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『K/WOW WOW HIPPIES』 [ロッテンハッツ]

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こんちは。

3月は毎年毎年繁忙期で平日は残業の嵐、土曜日もお休みはないのです。
そういう時に限って土曜日には面白いライヴやイベントがセッティングされているのです。
悲しいのでそう情報はシャットアウトして粛々と生活しています。

アングラな日々。
自宅と会社とコンビニだけを行き来しています。

という訳で、前回は木暮さんのソロシングルを紹介しました。
続いては木暮さんがロッテンハッツ以前に活動していたバンド、WOW WOW HIPPIESを紹介しましょう。
ときは1986年、“ネオGS”なる音楽ムーブメントが東京を中心に起きていました。
グループサウンズ、ガレージロック、サイケデリック、パンク、ニューウェイヴのごった煮です。
80年代の勃興するテクノロジーの進化へ逆行するように異端なモノへの憧れに一部の若者たちは魅了されていきました、と判ったように。
木暮さんは大阪から上京して組んだバンドがWOW WOW HIPPIESでした。
メンバーはギターの木暮さん、ベースの高桑 圭さん、ドラムの白根賢一さん、そしてヴォーカルの宗像淳一さんの四人組。
木暮さんと高桑さんと白根さんは後のロッテンハッツで、さらに高桑さんと白根さんんはGREAT3でも共に活動していきます。

僕はロッテンハッツから遡って彼らの音源を探して聴きだしました。
最初は日本のネオGSシーンを象徴するコンピレーション、『Attack of mushroom people』そしてオGSのクリスマスソングのコンピ『Mint Sound Christmas album』。
この二枚とも名作なんですが、其処に一曲づつ収録されてるワウワウヒッピーズの楽曲が濃厚なアングラ感というか、サイケデリックサウンドを放っていてました。

そして手に入れたのが彼らの唯一の単体での音源、EP盤である『K』です。
リリースは1990年。
僕が手に入れたのは90年代半ばでした。
HMVの渋谷だったような。
デッドストックが売っていたと思います。

収録は4曲。
全て作詞はヴォーカルの宗像淳一さん、作曲は木暮さん。
宗像さんの耽美的で幻想的で怪奇趣味な日本語歌詞、木暮さんの60年代中期のサイケデリック・ロックを見事に抽出したソングライティング。
退廃的な世界観とロックンロールの関係はモリッシーとマーのコンビに通じるものがありますね。
そして高桑さんと白根さんの息の合ったガレージロックなリズム隊からの卓越した演奏力。
それらが有機的にミックスされたサウンド。
当時の彼らが20代そこそこだったと思うと音楽の咀嚼力の高さにびっくりします。
良い意味でのB級テイスト。
四人ともスタイルも良いのでフラワーなファッションがバッチリ似合ってサマになっています。
ビジュアル系とも一線を画す容姿。
小西さんは当時の彼らのサウンドにはっぴいえんどを垣間見たと云います。

A面の一曲目はタイトルソングの『K』。
疾走感のエイトビートと狂騒のメロディ展開に昇天。

二曲目は『Marble Love』。
シャッフルビートによる、白昼夢のようにポップなナンバー。
メロディメイカー木暮さんの魅力が確認できます。
高桑さんのバスヴォイスでのハーモニーもナイス。

B面の一曲目は『Mirrors』。
ちょっとGSっぽい蒼さやマージ―ビートな雰囲気が感じられるアップテンポの楽曲。

二曲目は『MOON DRIVERS』。
鬱蒼としたコーラスワークから、ファズの効いたエレキサウンドとスクリームの嵐。




このシングルを手に入れた後、ネットの通販でバンドのワンマンでの演奏が収録されたVHSテープを入手しました。1988年6月3日、新宿アンティノックでの演奏でした。手に入れて、ちょっと観た後しばらく放っておいて、改めてちゃんと観ようとしたらテープの磁気の不具合なのか画面がおかしくなって観られなくなっていました。返す返す残念なことをしました。
DVDに落として保存しておけばよかったのですが。
今ではyou tubeでその一部は観られます。





バンドの音源はもうひとつ、ネオGSのショーケース公演のライヴ盤である『IKASU!!』に一曲入っています。コレクターズは真城めぐみさんが在籍していたペイズリーブルーやファントムギフト、ストライクㇲ、TWENTY HITSの音源も聴けます。

WOW WOW HIPPIES、今聴いてもカッコいいと思います。
最近、再び国内でリイシューされたサイケデリック、ガレージサウンドの名コンピレーション『nuggets』に入っていてもおかしくないクオリティですね。
海外のガレージロックファンにもお聞かせしたい。
XTCのdukes of stratosphearにも負けてません。
数年前に、高橋ユキヒロさんのトリビュートアルバムが発売され、その中になんと、バンドの新しい音源が収録されていました。ユキヒロさんの曲を、宗像さん以外のメンバーで再結成して、ヴォーカルにはLEO今井さんを迎えての。
これにはとなりのたまげ太くんでした。
このままライヴとかすると思いましたが、一回限りだったようで。残念。

以上、バンドの魅力をコンパクトにまとめたEP盤を蒋介石。
因みにジャケットの裏側には四人のポートレイトが写っていますが、その写真を撮ったのが後にロッテンハッツ、ヒックスヴィルで共になる中森泰弘さんです。
ネオGS周りの写真は殆ど中森さんでした。
中森さんもハワイズというネオGSバンドに在籍していたのです。

バンド結成から30年余り。
こうしたバラバラな音源をまとめて、そして未発表音源や映像をコンパイルした音源集がリリースされることを切に願います。
このまま埋もれてしまうにはあまりに勿体ない。

こうしたガレージやサイケの嵐を通過して、結成されたロッテンハッツは一聴すると明るくて爽やかな聴き心地のイイだけのバンドかと勘違いしちゃいますが、よーく聴くと、その音楽性の隅々には広くて鋭いセンスが見え隠れしてるんです。
このままバンドが続いていたらグレイトフルデッドのような存在になっていたかも。

ネオGSの要再検証!


『K』《MSR 1006》〈作詞:宗像淳一/作曲:木暮晋也/編曲:WOW WOW HIPPIES〉(03’51’’)
【1990】


IKASU!! NEO GS!GO!GO!LIVE!

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  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ユース
  • 発売日: 2008/11/19
  • メディア: CD



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『ロック・ポスター/木暮晋也』 [ロッテンハッツ]

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ども。
オザケンの久しぶりのシングルに続いては。

木暮晋也さんのシングルCDです。
勿論フロム、HICKSVILLE
オザケンのライヴには欠かせない、長年バックで弾いているギタリストが木暮さん。
彼の生誕50年を記念して?昨年の秋頃にリリースされた初のソロ・シングル。
木暮さんはオザケン以外でもオリジナル・ラブやフィッシュマンズ、竹中直人、竹達彩奈、HALCALIのバックで演奏したり、かせきさいだぁとのユニットであるトーテムロックでも活動している人望の厚いお方。
細見の長身でふんわりリーゼントと黒縁メガネのカッコいいナイスガイであります。

タイトルは『ロック・ポスター』。
これは木暮さんの十代の頃のエピソードを歌にしたのかもしれません、たぶん。
自室の壁に貼られた、憧れのロックミュージシャン、あるいはロックンロール・スターの写っているポスターたち。
イカしたロックンロールをかけながら、それらを眺めているだけで何だか遠い存在のロックスターたちが身近に感じられ、何だか嬉しくてたまらなくなってしまう感じ。
代わり映えの無い日常が塗り替えられそうな。お気に入りの女の子もどうにかなるんじゃないか、とか。
そんな思い過ごしや勘違いをもさせてしまうロックンロールの魔法。
とかなんとか、をソリッドでニューウェイヴ風なサウンドに乗せて歌っています。
木暮さんのポップなメロディセンスも発揮されています。
炭酸飲料の様な清々しさ。
鼻にかかった歌声も味があります。
演奏、アレンジ、プログラミングも全てご自身で担当してます。
演奏時間は3分53秒でした。惜しい。

カップリングは『青春群像』。
タイトルとおり、若き日のセンチな思ひ出が散りばめられた歌詞と80年代的なシンセサイザーの音色が響き渡るミディアム調のデジタルサウンド。
メロディも仄かにせつなく。

シングルの二曲とも1966年生まれの木暮さんが過ごされた十代の頃に流行ったサウンドに通じている気がします。
木暮さんと言うと、ヒックスヴィルやロッテンハッツでのアメリカンなルーツミュージックに根差した音楽センスが思い浮かびますが、それだけじゃなく、もっと広範囲なバックグランドをお持ちなのです。

昨年の六月に神戸は元町のBo Tambourine Cafe というカフェバーでのソロライヴを観に行きました。
ソロでのライヴは初めて観ましたが、ヒックスヴィルのライヴに負けない位楽しかったです。
ヒックスヴィルの作品で真城さんが歌う曲もご自身で唄いまくってました。フィッシュマンズの『ヒコーキ』のカヴァーも良かったです。
先日も同所で木暮さんのライヴがあったのですが、すっかり忘れていて、気が付いたときには終わっていました。
残念。

今回紹介したシングルは木暮さんのライヴで買う事が出来ます。
ジャケットにはギターの一部分がモノクロームで写ってますが、折り畳みになっていて、ジャケットを拡げるとギター(おそらくテレキャスター)を持った若き日の木暮さんがポーズをキメて写っています。
つまりロック・ポスターの木暮晋也
髪を逆立てて、俯き加減でクールに澄ましている表情。
これが実にカッコいい。
木暮さんって実は良く観るとハンサムなんですよね。

とてもナイスなシングルで、このままソロアルバムも出して欲しいです。

今後の様々なご活躍も期待しています。

『ロック・ポスター』《VDR001》〈作詞・作曲・編曲:木暮晋也〉(03’53’’)【2016】


WELCOME BACK

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  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: VILLAGE DISC
  • 発売日: 2014/12/10
  • メディア: CD



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『流動体について/小沢健二』 [フリッパーズ]

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押忍。
只今深夜、時刻は3時54分。

前回は久しぶりにブログを更新して、久しぶりにクレイジーケンバンドのライヴへ行ったと書きました。
久しぶりついでにコチラのシングルも。

オザケンです。
小沢健二さんのニューシングルです。
『流動食について』、
じゃない。
『竜童組について』
じゃないよ、阿木さん。

流動体について/神秘的』です。

なんと、これより前に出たシングルは1998年初頭の『春にして君を想う』でした。
つまり、19年ぶり。
そのときのメディアは8㎝CD仕様の短冊ですから、隔世の感あり。
20世紀の遺物。
その間に『シッカショ節』というライヴ音源もありましたが、あちらは配信のみで。
フィジカルではありませんでした。

今回はオフィシャルサイトからリリースのいきなりの告知。
なんと二日後にシングル発売。前日(商品店着日)には朝日新聞朝刊に全段で広告が掲載されました。
通常、新譜は半年から二、三か月前くらいに告知が打たれる事が多いのですが、なんと告知から発売まで2日。
しかもそれが19年もシングルを出していない歌手からの発表。
光の速さでニュースは拡散されました。

長年に渡る新作への飢餓感を潤そうと店着日の2月21日に買いに出かけた方も多かったのではないでしょうか。
かくいう僕もその一人。
仕事の終わった20時半過ぎに難波のタワレコへ買い求めました。
てっきり今回も短冊CDで出るのではと一瞬思いましたが、さにあらず。
しかもアナログシングルのサイズのジャケットにCDが入ってました。
それはそれ。
結果、リリースされたシングルはなんとチャート初登場2位。
自己タイの最高位。
発売週にはテレビの音楽番組や情報番組、報道番組へ本人が出演。
なにからなにまで型破りなプロモーション活動の勝利。
突然の贈り物でした。

そういえば、彼のソロデヴューは野音でのフリーライブだったし。
話題には事欠かない人ですね。

さらにその二週間後の先日にはプリファブ・スプラウトのパディ・マクアルーンが新曲のギターの弾き語りがyou tubeにアップされて、それにも吃驚しました。
それがまた素晴らしかったです。
オザケンの『ある光』にはプリファブ・スプラウトの初期のある曲の一節が引用されているのですね。
直接的には関係ないことですが、オザケンとパディ・マクアルーンという寡作な天才の健在ぶりを短い期間の間で思い知らされました。
まさにLIFE OF SURPRISEなり。
さらに、かつての相棒、小山田氏のコーネリアスも四月にシングル(7吋)も出るというじゃありませんか。1993年の興奮が蘇ります。

まぁ、メディアはこぞって、19年ぶりを鬼の首を取ったが如くに強調しますが、
決してオザケン氏の音楽活動が19年ぶりだった訳じゃなく。
21世紀に入って二枚のアルバムを出しているし、二回のライブツアーを開催しています。
ライブアルバムもだしているし。
そこんとこ誤解なきよう。

さてさて、新曲の威力は果たして最高でした。

まずは『流動体について』。
こちらは昨年観に行った彼のライブツアー『魔法的』で演奏されていて聴き覚えがありました。
先述の『ある光』を髣髴させる疾走感のあるアップテンポのナンバー。
エモーショナルな歌声、歌詞。
メロディアスな曲調、流麗なオーケストレーション。
アレンジはご存じ服部隆行氏。
脈打つ熱いビート。
90年代に数々の名曲を残した彼の面目躍如たる、眩いばかりの創造的な閃きに満ちた新曲です。瑞々しい感性は健在。 
あの頃、20代だった彼も今や、結婚をして子どもを育てるお40代のお父さん。
そして現在は生活の拠点をアメリカに移って。
環境の変化はグローバルな視点の歌詞から窺い知れます。
単に90年代の頃の彼ではなくさらに感性が研ぎ澄まされているように感じました。
ブランクを感じさせないパワーは昨年のライブでも感じていたので、今回のシングルへも不安は微塵もありませんでしたが。
特に躍動感のあるメロディと劇的な歌詞のコンビネーションが聴きどころ。
サビにて、どんどん旋律の音階が上がっていくところでのオザケンの珍しいファルセットも印象的。
コーラスにはお馴染みの真城めぐみさんに加え、永積タカシ氏、そして一十三十一さんも参加。
魅惑のシンガー達による凝ったソフトロック風なハーモニーにワクワクします。
突き抜ける様なサウンドのチカラ。
オザケン自身による荒ぶるギターソロもイイですね。
確か『ある光』でも熱いソロを弾いていたっけ。
聴けば聴くほど味わいが増します。

カップリングは『神秘的』。
一転して穏やかなサウンド。
こちらは2012年の東京でのライブにて披露されていますが、そちらへは参加出来なかったので僕は初めて聴きました。
ストリングスの四重奏をバックに唄われる静謐さを湛えたミディアム調の楽曲。
ここでは『eclectic』(2002)で聴かせた多重コーラスや囁くような歌唱表現が効果的に響いていると思います。
秋から冬の透明感のある澄んだ空気を感じます。

曲調は2曲とも異なりますが、
混迷の時代に届けられた熱いメッセージ。
90年代に20代を過ごしたファンには堪らない特効薬。
買ってからアイフォンに入れて毎日何度も聴いて効いています。
目まぐるしい日々の連続の中に、永遠の、普遍的な何かを垣間見させてくれる彼の音楽の魔法を確認しました。

出来るのなら、またそれほど遠くない将来に次の新曲、或いはアルバムを聴かせて欲しいです。

『流動体について』《TYGT-39050》〈作詞・作曲・編曲:小沢健二/ストリングス編曲:服部隆行〉(04’10‘’)【2017】



流動体について

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  • 出版社/メーカー: Universal Music =music=
  • 発売日: 2017/02/22
  • メディア: CD



我ら、時通常版

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  • 出版社/メーカー: EMI Records Japan
  • 発売日: 2014/03/19
  • メディア: CD



Eclectic

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  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2002/02/27
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Ecology Of Everyday Life 毎日の環境学

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  • 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2006/03/08
  • メディア: CD



刹那

刹那

  • アーティスト: 小沢健二
  • 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2003/12/27
  • メディア: CD



球体の奏でる音楽

球体の奏でる音楽

  • アーティスト: 小沢健二,小沢健二
  • 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
  • 発売日: 1996/10/16
  • メディア: CD



犬は吠えるがキャラバンは進む

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  • アーティスト: 小沢健二
  • 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
  • 発売日: 1993/09/29
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LIFE

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  • アーティスト: 小沢健二,小沢健二,服部隆之
  • 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
  • 発売日: 1994/08/31
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超LIFE(完全限定生産盤) [DVD]

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  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック
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『あ、やるときゃやらなきゃダメなのよ。/クレイジーケンバンド』 [CKB]

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新年、明けまして、おめでとうございます。
只今、拙ブログでの2017年の幕が切って下ろされました。

とにかく、(期間を)空けましておめでとうございます。

今年も一枚でも多く、好きなシングル盤をご紹介して行きたいと心では思っていますが、
実行が伴っていないありさま。ていたらく。

今年もよろしくお願いします。

まずは、クケバ
クケバとぶよな男だが。
いや、CKBですね。

昨晩はCKBのライヴへ。
このブログも久しぶりですが、
彼らのワンマンライヴも超久方ぶりに観ました。
もう十数年ご無沙汰でした。
前回は肉体関係かグランツーリズモが出たときのツアーだったはず。

あのときの場所は名古屋クラブクワトロでした。
開演間際に会場の入り口に着いたら、なんと丁~度剣さんが会場入りされて。
お忙しいにも関わらず、気さくに快く握手をして頂いちゃいました。

それ以降も、ライブへ馳せ参じたいと思いつつ、仕事やなんやかんやの事情で機会を逸していたのです。
近年のライヴスケジュールは軒並み個人的に都合が合いませんでした。
昨年、ニューアルバム『香港的士』発表後のツアーでは大阪でのNHKホール公演も平日で仕事が忙しくて行けず、クリスマスのビルボード公演もチケットを狙いつつも瞬殺でソールドアウト。

失意の日々が続きましたが、遂にチャンス到来。
止まない雨は無い。

場所は河内長野のラブリーホール。
なんと最前列。
最高の眺めからクレイジーケンバンドの実演を楽しみました。
僕の目の前、一メートルの近さで小野瀬雅生氏がガンガンギターを弾きまくっています。
もう凄いのなんの。
勿論、小野瀬雅生ショウの新作も買いました。
そして剣さん率いるバンドの面々のパフォーマンス。
菅原愛子さんのチャーミングな歌とエレガーントな装いもガン見してましたよ、えぇ。

とにかく、このバンドのサーヴィス精神溢れた、プロフェッショナルな仕事ぶりに徹尾徹頭、酔いしれたのです。
ニューアルバム収録の楽曲を中心に演奏しつつ、会場のオーディエンスのリクエストに応えた曲を演奏したり、カバー曲を取り上げたり、予測不可能な展開で自由自在に曲がシャッフルされたり、ライヴならではの臨場感と、バンドの息の合ったコンビネーションを心行くまで楽しみました。
確かな演奏力に裏打ちされたパフォーマンスには耳も釘付け。
JBマナーを見事に咀嚼したファンクなサウンド。
イイネ!過ぎるにも程があります。
ミュージシャンとして長年に渡り、輝かしいキャリアを積みながらもステージでは腰の低い姿勢を崩すことのない剣さん、お茶目でユーモアも交えた語り口も含めて尊敬に値する方だと思います。


そして会場に集まった、狂剣信者の皆さん。
外見はワイルドでバッチリ決まった方々が多いですが、中身はハートウォーミングで。
親子連れの方はお子様まで熱心にバンドの演奏を楽しんでいました。
河内のCKBファン、最高でした。

という訳で、彼らの熱いライヴを観て、ようやく2017年の春到来を感じました。
春宵一刻値千金なライヴなり。
明日への活力が漲って来ます。
何とか一週間の仕事を乗り越えられそうです。


という訳で興奮冷めやらぬままにキーボードを打っていますが、
そろそろ本題へ。

2003年にリリースされたCKBのシングルを紹介しましょう。
あ、やるときゃやらなきゃダメなのよ。』。
ライヴでもよく取り上げられる曲ですが、今回のツアーではどうだったでしょうか。
ネタバレになるので名言は避けたいと思います。
高橋利光氏によるハモンドオルガンのイントロから、
スウィングする軽やかなポップナンバーで明快なメロディとポジティヴなメッセージが実にしっくりします。
前向きなメッセージが込められていますが、Jポップにありがちな紋切り型の薄っぺらい感じは全くしません。
プロのソングライターである、剣さんの絶妙な言葉の選び方、巧みな表現力に乗せられてしまいます。鋭い音楽センスがなせる技なのだと思います。
サウンドマシーンとしての性能のみならず、
作詞家としての、剣さんの素晴らしさはもっと語られてよいのではないでしょうか。
歌詞を通じて、
愛すべき世話女房に背中をポンと押されるような、嬉しい気分になります。
晴れがましい気持ちになります。
その晴れやかさが自棄に眩し過ぎるのか、
照れ隠しなのか、ライヴでは不思議なダンサーの皆様が登場して、曲に合わせて大胆な踊りを披露してくれます。
ライブでのお楽しみです。




そして、両A面扱いのカップリングは『甘い日々』。
剣さんの敬愛する矢沢永吉さんのキャロル時代のナンバーのカバーです。
クレイジーケンバンドが自身のオリジナル曲以外の作品を取り上げるときは、比較的に原曲に近いアレンジが施されることが多いのですが、『甘い日々』も基本的に原曲に近い演奏です。
歌い方まで剣さんは見事に永ちゃんをトレースしています。
聴き惚れてしまうほど。
ボサノバのリズムを基調とした男のクールな哀愁が魅力的な楽曲。
音楽評論家の湯浅 学さんが永ちゃんの音楽を表現されるときに使われる“コリコリとした~”というフレーズがぴったりな、甘さに流れ過ぎない音楽センスが良いですね。
終盤に突然リズムチェンジしてブギ―な演奏にヒートアップするのがカッコいい。
CKBバージョンは原曲よりもさらにテンポアップしていてカッコいいです。
永ちゃんが憑依した剣さんの歌唱もグレイト。
ライヴでも剣さんは永ちゃんの真似をよくしてますね。
実に巧いです。




ライヴでも思ったのですが、
バンドの面々の個性豊かなパーソナル、キャラクターも魅力です。
皆さん、実に味わい深い面構えですね。
役者が揃ってるのです。


今年はバンド結成20周年というアニバーサリーな筋目の年でもあります。
9月の横浜赤レンガでの記念公演はちょっと行けるか判りませんが、
また是非次回のツアーにも参加したいと思います。
これからの活躍がますます楽しみなワンアンドオンリーなクレイジーケンバンドであります。
多謝!


『あ、やるときゃやらなきゃダメなのよ。』《BSCL-35008》〈作詞・作曲:横山 剣/編曲:横山 剣、小野瀬雅生〉(03’57’’)【2003】


香港的士(初回限定盤)(DVD付)

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  • アーティスト: 横山剣,Ken Yokoyama
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック
  • 発売日: 2016/08/03
  • メディア: CD



クレイジー・ケン・バンドベスト Oldies but Goodies

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  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Almond Eyes
  • 発売日: 2007/09/03
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