『PINKY FLUFFY/ SOLEIL』 [邦楽ロック10年代]
どうも、どうも。
丹古母鬼馬二 そっくり芸人の都市色です。
お仕事待ってま~す。
それは置いといて。
今夜も張り切ってシングル盤をご紹介しましょう。
ハイ、今回は“SOLIEL”です。
14歳の美少女・それいゆさんをヴォーカリストに、
ギター担当の中森泰弘さんfrom ヒックスヴィル、
そしてベース及びプロデュース担当のサリー久保田さん from Sally Soul Stue、
による3人組のポップユニット。
シリア・ポールさんの『夢で逢えたら』VOXと同じ3月21日にビクターからリリースされた彼女たちのファーストアルバム『My name is Soleil』が巷のガールポップファン、ナイアガラ-、音壁ファンの間で大いに話題になっているとかいないとか。
僕も発売日に手に入れましたが、実に素晴らしい。
僕の好みのど真ん中を射抜かれました。
だって、だって!
まぁ、説明は後にしましょう。
取りあげますのは、
昨年 Vividから発売されたデヴューシングル『PINKY FLUFFY』です。
音はモノラル。
もう、ガールポップス万歳な一枚。
ジャケットに映るビーハイブ・ヘアは伊達
A面の『PINKY FLUFFY』。
作詞はマイクロスターの飯泉裕子さん。
作曲が高浪慶太郎さん。
編曲は岡田ユミさん。
シックスティーズのガールポップス一直線!!
イントロのあの、あの、いかにもな、『BE MY BABY』的な聴き飽きた感のある音が、
違うんですねぇ。
似て非なるこだわりの音がします。
ミックスは同じくマイクロスターの佐藤清喜さんが担当しているのでバッチリです。
曲調はアンドレア・キャロルの『It hurts to be sixteen』がベースになっていると思われます。
そしてBREADのメンバーとして70年代に華々しく活躍する以前の裏方時代のソングライター/アレンジャーだった頃のデヴィッド・ゲイツの作風も多少ミックスされている感じです。
高浪慶太郎さんのメロディセンス、相変わらず冴えてます。
飯泉さんの歌詞も実にガールポップスの様式美に満ちています。
ピンクのふわふわした感じが出てます。
編曲の岡田ユミさんについてはこれまで存じ上げていませんでしたが、
お名前に《SPECS》と付けているあたり、実に侮れないイイ仕事をしています。
勿論、リードヴォーカルのそれいゆさんの歌声はキュートで愛くるしい。
涙の14歳です。
バックのコーラスは星野みちるさん。
地味ながら楽曲にアイドルっぽさが増しています。
ドラムはGreat 3の白根賢一さん。
僕の大好きなドラマーです。
白根さんのやくざな荒々しいパンチのあるドラミング、最高。
考えてみると、
中森さんも、サリー久保田さんも、白根さんもほぼ同時期にネオGSで活動していた仲間。
中森さんはハワイズ、サリーさんはファントムギフト、そして白根さんはワウワウヒッピーズ。
その後、90年代に入ると中森さんと白根さんはロッテンハッツ、サリーさんはLes 5-4-3-2-1で活動。
かれこれ30年近い芸歴で今も現役バリバリ。
打ち込みではなく、気迫のこもった生演奏、とっても素晴らしいです。
ネオGSは勿論、分母にグループサウンズとガレージサウンドがあります。
作曲の高浪慶太郎さんは勿論ピチカートの元メンバーですし、GSや60年代の歌謡曲に造詣が深いし、ネオGSとも関わり合いが深いですね。
SOLEILのサウンドが単なる付け焼刃な一過性のものではないのは彼らの音楽性のバックボーンがとても深いからですね。
60年代の歌謡曲~90年代の渋谷系までの流れを熟知して体現している人たちがクリエイトしているサウンドだからだと思うのです。
シングルには関わっていませんが、近田春夫さんが『My name is Soleil』へ一曲書き下ろしているのですが、まさにハルヲフォンなサウンドでうれし涙が出そうでした。
サリー久保田さんの尊敬する近田さんのイイ仕事。
近田さんはハルヲフォンの前には当時グループサウンズのサポートで鍵盤を弾いていましたし、70年代にいちはやく筒美京平さんの作る歌謡曲を評価していた論客でした。
近田さんの弟子とも言えるジューシーフルーツのイリアさんもアルバムに一曲作詞で参加しています。
つまり、
シックスティーズ初期のガールグループものに端を発し、GS~近田春夫&ハルヲフォン~ネオGSを経由して渋谷系まで網羅しているトーキョーサウンド。
『電撃的ネオ東京』ですよ。
これまでありそうでなかった、いや、これまであったかもしれないけれど、ここまでとことんディープに極めたモノは無かったでしょう。
上記の流れが一本ビシッとぶれることなく貫かれています。
プロデューサーのサリーさんの面目躍如。
サリーさんの作品は過去にサリーソウルシチューのシングルを取り上げていますが、ここでも中森さんや白根さんが演奏しています。
真城めぐみさんやレモンさんも歌ってます。
もともとそれいゆ嬢はレモンさんの姪っ子にあたるそうです。
そういうマジカルコネクション、ってことです。
さぁ、さぁ、B面は『Breakout』。
これはスウィングアウト・シスターの80年代中期のヒット曲のカヴァー。
60年代英国のMODなビートバンド風なサウンドにメイクアップ。
モータウンなガールポップ風ともいえます。
ここら辺の演奏も中森、久保田、白根の御三方には朝飯前でカッコいいです。
スウィングアウト・シスターのオリジナルバージョンはあの当時のデジタルサウンドが今の耳には強烈です。80年代に活動していましたが、シックスティーズ・リバイバルな音楽センスが魅力なので60年代風にアレンジしても曲の良さは変わりません。
それいゆさんの英語の発音は不安定ですがお構いなし!お咎めなし!問題なし!
それいけ!それいゆ!
シングルにはアナログ7インチと同内容+カラオケ音源の入ったCDも付属しています。
昨年に発売後、長いこと品切れ状態でしたが、
今回のファーストアルバムの高評価が影響したのか、
サイプレス・ヒル、
じゃない、再プレスされているようです。
二曲ともアルバムには未収録なので手に入れる価値ありです。
買いそびれていた御仁、
今がチャンスだ。
ヤフオクに負けるな!
『PINKY FLUFFY』《HCCD9591》〈作詞:飯泉裕子/作曲:高浪慶太郎/編曲:岡田“SPECS”ユミ〉(02'51'')【2017】
『夢で逢えたら/井の頭レンジャーズ』 [邦楽ロック10年代]
こんばんは~、
下町のナポレオンズ(小柄な方)こと、都市色です。
ふたたび、今宵も春の夢逢えまつり、
ついに佳境へ。
前々回のシングルは大滝さんと達郎さんのダブルサイダーでした。
サイダーのCМソングをおふたりが過去に手掛けていた、
と言う意味ではないですよ奥さん。
今回取り上げるシングル盤も両面がお二人の楽曲で展開されてまーす。
そして主役は“井の頭レンジャーズ”!!
2013年、東京は武蔵野市の井の頭公園に集う地元の若者たちで結成された、
ジャマイカンスタイルのインストバンド。
プロデュースを手掛けるのは、かの高木壮太氏。
あの『荒唐無稽 音楽事典』や『プロ無職入門』の著者である鍵盤プレイヤー。
人呼んで、『日本のレニー・ブルース』。
あ、僕が勝手に呼びました。
失礼。
という訳でA面の『夢で逢えたら』。
ゴキゲンなロックステディの演奏に乗って繰り広げられる名曲。
ポップなメロディがさらにウキウキしてきます。
ドラムの佐藤メンチ氏とベースの藤村明星氏のコンビネーションのリズムの弾むビート。
オルガン奏者のいせや闇太郎さんのハモンドが陽気に鼻歌を歌っています。
この曲のインストはそれほど多くないのですが、多幸感溢れる演奏になってます。
プロデューサーの高木壮太氏はこのカヴァーをお亡くなりになった大滝さんに捧げています。
無論、この曲も『大瀧詠一作品集 Vol.3』に収録されてます。
B面は『クリスマス・イヴ』。
クリスマスソングのスタンダードもロックステディに。
眩い太陽の下で繰り広げられるような熱い演奏。
ギター担当の万助橋わたる氏のリズムカッティングが冴えわたり、
いせや氏のハモンドの調べは陽気なリズムの上でセンチメンタルに響かせます。
季節外れもなんのその。
イイ曲はイイ曲。
なんでもかんでもJ-POPを書き割りのボサノバにしたがる輩は多いですが、
ファンキーなロックステディに仕上げるのは井の頭レンジャーズだけでしょう。
そういえば、『クリスマス・イヴ』もカヴァーがとにかく鬼のように多いですね。
枚挙に暇がありません。
CD4枚組では済まないでしょうね。恐ろしい。
彼らの演奏を聴いていると、
まるで晴天の下、井の頭公園内をのんびりと散歩しているような朗らかな気分になります、ハイ。
懐かしい東京での生活の思い出が蘇って来たぞ。
このバンドはインストが主体ですが、ゲストに個性的なシンガーを迎えてのカヴァーソングも数々手掛けています。
それらをアルバム一枚にまとめた『SINGS !』もとってもお勧めであります。
カヴァーセンスも歌手の選定もグンバツ!
行楽のお供《BGM》にイイのではないでしょうか。
『夢で逢えたら』《PARK-1005》〈作曲:大瀧詠一〉(02'39'')【2015】
『相棒 ちょっと長い関係のブルース/台風クラブ』 [邦楽ロック10年代]
ども、おハローございます。
いま何年やねん、と突っ込まれっぱなしの選曲が続く拙ブログですが、
久しぶりに《比較的》最近のシングルを紹介してみましょう。
時節は台風上陸直前、という事でこのバンド名の方々にご登場願いましょう。
さぁ、“台風クラブ”の皆さんです。
はりきってどうぞ!
今年のレコードストアデイに出たシングル『相棒 ちょっと長い関係のブルース』です。
ハートの在処へまっすぐに突き刺さってくる、せつないメロディ。
センチな気持ちを照れ隠しするように、ぶっきらぼう気味に言葉を吐き出すヴォーカル。
そのヴォーカル兼ギター担当の石塚 淳さんはバンドの曲も作っていて、
その楽曲がまた粒ぞろいでグッときます。
男の日常でのカッコ悪さを見事に歌詞に捉えていて、それを魅力的なメロディへ巧みに結びつけています。
その楽曲をドラムの伊奈昌宏さんとベースの山本啓太さんの骨太のリズムで肉付けしています。
ギター、ドラム、ベースのシンプルな編成による一丸となった熱い演奏。
ミディアムテンポのリラックスしたムードがいい塩梅。
曲の内容は友人との思いがけない別れを歌っていると思われます。
自分に正直になれない心情を歌詞に掬い取っていて、あっけなく時は過ぎていく青春の虚無感がシングル盤の溝に深く刻まれていて名曲です。
イントロの出だしの瞬間が僕の好きな何かの曲に似ている気がするのですが、思い出せません。
何だろう。勿論パクリとかそんなんではありません。
という訳で、
台風クラブは京都出身の3人組のバンドです。
相米監督の80年代の名作映画との関連性は判りませんが、
70年代の日本語のロックの世界観が伝わってくる楽曲とガレージロックなサウンドが硬い絆で結ば絵れていて、若者たちのインディーな精神がスパークしています。
彼らの音楽を知ったのは二年前程です。
実際に音源として買ったのは本 秀康さんのレーベル《雷音レコード》から出た『ずる休み』というアナログ7インチでした。
じわじわと話題になっていて、違いの判る音楽好きな気の置けない方々はだいたい台風クラブを聴いて絶賛しています。
去る8月に待望の全国流通のファーストアルバムが発売されました。
タイトルは『初期の台風クラブ』。
問答無用の傑作でした。
実にファーストアルバムらしい一枚。
雷音レコードから出たシングルも今回のシングルの曲も勿論収録されてます。
きっとずっとこれかれらも聴きつづけていくであろう音楽です。
日本語のロックの新しい記録を更新するでしょう。
なかなか最近そういうのに出会えないのですが。
そんな
彼らのライブを一度観ようと、今年の1月に十三のファンダンゴへ行きました。
チッツのアルバムのレコ発に彼らも出演とのことで、
仕事終わりに駆け付けたのですが、ライブのトップバッターで演奏した台風クラブには残念ながら間に合いませんでした。
その次に出た赤犬のライヴを観たのですが、
ライヴ途中でとある曲になるとメンバーの方がステージから降りてきて、とある事が起こるのですが、あろうことか僕の元へメンバーの男性がやってきて絡まれてしまいました。
もう大変でした。
愉しいエンターテイメントショーでしたが。
そしてトリのチッツのライブもとっても素晴らしかったです。
アレ、台風クラブの話でしたね。
B面は『飛・び・た・い』。
ディスコティックなサウンドを切れのいいトリオで、
ロックバンドが演奏するディスコのカッコよさ。
ありふれた地方都市に住む、ありふれた若者の悶々とした日常を切り取ったような歌詞が魅力です。
行動範囲の狭まれている退屈な町で少年のどうにもならない気持ちと行動の愚かしい行方はコンビニの駐車場での嘔吐で幕を閉じます。
そんな訳で台風が進路を逸れてくれることを祈りながら、台風クラブのライブへ今度こそ行けるコトを期待しながら、選挙へ行きます。
現在の反吐が出る様な最悪な政局が少しでも好転しますように。
『相棒 ちょっと長い関係のブルース』《HR7S048》〈作詞・作曲:石塚 淳/編曲:台風クラブ〉(03’26’’)【2017】
『エンジン/奥田民生』 [邦楽ロック10年代]
こんばんは、レトルトカレーが美味しい季節になりました。
さて、
8月の終わりに『カーズ /クロスロード』を観ました。
なんばパークスで。
ディズニーが贈る夏休み映画。
カーズのシリーズを観るのは初めてだったのですが、
映画館の予告編を観たときにとても興味が湧いたのです。
主題歌を歌うのが、なんと奥田民生さんでした。
という訳で映画の日本語吹替え版のエンディングソングとなった、
民生さんのニューシングル『エンジン』です。
以前に彼のシングルをブログで紹介したのは『風は西から』でした。
これも自動車の唄。
そして『Car songs of the years』というアルバムを出されるくらいに車がお好きなお方。
ですが、まさかディズニーのアニメで主題歌に起用されるとは前方不注意でした。
映画を観ました。
シリーズ第三作ですが、この作品だけを観ても十分楽しめました。
泣けました。
物語の終盤、クライマックスのシーンで。
意外な展開にグッときました。
やはりディズニーは凄いなと思いました。
『ズートピア』もメチャクチャ素晴らしかったですし。
ピクサーの作品を観るのは『トイストーリーズ3』以来でしたが、これも泣けましたね。
さすが。
『カーズ』も音楽はランディ・ニューマンでした。
良かったです。
そして物語のタイトルクレジットで流れるのが『エンジン』。
乾いたアコースティックギターの弦を弾く音が轟くイントロ。
滋味で渋いロックンロール。
ハンドルを握って、アクセルを踏んで孤独の旅路へ。
荒野のハイウェイをひたすらに走る車と己の追及する音を求めてひたすら活動する奥田民生さんの姿勢がぴったりとハマります。
ハッキリ言ってワンパターンかもしれませんがハッキリ言ってそれがカッコいい。
無駄なモノを削ぎ落としたサウンド、メロディ、歌詞。
考えるな、感じろ、の世界。
唄う内容もメロディも特に凝ってはいないかもしれない、でも出力される音の塊が只々カッコいい。
整った音ではなく雑音かもしれないけど、まさに機械のエンジンが調子よく唸るような、音の轟音。
エクスキューズの要らない演奏のパワー。
近年のソロワークは一人多重録音が中心でしたが、ツアーでの固定されたMTR&Yメンバーとのセッションで録音して作られています。
湊 雅史(ドラム)小原 礼(ベース)、斉藤有太(キーボード)ら諸氏による息の合った走行音。
ロマンと哀愁漂う民生さんの孤高の熱唱も最高。
劇場の大スクリーンからの大音響で聴く音も良かったです。
クルーズ役の声優として参加した松岡茉優さんが良かったです。
日本人の歌手やミュージシャンが歌う日本語版のみの主題歌って基本的にはあんまり魅力を感じませんが、民生さんが担当した主題歌はとても良いと思いました。
担当する人次第でしょうか。
という訳で『ワンダーウーマン』は無論、字幕版を選んで観に行きました。
薄っぺらく陳腐なメッセージを込めた日本版の主題歌を聴かなければならない吹き替え版なんて勘弁して欲しいです。
因みに映画を観始めて、何だか違うアニメが始まったのでスクリーンを間違えたのではと一度席を離れてしまいました。スタッフさんに教えて貰ってまた戻りましたが。
同時上映の短編が本編の前に流れたのですね。
全くうっかり屋さんです。
話が逸れました。
カップリングは『ENGINE』。
『エンジン』の英語詞吹き替え版。
演奏は『エンジン』と同じ。
英語詞は日本語詞を元にうつみようこさんが担当しています。
シンガーのうつみようこさんでしょうか。
英語で唄うバージョンも良いですが、オリジナルの日本語のシンプルな語感の方が曲に合っていると感じます。
英語版は単語がゴチャゴチャしている感じがして。
飽くまで好みの問題ですが。
民生さんもやや歌いにくそうな気が。
出来ればシングルもアナログ盤を出して欲しいな。
今回のシングルを含むMTR&Yによる演奏で構成されたソロアルバム『サボテンミュージアム』はアナログが出てます。
そして今回のシングルとアルバムの発表で民生さん自身によるレーベル“RAMEN CURRY MUSIC RECORD”としての民生さんのソロの本格的な活動が始まったと云っていいでしょう。
今までは完全な新作はサンフジンズのアルバムのみであとライブアルバムやとかTシャツとかグッズが多かったので。
まさにラーメンやカレーのように飽きの来ないスタンダードな感じの民生さんの音楽。
早く買わなきゃ美幸。
来年開催されるツアーも参戦したいぜ。
『エンジン』《RCMR-006》〈作詞・作曲・編曲:奥田民生〉(04’32’’)【2017】
『旅とフェリー/婦人倶楽部』 [邦楽ロック10年代]
お晩です。
今夜の『03’54’’』はこの方たちにご登場願いましょう、婦人組合!
じゃない、失礼、婦人倶楽部の皆さんです。
前回のブリッヂからの流れ。
両者を続けて聴いてもなんの違和感もありません。
24年前の音源と最近の音源なのに。
どちらが古いとか新しいとか関係なく。
どちらもトレンドから一定の距離を置いているからいつでも新鮮。
婦人倶楽部も渋谷系とか言われますし。
昨年出た傑作ファーストアルバム 『フジンカラ―』から約一年、
婦人たちの夏向けの新曲が出来ました。
彼女たちが割烹着で旅に出る理由が唄われているかも。
彼女が割烹着に着替えたら。
♪パーヤッパッパーっと、
颯爽としたスキャットと軽快な演奏が始まります。
ムッシュレモン氏の指揮する華麗なるアンサンブル。
淀みなく耳元を流れていくハイカラでモダンな軽音楽。
心地よいメロディと婦人Bの魅惑の歌声が音楽で旅情へ誘います。
割烹着で買い物に出かける様なフットワークの軽さで旅に出たくなりますね。
二曲目は『お茶うけ物語』。
ブルボンのルマンド賛歌。
程よい高級感と庶民感がミックスされたお
菓子。
飽きのこない風味。
紫色のエレガ~ントな外見。
僕も物心がつかない頃から食べています。
今でもときどきスーパーで買ってます。
それにしてもルマンドアイス、食べてみたいなぁ。
おっと曲紹介がまだでした。
ピッコロの音色が印象的なミディアムテンポの甘美な調べ。
三曲目は『夏は夏野菜』。
食べ物の歌が続きます。
夏だから夏野菜を食べるという習慣が無いのですが、
健康の為に摂取しなくてはいけませんね。
佐渡の野菜は美味しいのかな。
サッポロベジタブルは良く食べるけど。
おっと曲紹介がまだでした。
クラリネットの音色が印象的なワルツテンポのクラシカルな調べ。
四曲目は『旅とフェリー』のカラオケ。
五曲目は『たらい舟に乗って』のムッシュレモン氏によるリミックス。
テクノというかハウスなアレンジ。
この曲はアルバム『フジンカラ―』の一曲目の大変ポップな曲ですね。
とにかくこのアルバムは素晴らしい。
フリッパーズの『カメラトーク』やピチカートの『ボサノバ2001』に匹敵するようなクオリティですね。
アナログで出して欲しかったなぁ。
婦人Bさんの唄声も榊原香保里さんに比肩するほど大好きですねぇ。
つまり僕はアニメ声の歌手が大ッ嫌いなんですね。
という訳で、夏~の元気なご挨拶!代わりの婦人倶楽部のシングルなのでした。
『旅とフェリ―』《GPWF-0002》〈作詞・作曲・編曲:ムッシュ・レモン〉(03’37’’)【2017】
『夏の幻影/Minuano』 [邦楽ロック10年代]
こんばんは。
会社の行き帰り、アスファルトの道端に蝉の亡骸をよく見かけます。
命の限りに鳴き尽くして夏の盛りに息絶える。
潔い生き方ですね。
蝉が鳴く音はなんだか不快ではありません。
うるさく感じません。
蝉しぐれ、大好きです。
夏ももう終わりに近づいているのですね。
という訳で今宵も夏の軽音楽を。
今回は珍しく配信の曲です。
前回の記事で、Overdose of Joyというイベントのコトを書きました。
そのときにLampのライヴを観た話もしました。
メンバーの3人とサポートのパーカッション奏者、尾方伯郎さんの計4人で演奏されました。
主にグループのオリジナルソングを新旧混ぜて聴くことが出来たのですが、一曲だけ尾方さんによる楽曲が演奏されました。
その尾方さんが主体となって活動している音楽ユニットが今回のMinuanoです。
尾方さんは主に楽曲制作と演奏・プロデュースを担当しており、歌唱はLampの紅一点、榊原香保里さんです。ライブでもそうでした。
Minuanoはこれまでに二枚のオリジナルアルバムを発表しています。
今回ご紹介するのは5年前に配信で発売されたEPです。
タイトルは『夏の幻影』。
3曲入り。
Lampのライヴで尾方さんの曲が歌われるように、
MinuanoとLampの音楽性は非常に近いです。
MPB、AOR、ソフトロック、SSW系からの影響が強い音楽。
何と言ってもどちらも歌っているのが榊原さんなのが大きいでしょう。
僕は榊原香保里さんの歌唱が大好きです。
魅惑の歌声。
サザンの原 由子さんに昔から声が似ているなぁ、と思っていて。
原坊も声が素敵で。
せつない響きを湛えている声質ですね。
お二方とも素晴らしいヴォーカリスト。
という訳で、『夏の幻影』。
夏の夜に恋人と線香花火に興じているひとときを曲でスケッチ。
花火大会を二人で見ているのではなく、線香花火をしている、というのがイイですね。
賑わいを逃れた、静寂の中で。
恋人との限られた時間を名残惜しむような、儚い火遊び。
闇の中、線香花火のともしびだけが二人の面影を浮かび上がらせる。
叙情的で文学的な歌詞の硬質さが、日本の夏を醸し出します。
憂いとせつなさを帯びた香保里さんの唄声が歌詞に相応しい。
彼女の歌声に寄り添うウーリツアーの翳りのある音色。
間奏で吹かれる香保里さんのフルートの繊細な響き。
線香花火に火がついて、火花が瞬いて、散っていくまでの様がミディアム調の旋律で展開していきます。花火を見つめる二人の緊張感も伴っているようにゆったりと幻想的に。
そして終盤、一瞬の間を置いて、これまでのメロディの展開と異なる曲調が展開します。
アップテンポで華々しいストリングスでメロディが咲き乱れます。
火花が散ってしまったあとの一瞬の静けさのあと、二人の気持ちがざわざわと波立っているような。
劇的な4分弱の恋模様。
緊張の夏、日本の夏、名曲。
打ち上げ花火もイイですけど、線香花火もイイですね。
そういえば、一昨日の夜、シネ・ヌーヴォで蔵原惟繕監督の60年代の映画を観に行く途中、
九条の裏通りで花火をしている家族をお見かけました。久しぶりに見る光景。
手持ち花火がいくつか咲いていました。
夜の暗闇にだんらんの灯が明るかったのです。
二曲目は『蜃気楼』
ボサノヴァのリズムに乗って物憂げで浮遊感のあるメロディが流れていきます。
淡々と囁くような香保里さんの唄声がクールでノクロームなムードを醸し出します。
三曲目は『ある春の恋人』。
セカンドアルバム『ある春の恋人』の表題曲。
こちらもゆったりとしたボッサ。
春の穏やかで淋しげで微睡むような雰囲気がなんとも心地よい一曲。
アルバムとミックス違いです。
ストリングスの音がカットされています。
今回の楽曲はi tunesで手に入ります。
榊原香保里さんの甘く気怠いウィスパーヴォイスを堪能できる三曲。
楽曲のクレジットですが、3曲目以外は作詞担当がハッキリしないのですが(香保里さんか尾方さんと思われるが)、作曲編曲は尾方さんでしょう。3曲目の作詞は芝田那美さんという方。
素晴らしい。
彼女は日本一ワンピースのお洋服が似合うしっとりとした黒髪の魅惑な女性。
加古川アラベスクホールでのライヴが思い出されます。
ライヴのあと、物販会場でLampの『ランプ幻想』のアナログ盤を買ったときに少し御三方とお話が出来たのですが、ライヴで披露された尾方さんによる楽曲は新曲なのですが、まだMinuanoとして発表するか未定だそうです。染谷さんの希望でライヴで歌うコトになったとか。
是非、染谷さんのレーベルからMinuanoの新作を出して欲しいと切に願います。
そのときにアナログ盤にも三人のサインも貰いました。
ちなみに我が家には『ランプ幻想』のアナログが計3枚あります。
ガッハッハッハ。
『夏の幻影』《品番不明》(04’15’’)【2012】
『桜 super love/サニーデイ・サービス』 [邦楽ロック10年代]
こんばんは。
季節は、春。
桜満開。
ゆっくりと木々に咲いた花々を愛でている時間は残念ながらなくて、
通勤途中に電車の車窓から景色を見ているだけですが。
2017年の〈さくらソング〉をご紹介。
サニーデイ・サービスのニューシングル。
昨年リリースされた傑作アルバム『Dance to you』からのシングルカット『桜 super love』です。
前回のインディーズのジャケットに続いて、
こちらもピンクなイラストが目を惹きますね。
ご存じ、岡崎京子先生のイラストをあしらったジャケ。
レコーディング途中でドラマーの丸山晴茂さんの体調不良により、録音の方向性や進行に変更を余儀なくされ、ベース以外は曽我部さんが演奏を殆ど担当。ドラムも代役を立てずに、彼自身が叩いたり、リズムアレンジを施して仕上げたという難産なアルバムだと云います。
が、ピンチはチャンスといいますか、嵐のあとの日本晴れといいますか、
もうひとつ例えるなら、ちあばきお先生の名作『キャプテン』にて、丸井主将時代、地区予選の決勝で墨谷二中と青葉学園との死闘の末の18回裏のイガラシのサヨナラホームランの様な激闘のあとが伺える、だからこそ美しいアルバムなのだと思います。
活動再開以降のアルバムも優れた内容ですが、90年代の『東京』『MUGEN』に匹敵する内容で。
昨年のベストアルバムでした。
そして今回のシングル。
アルバムの終盤のハイライトとなる名曲。
歌詞がとってもせつなくて美しい。
《きみがいないことは きみがいることだなぁ》
という一行に感動します。
喪失感と対峙した含蓄の深いことばですが、作為が感じられません。
この《きみ》とは恐らくドラムの丸山さんに捧げられていると思われます。
ソロ以降の曽我部さんはメロディより歌詞に重きを置いていたと思いますが、
その歌詞の素晴らしさがこの曲に極められていると思いました。
そしてサニーデイ時代のメロディの良さもここにきて熟成されて。
彼の優しい歌声とミディアムテンポ、でもリズムはダンサブルな16ビート。
キラキラしたシンセの音は陽だまりのよう。
勿論その春のんびりとした気分の背景には言い知れない悲しみも横たわっていて。
厳しい冬を経ての短い春爛漫。
サウンドで春の穏やかで儚い表情をスケッチしています。
まるで岡崎京子さんの漫画の世界に通じる様なドラマ仕立てのMVで素敵ですね、切なくなりますね。
B面は同曲のラブリーサマーちゃんによるリミックス。
昨年、メジャーデヴューを果たした、女性によるソロの宅録ユニットのラブリーサマーちゃんによるサウンドは、サニーデイのバージョンよりもバンドサウンドっぽい仕上がり。
誰もいない春休みの学校の校舎で放課後の空気感が味わえるような、爽やかなリミックス。
ユーミンの『最後の春休み』みたいな。
ラブリーサマーちゃんの桜の花びらのような、はらはらと切ない歌声もフィーチュア。
リミックスにありがちな過剰な演出を加えずに、楽曲の良さを生かした“ly summer chan remix”なり。
春っていいなぁ、思わずにはいられないシングル。
今回ご紹介したのは限定の7インチですが、同時発売でCDも発売されています。
そちらには更に、新曲やRCサクセションのカバー、そしてアルバムリリース後に開催された昨年のツアーの模様を捉えたライヴ音源などが収録された、55分に及ぶデラックスな内容。
特にライヴ音源は“サニーデイの激情”って感じのパワフルな演奏が襲ってきます。
聴きどころ満開なり。
ライブには参加していなかったドラマーの丸山さんの体調は徐々に回復に向かっているようでなによりです。
サニーデイは今年の夏に久々に野音でライブをするとのこと、行けるかな。
桜は散ってもこれからも活動が楽しみです。
蛇足ですが、
文中に『キャプテン』のコトに触れましたが、そういえば、コージィ城倉先生による、ちばあきお先生の名作『キャプテン』と『プレイボール』の続編『プレイボール2』が連載開始されましたね。
第一回を読みました。絵のタッチに違和感がありました。それは勿論仕方がないですが、さすが長年ちば漫画を研究されているだけあって、ストーリーの細部にまで『プレイボール』の世界観が再現されていると思います。物語の続きが楽しみになりました。
コージィ城倉先生は原作だけに回って、ちばあきお先生のアシスタントを経験されていた高橋 広先生が作画を担当すればより『プレイボール』な世界観が出たのにな、と思います。高橋先生は今は漫画を描かれていないようですが。
是非是非、ちば先生の世界観を絶対損ねることなく楽しませて欲しいです。
大変なコトでしょうけど。
がんばらなくっちゃ。
因みにキャプテンのシングルはこちら。
『桜 super love』《ROSE 207》〈作詞・作曲・編曲:曽我部恵一〉(04’28’’)【20017】
『東京カラー/婦人倶楽部』 [邦楽ロック10年代]
こんばんは。
2016年ももう終わり。
早いですね~。
さっきお雑煮を食べたと思ったら、もうあと数日で大晦日。
今年もイロイロ聴いたり、観たり。
楽しませて頂きました。
でも総じて時間が足りませんでした。
観たい映画や舞台やライヴが多すぎて。
行きたい日に限って仕事だったり。
家でじっくり音楽を聴く時間も少なかったような。
年々時間が早く感じられるのは何なんでしょう。
今年の年間ベストが発表される時期ですが、
おおっぴらに発表できるほど今年出た新譜は買えませんでした。
数少ない今年買った新譜のアルバムの中で特に愛聴した作品に、
夏に発表された“婦人倶楽部”のファーストアルバム『フジンカラー 』があります。
婦人倶楽部とは、佐渡島に居住する主婦4人組とのこと。
一般人らしいので顔見せNGで、割烹着と手拭いの姉さん被りがトレードマーク。
なんだか主婦の秘密のバイト、って感じでワクワクしますねって冗談です。
それはそれとして。
彼女たちの音楽のキーパーソンとなるのが、プロデュースを担当するムッシュ・レモン氏。
実は“カメラ=万年筆”というユニットのメンバーの佐藤 望氏の仮の名前。
このユニットのファーストアルバムは以前よく聴いてました。
クラシカルでカラフルなポップミュージック。
90年代に隆盛した渋谷系を髣髴させるような軽音楽、それが婦人倶楽部。
今回ご紹介するのは彼女たちの2枚目のCDシングル。
『東京カラー』。
お洒落なメロディと80年代の化粧品のCМになりそうな甘美でモダンなサウンド。
そしてミスティで香しい女性ヴォーカル。
4人のメンバーはそれぞれA、B、C、Dと名乗られていまして、知的で魅力的なヴォーカルを披露しているのは、
婦人Bさん。
謎の女Bって感じでミステリアス。
この方の歌声、とっても好きです。
野宮真貴さん、佐藤奈々子さんらにも通じる感じで。
東京へ佐渡島からフェリーで出かける主婦の女性ひとり。
若い頃に遊んだ思い出のある街、東京。
懐かしい街に久しぶりに訪れて、ウキウキしながらも、
相変わらず賑やかで慌ただしいムードは、少し年を取った身には違和感が。
若い頃とのギャップを感じつつの東京散歩。
そんな、なかなか趣のある歌詞、さすがムッシュレモン氏。
婦人Bの歌声と見事に調和しています。
2曲目は『Tech Okesa』。
佐渡と言えば、『佐渡おけさ』という民謡が思い浮かびます。
僕も大して詳しくは無いですが、
婦人倶楽部による《おけさ》はテクノ仕様。
浮遊感のあるデジタルサウンド。
風流なポップミュージック。
細野さんの『オムニ・サイトシーイング』(1989)を思い出しました。
3曲目は『FUJIN CLUB(Minami Kitazono Remix)』。
婦人倶楽部の1stマキシシングルCD『FUJIN CLUB』のタイトルソングを気鋭のミュージシャン、北園みなみ氏がリミックス。僕はCD『FUJIN CLUB』を持っておらず、
オリジナルバージョンよりリミックスバージョンを先に聴いたのでした。
この曲もオシャレでポップなメロディと婦人Bによる気品のある歌が素敵です。
有閑夫人のエレガントな生活がつづられています。
アルバム『フジンカラ―』にオリジナルバージョンも収録されたので聴き比べてみると、原曲よりテンポが速くなり、ダンサブルな仕上がりでした。北園みなみ氏の手腕も炸裂。
そして後から聴いたオリジナルの『FUJIN CLUB』、これがまた大変結構な出来で、洗練の極みで緻密に構築されたムッシュレモン氏のアレンジにクラクラします。
4曲目は『東京カラー』のインストバージョン。
ゲーム音楽っぽい仕上がりで、
1曲目とはアレンジが異なります。
アレンジはフリッパーズやコレクターズのエンジニアを手掛けられていた美島豊明氏が担当。
マキシシングルですが、サウンドの引き出しの多い聴き応えのある4曲。
アルバム『フジンカラ―』もヴァラエティに富んだ内容でユーモアも効いていて、ムッシュレモン氏の華麗なる音楽センスに大いに感激しました。
ピチカートを思い出させます。
婦人倶楽部というのは、現在までシングル3枚と、フルアルバム1枚を発表してますが、
単なる企画モノなのかそれとも、恒久的に続くのかまだ判りません。
僕としては珍しくとっても気に入っているので是非とも来年も活動して頂きたいです。
婦人Bの歌声ももっと聴きたいですし。
そして写真やアートワークはこれまた気鋭の川島小鳥さんが手掛けています。
ほんわか。
という訳で、佐渡島の新しい名物、チャーミングな音楽大使、と言う感じの婦人倶楽部でした。
『東京カラー』《FUJIN-02》〈作詞・作曲・編曲:ムッシュ・レモン〉(04’39’’)【2014】
『アーノルド/ミックスナッツハウス』 [邦楽ロック10年代]
ども、3分54秒です。
魅惑の日曜シングル盤アワー。
今回はミックナッツハウスの『アーノルド』。
前回の達郎さんのシングルと“空飛ぶイラスト”繋がりで。
イラストレーター/漫画家・本 秀康先生の7インチシングル専門レーベル“雷音レコード”についてはかねがねご紹介しなくてはと思っておりました。
音楽ファンなら、先生がこれまで数多くのミュージシャンのCDのジャケットのイラストを手掛けられてきた事は御存じでありましょう。
勿論、レコードコレクターズ誌に連載されていた『レコスケくん』でお判りの通り、博覧強記のレコードマニアであらせられます。
漫画家がレコードレーベルを設立、という事自体が凄いですが、その本気度は半端じゃありません。
本業以外の余技の範囲を超えてます。
遊びじゃないのよ、この恋は。
ご自身のイラストによるジャケットは勿論ですが、先生がセレクトしたミュージシャンの音源を初シングル盤化し、音源によってはその為に再レコーディングをしたり、未発表音源を使用したり。
そのレコードのプレスに先生自身も立ち会います。
勿論これらの費用は先生が自腹でされているのでしょう。
恐れ入谷の・・・・。
そしてその値段設定。
なんと1000円(税別)です。
今どきこの値段は凄い。
近年だとアナログの7インチの値段はまちまちですがだいたい1500円くらいで、2000円のところもあります。
2000円なんて、アルバムが買えますよ。
輸入盤のCD以上の値段で平気な顔して売っている輩が多い中、1000円は良心的です。
本当に素晴らしいです。
高い値段で売ってる奴らに先生の爪の垢でも煎じてやりたいです。
音楽業界の鑑。
レーベル名の雷音“RHION”は勿論、RHINOのもじりです。
あ、話が長くなっちゃいましたが、勿論一番肝心なのは“音”ですね。
先生が選ぶミュージシャンだけあって、一癖も二癖もある個性的な方ばかり。
ひねくれていて、ユーモラスでポップです。
今回ご紹介するミックスナッツハウスはスリーピースのインディーズのバンド。
詳しいことはあまり知らないのですが。
そんな彼らによる『アーノルド』。
本先生の同名作品のテーマソングであります。
アーノルドという名前の戦闘用巨大ロボットが開発者の六頭博士と共に行方不明に。
博士とロボットを捜索して軍部へ戻す為、大佐の命により内山田君はトリ号に乗って博士の元へ向かうのですが・・・・。
先生お得意のバッドエンディングが炸裂。
可愛さ(とユルさ)余って残酷さ百倍。
僕が初めて買った本先生の漫画『君の友だち』収録。
この漫画のアニメ版はスネオヘアーの『冬の翼』のPVをご覧いただくとして。
シングルの『アーノルド』。
マンガを元にバンドメンバーによって書き下ろしました。
あだち麗三郎氏がプロデュース。
どことなくキンクスっぽい感じのポップナンバーで。
朗らかなメロディのフォークロック。
本先生は後期ビートルズと評されていましたので当たらずも遠からずと。
原作をもとに歌詞は書かれていますが、漫画の残虐性は薄められています。
B面は『蒸し暑い中華街』。
こちらも今回の為に再レコーディングされています。
細野さんの『トロピカルダンディー』あたりのサウンドを髣髴させる楽曲。
ジャケットのいかにも、70~80年代のアニメソングっぽいアートワークも技ありです。
本先生の漫画を今回のシングルに連動して改めて沢山読み返しましたが、
やっぱり“何とも言えない”気分になりました。
唯一の長編作『ワイルドマウンテン』はやはり名作。
まだ読んでいないよい子の漫画ファンは是非お読みください。
最近はイラスト業の方がお忙しいようですが、
是非是非また漫画を描いて頂きたいです。
シングル『アーノルド』は先月にリリースされた現時点の雷音レコードの最新作ですが、
次なるシングルも期待しています。
『アーノルド』《RHION-12》〈作詞:林 良太/作曲・編曲:ミックスナッツハウス〉(04’35’’)【2016】
『6月の歌/曽我部恵一』 [邦楽ロック10年代]
こんばんは。
気が付けば、今年も半分くらい過ぎようとしています。
はぁ。
という訳で、6月なので、川の流れのように『6月の歌』をご紹介。
曽我部恵一さんの3年前にリリースしたシングル。
毎年6月になったら取り上げよう取り上げようと思ったまま3年経ってしまいました。
ソロになってからの曽我部さんはご自身で立ち上げた個人のレコードレーベル『ローズ・レコード』から音楽を発信しています。
それも実に精力的に。
かれこれ12年になりますが、
これまで出したソロ名義の作品はどのくらいあるのでしょう。
ちょっと数えきれません。
軽いフットワークで旺盛な創作意欲で作品を出し捲ってます。
ソロ以降、ご自身の生活と音楽がより密接に繋がっており、日記を書くように、日々の心象を音楽でスケッチするように楽曲を発表されています。
其処がサニーデイ・サービスと異なるところだと思います。
この『6月の歌』も彼のモノローグの様な仕上がり。
アコースティックな編成で、マイルドな歌とメロディを紡いでいます。
良いモノも悪いモノもあるがままに全てを受け入れてくれるような大らかさ、そしてまなざしの優しさが伝わってくるのです。
彼の音楽の強さも感じます。
小さなひとときのしあわせに浸るようにこの曲が心を静かに流れていきます。
この曲も収録している、
2013年に発表された彼のアルバム『超越的漫画』は数あるアルバムの中でも
素晴らしい内容でした。
モノラル録音でシンプルでプリミティヴな曽我部さんならではのロックン・ロールを響かせていました。
とにかく音がイイです。
そして、『6月の歌』は、今年発売されたかもめ児童合唱団のファーストアルバムでカヴァーされました。
あとの曽我部さんのファーストアルバム『曽我部恵一』には『5月』と言う曲もあります。
この曲も好きです。
B面は『コーヒーとアップルパイ』。
『超越的漫画』に未収録の楽曲。
『6月の歌』にも参加した北山ゆう子さんのドラム、伊賀 航さんのベースのリズム隊のグルーヴがとても効果的にファンキー。高野 勲さんの鍵盤の響きもメロウな一曲。
曽我部さんのファルセットの歌声もセクシー。
隠れた名曲と言えるでしょう。
さまざまな形態のソロ活動、そしてサニーデイサービスでの活動などなど、自由で大胆でポジティヴで元気な曽我部恵一さんの音楽活動はロックン・ロールの理想です。
同世代の尊敬するミュージシャン。
これからも楽しみです。
『6月の歌』《ROSE161X》〈作詞・作曲・編曲:曽我部恵一〉(03’05’’)【2013】