手を知ったのは1986年当時毎週定期購読していた『オリコンウィークリー』からでした。チャート誌です。
この時代の歌に思い入れが深いのはオリコン誌の所為でもあります。
さて、86年にデヴューした新人歌手が多くこの雑誌で紹介されていて、当然段田さんも取り上げられていました。
その芸名のインパクトは当時の中学生にはストライク。
印象に残りました。
メディアでの話題にもなりました。

大きな期待で迎えられましたが、
段田さんはその後、セカンドシングルをリリースして芸能界から消えてしまいました。

密かにこのユニークな名前の歌手がどうして引退してしまったんだろうかと思ってました。

♪ Dan Dan 気になる~ なんつって。

そして、
数年前のネットの記事で判りました。
取り敢えずお元気そうで安心しました。

やはり芸名のインパクトが強過ぎたのでしょうか。
あの当時ではちょっと早すぎたのかもしれません。
本格的な実力派歌手なのに色物と誤解されかねない名前でしたから。
人生思うように行きませんね、ホント。

今なら丁度いい加減ではないでしょうか。
人生にifは無いのでしょうが、今もまだ歌謡界でご活躍だったら、サブちゃんの後継として人気歌手だったかもしれません。

今は地元で歌の教室を開かれているようで、“段田 男”という芸名も昔の芸能事務所から使用許可が降りて、現在も昔の名前で出ているそうです。
本名なのに、契約が切れた昔の芸名の使用を禁じて、前途有望な若い女優さんの活動の邪魔をする事務所もいますね。


最後に、数年前に開催された地元のイベントにて『玄界灘』を熱唱する段田 男さんの映像が入ってきていますので早速ご覧ください。


あれから、30年近く時間が過ぎても歌唱力は変わらないし、歌うときの表情は若々しいですね。カッコいいです。
歌を唄うのが本当にお好きなんだと、じ~んと来ちゃいました。
イイ曲だなぁ。
自分の好きなことをどんなカタチであれ、続けることが大切なんだと知らされます。

『玄界灘』《AH-719》〈作詞:吉田 旺/作曲:市川昭介/編曲:佐伯 亮〉(04’29’’)【1986】


段田男 VS 横井則子~絆~

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『OH!! POPSTAR/チェッカーズ』 [歌謡曲/80年代]

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どうも、
1986年のシングルばかり毎日取り上げていると、
今の世の中がホントに1986年みたいに感じられる、訳ないか。

これまでの86年のシングルのジャケットをご覧になってお気づきの方もいらっしゃるでしょう。
ジャケットにバーコードが印刷されています。
1986年に入ってリリースされたシングルには殆どと言っていいくらいジャケットにバーコードが導入されました。
このジャケットの景観を損ねる悪しき風習の始まりでした。

それはそれとして。
今夜はチェッカルズのみなさんです。


2月21日発売の『OH!! POPSTAR』です。
彼らの10枚目のシングル。
これもリアルタイムで買いました。
初めて自分で買ったチェッカーズのシングル盤でした。

ロックスターとしてブレイクを夢見る青年とそのガールフレンドとの甘くほろ苦い青春物語。
ブレイクと引き換えにガールフレンドとの距離が離れてしまう内容。

バンドとしても、デヴューして三年近く経過、人気もひと段落して安定期。
アイドルとアーティストの狭間で揺れていた頃だと思われます。
ビートルズで言えば、ヘルプ!やラバーソウルあたりでしょうか。


楽曲は作詞は売野雅勇、作曲&編曲は芹澤廣明の不動のコンビ。
青春のもどかしさを湛えたセンチメンタルでキャッチ―なメロディが気に入って買ったのだと思います。
60年代のバンドサウンドに準じたアレンジ。
すこしGSっぽいです。
と、思ったら芹澤氏は元々は60年代にグループサウンズを組んでいたそうです。

チェッカーズを始めとして、80年代芹澤氏の耳触りのよく、爽やかなメロディは沢山のヒット曲を生みました。

改めて藤井郁弥さんの歌声を聴くと、華があるヴォーカルだなぁと思います。
歌唱力もあるし、響きも美しいし、それだけじゃなく愛嬌があります。
解散後も第一戦で唄い続けています。




これを観ると藤井弟さんはサックスじゃなくてギターを弾いてますね。

売野&芹澤コンビとしての最終作である次作の『SONG FOR U.S.A 』にも繋がるコンセプトを感じる作品。
この後、A面もチェッカーズのメンバーによる楽曲で発表されていきます。
1986年はチェッカーズの転換期と言える時期だったのです。

B面は『お前が嫌いだ』。
こちらはチェッカーズのオリジナル。
作詞はフミヤさん、作曲は武内リーダー。
芹澤氏の様なプロの作家からの気兼ねなく、
バンドのメンバーだけでのびのびと作ってるのが何となくわかります。
演奏も荒々しいしパンクでストレートなロックンロール。

そういえば、昔のGSのバンドもA面は職業作家による提供作品、B面はメンバーによるオリジナル楽曲という構成でしたね。

その後もバンドの活動を主体としながら、決してアーティストぶらずにとんねるずの番組でコントをやっていました。僕は特に矢島工務店のコントが好きでした。
アイドルとバンドの二足草鞋を全うした稀有なバンドなのでした。

それだけに解散後は一部のメンバーとの不仲が露呈して淋しい気がしました。
彼らの様なバンドが再結成してテレビに出て歌ってくれたらいいなと思いました。

♪ 青春が渡れない河あるねと ラジオで歌ってる・・・・・

なのですね。

『OH!! POPSTAR』《7A0558》〈作詞:売野雅勇/作曲・編曲:芹澤廣明〉(03’48’’)【1986】



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『ポツンと一人きり/ビートたけし』 [歌謡曲/80年代]

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ハイ、てな訳ではじまりました、03’54’’。
今夜もとっとと更新しちゃいましょう。

今回はビートたけしさんのシングル『ポツンと一人きり』。
チャゲアスのシングルと同じ、2月5日発売でした。

たけしさんの80年代は歌手としても精力的でした。
名曲が多いです。
この時期だと少し前に松方弘樹さんとのデュエット『I'll be back again ・・・いつかは』のスマッシュヒットがありました。
歌いまくるビートたけしって感じで。

『ポツンと一人きり』はちょっぴりセンチなR&B歌謡。
たけしさんの楽曲は割と派手でポップな曲調が多いのですが、
これは比較的に地味な感じですね。
哀愁が漂います。
それがまた魅力だってーの。

《孤独》を歌った歌詞がイイですね。
人間の愚かさ、間抜けさを自嘲するような。

そして魅惑の歌声。
技巧的なモノではない、ソウルな響きがありますね。




作詞は島 エリナさん。
アニメソングのテーマ曲を多く手掛けられた方だそうです。
作曲の田中真美さんは70年代末期から80年代初頭にシンガーソングライターとして活動された方と同一人物だと思います。
『涙のロンリーボーイ』が有名で後に稲垣潤一さんがデュエットアルバムで土屋アンナさんとカバーしました。


B面は『見る前に躍べ』。
このタイトルはたけしさんが好きな言葉でもあります。

♪ オレの いつもの 裸の その歌を聴け

と、アップテンポのサウンドにドスを効かせてがなるように歌う殿の熱いメッセージソング。

作詞は先生、作曲は茂村泰彦さん、この方もシンガーソングライターとして現在も活動されています。
アレンジは二曲とも奥 慶一氏。


最後に、このシングルのジャケット。
この写真について、元たけし軍団のメンバーである、キドカラー大道さんがnoteでコメントを寄せていました。



このジャケット写真、たけしさんの実際の部屋を写したもの。 四谷四丁目の「パレ・エテルネル」という当時は周辺で一番の高級マンションだった。 この部屋でいつもネタを書き「たけしの挑戦状」の企画を練り、例の「お化け騒動」もあったし、1985年からの『バラエティ黄金期』の殆どをここで過ごし、最後は講談社殴り込みに行った。 曲に関して触れると、この曲は仮歌の時点では女性が歌うメロウ(懐かしい表現だね)で、さわやかな調子だったが、たけしさん本人の申し出でアレンジを変えた。 今聴いても名曲だと思う。

とのコトです。

なるほど、生活感のある部屋の写真はやっぱりたけしさんのお部屋だったのですね。

以上、
書きゃいいってもんじゃないよ』のコーナーでした。

『ポツンと一人きり』《SV-9102》〈作詞:島 エリナ/作曲:田中真美/編曲:奥 慶一〉(03’42’’)【1986】


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『イエローサブマリン音頭/金沢明子』 [歌謡曲/80年代]

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こんにちは。
大滝さんの特集、続いています。

前回のクレイジーキャッツのシングルに続いては、コチラ。
今回も濃いです。
イエローサブマリン音頭』。
この作品も、デクさんこと、萩原哲晶氏とのコラボレーション。
共作としてはこちらが先です。

第一期ナイアガラからの“音頭路線”の集大成とも云えましょう。

民謡とロックンロールという異文化の衝突が得も云われぬサウンドを生み出しました。

ビートルズマニアとして有名なレコーディング・ディレクターの川原伸司(a.k.a 平井夏美)氏による、〈『Yellow Submarine』の音頭化〉というアイディアを大瀧詠一プロデューサーに打診。
アレンジャーとして要請されたのが萩原哲晶氏でありました。

クレイジーキャッツの『遺憾に存じます』(1965)のイントロは『抱きしめたい』からの引用だったり、決して無縁ではないクレイジーキャッツとビートルズ。
歌うのは金沢明子さん。
『ナイアガラ音頭』等で三味線を弾いていた本條秀太郎氏のお弟子さんでもありました。
その比類なき明朗なコブシとノド、そして健全な諧謔精神に則ったサウンドはやがて海を渡り、本家、ポール・マッカートニーをはじめ、海外のビートルズファンの度肝を抜きました。
昨年のワールドツアーの日本公演の開演前のBGMにもこの曲が流れたそうです。
世界に誇るクレイジーキャッツサウンド&ナイアガラサウンド。

ナイアガラ・トライアングル仲間の伊藤銀次、佐野元春、杉 真理諸氏も終盤に引っ張り込んでの乱痴気騒ぎ。ビートルズマニアらしいネタを挟み込んで。
真剣な遊び心は時の試練に耐え得るのです。

歌謡曲には“マドロス歌謡”というジャンルもあるのでその亜流とも云えますね。
“潜水艦”をテーマにした歌謡曲は非常に珍しいと思います。

チャンチキでおトボケで晴れがましい行進曲風なイントロからして最高です。
随所に脱線する軽妙な演奏。
脱力感が半端じゃありません。
漫画の世界だったら聴いてる人は逆さにひっくり返ってるでしょう。
些細なことで悩んでいるのが馬鹿馬鹿しくなるようなサウンドの底なし沼に潜水艦と一緒に潜るのです。
ロック曲の音頭化でありますが、違和感がないのが不思議です。

 ♪ うぃ~ お~る り~ぶ いん あ いえろう さぶまりん いえろう さぶまりん

金沢女史の呑気この上ない、棒読みな発音。
天晴れ。
作詞は松本 隆氏によるものですが、元々は森 雪之丞氏が担当する予定だったこともあり、森氏のアイディアも採用されているそうです。サビの“潜水艦”の処がそうです。
このハマり具合が肝ですね。
お気楽なサウンドの裏に只ならぬ狂気を感じます。
大滝さんのプロデューサーとしての手腕が遺憾なく発揮されている名作ですね。

B面は『夢を飲まないか』。
こちらは大瀧さんのプロデュースではありません。
あまり語られることは無いのですが、なかなかイイ曲です。
伊達 歩作詞、ハーリー木村作曲、高田 弘編曲によるメロウなシティポップスです。
A面のインパクトがあまりに強烈過ぎて、その存在感が薄まっちゃっていますが。
シティポップ調なアレンジとメロディですが、歌詞は居酒屋だし、コブシの効いた金沢さんの歌ということで洗練しきっていないのが味かもしれません。

現在でも金沢女史は『イエローサブマリン音頭』をコンサートで歌い継いでいるそうです。
当時は“聖子ちゃんのような”世界感を期待していたそうですが、結果としては金沢女史のスタイルに合ったこの作品で良かったのではないでしょうか。
唯一無二の歌謡曲ですよね。

『イエローサブマリン音頭』《SV-7270》〈作詞・作曲:レノン―マッカートニー/訳詩:松本 隆/編曲:萩原哲晶〉(03'17'')【1982】


大瀧詠一 SONGBOOK2

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  • 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
  • 発売日: 1995/03/24
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『実年行進曲/ハナ肇、谷 啓、植木 等とクレイジーキャッツ』 [歌謡曲/80年代]

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こんにちは。
黄金週間、いかがお過ごしでしょうか。
今日も今日とて大滝さん特集です。
このブログでは久しぶりに取り上げます、クレイジーキャッツ。
前回はこちら

クレージーキャッツの1986年のシングル『実年行進曲』。
グループ結成30周年記念シングル。
この曲はCМにも使われてたので覚えています。
前回のアキラさんに並んで、大滝さんに深く影響を与えた存在。
クレイジーキャッツそして、その音楽。
エルヴィスやビートルズに匹敵するショックを受けたそうです。
ご自身のラジオ番組『ゴー!ゴー!ナイアガラ』でも特集が組まれたほど。

その音楽のキーとなるのが萩原哲晶氏。
クレイジーキャッツ作品の多くの作曲編曲を担当されました。
萩原氏は1984年の一月にお亡くなりになりました。
生前、萩原氏と交流のあった大滝さんはその意思を継承するべく大役に挑みます。

大滝さんにとっては前年のアキラさんのシングルに続いての大仕事だったことでしょう。

ジャケットからして、『スーダラ節』のジャケットのパロディですね。
24年後の6人集合写真。

萩原氏と同様、クレイジーサウンドには欠かせない青島幸男氏の作詞を元に大滝さんが作曲編曲を担当。
“原編曲”として萩原氏の名前も敢えてクレジットされています。
ここに大滝さんの萩原氏への敬意が滲んでいます。
クレイジーキャッツの結成10周年映画『大冒険』のテーマソング『大冒険マーチ』を下敷きにこれまでのクレイジーサウンドの集大成的な仕上がり。
意気揚々と晴れがましい楽曲が大通りを軽妙に練り歩いていきます。

タイトルにある『実年』という言葉、あんまり馴染みが無いのですが、調べたら“1985年11月25日に当時の厚生省が公募に基づいて決定した50歳代・60歳代の年齢層を指す言葉。官庁用語などでは使われるものの一般には普及しなかった。”と書かれています。
1986年にこの作品が発表されたので、この言葉が決定されて間もなく、曲名に使用されたのですね。

植木さん、ハナさん、谷さんのそれぞれの歌唱が実に面白いです。
タイプの異なる三人の個性がストレートに音源に刻まれています。
谷さんのミョーに高い声、ハナさんの芸達者な声色、飄々とした植木さんのノド。
サイコーです。
聴いてるだけで楽しくなりますね。
長年にわたりクレイジーキャッツを愛し、研究を重ねてきた大滝さんの叡智とディテールとユーモアがサウンドに込められています。
演奏クレジットには“ヤング大滝と実年マーチングバンド”と記されています。
当時50代のクレイジーの面々に比較すれば36歳だった大滝さんはまだまだ若輩者という訳です。
大滝さんの壊述によれば、作品としてはあまり評価されなかったそうです。
そうでしょうか。
記念作品なので特に新機軸な曲を作ったり、80年代当時の流行を中途半端に取り入れていたら、逆につまらなく安っぽい仕上がりになったと思います。

B面は『新五万節』。
1962年に発表された『五万節』のリメイク。
こちらも大滝さんがアレンジしています。
オリジナルバージョンへの敬意をこめてクレジットは“編々曲:大瀧詠一”とされています。
そして演奏は“大瀧詠一とナイアガラ三千年オーケストラ”とクレジットされています。
凄いですねー。
『五万節』は元々作られた歌詞の一部に問題があるとされて、改作をされました(後にその改変前のバージョンも公開されています。)
ですので『新五万節』は三度目のリメイクという事になります。
ハナさん、植木さん、谷さんがそれぞれの大袈裟な自慢話を歌詞で歌い継ぐ内容。
それぞれの歌に対し、残りのメンバーがコミカルにコメントを入れるのが面白いです。
途中で“ドント節”がインサートされたり、植木さんの“”オヨビでない”、谷さんの“あんた、誰”“ガチョーン”、“ビローン”、“ムヒョーン”、ハナさんの“あっと驚く為ゴロー”が聴けたり、これまた楽しいです。

メンバー6人が全員で歌った時のワイワイガヤガヤと賑やかな感じもイイですね。
高度経済成長時代を明るく盛り上げた男たちの活気がお年を召されても漲っています。

とにかく聴いていて底抜けに無条件に楽しくなっちゃうクレイジーキャッツ。
青島幸男氏の歌詞、メンバーの個性的な歌、そして萩原哲晶氏のサウンドの三位一体がクレイジーキャッツ。そして萩原氏のサウンドを見事に継承した大滝さん。
『実年行進曲』には別バージョン《ぶちゃむくれバージョン》なるものがあり、そちらは歌詞や歌い方が過激になってます。
大滝さんが編集した『クレイジーキャッツ・デラックス』に収録されています。

大滝さんの敬意はレコードの盤面にも込められていました。
このシングル盤は東芝独自の“赤盤”なのですが、盤の内側、送り溝付近に刻まれているマトリックス番号の隣にこのように刻印されています。


TO  DEKUSAN       EACH


“DEKUSAN”、つまり“デクさん”とは萩原氏のニックネームなのでした。

蛇足ながら、このシングルは僕の13歳の誕生日に発売されました。

またクレイジーキャッツの映画が観たくなりました。
“新・午前十時の映画祭”には『ニッポン無責任時代』がラインナップされていましたね。
楽しみです。


『実年行進曲』《TP-18000》〈作詞:青島幸男/作曲・編曲:大瀧詠一/原編曲:萩原哲晶〉(03'33'')【1986】


クレイジー・キャッツ・デラックス(紙ジャケット仕様)

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結成50周年 クレイジーキャッツ コンプリートシングルス HARAHORO盤

結成50周年 クレイジーキャッツ コンプリートシングルス HARAHORO盤

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2005/01/26
  • メディア: CD



結成50周年 クレイジーキャッツ コンプリートシングルス HONDARA盤

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  • 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2005/01/26
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『熱き心に/小林 旭』 [歌謡曲/80年代]

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こんばんは。
大滝さんの楽曲提供作品をもう一枚。

『シベリア鉄道』に続いて、“北国”を舞台にした作品で『熱き心に』。

歌うは大滝さんのヒーロー、小林 旭さん。
1985年のシングルで大ヒット、ロングセラーを記録しました。

当時、CМソングとして流れていたし、オリコンウィークリーを毎週読んでいたのでこのシングルが長らくチャートの上位でランキングされていたのをよく憶えています。
この曲が大滝さんの作品だと知ったのは後なのですが。
アキラさんはうちの父も大好きで、よく過去のヒット曲をカセットやレコードで流していました。
やはり、アキラさんは団塊の世代の憧れだったのですね。

憧れのスターに楽曲を捧げるのですから、並大抵の作品で収まるはずがありません。
実にスケールの大きな楽曲が生まれました。

大滝さん曰く、アキラさんを想定して用意していた楽曲が二つあり、それを合体させたというのだからスケールが大きいのも当然。
煌めくようなイントロから勇壮な音像が畳み掛けるナイアガラ・サウンド。
流麗で壮大なアレンジを務めるのは大御所、前田憲男氏。
最近では、元春と雪村いづみさんの『トーキョーシック』のアレンジも担当されていますね。
なんとなく雄大な自然の景色がイメージされるような、雄々しいメロディ展開そしてサウンド。
ジョー・ミークがプロデュースしたTORNADESの『テルスター』を根幹として、『フィヨルドの少女』そして、この曲が出来上がったような感じがします。大滝さんのお得意の連作システム。
その後は市川実和子さんの『雨のマルセイユ』に・・・。

それはそれとして。
雄大なサウンドに負けないのがアキラさんのヴォーカル。
阿久 悠さんのシナリオ、そして大滝さんと前田氏が制作した舞台セットを背景に主演の名演、名唱が繰り広げられます。
無意識過剰(by小林信彦)なワンアンドオンリーな歌唱スタイル。

♪き~た~ ぐ~に~の~

と、いう事で。
大滝さんが作曲したメロディに合わせた阿久さんの歌詞はこのフレーズで始まります。
当然、イメージとしては『ギターを抱いた渡り鳥』(1959)の世界が広がります。
大滝さんの狙い通りだったかもしれませんね。
ギターを抱えて当てのない旅をする風来坊、滝 伸次。
シリーズ第一作は函館が舞台。
旅先の街で、そこの実力者に搾取される人々を助け、悪漢たち(宍戸 錠)を蹴散らし、再び街に平和を取り戻したところでその街を去る滝 伸次。
その街で知り合った美しい女性(浅丘ルリ子)を残して。
渡り鳥はまた別の街で弱きを助け、強きを挫いて、別の美女(でも浅丘ルリ子)を惚れさせて、街を旅立ちます。
その永久運動こそが『渡り鳥シリーズ』。
当時は他にもアキラさんには『流れ者シリーズ』、『暴れん坊シリーズ』、『銀座旋風児(マイトガイ)シリーズ』に主演していましたがヴァラエティに富むというよりは勧善懲悪の日活無国籍アクションというワンパターン気味な世界観に微妙な差異を取り入れて楽しむという感じですね。
それが許されるのもアキラさんの存在感、貫録なのだと思います。

『熱き心に』の歌詞はあの映画の世界感を振り返って、滝伸次が浅丘ルリ子さん扮するヒロインへずっと渡しそびれていたラブレターという感じもしますし、あの時の情熱(熱き心)を取り戻そう、というメッセージソングなのかな、と思いました。
あの映画に胸をときめかせていた同世代への応援歌、というか。

今でもこの曲はアキラさんのコンサートの要所要所で歌われる代表曲。
今聴いても全然古びていないし、聴くたびにまさに熱く、心を奮い立たせてくれます。

B面は『さらば冬のカモメ』。
作詞:東海林良、作曲:大野克夫、編曲:中林恵一
女性との別れを歌った歌謡バラード。
おなじみのアキラ節はこちらの方が堪能できます。
男性側からの一方的な別れの切り出しに、だだを捏ねる女性。
渡り鳥を気取って、港町を去ろうとする男の身勝手に振り回される女性。
男はいつまでたっても子供なのでしょうね、と知った風なことを書いてます。

小林 旭のコンサート、いつか観てみたいです。
それまで、いやこれからもずっと、お元気で。

大滝詠一特集、次回もお楽しみに。

『熱き心に』《7DX1404》〈作詞:阿久 悠/作曲・編曲:大瀧詠一/ストリングス編曲:前田憲男〉(04'45'')【1985】


大瀧詠一 SONGBOOK2

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『さらばシベリア鉄道/太田裕美』 [歌謡曲/80年代]

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はい、こんばんは。
大滝詠一さんを偲んで、特集を続けています。

前回の記事の冒頭に記した大滝さんについての紹介文が、意味不明だというお言葉を全然頂きませんでした。
ですが、さらに大滝さんについて判って頂けるように他の本からの文章を引用して紹介しましょう。


日本フォーク・ロック界の〈小野田庄助〉

'83年『一年一嘘運動』実行委員会となり、発売しないLPの予約をとる。
その後Each Boysのリーダーとして《ビーチ・タイム》のヒットを飛ばし、
女子大生グループEach Girlsの《ピーチ・タイム》をプロデュース。
急きょ、プロ雀士に転向し《リーチ・タイム》というマージャン入門書を書き、朝田“昨夜”徹夜氏より絶賛される。
又、狂頭大学の助平をしながら書いた《ティーチ・タイム》が突然マスコミの注目を浴び、
〈イーチ現象〉なる新語も生まれ、頭狂大学の浅田ユージロー氏と共に、
ニュー・カルチャーのプリンス・タツノと呼ばれた。
'84年『十年百嘘運動』の征夷大将軍となり、現在に至る。〈1984年当時〉

以上です。
これで君もナイアガラ-。


さて、今夜は太田裕美さんのシングルを。
さらばシベリア鉄道』です。
大滝さんによるシングル盤は以前にご紹介済です。
太田裕美バージョンは1980年の11月リリースですので、『ロンバケ』が発売される約4か月前の作品。

同アルバムのレコーディング中、『シベリア鉄道』のメロディに合わせて作られた松本 隆さんによる歌詞を読み、
その歌詞の内容が『木綿のハンカチーフ』に通じる“手紙”を介しての男女の気持ちのやりとりであった事もあり、
太田裕美さんの次のシングルにとのアイディアが大滝さんによって持ち込まれます。
当時はレコーディングスタジオで大滝さんと太田裕美さんは度々顔を合わせていたそうです。
担当のレコーディングディレクターも同じだったそうです。

先日にテレビの特番で太田裕美さんの最近のコンサートの模様を放送していましたが、当時のことを裕美さんは語っておられました。

『シベリア鉄道』はナイアガラ・サウンドの流れの中では、’70年代の『多羅尾伴内樂團Vol.1』で試みられた北欧ギターインスト経由の哀愁サウンドの発展形と云いましょうか。
ジョー・ミークが手掛けたジョン・レイトンの『霧の中のジョニー』からの影響を滲ませつつ、当代の人気女性歌手に歌わせて、大衆歌謡音楽へ馴染ませる手腕。
非常に日本人好みのもの悲しいメロディに仕上がっています。
風雲急を告げるようなイントロから始まる、テンポの激しい劇的な曲調。
アレンジは『木綿の~』同様、萩田光雄氏。
聴きどころは大滝バージョンとの歌唱表現の違いでしょう。
意図的に歌詞の譜割りも違っています。
大滝さんのバージョンが悲観的な結末をニュアンスに込めたというのに対し、裕美バージョンは希望をニュアンスに込めたとのコト。
裕美さんの氷の結晶のように繊細で清廉な歌声がマイナー調の旋律にマッチしています。
もう一度あの人に再会したい、淡い希望を抱きながら寄る辺ない北の国へ向けて列車はひたすら走ります。

『シベリア鉄道』は何度も言いますが、僕が初めて買った『ロンバケ』のCDには収録されていませんでした。
つまり『FUN x 4』でアルバムが終わるのです。
1991年の3月にCD選書版で再発された『ロンバケ』でちゃんと『シベリア鉄道』を聴きました。
当時はアルバムの最後で突然に歌謡曲っぽい感じに転換するのに違和感を感じていました。
9曲目の『FUN x 4』と明らかにムードが変わりますね。
それがこのアルバムのユニークなところかもしれませんが。
曲の良さが判り始めたのは大人になってからです。

そして、
大滝さんの訃報に際し、松本 隆さんはこの楽曲のフレーズ“十二月の旅人”を引用してtwitterを通じてメッセージを残されたことは記憶に新しいですね。

それから、裕美さんの先述のライヴでも勿論この曲は歌われました。
元かぐや姫の伊勢正三さん、元ガロの大野真澄さんとのにユニット“なごみーず”での歌と演奏でした。


B面は『HAPPY BIRTHDAY TO ME』。
センチメンタルでスウィートなミディアムバラード。
作詞:山川啓介、作曲:浜田金吾、編曲:飛澤宏元による楽曲。
過去の思い出思を引きずりつつ、少し淋しい誕生日を迎える心境を歌にしています。
ハーモニカの響きが切なく、僕のことを歌ってるのかと思いました。ほっとけ。

次回はさらにディープに特集します。
お楽しみに。

『さらばシベリア鉄道』《07SH 901》〈作詞:松本 隆/作曲:大瀧詠一/編曲:萩田光雄〉(04'11'')【1980】


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『人生いろいろ/島倉千代子』 [歌謡曲/80年代]

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こんばんは。
逝ける人を偲んで。

昨年お亡くなりになった島倉千代子さんのシングルを。
数々の代表曲をお持ちの島倉さんですが、やっぱり僕はこの曲が一番印象的なのです。
80年代のテレビっ子はそうかもしれません。

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『色つきの女でいてくれよ/ザ・タイガース』 [歌謡曲/80年代]

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こんばんは。
またまた更新が空いてしまいました。
取り上げたいシングルとかイロイロあるのですが、なかなか思い通りに書けなかったり。
アレコレと思い巡るうちに時間は経ってしまいます。

と、言う訳で先日、京セラドームでザ・タイガースのコンサートを観てきました。
阪神戦じゃありません。
スタジアム内は熱狂的な虎ファン、じゃない、ザ・タイガースファンで満杯。
今でも衰えぬ集客力。
お年を召したご婦人方がやはり多かったです。

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『レディス・アングル /長谷直美』 [歌謡曲/80年代]

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こんばんは。
今回も80年代のシングル。
ラグジュアリー歌謡っぽいヤツです。
今夜は長谷直美さんの1981年のシングル『レディス・アングル 』。
70年代に所属していたエピックからワーナーに移籍して唯一のシングル。

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