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『明日はどこから/松 たか子』 [邦楽女性アイドル10年代]

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どうも、どうも。
ミスター梅助です。
嘘です。
(更新を) 空けましておめでとうございます。

どっこい生きてるぜ。
昨年十月から更新が順調に途絶えていましたが、またしても最下位、いや再開です。

秋の終わりくらいからまた仕事が忙しくなったり、
イロイロとバタバタしてしまって。

ブログのサイトへ長いことログインもせず、久しぶりに入ってみましたが、
雑草は生えていませんでした。

という訳で年も改まりましたので、
心機一転また更新して行こうと思います。
きまぐれですが。

昨年も鬼のようにシングルを買いまくりましたが、あんまりブログにはそのコレクションは反映されてません。
さらにに最近のチャートのモノとかも、全然チェック出来てません。
何がヒットしているとかますます判りません。
自分の耳にもあんまり入ってこなかったり。

それでも自分なりに昨年出たシングルで特にイイ曲だな、と思った曲を取り上げてみようじゃありませんか。

ジャーン、松 たか子さんです。
某食品メーカーのパンまつりに相応しい爽やかなジャケット。
コバルトブルーを背景にまっさらな白いシャツ、そして笑顔が眩しい。

彼女の昨年11月に出たニューシングル、
タイトルは『いつもここから』

悲しいとき~!!
(かなしいときぃ~)

じゃない。

すみません、
絶対そう書くと思ったでしょ。
書かずにはいられませんでした。

ハイ、改めまして曲名は『明日はどこから』。
実ははじめて彼女の作品を買いました。

NHKの2017年度下半期の朝ドラ『わろてんか』の主題歌です。
朝に相応しい爽やかでポップな曲です。

ストリングスと鉄琴の静謐さを湛えた響きのイントロで始まり、
アコースティック編成のゆ~ったりとした曲調に、松さんの爽やかで澄み渡る歌とメロディが進行していきます。
朗らかなテンポながら、サビからのめくるめく展開にハートを揺さぶられます。
蕾から花弁が開いていくような鮮やかさ。
松さんのメロディメイカーとしての手腕に痺れます。
そして勿論アレンジは御亭主の佐橋佳幸さん。
間違いはおまへん。
佐橋さんのアコギの演奏も歌を温かくバックアップ。

僕も毎日毎日ドラマを観てるのですが、
見慣れてくると、
主題歌が流れるところをだんだん早送りで飛ばして行くようになります。
曲と共にオープニングタイトルもそこで流れるのですが、
其処にはその回で出演するキャストがクレジットされまして、
出演者の名前を観るだけでなんとなく話の筋が読めたりするので、映像をあんまり観ないようにしています。
映像を早送りで流しているので当然音声も倍速です。
結果として曲も倍速になります。
実はそのアップテンポなバージョンの『明日はどこから』も実はイイのです。
疾走感があって好きです。
いつかビートの効いたアレンジの『明日はどこから』で松さんに唄ってほしいと願っています。
紅白は見逃してしまいました。残念。

続いて。
カップリングは『笑顔をみせて』。
こちらも松さんの詞曲。
『明日は~』同様にミディアムテンポで、のどかで優しい日差しが降り注ぐような、穏やかな気分で音楽を楽しめます。
物憂げな気持ちもだんだん晴れていくような、
素敵な時間が流れます。
イイ歌、イイ音、良いメロディ。
せわしい日常の流れを忘れさせてくれる、サウンド。
曲の温かさがじわじわと心に効いてきます。
其処には揺るぎない松さんと佐橋さんの音楽の力と絆を感じない訳には参りますまい。


松さんは音楽の素養もしっかりしていると思っていましたが、バッチリですね。
竹内まりやさんも達郎さんも絶賛。
アルバムも絶対後で買おうと思います。


さて。
ドラマ『わろてんか』も物語は後半へ。
吉本興業の創始者・吉本せいの生涯を主題にしたドラマで、山崎豊子さんの小説『花のれん』も原作として参照されていると考えらえます。
このドラマを観る前にたまたまシネ・ヌーヴォで『横堀川』(1966)と言う映画を観ました。
この映画も原作は同じで、
主演が倍賞千恵子さんで、当然、吉本せいの役を演じています。
ステキでした。
監督は大庭秀雄。
映画も面白かったです。

『花のれん』には他にも同じ原作の同名の映画がありますね。
淡島千景さんが主演で、森繁さんも出ていて、名匠・豊田四郎監督の作品で。
そちらの方が有名で評価も高いですが、残念ながら未見です。

朝ドラの葵 わかなさんはなんとなく倍賞千恵子さんを彷彿とさせました。
これは僕の意見なのでそう思わない人も多いでしょう。
物語が進むにしたがって、最初はあどけなかった葵さんも何だか貫禄が出てきて、顔つきも大人になって来たような。


では最後に。

悲しいとき~!
(かなしい ときぃ~)

夕日が沈んだとき~~~。
(ゆうひ が しずんだときぃ~)

どうもありがとうございました!!


ではまた。

『明日はどこから』《BVCL-843》〈作詞・作曲:松 たか子/編曲:佐橋佳幸〉(03’25’’)【2017】




明日はどこから

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  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: アリオラジャパン
  • 発売日: 2017/12/06
  • メディア: CD



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  • 出版社/メーカー: アリオラジャパン
  • 発売日: 2017/11/15
  • メディア: CD



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『相棒 ちょっと長い関係のブルース/台風クラブ』 [邦楽ロック10年代]

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ども、おハローございます。

いま何年やねん、と突っ込まれっぱなしの選曲が続く拙ブログですが、
久しぶりに《比較的》最近のシングルを紹介してみましょう。

時節は台風上陸直前、という事でこのバンド名の方々にご登場願いましょう。

さぁ、“台風クラブ”の皆さんです。
はりきってどうぞ!
今年のレコードストアデイに出たシングル『相棒 ちょっと長い関係のブルース』です。



ハートの在処へまっすぐに突き刺さってくる、せつないメロディ。
センチな気持ちを照れ隠しするように、ぶっきらぼう気味に言葉を吐き出すヴォーカル。
そのヴォーカル兼ギター担当の石塚 淳さんはバンドの曲も作っていて、
その楽曲がまた粒ぞろいでグッときます。
男の日常でのカッコ悪さを見事に歌詞に捉えていて、それを魅力的なメロディへ巧みに結びつけています。
その楽曲をドラムの伊奈昌宏さんとベースの山本啓太さんの骨太のリズムで肉付けしています。
ギター、ドラム、ベースのシンプルな編成による一丸となった熱い演奏。
ミディアムテンポのリラックスしたムードがいい塩梅。
曲の内容は友人との思いがけない別れを歌っていると思われます。
自分に正直になれない心情を歌詞に掬い取っていて、あっけなく時は過ぎていく青春の虚無感がシングル盤の溝に深く刻まれていて名曲です。
イントロの出だしの瞬間が僕の好きな何かの曲に似ている気がするのですが、思い出せません。
何だろう。勿論パクリとかそんなんではありません。

という訳で、
台風クラブは京都出身の3人組のバンドです。
相米監督の80年代の名作映画との関連性は判りませんが、
70年代の日本語のロックの世界観が伝わってくる楽曲とガレージロックなサウンドが硬い絆で結ば絵れていて、若者たちのインディーな精神がスパークしています。

彼らの音楽を知ったのは二年前程です。
実際に音源として買ったのは本 秀康さんのレーベル《雷音レコード》から出た『ずる休み』というアナログ7インチでした。
じわじわと話題になっていて、違いの判る音楽好きな気の置けない方々はだいたい台風クラブを聴いて絶賛しています。
去る8月に待望の全国流通のファーストアルバムが発売されました。
タイトルは『初期の台風クラブ』。
問答無用の傑作でした。
実にファーストアルバムらしい一枚。
雷音レコードから出たシングルも今回のシングルの曲も勿論収録されてます。
きっとずっとこれかれらも聴きつづけていくであろう音楽です。
日本語のロックの新しい記録を更新するでしょう。
なかなか最近そういうのに出会えないのですが。



そんな
彼らのライブを一度観ようと、今年の1月に十三のファンダンゴへ行きました。
チッツのアルバムのレコ発に彼らも出演とのことで、
仕事終わりに駆け付けたのですが、ライブのトップバッターで演奏した台風クラブには残念ながら間に合いませんでした。
その次に出た赤犬のライヴを観たのですが、
ライヴ途中でとある曲になるとメンバーの方がステージから降りてきて、とある事が起こるのですが、あろうことか僕の元へメンバーの男性がやってきて絡まれてしまいました。
もう大変でした。
愉しいエンターテイメントショーでしたが。
そしてトリのチッツのライブもとっても素晴らしかったです。

アレ、台風クラブの話でしたね。

B面は『飛・び・た・い』。
ディスコティックなサウンドを切れのいいトリオで、
ロックバンドが演奏するディスコのカッコよさ。
ありふれた地方都市に住む、ありふれた若者の悶々とした日常を切り取ったような歌詞が魅力です。
行動範囲の狭まれている退屈な町で少年のどうにもならない気持ちと行動の愚かしい行方はコンビニの駐車場での嘔吐で幕を閉じます。



そんな訳で台風が進路を逸れてくれることを祈りながら、台風クラブのライブへ今度こそ行けるコトを期待しながら、選挙へ行きます。

現在の反吐が出る様な最悪な政局が少しでも好転しますように。

『相棒 ちょっと長い関係のブルース』《HR7S048》〈作詞・作曲:石塚 淳/編曲:台風クラブ〉(03’26’’)【2017】


初期の台風クラブ

初期の台風クラブ

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Mastard Records
  • 発売日: 2017/08/23
  • メディア: CD



初期の台風クラブ LP 数量限定盤

初期の台風クラブ LP 数量限定盤

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: HMV Record Shop
  • メディア: LP Record



初期の台風クラブ(2ndプレス)(アナログレコード)

初期の台風クラブ(2ndプレス)(アナログレコード)

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Hmv Record Shop
  • メディア: LP Record



相棒  ちょっと長い関係のブルース

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  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: HMV RECORD SHOP
  • メディア: LP Record



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『めぐり逢い/荒木一郎』 [荒木一郎]

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こんばんは。
だんだん空気が冷え込んできて、秋の到来を実感しています。
ミスドのブレンドコーヒーをついついお代わりしたくなります(お代わりは無料だし、美味しいし)。

さぁ、荒木一郎作品で今宵も星に唄おう。
荒木さんのシングルを、トリオ時代、フィリップス時代と紹介してきましたが、今回は遡ってデヴューから60年代に在籍していたビクター時代のシングルを。

1968年のシングル『朝まで待とう』です。
が、しかし。
まず先に紹介したいのはそのB面の『めぐり逢い』なんです。
こっちの曲がとっても大好きです。
この曲は同年に公開された東宝映画『めぐり逢い』の主題歌として起用されました。
監督は恩地日出夫、主演は酒井和歌子、黒沢年雄。
60年代末期に数多く制作された《東宝青春映画》の中の一本。
少し前にCSで放送されたモノを録画して観たことがあります。
酒井和歌子さんがとにかく可憐で21世紀の見地からしても大変魅力的でありました。
相手役の黒沢年雄さんはお若い頃からハングマンのイメージで全然青春っぽくありませんでした。
参った参った。
もっと爽やかな俳優さんだったらもう少しこの映画も良くなった筈なのに・・・・。
あとクレイジーケンバンドのファンとしては横浜ドリームランドが映っているのが見ものです。
さて、
このお二人の共演作品ではこれまた少し前にシネヌーヴォで小林正樹監督の『日本の青春』も観ました。彼らの主演ではないですが、映画はとても良かったです。
でも恩地日出夫監督による青春モノでは何と言っても『あこがれ』です。
これは1966年の作品ですが、もう大大大好きです。
もともとはテレビの『木下恵介劇場』の中の『記念樹』というシリーズものの中のひとつのエピソードだったのですが、それを映画として再構成したのが『あこがれ』です。
脚本は木下恵介監督の弟子の若き日の山田太一氏です。
だから当然面白いに決まってます。
やってやろうじゃないかー!(深い意味はありません)
主演は内藤洋子さんと田村 亮さん。新珠三千代さんや加東大介さんも出てました。
もうとにかく内藤洋子さんがメチャクチャ麗しいです。
さらに可愛くて。
ウェイトレス姿のシーンがあるのですがもう最高です。
記念碑を建てたいくらい。
勿論ドラマとしても素晴らしいです。
ビデオで観て感動したことがあるのですが、
数年前に東京へ遊びに行ったときに、少し時間があったので神保町シネマをチェックしたら、
この映画を偶然上映していて観に行きました。
フィルムの状態は良くなかったですが関係ないね(柴田恭平風に)!
やっぱり良い映画で嬉しかったです。
東京って面白い名画座が沢山あるというところがイイですね。
それくらいで後はどうでもイイです。

思いっきり話が脱線しまくってますね。
イイんです。
こんな時間にブログを観てる人なんていないんですから。
という気持ちは大切です。

さぁ、話をグイッと引き戻しましょう。
荒木一郎さんのシングルのB面曲『めぐり逢い』。
青春映画のテーマソングに相応しい、瑞々しい歌とメロディです。
この曲ではイッチャンは作詞のみを担当しています。
作曲はなんと名匠・武満 徹氏です。
まさに天才同士のコラボレーション。
晴れやかで朗々とした武満先生のメロディのひろがり。
若者たちの希望を明るく支えるような三連のバラード。
そして健気な恋人同士の情熱を綴った荒木さんの歌詞。
その荒木さんによるクルーナーな魅惑の歌声。
うっとり。
さらに、編曲は服部克久氏が手掛けています。
フランスのコンセンバトワール出身の華麗なるオーケストレーションの輝きが恋する二人を優しく包み込みます。
もうどこまで名曲やねんと。
ええ加減にせえと。

どんな曲かと、ご存じない方の為に、おせっかいながら音源をアップしたいのですが、
荒木さんによるバージョンが上がっていませんので、
アン・サリーさんとショーロクラブの共演での音源をどうぞ。
楽曲の良さは十分伝わるのではないかと。


https://youtu.be/oPVL5cYX9XY

『まわり舞台の上で』に寄れば、
この曲は武満先生のからのオファーで荒木さんの歌詞と歌が決まったそうです。
芸術祭受賞者同士という事で。
映画とは殆ど関係は無かったそうです。


続いてA面は『朝まで待とう』。
朝まで待てずに記事にしちゃいましたが。
こちらは荒木さんの作詞作曲、編曲は同じく服部先生。
ひとりGSっぽい、ビートが効いたマイナー調のアップテンポのナンバー。
荒木さんの気怠くスモーキーな歌声が夜霧の街のムードを湛えています。


今夜まで数回に渡り、荒木一郎さんの世界にまつわるシングルを取り上げてみました。
まだまだ他にも荒木さん関連の面白いシングルはあるので、また機会があれば記事にしてみようと思います。

『めぐり逢い』《SV-675》〈作詞:荒木一郎/作曲:武満 徹/編曲:服部克久〉



まわり舞台の上で 荒木一郎

まわり舞台の上で 荒木一郎

  • 作者: 荒木一郎
  • 出版社/メーカー: 文遊社
  • 発売日: 2016/10/22
  • メディア: 単行本



東宝青春映画のきらめき

東宝青春映画のきらめき

  • 作者: キネマ旬報社
  • 出版社/メーカー: キネマ旬報社
  • 発売日: 2012/10/17
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



singles1966-1971(紙ジャケット仕様)

singles1966-1971(紙ジャケット仕様)

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: インディーズ・メーカー
  • 発売日: 2002/12/25
  • メディア: CD



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『忘れるさ 忘れるさ/エル・ソタノ』 [荒木一郎]

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おハローございます。
今回も荒木一郎の世界へ、もう少し深く。

前回のパルに先駆けること10年前の1969年、ビクター時代の荒木さんは男女混成のコーラスグループのデヴューシングルの両面に曲を書きました。
エル・ソタノという名前の6人組(女性2人と男性4人)。

和製ソフトロックのコンピレーションCDの名シリーズ、ソフトロック・ドライヴィンのビクター編『空と海とわたし』にB面曲の『北のアカシア』も収録されていて、
土龍団によるライナーノーツによると、赤坂の三丁目のクラブ《エル・ソタノ》で演奏しているところを同社のディレクターに見初められてレコードデヴューすることになったそうです。
『まわり舞台の上で』での荒木さんの壊述では、当時の荒木さんはその店によく出入りしており、彼らを知っていたそうです、その縁かは判りませんがビクターに所属していた荒木さんに楽曲の依頼が来ます。

まずはA面『忘れるさ 忘れるさ』。

♪ Dan Dan   Dan Do Dan .....

と、ドゥーワップ・グループ風な男性が唄う低音のベースラインからのイントロに、ニール・セダカの『Breaking up is hard to do(悲しき慕情)』が少し頭を過りますが、そこまでオールディーズタッチな若者向けのポップスという感じではなく、より大人向けな感じのポピュラー音楽。
しかしカレッジポップスに近い明るく爽やかなテイストは当時としては垢抜けています。
澄み渡るような混成のコーラスワーク。


B面は『北のアカシア』。
こちらはよりムード歌謡テイストのロマンチックな楽曲。
荒木さんのメロディアスな魅力が炸裂しています。
ラテン調の演奏の疾走感、そして途中で急にテンポを落としてバロック風なコーラスが挿入されたり、緩急自在なサウンドも素晴らしい。
ビクターオーケストラ大活躍。
ソフトロックドライヴィンに収録されるだけあって和製ソフトロック度が高めです。
同作には荒木さんが楽曲提供した有沢とも子さん(梶 芽衣子さんの妹)のシングル曲も収録されていました。

今回のシングルはどちらもアレンジは近藤 進さんと言う方が担当されていて、
洗練されたサウンドが耳を惹き付けます。
荒木さんの曲の魅力をさらに引き出してます。


『まわり舞台の上で』には詳細な荒木一郎さんの仕事のリストが掲載されていて、
出演した映画やドラマだけではなく、音楽面でのプロデュースワークや楽曲提供作品のリストも載っています。
この本を読んでエルソタノのコトを知りました。
それからシングル盤を探し始めて、なかなか見つからなかったのですが、
フォローしていたとある中古レコード屋さんがこのレコードの入荷をツイートしていて、すぐさまメッセージを送って在庫を確認してもらい、取り置きして貰ってそのレコード屋さんへ買いに行きました。値段も手頃だったので嬉しかったです。いい買い物をしました。
こういうときだけツイッターの有難味を感じます。

このシングルの二曲とも荒木さんが書いたと、申しましたが、名前を変えて《水木順子》名義でクレジットされています。
荒木さんはそれ以外でも《水木京子》とか《小野京子》《枯木 華》《ナポレオン》とか名乗ってました。
そういえば、変名をアレコレ使うところも、大滝さんに似ていますね。

因みに、エル・ソタノには後に編曲家として活躍する竜崎孝路氏が在籍していました。
五木ひろしの『よこはまたそがれ』、キャンディーズの『あなたに夢中』『危い土曜日』『ハートのエースが出てこない』、八代亜紀『舟唄』『雨の慕情』、美空ひばり『川の流れのように』などなどを手掛けています。

『忘れるさ 忘れるさ』《SV-900》〈作詞・作曲:荒木一郎/編曲:近藤 進〉(02’39’’)【1969】



ソフトロック・ドライヴィン ビクター編 ~空と海とわたし

ソフトロック・ドライヴィン ビクター編 ~空と海とわたし

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
  • 発売日: 2006/01/21
  • メディア: CD





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『夜明けのマイウェイ/パル』 [荒木一郎]

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こんばんは。
今宵も荒木一郎の世界で星に唄おう。

引き続き荒木さんを特集。
裏方としても沢山の素晴らしい仕事を残しています。
イッチャンが作曲家としての作品を紹介しましょう(急に馴れ馴れしい)。


パルで『夜明けのマイウェイ』。
これは1979年の日本テレビ系で放送されたドラマ『ちょっとマイウェイ』の主題歌としてヒットしました。

鎌田敏夫脚本、桃井かおり初主演ドラマです。
『まわり舞台の上で』によれば、
彼女が出演したシャンプーのCMに目を付けたテレビ局のプロデューサーが、桃井かおり主演でドラマをと、マネージャーの荒木さんに仕事を持ち込みます。
ドラマの音楽も頼まれ、丁度その時に別の件で荒木さんにプロデュースをレコード会社から依頼されていた三人組の男性グループと一人の女性歌手。
みんなまとめて面倒見よう、といったかどうだか判りませんが、
ドラマの為に三人組と女性歌手をひとつのグループに組ませたのが《パル》でした。
彼女たちの歌をフィーチュアして、ドラマのサウンドトラックを制作し、
同時にパルとしてのファーストアルバムも成立させます。
全て荒木一郎さんプロデュース。
作詞作曲も担当。
アレンジは桜庭信幸さん。
惜しくも2014年にお亡くなりになりました。

物語が始まりそうな、なにやらドラマチックなイントロです。
ミュージカルの様な、女性ヴォーカルの歌いだし。
タイトルの中に引用されているだけあって、曲調はちょっと『MY WAY』っぽいのです。
これも荒木さんの狙いなのでしょう。
桃井さんもマイウェイだし。

人生への新しい夜明けの始まりを告げる、すがすがしいメロディとコーラスワークに花が咲きます。
歌詞とメロディに荒木さんらしい、優しい眼差しが感じられます。



このドラマは残念ながら見たことがありません。
DVDボックスになっているんですが、高いです。
どこかのCSチャンネルで放送しないかな。
過去に放送されていたんですが見逃しちゃいました。
面白そうなキャストだから絶対面白そう。

この曲はのちの1983年に出たアルバム『SCENE-PHONIC』にて荒木さんのセルフカバーが収録されていますが、そっちの方が好きです。


B面は『ラジコン・ブルース』。
一転してブルース調のロックンロールに仕上げています。
やや泥臭いギタープレイが印象的。
こちらは男性メンバーがリードを務めています。
三人のメンバーの中に、新井正人さんがいて、後にソロで活躍します。
ZZガンダムの主題歌『アニメじゃない』とか。


主題歌のシングルもサントラのアルバムもヒットを記録しますが、
さあ、これからというときに、
メンバーのリーダー格の男性が荒木さんを出し抜いて別の事務所と契約します。
このドラマに始まり、移籍騒動などの顛末は『まわり舞台の上で』に詳しいです。
なかなか芸能界はままなりません。
イロイロありますね。



『夜明けのマイウェイ』《GK-8089》〈作詞・作曲:荒木一郎/編曲:桜庭伸幸〉(03’08’’)【1979】


まわり舞台の上で 荒木一郎

まわり舞台の上で 荒木一郎

  • 作者: 荒木一郎
  • 出版社/メーカー: 文遊社
  • 発売日: 2016/10/22
  • メディア: 単行本



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『俺の呼び名はロンリーボーイ/荒木一郎』 [荒木一郎]

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こんばんは。
時刻は間もなく午前3時54分の『03’54’’』です。

荒木さんの音楽を取り上げるには秋はお誂え向きだと思います。
この辛子色の季節に。

前回のシングルはトリオレコード時代(1974~1976)のシングルでしたが、
今回はそれ以降のフィリップスレコード時代のシングルです。
レコード移籍第一弾のアルバム『口紅色の夜想曲』から『俺の呼び名はロンリーボーイ』です。
当時荒木さんは桃井かおりさんをマネージメントしていて、彼女の歌手活動も
荒木さんがプロデュースされていて、彼女の作品はフィリップスから出ていたという経緯もあるそうです。
このアルバムはさらに多彩な荒木一郎ワールドを楽しめる作品集です。
フィンガー5に書いた曲や、井上陽水さんの『ダンスはうまく踊れない』のアンサーソングのような歌もあったり、SFもあったり。
トリオ時代での作品より洗練された、明るい感じの曲が多い様な。
聴きやすい感じもあります。
桃井かおりさんという実に個性的な女優をマネージメントしたことで荒木さんにも少なからず影響があった事も『回り舞台の上で』では語られています。
それはもう大変だったそうです。
その御蔭で荒木さんも角が丸くなったそうです。

さて、話が逸れますが。
荒木一郎さんのことをイロイロと僕なりに考えていると、一人の男性のことに思い当たります。
まぁ、僕の考えですからだいたい的外れも甚だしいのですが・・・・。

その男性とは“大滝詠一”です。
大滝さんと荒木さんって意外と共通点があるのです。

まずは

1.母子家庭だったこと。
2.一人っ子だったこと。
3.アマチュア時代にはドラムを叩いていたという事。
4.飛行機が苦手だという事。
5.ラジオのDJとして人気があったという事。
6.そして《クルーナー唱法》を得意としていたという事。
7.作曲家、プロデューサーとして活躍していたという事。

どうでしょうか。
まだ他にもあるかもしれません。
全く同じではないけれど、お二人の実質的な音楽活動(個人名義としての)が80年代前半で終わっていることも何だか興味深いと云えます。
荒木さんは1966年から1983年まで。
大滝さんは1970年から1984年まで。
(もちろんその後もお二人は単発的に作品を発表されたり、編集盤を発売されたりしていますが)

一人っ子でお母さんもお仕事であまり子供に構っていられないという環境ということは、
家に帰っても誰もいなくて、自分で考えて時間を潰したり遊んだりする《発想力》や《孤独》と対峙する力が養われたのではないでしょうか。
大滝さんや荒木さんの一匹狼の様な孤高な在り方に生い立ちが関係しているではないでしょうか。
お二人とも名前に《一》が入ってるのも見逃せません。
ドラマーあがりと言うコトでやはりリズムに関しての拘りはあると思われます。
大滝さんは『ゴーゴーナイアガラ』、荒木さんは『星に歌おう』というラジオが伝説として語られますね。というわけでおしゃべりも上手ですし、面白い。
唄い方も似ています。
とても巧いし、きれいな歌声ですね。
そして表舞台だけで活躍していも十分なのに裏方の仕事も多くされています。
お二人とも作曲家としてプロデューサーとしての活動も有名なのも似ています。
文筆業も得意ですし、
荒木さんなんかは事務所を立ち上げて、女優のマネージメントもしたり映画の劇伴もされてたり。
とにかく。
お二人とも《パイオニア》なのですね。
当時のギョーカイに無い型破りな存在で。

そしてもうひとつ付け加えるのなら、

アレンジャー・井上 鑑との仕事です。
70年代後半、井上氏は学生時代から鍵盤の演奏やアレンジの仕事をしていましたが、
ちょうどその頃に大滝さんと荒木さんとの仕事を同時期にされているのです。

つー訳で。
前置きが長くなりました。
アルバム『口紅色の夜想曲』はアルバム一枚を井上氏が編曲を担当しているのです。
勿論このシングル曲『俺の呼び名はロンリーボーイ』も。
アルバムの冒頭を飾る曲でもありました。
そして珍しいカントリータッチのサウンド。
荒木さんと言うとジャズが得意なのですが、カラッとした陽気な曲調が意外でした。
この曲も荒木さんのストーリーテラーの魅力が歌詞に溢れています。
歌詞の中に“メリー・ルウ”という名前が出てきますが、
60年代に主に活躍したカントリーシンガーのリッキー・ネルソンに『Hello Mary-Lou』というヒット曲があります。
『俺の呼び名~』もこの曲調を少し匂わせています。
因みにリッキー・ネルソンは大滝さんのお気に入りのシンガーですね。
荒木さんは明るいサウンドとメロディの中に男の孤独をお得意のクルーナー唱法で歌っています。

井上 鑑さんによるカントリー&ウェスタン調のアレンジ。
スティールギターの眩い響きが印象的です。




アルバムでも井上 鑑さんのアレンジは冴えまくります。
井上さん以外でも荒木さんはこの時代様々な若手のアレンジャーをご自身の作品に起用してました。

B面は『まわり舞台の上で』。
勿論、前回の記事で話題にした荒木さんの本のタイトルはこの曲から由来しているのでしょう。
この曲はアルバム未収録で、編曲は林 哲司さんです。
作曲家として活動して間もない頃の仕事だと思われます。
ドラマ『青春の甘き香り』の主題歌に起用されています。
まわり舞台というのは舞台用語に出てくる言葉で、その名の通りに舞台装置が回転して別のシーンに転換する為の機構です。
ご本でのインタビューの中で荒木さんはまだ芸能界に入る前の若い頃に浅草などの演芸場などへ遊びに行って様々な舞台を観ていたそうです。
そのときのイメージを膨らませて作られた曲なのかもしれません。
もの悲しい調べに乗って舞台役者の恋の傷跡をしみじみ歌っています。



荒木さんが歌う世界にはやはり幼い頃から住んでいる東京の有りし日の風景が感じられます。
今はもう消えてしまった風景、喫茶店や洒落た街並み、大人の社交場、演芸場。
60年代から70年代にはまだ残っていた粋な世界。
酒とタバコのにおい。
そんな世界を求めるように『ありんこアフター・ダーク』を読み直します。

『俺の呼び名はロンリーボーイ』《FS-2061》〈作詞作曲編曲:〉(02’52’’)【1977】



まわり舞台の上で 荒木一郎

まわり舞台の上で 荒木一郎

  • 作者: 荒木一郎
  • 出版社/メーカー: 文遊社
  • 発売日: 2016/10/22
  • メディア: 単行本



ありんこアフター・ダーク (小学館文庫)

ありんこアフター・ダーク (小学館文庫)

  • 作者: 荒木 一郎
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2014/10/07
  • メディア: 文庫



口紅色の夜想曲

口紅色の夜想曲

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー:
  • メディア: CD



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『君に捧げるほろ苦いブルース/荒木一郎』 [荒木一郎]

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おはようございまーす。
増田明美で〜す。
ひょっとこ、
じゃない、『ひよっこ』でーす。

という訳で、朝ドラ観てましたか?
もう終わっちゃいましたが面白かったですねー。
僕も観てました。

さて、
終盤にかけて、9月中旬から下旬にかけて、
僕のブログに関して、とある二方に関するシングルへのアクセスが急上昇していました。
そのうちの一つは、荒木一郎さんの『いとしのマックス』でした。
折角アクセスしたのに殆ど内容の無い記事でがっかりだったと思います。
お生憎様。
もう十年前の記事ですしね。

この曲にこの時期にアクセスが集まったのは恐らく『ひよっこ』のエピソードにて、『いとしのマックス』がフィーチュアされたからでしょう。
物語の時代背景は1967年。
この歌が流行っていた頃のお話でした。

という訳で、今回は荒木一郎さんのシングルを。
昨年、デヴュー50周年を迎えた荒木さん。
記念ライブも開催されました。
残念ながら行けませんでしたが。
アニバーサリーと言うことで、
荒木さんのこれまでの活動を俯瞰する本『まわり舞台の上で』が出版されました。
かなりのボリュームの内容で、荒木さんへの超ロングインタビュー、
それから俳優、歌手、プロデューサー、作家としての多岐に渡る活動についても言及や評論や資料が掲載されており、質、量ともに読み応えありすぎの本です。これまで語られる事のなかった数奇なお話がいっぱい。
60〜70年代、あの頃、芸能界の異端児の軌跡を楽しみました。

そんな訳で今回ご紹介するのは日本のシンガーソングライターの草分けでもある荒木さんの70年代の代表曲『君に捧げるほろ苦いブルース』です。
先にお話した本を読んで、荒木さんの作る歌は人と人の繋がりや出会いの中で自然と生まれてくるというコトが分かります。
仕事とかお金とかの為では無く。
荒木さんの生活の中で、
趣味の音楽活動の延長で紡がれる歌なんだそうです。非常にパーソナルな、まさにシンガーソングライターの世界。
但しこの曲は正確には《人との繋がり》では無く、荒木さんが飼っていた猫ちゃんの歌です。
この猫ちゃんがお亡くなりになったときに、猫ちゃんが生きていた証として、その思い出を偲んで作られました。
歌詞には直接反映されていませんが、物悲しいマイナー調の旋律には、猫ちゃんへの愛惜の念が溢れている気がします。
荒木さんの歌唱は過剰にエモーショナルでは無く寧ろ淡々と呟くようですが独白のような表現に却って深い悲しみが伝わってきます。
バンジョーやクラリネットの音色がいいです。
鼻歌のようなシンプルな曲ですが、聴けば聴くほどに味わいが増します。




B面は『ジャニスを聴きながら』。
一転して朗らかで楽天的な曲です。
世間への皮肉をユニークに織り込んで、プレイボーイの色気を嗅ぐわせながら歌う荒木さんの魅力に満ちてます。
華やかな女性コーラスを侍らせて。
彼女たちとの歌の掛け合いも聴きどころの一つ。
タイトルにある《ジャニス》とはやはりジャニス・ジョプリンなんでしょうか。それともジャニス・イアンかな。
これも鼻歌みたいに軽やかなメロディですぐに覚えてしまいます。



つまらなそうに素っ気なく歌う荒木さん最高。途中から少しノッてきますが。

両面に配した二曲を収めた同年のアルバム『君に捧げるほろ苦いブルース』は荒木一郎としての代表作といって過言では無い名作。バラエティに富んだ楽曲たち、そして俳優としても脂が乗っていた時期の豊かな表現力が歌唱や歌詞に伝わってきます。
何よりメロディメイカーとしての才気が爆発してます。
痺れます。
荒木さんを海外のアーティストに例えるならセルジュ・ゲンズブールでしょうね。
当時31歳の天賦の才を思い知らされます。

まだまだ荒木一郎さんには書きたいコトがありますが、今このブログを実家へ向かう途中の新幹線の中でスマホから書いてます。
下車する駅に近づいてるのでこの辺にしましょう。
次回も荒木一郎さんのシングルでお会いしましょう。
二、三日の内に。
では良い連休を。

『君に捧げるほろ苦いブルース』《3A-145》〈作詞・作曲:荒木一郎/編曲:荒木一郎、畠山博明〉(03’34’’)【1975】


まわり舞台の上で 荒木一郎

まわり舞台の上で 荒木一郎

  • 作者: 荒木一郎
  • 出版社/メーカー: 文遊社
  • 発売日: 2016/10/22
  • メディア: 単行本



ありんこアフター・ダーク (小学館文庫)

ありんこアフター・ダーク (小学館文庫)

  • 作者: 荒木 一郎
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2014/10/07
  • メディア: 文庫



荒木一郎 プライム・ベスト

荒木一郎 プライム・ベスト

  • アーティスト: 荒木一郎,チト河内,深町純,小谷充,安川ひろし,江夏健二,竜崎孝路,海老原啓一郎,船山基紀,神保正明,松井忠重
  • 出版社/メーカー: テイチクエンタテインメント
  • 発売日: 2007/02/21
  • メディア: CD



君に捧げるほろ苦いブルース

君に捧げるほろ苦いブルース

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: インディーズ・メーカー
  • 発売日: 2001/12/18
  • メディア: CD



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『Wichita Lineman / GLEN CAMPBELL』 [米国ロック/60年代]

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ハイ、どうも。
またまた始まりました、シングル盤にまつわる問わず語りブログ。

グレン・キャンベルの『ウィチタ・ラインマン』。
1968年の10月にリリースされました。
彼の代表曲。
作詞作曲はジミー・ウェッブ。
全米チャート3位、カントリーチャートでは1位。
大ヒットしました。
この時期にふたりのコンビで数多くの名曲を残します。
今聴いても古びないメロディ、サウンド、そして歌唱。
ポップミュージックの王道のど真ん中。

この曲を初めて聴いたのはトニー・ジョー・ホワイトのファーストアルバムに収録されていたカバーバージョンでした。
男の哀愁ムンムンの良い歌でした。
小西康陽さんが手掛けたTokyo's Coolest Comboでのアルバムでもカバーされていました。
ヴィブラフォンをフィーチュアしたインストで。

今回のシングルは昨年のレコードストアデイのときに発売されたアイテムです。
確か京都のタワレコで買いました。
まさかこのレコードで追悼することになるとは。
今年の夏に81歳でお亡くなりになりました。

先週のサンデーソングブックでグレン・キャンベルの追悼特集が放送されていました。
そのとき僕は京都にいました。
夏のように暑い昼下がりでした。
イオンで映画を観ようと思い、行ってみましたが昼どきのシネコンは人いきれで却下。
京都水族館へ涼みに行きました。
その後は所用の為に京都駅周辺の地下街ポルタ、京都駅近くのイオンへ行ったり来たり。
お天気の良い昼下がりを歩きつづけていました。

歩きながら、番組はアイフォンからのラジコで聴いていました。
そのときに聴こえるグレン・キャンベルの歌声。
ああ、シングルを京都のタワレコで買ったんだっけ。
浪漫と哀愁溢れる男性のほろ苦い響き。
ダンディズム。
じわじわと琴線に触れていきます。

カンザス州のウィチタと言う都市にて、
大陸のハイウェイのロードサイドで電線を点検し続ける男。
地味に淡々と仕事を行っている男。
そして密かに思いを寄せる女性への慕情が募ります。

孤独な男の心情が街を歩いていたあのときの僕に共鳴しました。
家族連れや恋人同士で賑わう水族館やショッピングモールの中で孤独感が押し寄せてきます。
無邪気なペンギンやアシカやアザラシの姿を観ていても慰めきれない気持ちもあります。

まぁ、いいや。





アル・デ・ローリーによるロマン溢れるドラマティックなアレンジ。
華麗なるオーケストレーション。
間奏のギターソロは彼自身の演奏と思われますが、低音の響きと音数が少ないながら雄弁な表現ですね。
一曲でまるで一本の映画を観たような充実感。

それまでグレン・キャンベルの音楽はベスト盤しか持ってなかったのですが、
初めて買ったオリジナルアルバムは『GOHST ON THE CANVAS』でした。
2011年に出たアルバムを確か翌年だったと思います。
アルツハイマーの病を患った彼が最後のアルバムだと宣言した作品でした。
この曲のタイトル曲はリプレイスメンツのポール・ウェスタ―バーグが書いていて。
僕はポール・ウェスタ―バーグが好きでして。
これが実に素晴らしい曲で。
泣けそうに。
これを歌うグレン・キャンベルがまた実に素晴らしのです。
衰えを知らぬ熟練の歌唱表現で。



『Wichitaline man』での印象的なストリングスのフレーズがイントロとアウトロで引用されていてさらに感動を呼び起こします。

このアルバムで引退宣言をしましたが、その後も気丈に音楽活動を継続し作品を発表しました。
身体の衰えに屈しない創作意欲に頭が下がります。
今年出たアルバム『Adiós』が最期となりました。

話は戻って、
シングルのB面を紹介しましょう。

Fate Of Man』。
これはグレン・キャンベルのオリジナルソング。
《男の運命》と題されたうた。
ある男の人生を2分のカントリーソングに纏めています。
穏やかなメロディとサウンドに乗って、歌唱と語りを駆使しして淡々と男の人生を語ります。
その物語は決して明るく幸せなものではありません。
歌詞の中に“pity”が何度も使われていまして、
私生活でも仕事でも恵まれることの無かった男の50代、60代、70代、80代までを綴ります。

奇しくもグレン・キャンベルも80代まで生き続けますが、歌詞の男よりも充実した人生を送ります。
残された数々の楽曲をこれからもずっと楽しんで行きたいと思います。

このシングルはまだユニーバーサルのサイトで手に入ります。
クリアーのレッドヴィニール仕様での重量盤。

『Wichita Lineman』《LC08146》〈Written by JIM WEBB〉(03’03’’)


Capitol Years 1965-77

Capitol Years 1965-77

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: EMI Europe Generic
  • 発売日: 1999/02/04
  • メディア: CD



Adios

Adios

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Imports
  • 発売日: 2017/06/23
  • メディア: CD



Ghost on the Canvas

Ghost on the Canvas

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Surfdog Records Ada
  • 発売日: 2011/08/29
  • メディア: CD



Reunion: Songs of Jimmy Webb

Reunion: Songs of Jimmy Webb

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: EMI Special Products
  • 発売日: 2001/09/13
  • メディア: CD



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『ルパン音頭/三波春夫』 [アニメソング]

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どうも、時刻は3時54分。
〈こんばんは〉なんだか〈おはよう〉なんだか判らないひととき。
『03’54’’』の時間です。

前回までの流れで行けば、
達郎さんのニューシングルを取り上げるのがスジですが、主題歌として使われる映画を観てからにしようと思い、今回は別の記事で映画ネタです。

9月の始めに『ルパン三世  ルパンVS複製人間』の4Kリマスタリング&MX4D版を映画館で観て参りました。
1978年に公開された、記念すべきルパン三世の劇場版第一作。
これは小学校の時に今は無き地元の映画館で観ました。
初公開された時ではなく、多分再上映されたのだと思います。
30年ぶりに観ました。

監督を担当したのは吉川 惣司さん、作画監督は椛島義夫さん。
音楽は勿論大野雄二さん。
椛島さんは今年の夏に今回の上映を前にお亡くなりになってしまいました。
椛島さんと言うと何と言っても『ガンバの冒険』ですね。
『新オバケのQ太郎』も。
謹んでご冥福をお祈りします。

本当に久しぶりに観た『 ルパンVS複製人間』。
懐かしく拝見しましたが、子どもの頃に観たようには感激しませんでした。
やはり第二作の『カリオストロの城』と比べてしまう自分がいます。
作画のクオリティは圧倒的に『カリ城』ですね。
残念ながら高い解像度でリマスタリングされた映像は大スクリーンでは絵の粗さまで際立ってしまうのも事実です。
監修として大塚康雄さんがクレジットされていますが、
未来少年コナンで忙しくて、実際に関わった時には作画の80%が出来上がった後だという事、殆どすることがなかった、と『作画汗まみれ』には書かれています。
カーチェイスのシーンの絵が結構酷かったので、大塚さんがもっと早い時期に関わっていたらもっと良い作品になったのにと思います。

そして、4Kリマスタリング&MX4D版について。
画像がクリアになったのはイイとして、
MX4D版は要らないと思いました。
昨年に『カリ城』も同じ形態で上映され、体験しましたが全く同じ感想を抱きました。
物語の世界観を体験出来るととかなんとか言って、シートが揺れたり、水をかけられたり、風が吹いて来たり、揚句にはシートの後ろからドンドンと衝撃を与えられたり、と。
不快感以外の何物でもありませんでした。
そんなコトされて物語に集中出来っこないです。
特にシートの背中をドンドンと衝撃を与えられるのは勘弁して欲しいです。
何か物語の中で銃で撃たれるときに、そういうことをされるのですが、
映画が始まる前に、観賞するときのマナーがアナウンスされますがまさにアレは『シートの背中を蹴ってはいけない』というルールに違反してます。
映画館がマナー破ってどないすんねん。
MX4Dは映画館の進化ではなく退化です。
もう。

だからと言って全く詰まらなかった訳ではありません。
『~複製人間』のヒットで翌年の『カリ城』の制作が決定したのですし。
終盤の展開にはドキドキします。
その物語を盛り上げる名悪役の《マモ―》の存在感。
当時は思いもよりませんでしたが、声を担当したのが名優・西村 晃さんなのでした。
ストーリーを引っ張る怪しいムード、とても素晴らしかったです。
カリオストロ伯爵に勝るとも劣らない異彩を放っています。
さらに声優で参加していたと知って今回驚いたのは、
赤塚不二夫先生と梶原一騎先生。
どちらも大国の権力者の役でしたが、見事なまでの棒読みで大いに劇場で楽しませてもらいました。
特に梶原先生はイメージとしては強面ですが、話す声は優しい感じで物語と不釣り合いでした。
本職ではないので勿論ご愛嬌です。
そして今回の記事の主役である方も劇中に声優として参加されていました。

ハイ、三波春夫先生で御座います。
よっ!千両役者!

という訳で、物語のエンディングテーマとなる『ルパン音頭』をご紹介しましょう。

コミカルな感じで物語は大団円を迎えるのですが、そのユーモラスなクレジットロールに流れるに相応しい陽気で明快な歌と演奏。

♪ お~れ~は ル~パン だ~ぞ~

と高らかに響き渡る名調子。
一気にムードが朗らかに。
天下の大泥棒の気概を代弁する如くに歌います。

三波先生の唯一無二のパワーを感じずにはいられません。
結局お亡くなりになってその存在感を代替出来る歌手はいやしませんでした。
一聴すると単なるコミックソングと勘違いしちゃいますがさに非ず。
聴けば聴くほどその魅惑のノドに魅了されます。
アニソンだろうと何だろうと全力投球。

“デスコデスコ”ですよ。

あヽ、ごきげんよう~~~

なのです。

作曲と編曲は勿論大野雄二先生。
いつものジャジ―な作風とは一転しますが、やはり絶妙な大野節がイントロから聴こえてきます。
メロウでは無くて明朗な音頭のリズムでも楽しませてくれます。




B面は『銭形マーチ』。
音頭の次は行進曲であります。
銭形警部の登場シーンで流れてくるお馴染みのテーマソングに歌詞が付けられて、
これまた三波先生が歌います。
テイチクオーケストラの演奏に乗って勇壮なマーチが展開されます。

淀みない三波先生の歌声がとっつぁんの心の叫びを代弁します。
サビからの軽妙な筋回しも愉しいですね。



ちなみに三波先生は劇中でエジプトの警察署長役で吹き替えに参加されていますが、
赤塚先生や梶原先生よりも堂に入った演技をされています。


これ以降次々とルパンシリーズは続編や劇場版が制作されるのですが、近年のシリーズではますます原点回帰へ向かいます。
結局オリジナルなのだと思います。
劇場第一作やテレビ版の第一シリーズの世界観こそがルパン三世。
そういう意味でも今回の『複製人間』で小粋な盗賊テイストを味わうことが出来て良かったです。

『ルパン音頭』《RS-149》〈作詞:モンキーパンチ/補作詞:中山大三郎/作曲・編曲:大野雄二〉(03’25’’)【1978】



LUPIN The Best

LUPIN The Best

  • アーティスト: 東京ムービー企画部,馬飼野康二,大野雄二
  • 出版社/メーカー: 日本コロムビア
  • 発売日: 2007/03/14
  • メディア: CD



ルパン三世「ルパンVS複製人間」[Blu-ray]

ルパン三世「ルパンVS複製人間」[Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: VAP,INC(VAP)(D)
  • メディア: Blu-ray



ルパン三世 ルパン vs 複製人間 [DVD]

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  • 出版社/メーカー: 東宝
  • メディア: DVD



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『IT'S NOT UNUSUAL(よくあることサ)/トム・ジョーンズ』 [英国ロック/60年代]

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こんばんは。

またまた達郎さんのライブネタで棚からひとつまみ。
《棚つか》ならぬ《棚つま》です。

今宵はトム・ジョーンズ

マッチさん、
マーチンさん、
と来て、マッチョさんの登場です。ちがうか。

宇宙人が日本に潜入して様々な職種を調査する人でもありません。缶コーヒーの。


そんなことはどうでもよくて。
IT'S NOT UNUSUAL(よくあることサ)』は以前も紹介しましたが、そんなコト誰も覚えていないでしょう。
そのときはCDでした。
あの後、日本盤のアナログシングルを見つけました。
まぁ、良くあるコトです。
このシングルは1970年に出たレコードで、『THIS IS TOM JONES』というTVショーのテーマソングに『よくあることサ』が使用されたコトを受けて発売されたモノらしいです。ジャケットに書かれています。

達郎さんが昨年のツアーでフランキー・ヴァリの『君の瞳に恋してる』をカヴァーしたところ、
大好評でした。
これまでもライヴの中で洋楽のカヴァーはしていましたが、ここまでの反響は無かったそうです。
特に女性ファンからのリアクションが大きかったと思われます。
今回のツアーでは《キャラじゃない曲》と《判り易い曲を》というコンセプトがありまして、
それではと、今回のツアーも所謂ひとつのベタな往年のヒット曲を、選曲されたのだと思います。
達郎さんはプライベートでカラオケに誘われたときに『よくあることサ』をお歌いになるそうで、
ライヴでも「ちょうど山下達郎とカラオケに行ったと思ってお聴きください」とジョークを付け加えながらカヴァーしていました。
達郎さんの歌唱スタイルはラスカルズのフェリックス・キャヴァリエやフランキー・ヴァリ、ディオン、そしてバリー・マンなど、イタロ・アメリカンのシンガーの系譜に属するヴァイタリティ溢れる陽性なエッセンスが感じられますので、トム・ジョーンズのようなワイルドなヴォーカルスタイルも問題ありません。楽勝です。

この曲はゴードン・ミルズとレス・リードの共作ですが、元々は女性シンガーのサンディ・ショウに作られた曲なのでした。
ゴードン・ミルズはトム・ジョーンズの友人であり、作曲家として活動していた彼の作品のデモ音源の吹きこみの仕事をトム・ジョーンズがしておりました。
そのデモ音源での歌唱の素晴らしさにトム・ジョーンズの2枚目のシングルとして売り出されることになりました。
後にゴードン・ミルズはMAMレコードを立ち上げて、ギルバート・オサリヴァンなどを手掛けることになります。

希望に満ち満ちたホーンセクションのフレーズを従え、
水を得た魚のように、生き生きと揚々と歌いまくりまくるトム・ジョーンズ。
打てば軽く柵越え、と言った感じ。

愛する相手への嫉妬深い思いが溢れたラブソングですね。



いやぁ、エルヴィス以上にセクシャルな胸騒ぎの腰つきであります。
要注意!

達郎さんもトム・ジョーンズのファンだと公言されていました。
殆どのレコードをコレクションされているとか。

B面は『TO WAIT FOR LOVE(邦題:愛のおとずれ)』。
名作曲チームのバート・バカラックとハル・デイヴィッドのコンビによる楽曲です。
このふたりの作品では『WHAT'S NEW PUSSYCAT ?(何かいいことないか子猫チャン)』の方が有名でしょう。
『愛のおとずれ』はしっとりと切ないバラードです。
ウォーカー・ブラザーズが歌った『MAKE IT EASY ON YOURSELF』のようなタイプの楽曲。
スコット・ウォーカーに勝るとも劣らない哀愁溢れる歌いっぷり。
秋にピッタリな素敵な曲です。



同時期にポール・アンカもこの曲を歌っています。
ハーブ・アルパートのバージョンでも有名。
そして何と達郎さんもカヴァーしています。
僕は達郎さんの唄でこの曲を知ったクチです。
2002年にリリースした『RARETIES』に収録されています。
1993年の『SEASON'S GREETINGS』でのレコーディングの時に録音されたそうです。

という訳でシングルの両面とも奇しくも達郎さんが取り上げております。


かように達郎さんのライヴは毎年毎回色んな趣向に満ちているし、音楽の勉強にもなります。
来年もまたお元気な姿をステージで魅せて頂きたいです。

『IT'S NOT UNUSUAL(よくあることサ)』《TOP-1507》〈Written by G.Mills and L.Reed〉(02'01'')【1970】


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