『フワフワ・ WOW WOW/石川セリ』 [歌謡曲/70年代]
こんばんは。
春宵一刻値千金なシングルをどうぞ。
都会的でミステリアスなイイ女、石川セリさんの歌。
モデル出身の歌手の嚆矢的存在。
これはピコこと樋口康雄さんの曲です。
Seri&Picoの名コラボレーション。
セリさんとピコさんは伝説のNHKの番組「ステージ101」でシングアウトのメンバーでした。
セリさんの1972年作のデヴューアルバム『パセリと野の花』(キャニオン)はほぼピコさんによる作曲&アレンジで少女の無邪気さや儚さ美しさをメルヘンチックにドリーミィに構築したフレッシュな名作で、同年リリースされたピコさんのポップなデヴューアルバム『abc / Pico first』(こちらもピコさん自身の作曲、アレンジプロデュース)とは姉弟関係にあるようなジャパニーズのポップスの名盤の双璧です。当時セリさんは20才でピコさんは19才。とても当時の芸能界や音楽界からは浮世離れしたフレッシュで洗練されたふたりでした。
そして、今回のシングルに話は戻って。
こちらは四年ぶりのセカンドアルバムであり、1976年に所属レコード会社をキャニオンからフィリップスへ移籍して第一弾の『ときどき私は…SERI』からのシングルカット作『フワフワWOW WOW』。
『ときどき私は…』は勿論セリさんの代表作と言える素敵なアルバムです。
このアルバムにはピコさんを始め、ユーミンや松本隆、矢野誠、瀬尾一三、下田逸郎諸氏などなどの当時の都会派なミュージシャンのサポートのもと、セリさんの大人の女性としてのセクシィでミステリアスでアンニュイな魅力バクハツ!の一枚となりました。
このシングルは作詞がみなみらんぼうさん、作曲&アレンジがピコさんによるもの。
アルバムバージョンは萩田光雄氏によるものです。どちらもキーが異なります。
アルバムバージョンはジャジーで少しラテン風味なムードですが、シングルの方はもう少しロックっぽい感じ。
イントロのアープシンセサイザーとクラビネットの音が妖艶に春を匂わせています。
シングルでのセリさんの唄い方もアルバムバージョンより魅力的です。
そしてピコさんのポップで魅惑なメロディ。
大人っぽい雰囲気を醸し出す唄とメロディですが、少し少女の心を残した歌詞ですね。
童心に帰って晴れた春の野山を散歩している内容です。
B面は同じく『ときどき私は…SERI』にも収録されている『SEXY』。
下田逸郎氏の作品です。
ゆったりとしたワルツのリズムに乗ってメランコリックなメロディが流れ出します。
イントロのアコーディオンの美しい調べ。
セリさんの唄には内面的にも成熟した大人の女性の魅力を感じさせ、楽曲の奥行きを広げてくれます。
実にセクシィ。
21世紀になってソリッドレコードからリリースされた『パセリと野の花+13』は72〜
76年におけるセリ&ピコによるコラボ作をシングル、アルバム、そしてCMソングまで網羅したチャーミングな一枚です。勿論この「フワフワ WOWWOW」のシングル&アルバムバージョンも入っています。実に夢心地なアルバム。
セリさんは昨年あたりから歌手業を復活されたそうですが、ピコさんとのコラボレーションも復活させて欲しいです。
『フワフワ・WOW WOW』《FS-2004》〈作詞・作曲:下田逸郎/編曲:矢野 誠〉(2’52’’)
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