『いちご畑でつかまえて/サニーデイサービス』 [邦楽ロック10年代]
こんばんは、
カーネーションの次は
サニーデイ・サービスです。
フロム・ローズレコード。
これもファンなら知らぬはモグリですが、
曽我部さんも青山さん、直枝さんと同じバースデイ。
8月26日はなんてメロディアス。
サニーデイ・サービスのライヴも昨年末に観に行きました。
大阪のメルパルクホール。
新幹線の新大阪駅の近く。
真野ちゃんのライヴもそこで観ました。
彼らの音楽をデヴューアルバムから追っかけていながらライヴを観に行くのは初めての事でした。
観る前はサニーデイは演奏があんまり上手くないのでは、と思っていました。
ところがメチャクチャ素晴らしい演奏でした。
ギター、ベース、ドラムのスリーピースでガンガンにバリバリに演奏してました。
もう勝手にヘタだなんて思い込んでいて申し訳ありませんでした。
テクニックもあると思いましたが、そんなコトではなく、ロックンロール・バンドとしての気合、スピリット、ガッツが凄い。
エモーショナル、エネルギッシュ。
卓越した曽我部さんのギタープレイ。
エレクトリックもアコースティックも良い音がします。
そして歌の圧倒的な巧さ。
ブンブンと弾けるベースを奏でながら田中 貴さんのコーラスも爽やかで。
ドラムは丸山晴茂さんでは無かったようです。
恐らく初恋の嵐のドラマー、鈴木正敏さんだと思われるのですが、パワフルなドラミングで前方の二人を盛り上げていました。
ニール・ヤングとクレイジーホースみたいでした。
カッコよかったです。
МCも控えめにこれまでの彼らの代表曲を惜しげもなくドンドン披露していて、あらためてイイ曲ばかりだと思いました。
90年代の僕の生活に溶け込んでいた曲たち。
世田谷での大学時代、そしてフリーター時代の記憶が蘇って来ました。
ライヴの本編ではみんなホールの客席に座って聴いていました。
じっくり楽しんで。
そしてアンコールでは曽我部さんが「みんなもっと前に来ていいよ」と言ったら、
待ってましたとばかりに客席を離れて多くのファンがステージ前方にかぶりつきで集まってきました。
みんな子供のように無邪気に演奏を楽しんでいました。
恐らく僕と同年代の、90年代に青春を送った方々なのでしょう。
僕は二階席だったのですが、楽しく観られました。
12月の最後の日曜日。
サニーデイ、サンデー。
ハートが芯から温まるようなライヴでした。
そんな彼らの新しいシングルがリリースされました。
『いちご畑でつかまえて』。
大滝さんが聖子さんに書いた曲とは同名異曲。
16ビートのゆったりとしたリズムに乗って、
ゆらゆらと煌めくエレキギターのリフレインが耳に心地良いです。
ソフトな歌声と甘美なメロディが冬の厳しい空気を優しくほどいていきます。
曽我部さんのメロディメイカーぶりが遺憾なく発揮されています。
夜の闇をだんだんと明るく染め上げる朝日の様な爽やかさ。
この時期にぴったりなミディアムナンバー。
聴けば聴くほど味わいも増して。
B面は『コバルト』。
フォークロック調の作品。
気だるくセンチメンタルなムードに微睡みながら、ハートウォームなメロディを味わいます。
少年の様な曽我部さんの唄声も良いですね。
瑞々しいブルー。
う~ん、サニーデイ健在なり。
新年の名曲一番乗り。
サニーデイと言えば、
昨年に彼らが90年代に発表したアルバム群をアナログで再発しました。
再発されたのは『若者たち』『愛と笑いの夜』『Sunnyday Service』そして『24時』の4ダブル。
それ以外の3枚は90年代にアナログで出されました。
『Mugen』と『LOVE ALBUM』は持っています。
『東京』を買い逃したのが悔やまれます。
一度だけ三軒茶屋にあったレコファンで売っていたのを見かけたのですが、そのときは買わなかったのです。
所持金が足らなかったのか、覚えていません。
返す返す残念です。『Future Kiss』も持ってませんでした。
結成20年以上も経ちますが、サニーデイサービスはまったくそんな感じはしなくて、時間の経過を越えて年齢不詳な青いサウンドをこれからも聴かせてくれるのでしょう。
それと、このジャケットのアートワークはおなじみの小田島 等さんが担当されているのですが、
つい先ほどのツイートでデザインのアイディアを永井 博さんが手掛けられたサザンの『いなせなロコモーション』から得ている、とコメントされていました。
なるほど。
『いなせな~』はピンク色の地にピーマンのイラストが描かれてました。
『いちご畑~』は黄色の地にイチゴのイラスト。
サザンのあの曲もジャケットも良いですよね。
という訳で、
“サ”の付くバンド同士、
野菜と果物のジャケットについてのタネあかしでした。
チャンチャン。
『いちご畑でつかまえて』《ROSE195》〈作詞・作曲:曽我部恵一/編曲:サニーデイサービス〉(05’05’’)【2016】
『アダムスキー/カーネーション』 [邦楽ロック10年代]
こんばんは。
青山陽一さんのシングルに続いては、
カーネーションです。
青山さんと直枝さんはかつてはメトロトロンのレーベルメイトでしたが、
その後、異なるさまざまなレコード会社の所属を経て、
再び現在共にP-Vineに籍を置いています。
勿論ファンの方なら百も承知の同じ誕生日同士。
カーネーションの2015年を締め括るニューシングル『アダムスキー』。
シングルのリリースとしては2009年の『ジェイソン』以来です。
ジェイソンとアダムスキー。
関連性はあるのでしょうか。
そういえば、『ジェイソン』でドラムを叩いていたのが、現在青山陽一 the BM'sのメンバーの中原由貴さんでした。
それはそれとして。
アダムスキー、というと、《空飛ぶ円盤》に遭遇したことのある方。
その体験から広まったUFOのイメージは不変です。
今回のシングルのジャケットにも円盤が映ってますね。
ジャケットのロケ地は東京の永福町にあるつり掘の武蔵野園。
孤独のグルメのエピソードでも有名です。
ジャケ写の摩訶不思議なイメージにも負けない『アダムスキー』の摩訶不思議なロックサウンド。
直枝さんの脳内を垣間見る様なストレンジな白昼夢のような世界。
混沌とした言葉の羅列を繋ぐホットでポップなロックンロール。
ひねくれていてもバンドサウンドの衝動的なパワーに惹かれます。
ちょっと巻き舌気味の直枝さんの唄声も気だるくってセクシー。
不動の大田譲氏のベース。
サポートの
張替智広氏のワイルドなドラム。
佐藤優介氏のバリー・アンドリュース気味なキーボード演奏。
ほんのり初期XTCっぽくもあり。
♪ 笑いながら泣いたりしてもいいよね?
良く判らないけど、いいとも。
因みにシングルを再生する回転数は33回転。
青山さんのシングルも33回転にすれば、両面にしなくても良かったのかも。
B面は『メテオ定食』。
こっちは45回転。
これまた掴み処の無い曲名。
近未来の空想世界のようなイメージの曲調とサウンド。
そして歌詞もカート・ヴォネガット・ジュニアの小説のようにSFっぽくてシニカル。
♪ 戦いたいなら“お前”が行ってください
このシングルにはダウンロードコードが付いていて、2014年のライヴ音源を聴くことが出来ます。
イイ曲がいっぱい。
あ、でもまだダウンロードしていませんでした。
これからしよう。
昨年は直枝さんは鈴木惣一郎氏のとのソギー・チェリオスのセカンドアルバムをリリース。
1973年前後のロックのダイナミズムと叙情を滾らせた名盤でした。
今年はカーネーションでの活動がメインなのでしょうか。
昨年末と年明けの先日に大阪でライヴを開催して下さったのですが、
都合が合わなくていけませんでした。
先日のライヴのあった土曜は仕事があって、開演の18時には間にあわないのです。
その代わりに、19時半からビルボード大阪で開催された吾妻光良&スウィンギンバッパーズのライヴを行きました。
これも仕事が何とか終わって急いで移動して電車を乗り継いでギリギリ間に合ったくらいで。
バッパーズは長年観に行きたいと思いつつ、都合が合わなかったのですがようやく観に行くことが出来ました。
大満足でした。
吾妻さんのエンターテイナーぶりに感激しました。
カーネーションのライヴも是非また行きたいと思います。
『アダムスキー』《P7-6213》〈作詞・作曲:直枝政広/編曲:カーネーション〉(05'14''’)【2015】
Carnation Billboard Live 2015 [LIVE DIRECT]"a Beautiful Day" 20th Anniversary Live
- アーティスト:
- 出版社/メーカー: Amazon Records
- 発売日: 2015/08/22
- メディア: CD
『Freezer Bag(Part 1 & 2)/青山陽一 the BMs』 [邦楽ロック10年代]
こんばんは。
いつかこのライヴを思い出してきっとブログに上げてしまう、のコーナー!
ハイ、今夜も松坂世代に大人気なコーナーがやってきました。
突撃レポーターの都市色です。
今回のライヴレポは昨年10月18日(日)、阿波座のmarthaというカフェレストラン。
そこでの青山陽一 the BM'sのライヴ。
前回彼のライヴを観たのは四年前の難波ベアーズでした。
そのときもバンド編成で。
ベアーズと言うアンダーグラウンドの巣窟で熱気溢れファンキーな演奏が繰り広げられました。
薄暗い闇の中でみんな体を激しく揺らしていました。
あのときの興奮をもう一度という訳です。
狭かったベアーズから一転、比較的ゆったりとし手、明るいカフェレストランで寛ぎながら濃厚なグルーヴの振動で心も体も響きました。
僕の周りの客席の方々も大いに盛り上がって、メンバーの演奏にもさらに火が注がれます。
青山さんの華奢な体から鋼のようにしなやかで逞しいギタープレイの数々、そして癖のある楽曲と歌声が。
年を追うごとに固定されたメンバーとのコンビネーションも深まり、演奏時の表情にも自信と余裕が感じられます。
四人のフォーリズム(ギター、ベース、ドラム、キーボード)の他に、ゲストで田村玄一さんがスティールギターで参加していて、さらにサウンドに厚みが出ていました。
このときに、ちょっとしたハプニングが起きたのですが、それまた後ほどお伝えします。
このライヴは2015年で活動25周年を迎えた青山さんが記念となるオールタイムベストアルバムのレコ発ツアーでありまして、ベスト盤のタイトルは『Quarter Century of Odrelism』。
そのベスト盤に収録されている新曲『Freezer Bag』がアナログシングルとして発売されました。
まさに現行のブルース&ファンク路線ど真ん中の作品。
バンドとの蜜月を感じさせるサウンドなり。
ありし日のソウル/リズム&ブルース系のシングル盤にあったようなパート1、パート2構成で、A面とB面にまたがってのロングプレイ。
タイトルは冷凍保存に使うアレです。
フリーザーバッグに入れたまま冷蔵庫で長期間保管して、すっかり放置。
思い出したは良いけど、その中に何が入っているのか判らない。
何だかちょっと怖い。
さて、どうしたもんだろう。
そんな感じの内容。
青山さんの歌詞は日常からあんまり他の方が考えないような視点から歌詞が形成されたり、
どこかもの悲しい、滑稽な状況を言葉にしますね。
ハッピーな状況を歌うことは殆どありません。
そこが実にブルースですね。
少々怪しげな歌詞に相応しい、ノワールなダーティな演奏。
中原由貴女史と千ヶ崎 学氏による重量感のあるリズム隊の演奏に乗って青山さん自身の切っ先の鋭いエレキギターのソロが繰り出され、それも聴きどころです。ギターが内心を訴えています。泣いてます、叫んでいます。
延々とドファンクが展開されいきます。
ギターソロ、そして伊藤隆博氏のキーボードソロ、そして再びギターソロ。
リズムに魅せられているうちにレコードの溝の内周へ。
つれないフェイドアウト。
この続きはライヴにて。
A、B面合わせて一曲なんですが、シングルを買ったときに特典としてCDが貰えました。
ベスト盤と同名の楽曲『Quarter Century of Odrelism』。
ファンキーでちょっとメロウな楽曲でライヴ音源で収録されてます。
先ほど述べたライヴではオープニングで演奏されました。
ベスト盤には未収録ですが、お気に入りです。
バンドの充実ぶりが伝わる青山さんの最新シングルです。
最後に、
ライヴの途中で、田中玄一氏のスティールギターの弦が切れました。
一度弦を交換したのですが、また演奏の際に切れてしまいました。
もう一度弦を交換する為に一旦、演奏を中断。
少し長引きそうなので、彼以外のメンバーでブルースのセッションを始めます。
ゆったりとしたリズムのセッションが続くと、ようやく弦の張替が終わった田村氏が演奏に合わせて治った楽器を弾き出し、さらにおもむろに歌いだします。
♪ 何故なんだ~ どうして弦が切れるんだ~ 2度も~
これには会場内が大いに沸きました。
いっしょに演奏してるバンド面々も大笑い。
青山さんも調子に合わせて
♪ 玄さんの弦が切れた~
と唄い出すので益々大盛り上がり。
こういうライヴでの意外な出来事は盛り上がりますね。
演奏をとちったり、歌詞を忘れて中断したり。
でもこういう機知に富んだユーモアから演奏が生まれたりするのはさらに面白い。
このライヴでは田村玄一さんは即興でブルースを歌い出しました。
ブルースと言うのはアメリカ南部の黒人の奴隷制から来る悲哀や憂鬱を歌にしたもの。
日常の苦しみを開放するべく民衆の間から歌が生まれました。
ライヴ中に不本意にも楽器の弦が切れてしまった悲しみを即興でブルースにしたのです。
ブルースが生まれる瞬間を目撃したのです。
大袈裟かもしれませんが、僕はとても感激しました。
音楽と日常の深い結びつきに感銘を受けました。
これぞライヴの醍醐味なり。
そして、
ブルースは深い。
そんな大発見をした青山陽一さんのライヴでありました。
今年は是非、ニューアルバムを期待しています。
ブルーマウンテンのブルースを聴かせて欲しいです。
『Freezer Bag』《P7-6210》〈作詞・作曲:青山陽一〉(Part 1:03'48'' ,Part 2:03'38'')【2015】
Quarter Century Of Odrelism (1990-2015)
- アーティスト:
- 出版社/メーカー: Pヴァイン・レコード
- 発売日: 2015/05/20
- メディア: CD
Freezer Bag (Part 1) c/w Freezer Bag (Part 2) [7inch Analog]
- アーティスト:
- 出版社/メーカー: Pヴァイン・レコード
- 発売日: 2015/11/04
- メディア: LP Record
『太陽のバカンス/シーナ&ロケッツ』 [邦楽ロック10年代]
こんばんは。
自分が過去に観に行ったライヴを思い出しながらそのミュージシャンに関するシングルを紹介する、
題して、
『自分が過去に観に行ったライヴを思い出しながらそのミュージシャンに関するシングルを紹介しよう』のコーナー!
ハイ、今夜はシーナ&ロケッツ。
昨年の9月、梅田クラブクワトロでライヴを観てきました。
仕事が終わって急いで会場へ。
開演から一時間くらい経っていて、途中でどうしようかと思いました。
中途半端にしか楽しめないなら、辞めようか。
でも行きました。
行かない後悔より、行ってからの後悔。
これを見逃したら、暫くは観られないだろう。
これまでも何度か観たいと思いつつ、一度も観に行くことはありませんでした。
なかなか都合がつかなくて。
昨年、2月にシーナさんは天に召されてしまいました。
当日券を握りしめて、クワトロのライヴ会場の重たいドアを開けました。
初めて観る彼らのライヴでしたが、なんだか初めてじゃないような親しみのあるムードがありました。
ロックンロールが好きな人なら、どんな奴でも受け入れてくれるようなオープンな雰囲気がすでに出来上がっていて。
そのときはブルースのような曲を演奏していました。
オーディエンスの皆がとても楽しそうに寛ぎながら演奏を楽しんでいました。
敷居の低さがありました。
当然、ステージにはクールでセクシーでナスティでスレンダーな女性ヴォーカリスト・シーナさんはいません。
ギターの鮎川 誠さん、ベースの奈良敏博さん、ドラムの川嶋一秀さんの3ピースの演奏で。
僕が見始めたあたりから、一昨年にリリースされた最新作『ROKKET RIDE』からの楽曲が多く演奏されました。
シーナさんが担当したヴォーカルパートは主に鮎川さんが歌って。
技巧的な歌の上手さではなく、朴訥としたストレートな唄い方に味わいがあります。
彼女の不在を悲しむのではなく、シーナさんがきっと喜ぶような元気で前向きな演奏を貫いていました。
ロケッツの3人の熱い演奏とオーディエンスの声援をどこかでシーナさんが見守っているような、そんな気分でした。
鮎川さんの濃厚な博多弁でのМCはとても親しみ深く、実直で純粋で誠実な人柄が伝わって来ます。
シーナさんを思いやる良き夫の面が垣間見られて、心を打たれました。
ホント、カッコいい人ですね。
気骨のある九州男児って感じで痺れます。
鮎川さんの書かれたロックのディスクガイドは聖典です。
ライヴの終盤では代表曲の『レモンティー』も『YOU MAY DREAM』も聴けました。
滅茶苦茶素晴らしかったです。
演奏に合わせて、シーナさんの歌声が脳内から聴こえてくるようでした。
会場にいたみんなもそうだったかもしれません。
ライヴ会場の壁にはシーナさんを讃えるポスターのようなモノが貼られていました。
久しぶりにカッコいいロックンロールを思いっきり深呼吸しました。
ライヴを観に行って、良かったです。
また行きたいと思いました。
という訳で、シーナ&ロケッツのシングルを。
先に述べた最新作『ROKKET RIDE』から、先行シングルがドーナツ盤でリリースされました。
A面は『太陽のバカンス』。
60~70年代のエレキ歌謡風味のロックンロール。
限りなく恋のバカンスに近いロック。
懐メロに陥らないのは演奏と音質がバリバリに尖っているから。
あの時代のムードを嗅ぎ取ったような柴山俊之氏の歌詞。
妖艶なシーナさんの唄声にクラクラ。作曲も手がけてます。
そんなマコトに騙されて、サイケな夏をシモキタで。
B面は『電撃BOP』。
ラモーンズのカヴァーではなく、シナロケのオリジナル曲。
まさにタイトルの言うとおりに電光石火のパワフルな一撃のロックンロール。
まじりっけなしのロック、パンク、ガレージサウンドの詰め合わせ。
アンプリファイアされた鋼のノイズの渦の中心からシーナさんのシャウト交じりの熱唱が轟きます。
空々しい現代をぶった斬る鋭いメッセージを込めて。
実に若々しい。
作詞は柴山俊之氏、作曲は鮎川 誠氏。
このアルバムを聴く限りシーナさんが亡くなるなんて微塵も感じません。
シーナさんにとっての最期のアルバムの予感を感じさせない位に瑞々しくパワーが漲ってます。
そんな充実作『ROKKET RIDE』であります。
最近は訃報が日々舞い込んできて、穏やかじゃありません。
今年に入っても多いですね。
昨日も一昨日も。その数日前も。
ロックンロールの黄金時代、60~80年代を活躍されたミュージシャンたち。
鮮烈な感性の火花を散らして。
永遠に若く。
でも誰にも避けようもなく人生には限りがあります。
ただそれだけの当たり前の事なのですが。
素晴らしい思い出を多く残して下さったことが逆に悲しさを増加させてしまう皮肉。
来月でもう一年になるのですね。
湿っぽい話になりました。
そんなことは、
またレコードに針を下ろして音楽を聴いて忘れましょう。
『太陽のバカンス』《NJS-704》〈作詞:柴山俊之/作曲:シーナ/編曲:シーナ&ロケッツ〉(03’56’’)【2014】
『炎のクリスマス/シワスモノ』 [邦楽ロック10年代]
気が付けば、
今年もクリスマスが轟音を響かせてやってきます。
どうあがいても避けきれないのです。
今年はまだクリスマスに関するシングルを取り上げていませんでした。
という訳で、今年は一枚ですが
ご紹介しましょう。
“シワスモノ”の『炎のクリスマス』です。
シワスモノ、とはなんぞや。
“師走者”と漢字で書くのでしょう。
メンバーはヴォーカルとギターの森川アキコさんとギターの野口耕一郎さんの二人組。
お二人は90年代に、“サイクルズ”というバンドのメンバーでもありました。
メジャーで2枚のアルバムを残して解散、しばらくはそれぞれ別々に音楽活動をしていましたが、
二年ほど前からまた組んで音楽を開始しました。
そのユニット名が『サツキモノ』。
アレレ、『シワスモノ』じゃないの?
とお思いのあなた。
間違いじゃありません。
『シワスモノ』とは『サツキモノ』に於ける、11月と12月での活動時での変名という訳です。
僕はサイクルズが好きでした。
と、いっても彼らを知ったのは解散後でした。
彼らを知った経緯についてはきっとこのブログで彼らのシングルを取り上げる機会もあるかもしれないのでそのときまでとって置きましょう。
という訳でシワスモノの『炎のクリスマス』。
丁度、一年前くらいに発表された2曲入りのCD-R。
タイトル通り、クリスマスソングに分類される内容です。
が!
内容は抒情的なヘイト・“クリスマス・ソング”です。
正確には日本でのクリスマス周辺時期の空虚で表層的なお祭りムードへの違和感です。
本来の趣旨から逸脱した商業主義的なクリスマス。
同様なことが昨今のハロウィーンにも当てはまりますが、
煌びやかなLEDの電飾に惑わされて、大勢で徒党を組んで酒を飲んだり騒いだりするだけのイベント。
この時期に恋人と一緒にクリスマス・イヴを過ごすことが最重要と煽るメディアの風潮。
そういうファッションに満ちたクリスマスへの皮肉をこめた楽曲です。
歌や映画の中に 描かれているような
そんな 特別な日じゃないよ 僕には
街に人があふれていく ただそれだけのこと
そんな迷惑なクリスマスはよその国のおまつり
実は山下達郎さんの『クリスマス・イヴ』と共通のメッセージを持っています。
あの曲も歌詞ではクリスマスに独りで過ごすことの疎外感を歌っています。
達郎さんはインタビューで、ご自身の楽曲で唄われる歌詞のテーマは基本的に“疎外感”であると語っています。
穏やかなミディアムテンポでセンチメンタルなメロディが切々と展開されます。
無垢なるハモンドの調べとスレイベルが鳴り響いて。
森川アキコさんの伸びやかで澄んだ声、野口さんの爽やかな多重コーラスが崇高な輝きを魅せます。
じわじわと琴線を触れていきます。
ハードなサウンドで怒りを爆発するのではなく、マイルドでソフトな音楽に乗せて静かな諦観を独白します。
悲しみは雪のようにしんしんと降り積もっていきます。
このCD-Rには楽曲のクレジットが明記されていないのですが、
恐らく作詞作曲とも野口耕一郎氏が手掛けていると思います。
唄われている歌詞の内容、そしてメロディ展開が、サイクルズ時代と同じだからです。
サイクルズの作品はほとんど野口さんが担当していました。
時代の流れから取り残されてしまう人たちの心情をうたっていました。
そういう世界は僕にはとても共感します。
タイトルに付けられた“炎~”とは怒りの炎でしょうか。
もう一曲は『大人のクリスマス』。
こちらもクリスマスソングですが、やはり明るくて楽しい内容ではありません。
曲調は『炎の~』よりもポップで親しみやすいのですが、子供の頃のクリスマスは無邪気に楽しめたけど、大人になってからはクリスマスの日も仕事で忙殺されてしまう。
あの頃に戻りたい、と実にネガティヴこの上ない。
この二曲での救われない人々にこそ、祝福されるべきです。
つまり、僕のことでもあります。
因みに、シワスモノのお二人とも出身大学は国際基督教大学(ICU)です。
だから安易で無思想なイベント的な日本のクリスマスが許せないのかもしれません。
とにかく、サイクルズ時代同様に“シワスモノ”(a.k.a サツキモノ)での森川さんの清涼感ある歌声と、野口さんのメロディやメッセージに僕は魅了されています。
『サツキモノ』名義でも一枚CD-R形態でのシングルを出しているのでいつかご紹介しましょう。
今年もサツキモノはシワスモノとして12月にライヴを開催てします。
そして出来ることならこれからもコンスタントに作品をリリースし続けて欲しいですし、さらに出来ることなら関西でもライヴを行って頂きたいです。
それではブログをお読みの皆さん、メリー・クリスマス。
『炎のクリスマス』《品番なし》〈楽曲クレジットなし(おそらく詞曲:野口耕一郎)〉(04’15’’)【2014】
タグ:クリスマスソング
『DON'T STOP THE MUSIC/tofubeats feat.森高千里』 [邦楽ロック10年代]
こんばんは。
ブログの更新もエンジンがかかって来た、かな。
今夜ご紹介するのはtofubeats。
昨年リリースされたメジャーでの1stアルバムその名も『First Album』はとっても気に入っていて、よく聴きました。アルバム一枚を通してちゃんと聴けました。
DJで楽曲を制作する人を“トラックメイカー”と称しますが、tofubeatsはむしろ“ソングライター”って感じがします。
そのくらい、楽曲としての完成度が高いと思いました。
作詞も手掛けていますし、曲によってはSSW的なセンスも感じます。
様々なアイドルに曲を提供しているし、リミックス仕事も引く手あまた。
2014年の新人賞は間違いなく、彼だったと思います。
という訳で、最近彼のこれまでリリースしたシングルがアナログ盤でも出たので取り上げましょう。
『LISTEN TO THE MUSIC』からの、『DON'T STOP THE MUSIC』なり。
2013年に発表されたジャーデヴューシングルですが、CDの初回盤にはソノシートが付いてました。
マニアックですね。
80年代風な漫画のイラストが印象的。
7インチバージョンでは、シングルCDでの音源と異なる、『First Album』に収録されている音源が使われています。
タイトル通り、音楽への愛情が伝わる歌詞、そしてメロウなミディアムテンポのサウンドが心地よいです。
何より、ヴォーカリストとして起用された森高さんの魅力も大きいです。
ヒット曲のタイトルじゃないけど、オバさんにカテゴライズされる年代になっても、こうしてチャーミングにダンスミュージックを歌っている森高さんのカッコよさ。
ヴォーカリストとして起用するtofu氏のセンス。
彼女が歌うコトで、楽曲のメッセージにさらに説得力が増しますね。
単なるお人形さんのようなガールシンガーではなく、型破りで能動的に音楽へ取り組んできたスタイルが楽曲へ投影されています。
素晴らしい。
『非実力派宣言』でブレイクしたときって僕が高校生の頃ですから、あれから20年以上たっても衰えない魅力的な歌声、美貌、音楽への愛情。
もはや親と子位に年齢が離れているけれど、音楽の絆で結ばれた素晴らしいコラボレーション。
B面は神聖かまってちゃんの“の子”さんをヴォーカルに迎えた『おしえて検索』。
検索エンジンというインターネットからの最大の恩恵を与る現代人の悲喜こもごもを、エモーショナル且つメロディアスなシンセサイザーとノイジーなギターサウンドに乗せて。
の子さんの直情的な歌声と相まって前のめりに耳に襲ってきます。
一度聴いたら耳から離れない、実にユニークな楽曲。
ヴァラエティに富みつつも、まとまりのある『First Album』は全体としてオーソドックスな仕上がりで、20代前半とは思えない冷静さも垣間見られます。
現在も出身の神戸で生活しながら音楽活動をしている点でも、地に足がついているというか確固たるヴィジョンをお持ちなんだろうなぁと思います。
『水星』を記事にしてからもう三年、いやまだ三年。
『DON'T STOP THE MUSIC』《JS7S089》〈作詞・作曲・編曲:tofubeats〉(05'02'')【2014】
First Album PVC Vol.1 [Analog]
- アーティスト:
- 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
- 発売日: 2015/02/14
- メディア: LP Record
First Album PVC Vol.2 [Analog]
- アーティスト:
- 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
- 発売日: 2015/02/14
- メディア: LP Record
Don't Stop The Music (初回限定盤:CD+ソノシート)
- アーティスト:
- 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
- 発売日: 2013/11/13
- メディア: CD
Don't stop the music feat.森高千里 [Analog]
- アーティスト:
- 出版社/メーカー: WARNER MUSIC JAPAN UNBORDE / JET SET
- 発売日: 2014/12/19
- メディア: LP Record
『LISTEN TO THE MUSIC/Shiggy Jr.』 [邦楽ロック10年代]
ハイ、Negiccoに続いては、
Shiggy Jr.のシングルをご紹介。
勿論アナログですぜ。
Shiggy Jr.とは、2012年に結成された、都内で活動中のポップでポップなバンド、とのこと。
紅一点のヴォーカルの池田さん、そしてその他3名の4人組。
江口寿史さんのジャケットがちょっと気になって限定の7インチを買ったのですが、
これがなかなか。
当たりでした。
ウルトラヴァイブの高 護氏と、モナレコードの行 達也氏(現在はモナレコードをお辞めになりました)がバックアップしているので間違いはないでしょう。
A面は『LISTEN TO THE MUSIC』。
イントロから押し寄せてくるでキャッチ―なフレーズに引き込まれます。
ここですでに勝負あり。
まばゆいサウンドの波動を引き連れて、池田さんのヴォーカルが自由に弾け飛びます。
明快なメロディを煌びやかなシンセサイザーでデコレートするディスコ・ポップ。
黒髪乙女な池田さんのアイドルチックな振り付けもオッケー。
B面は『Saturday night to Sunday morning』。
1stミニアルバム『Shiggy Jr. is not a child.』に収録されてます。
こちらも盛り上がり系の超軽音楽。
土曜日の夜に相応しい、刹那でグッとくるメロディの雨あられ。
若さ丸出しのノリの良いバンド演奏。
池田さんのキュートでしなやかな歌いこなしもチャーミングでござんす。
青春の輝きが眩しい。
チェックなパジャマ姿の池田さんのユルい踊りもオッケー。
作曲も担当しているギターの原田茂幸さんのメロディセンス、いいですね。
ギターとヴォーカルが魅力的ならば、バンドはもう大丈夫。
今の20代の若い世代のバンドってもう何から影響を受けたのかますます判りにくくなっている気がします。
洋楽も邦楽もアニソンもアイドルソングも初音ミクももうゴッチャになって。
そんなカオスな価値観の有象無象の中から飛び出した、ポップなポップなShiggy Jr.。
これからもキャッチ―でヨロシク。
追伸:そろそろ先ちゃんの漫画が読みたいです。
『LISTEN TO THE MUSIC』《SLMNEP-001》〈作詞・作曲:原田茂幸〉(03’19’’)【2014】
『あなたもロボットになれる/坂本慎太郎』 [邦楽ロック10年代]
こんばんは。
昨年も沢山シングル盤を買いました。
マニアやコレクターの方に比べたら、僕なんて大したことないですがイロイロ手に入りました。
買うスピードが速くて、手に入れたものを紹介するのが間に合わない位です。
去年紹介しそびれたシングル盤を。
坂本慎太郎さんの『あなたもロボットになれる』です。
『それはぼくぢゃないよ/曽我部恵一』 [邦楽ロック10年代]
オハヨウゴザイマス。
大滝さんを偲んで、続いてはこのシングルを。
曽我部恵一さんの素晴らしいカヴァーで『それはぼくぢゃないよ』。
彼の最近アルバム『まぶしい』の先行シングルとして2月にリリースされました。